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【Vol.2】体当たりの失敗が成功の連続に変わる|「人」を見つめるコンサルティングファーム

百戦錬磨で規格外なフリーランスのコンサルタントが集結し、大企業からスタートアップまで実にさまざまなコンサルティング・プロジェクトを手がけているアイキューブ。

数多くの優秀で、多様な人財がコミュニティに参加し、オモシロイ化学反応が起きる。お互いが刺激し合いながら、それぞれが自分の事業を立ち上げて成功を収めていく「型にはまらない輪」。アイキューブは今、そんな人財コミュニケティの輪を通じて、人財輩出企業とも言えるような実績を着実に積み重ねています。

代表・麹池(きくち)のインタビュー全3回のうちのVol.2では、アイキューブが最も重要視する「人」を軸にした事業開発・運営の考え方をご紹介します。直近、アイキューブから生まれた事業の成功率の高さは、過去を紐解けばある意味必然とも言える流れの中にあります。その秘密が明らかになるインタビューです!

Vol.1から読みたい方はこちら…

>> 【Vol.1】就活に疲れて在学中からコンサル実務にどっぷり|アイキューブ代表の修行時代

株式会社アイキューブ
代表取締役 麹池貴彦
<プロフィール>
アクセンチュア株式会社Communication & High Tech部門にて主にSCM領域のコンサルティング業務に従事。2004年に独立し、社員数10名程度でシステム受託開発サービスの提供を開始。2008年に株式会社アイキューブとして株式会社化するとともに、システム受託開発からコンサルティングサービスにシフトし、自身は事業開発支援、事業戦略立案から業務設計までを担当。システム領域は協業メンバーと適宜チームを組成することで幅広いコンサルティングニーズに対応している。現在は、スタートアップスタジオ機能をアイキューブとして担い、様々な新規事業展開を実施、株式会社BIZVAL立上げも自社内にてパイロットしたのち会社化、同社取締役を兼任している。

事業開発の成功は「人」で決まる という確信

ー前回Vol.1のインタビューでは、いくつかの失敗談も登場しました。麹池さんの仕事の切り口や斬新さは、ご自身の多岐にわたる(失敗や痛い思いを含む)経験から来ているんでしょうか。

どうなんでしょうね(笑)。無駄に痛い経験も人より多くしたようにも思いますが、とにかく色々なことに手を出す方だとは思います。実際、コンサルティングと並行して、様々なことに手を出してきましたし、首を突っ込んでいたかな、と。

例えば・・・、自分の子どもが本格的にスポーツ選手を目指していたことから、キッズ・アスリート・コンディショニング協会というのを立ち上げたこともあります。あと、会社経営で大きな失敗をした年配の方と知り合ったんですが、その方が「大好きな日本酒のビジネスで再起したい」ということで、その事業のお手伝いしたこともありました。商品開発からマーケティングまで色々と企画し、自分も動いてやっていました。当時、まだ日本酒のEC販売って珍しかったので、海外向けに日本酒を販売するといけるんじゃないかな、とか。まぁ結果、紆余曲折ありましてこの事業は道半ばで畳むことになってしまったんですけど。大量に残った在庫処理に、追われましたね(笑)。

他にも、モリンガという植物を使ったサプリを作る会社もやりましたよ。最近はスーパーフードが流行っているので、モリンガも聞いたことある人は多いのではないかな……。ただ、僕がこの事業を手伝っていたのは5年くらい前で、当時はまだあまり知名度の高いサプリではなかったと思います。この事業は、パパ友だった友人が「起業する!」と、いうことで手伝った事業でした。香港のフードショーなんかにも同行して、一緒に営業もしました。結局、この事業もあまり上手くいかず途中で解散させることになりました。

他にも、海外移住を目論んでサンフランシスコに会社を作ったり、香港で登記したことも……。

思い立ったらとりあえずやってみる。そうやって仕事をしてきました。

「他人の事業を手伝っている」と、いうよりは、自分自身も出資し、実働しているものも多いです。だからこそ、新規事業にとって本当に必要なものが何なのか、それが見えるようになった気がします。

その最たるものが「人」だと思います。

こいつになら騙されてもいい、そう思える人としかもう事業開発はやらないですね。

ー幅が広すぎてすごいです(笑)

