【CEOインタビュー前編】創業3年を迎えたフツパーの"今"と"これから" | CXO
大西 洋(おおにし ひろ)兵庫県出身。広島大学工学部卒業。専攻テーマは製造プロセスの最適化。 2017年に新卒で日東電工に入社、ICT部門の法人営業に従事。 退社後はWebサービスを開発し、イス...
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大西 洋(おおにし ひろ)
兵庫県出身。広島大学工学部卒業。専攻テーマは製造プロセスの最適化。 2017年に新卒で日東電工に入社、ICT部門の法人営業に従事。 退社後はWebサービスを開発し、イスラエルで起業を試みるも失敗。 その後工場向けAI/IoTベンチャーの事業開発グループリーダーを経て、2020年4月にフツパーを創業。
インタビュー前編はこちら ↓
もちろんあるとは思いますが、準備し始めて分かることとしては、今後やっていかないといけないことは、基本的に全部会社としてやった方がいいことばかりということです。
より組織としてスケールしていけるように、将来を見据えて社内の仕組みや制度を整えていっているという認識です。
そもそも何のために上場するのかというと、1番は資金調達しやすくなること、あとは会社としての信用が向上すること、これらの得られる優位性を獲得してさらに会社を成長させることが目的です。
ちょっと違った観点にはなりますが、直近約2年間の国内の上場企業の倒産件数は1件だけなんです。これだけ市況が不安定な中であってもこの数字であることは、目立たないですがすごいことですし、信用力という意味においては大きいことです。
そんななかでフツパーが変わっていくことがあるとすると、トップラインの伸びだけでなく、利益を意識する、ということがこれまで以上に求められると考えています。
これは決して短期的な利益を追求するという意味ではなく、そもそもサービス全体の付加価値を上げる、お客さんへの価値提供を拡大する、そうすると、その結果が将来の会社の利益として返ってくるようになります。
あえて語弊がある言い方をすると、IPOできるかどうかはどうでもよくて、それよりもどうやって世の中にインパクトを与えるかや大きい課題を解決できるか、そういったことに思考を向けたいと思っています。
国内でそこそこの規模になるだけで満足せずグローバルで通用するようになれるか、上場以降さらに会社が伸び続けられるか、より長期的な視点では、これらは重要なテーマです。
色んな会社があってもいいし、もっと自由であるべきで、でもフツパーは社会の役に立つ会社、それを作り上げていく過程で上場を目指す、そんな風に考えています。
松下幸之助の言う「企業は社会の公器」という存在なのであれば、パブリックな会社になっていくのは当然の流れであり、誇らしいことでもあると思います。
今後もっと大きなことをしたい、工場のあり方を変える、モノづくり全体を変えるとなった時に、今の規模だとまだ難しいと考えています。上場してさらに事業規模を拡大していくことによって、より大きいことを成し遂げられるような会社を目指していきます。
「カッティングエッジな技術を、真に必要としている現場に届ける」、フツパーはこれをする会社だと思っています。
この部分は提供するサービスの中身や範囲が変わったとしても、共通する部分になると信じています。
そのため今後も中小企業の現場で使えるサービスを提供していく、という部分は主軸に持っておきたいと思っています。日本の技術力を支えているのは間違いなく中小製造業なんです。
日本は大手だけでなく中小企業も含め、世界的に見てもニッチなモノづくりが強く、グローバルニッチトップのプロダクトを多く持つ会社が存在しています。私が新卒で入った日東電工がまさにそうでした。
また、前職では実際に中小企業の社内から工場向けのITサービスの開発をしてきました。フツパーでやってることは全てその延長だと思っています。
製造業向けにITサービスを導入することはとても難しいんです。リードタイムが長いこと、クラウドやサブスクへの馴染みがないことなど、理由は様々ですが、この領域で事業を立ち上げるハードルの高さは理解しているつもりですし、実際に成功している会社もそう多くありません。
時間がかかるからこそ、研究開発に特化するのではなく、最新技術の活用の方を考える、そのために手軽に使えるようにする、そこが根底にあった上での技術力・サービス力が重要だと思っています。
ただ逆に言うと、ほとんどのことはこれから変えていって良いと言えるくらい、常に時代に合わせて変化していくことの方を重視しています。
技術を良い方向に活用して、後世をより良くしていくことが使命だと思っています。
日本はGDP全体の約20%を製造業が占めているモノづくり大国です。フツパーは、製造現場の人手不足をテクノロジーで解消することでその土台を支えていきます。
まずは検品・検査という一部工程の自動化から始めていき、いくつかのパートの最適化に1つ1つ取り組む中から工場全体の最適化を進めることで、絵空事ではない、本当に価値のあるスマートファクトリーを実現できると信じています。
現場の作業は自動化され、サプライチェーンが短くなり、よりユニークなモノづくりを行うことができる、そんなモノづくりの世界を目指しています。
根底となるのは、できたモノそのもの以上に、それを作っている工場にこそ価値がある、と考えです。そういった考えのもとに製造プロセス全体、工場全体を進化させていくことができれば、これまでのモノづくりが変わるはずです。
将来的に今以上に現場が自動化できれば、人件費が安価な海外に工場を作っていた企業も、より物流コストが低いエリアに移ったり、複合的なメリットが大きい地域で生産を行うようになります。
そうなるとサプライチェーンがもっと短くなり、環境への負荷も下がる。そのプロセス自体が評価されるようになれば、モノづくりのあり方自体も変わっていきます。
その上で人の仕事はより商品開発や企画の比重が高くなり、それぞれの会社がより顧客ニーズに合わせた製品作りや独自のモノづくりが可能になっていきます。
そうなって初めて、デジタル化を進めることによって、本来モノづくりが強い日本が、世界をリードできる存在になれると考えています。
それは、必ずしも売上高や生産の規模でトップになる必要がなく、より低コストだったりエコであったり、他にはない個性を持った唯一無二のモノづくりができれば、それは素晴らしいことだと思います。
そういった世界を実現するために、必要なサービスを提供するパートナーとして、フツパーはこの製造業という分野におけるAI会社のトップを目指します。
シンプルに、フツパーの事業が伸びれば、世の中全体がよくなる、そんな世界を目指していきたいです。