そうですね。結果として大きく花開いたものはなく、まさに体当たりで事業開発の失敗をたくさん経験したと思います。会社の売上はコンサルティングのほうで支えることができていたので、食べていく分には問題なかったですが。事業開発の鍵を握るのは、やっぱり「人」。これは、確信に変わりましたね。

ーそして、キャリアプランの第2フェーズに入っていったと。

はい。2014年からは36歳の節目を超えて、本格的に自分の事業家としての道の開拓が始まったように思います。最初のきっかけは、とある企業の社長が設立した、NPSを用いた顧客ロイヤルティマーケティングのコンサルティング会社です。ここの社長から、「上場を目指して一緒にやらないか」と、声をかけられたんです。

まだまだサービスも確立されてなく、組織も未成熟な状況でしたし、事業自体もコンセプトをどう尖らせていくかだったり、サービスの質をどう担保するべきかだったりと、全方位を見ながらどう固めていくかを支援する必要がありました。

この社長の勢いと、「上場」という自分の中での目標も重なり、どうせなら自分でもこの会社の株を持ち、オーナーシップを持つ形で参画することにしました。結果、この会社とは別の付き合い方をする方が良いという双方の決断にはなりましたが、せっかく積み重ねたことを無駄にしたくなくて・・・。やっぱり、自分でやろう!と。

ただ、一緒にやるからには、人間的にも「こいつになら騙されてもいい」と思える人とやりたかったんですよね。それで作ったのが、今自分がフルコミットでやっているカラクリ株式会社というチャットボットのスタートアップです。

実は大学入学当初は広告代理店に就職するつもりだったくらい、「コミュニケーションデザイン」に強い興味がありました。このコミュニケーションデザインの分野で、最新のテクノロジーを用いることでイノベーションを起こせないかと考えていました。当時アメリカでは既にチャットボット市場が成長し始めていて、この技術を採用して事業を作れないかな、と。しかしテクノロジードリブンで事業開発するのであれば優秀な技術者と組まなければ成功はおぼつかないです。それで、当時大学院生で機械学習系を研究していた知り合いに声をかけて、色々会話する中で事業コンセプトが生まれてきました。

彼のことは人としても、技術者としても本当に信頼しています。だからこそ、一緒にやるなら彼だ!と、そう思っていたからこそ声をかけたんです。その結果、彼と僕を中心に6人が集まって会社を立ち上げました。今では、順調に大きくなっています。

ーもう1つ、M&Aに関する事業でも会社を作っていますよね?

BIZVALですね。こちらの詳しい経緯は、代表を務めてくれている中田さんがインタビューで語っています。中田さんは過去のキャリアでM&A領域に強みがあるので、彼とビジネスアイデアをディスカッションする形で事業を作っていきました。こちらも創業して以来順調に成長しています。

自分の経験から、事業開発が「人」で決まると分かっている以上、私の場合どんなに良いビジネスアイデアでも一緒にやれる「人」が思い浮かばなければ動き出しません。これは、今も引き続き非常に大事にしていることです。

100%任せられる「人」がいなければ意味がない

ーアイキューブにとっては「人」が本当に重要な要素なんですね。

アクセンチュアから独立して以来、数多くの事業を立上げる経験の中で(特に失敗を通じて)、これだけは外してはいけないというものが見えてきたように思います。その経験値から自社で事業を立ち上げる際は、絶対に守る3つの条件というものを設けています。

  1. 十分な市場があること
  2. 差別化できる要素が見いだせること
  3. 100%その事業のコミットできる人がいること

特にアイキューブがこだわるのは(3)です。どんなに魅力的な市場があっても、「この事業に100%コミットできる、信頼できる人」という人が現れない限り事業化することはありません。これは、独立後に色々な人たちと様々な事業を立ち上げてきた経験から形成された考えです。(本当に色々です……詳しくは前編をご覧ください。)

ー具体例を教えてもらえますか?

先ほどお話したBIZVAL(M&A支援サービス)もその1つです。M&Aは、売却する側にとっても買収する側にとっても非常に不透明性の高いものなんですね。この不透明性をなんとかできないか……そんな気持ちから生まれたビジネスです。これを事業化できたのは、「中田さんという絶対的に信頼できる仲間がいた」ことに尽きると思います。中田さんは、もともとProject BASEに登録していたフリーランスのコンサルタントで、私がPMをしていた弊社の案件を紹介し参画してもらったことが出会いのきっかけでした。一緒に仕事をすることで、彼がどのような人間かということも公私ともにお互い理解し合えており、「彼なら大丈夫」という信頼関係があったので、この話を持ちかけました。そこから彼と事業コンセプトを練り、試行錯誤しながら今の形へと成長させています。 

また、今年1月に立ち上げたCOSTONというコスト削減コンサルティングの新サービスも、その領域で長くキャリアを積んだ笠井さんというフリーランスのコンサルタントさんと立ち上げました。彼もProject BASEに登録してくれている方です。COSTONを事業化できているのも笠井さんのおかげですし、笠井さんとやろうと思えたのも、中田さんと同様にアイキューブの案件で一緒に仕事をすることを通じて彼の人柄やプロフェッショナルさに信頼が置けると感じたからです。

ー中田さん・笠井さんは、お2人ともProject BASEに登録されていたんでね。Project BASEとはどんな事業でしょうか?

Project BASEは、フリーランスのコンサルタントさんにコンサル案件を紹介する「人財と案件をマッチングするプラットフォーム」です。今では、アイキューブの人財データベースにもなっています。

ただ、Project BASEを立ち上げたもともとのきっかけとしては、独立後に自分がコンサルティング案件をもらったときに稼働が空いていなくて、代わりに請けてくれる人を探したことから始まったんです。

「麹池さんの稼働が空いてないなら、誰か麹池さんが信頼できる人を紹介してほしい」という声をよくもらうようになっていまして、そのニーズに応えるために人財を探しては声をかけていました。それがどんどん事業として大きくなり、Project BASEという名前で事業化していったという経緯です。今では500名以上のコンサルタントが登録してくれています。

ー登録があった人財には、直接会ってキャリアや強みを聞いているんですよね。

そうですね。フリーランスエージェントサービスはたくさんありますが、登録時に面接をせず、登録数を競うような風潮があります。アイキューブがエージェント事業をやるからには、1人1人の登録コンサルタントのことを知った上で案件を紹介したいと考えています。

経営/戦略/ITなどフリーランスでコンサルティングをやっている人が、「もっとキャリアの幅を広げたい」と思うと、構造的に制限が多くて可哀想だなと感じることが多いです。例えば、一度SAP導入コンサルとして独立した人には、自然と得意分野であるSAPの案件しか入ってこなくなります。キャリアチェンジを望むならば、むしろ大手コンサルティングファームにいたほうがチャンスは多いでしょう。ただ、自分で異動先を選ぶことは難しいですよね。私がアクセンチュアを退職したエピソードのように、不自由な部分も存在するのが企業勤めのツライところです。悩ましいですよね。

こういったフリーランスの人たちに、自分のキャリアの幅を広げる機会を提供できたら最高だと考えています。

事業が大きくなっている今は、私が直接初期の人財面談(登録時の初回面談)を行うことはありませんが、アイキューブの自社案件へのアサインの際などは今でも面談を担当しています。アイキューブの案件である場合、必ず弊社のProject Designer(ディレクター)がPMとして案件に入ります。そのProject Designerを中心にProject BASEから適切なチームを都度組成しながら案件を推進するという形を取っているため、ある領域で経験値が足りなくても他のメンバーで補いながら推進するということも可能です。こういった案件紹介の在り方を通じて、フリーランスのコンサルタントの方にキャリアの幅を出す機会を提供することもできているのではないかと思います。

弊社自体、こういった様々なバックグランドやスキルを持つ方々とのコワークを通じて、自社のノウハウ蓄積や事業開発機会を得ていると感じています。

Vol.2のインタビューはここまで。最後のVol.3では、アイキューブの柱となる既存事業「Project BASE」と「Project Design」のリアルな実態を詳しくご紹介します。

>> 【Vol.3】“紙書きコンサル”との圧倒的な差|アイキューブというハイエンドなコミュニティ

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