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【CEOインタビュー前編】創業3年を迎えたフツパーの“今”と“これから”

大西 洋(おおにし ひろ)

兵庫県出身。広島大学工学部卒業。専攻テーマは製造プロセスの最適化。 2017年に新卒で日東電工に入社、ICT部門の法人営業に従事。 退社後はWebサービスを開発し、イスラエルで起業を試みるも失敗。 その後工場向けAI/IoTベンチャーの事業開発グループリーダーを経て、2020年4月にフツパーを創業。

創業から3年が経ちましたが、今のフツパーは大西社長から見てどういう会社になりましたか?

創業期はなんか動物園って感じでしたが、最近はサファリパークくらいになりました。

毎月新しいメンバーが加わっていき、すぐにいろんなところで活躍していく、会社にこれまでなかった知見や文化が入ってきて、会社や組織がそれに合わせて変化していく、みたいなことを繰り返しています。

まだまだこれから、サファリパークからジャングルみたいになっていき、ゆくゆくはアマゾンを超えるような会社にしていきたいです。

もともと、僕以外はキャラ濃いめのメンバーばかりで、会社のメンバーで飲み会をしたら、ずーーっと仕事の話をして常に誰かが喋っている、みたいな雰囲気が創業1〜2年の頃はありました。

それが正社員だけで30名を超えるくらいになってきて、かつ若手ばかりでなく結構幅広い年齢層のメンバーが増えたらさすがにもうちょっと落ち着いてくるのかなと思っていたんですが、むしろ逆で、よりパワーアップしているっていうのが今のフツパーですね、もう手に負えないです。

そうはいっても2023年4月でフツパーは3歳になりましたが、3年前の写真なんかを見てると、ほんとに会社としてはガラッと変わったなと思います。

普段は、毎月どう会社を伸ばしていくかとか、昨年比で事業がアップルトゥアップルでどれくらい伸びたかとか、割と目の前のことを考えてばかりのことが多いですが、ふと振り返ると結構なスピードで拡大してきたようにも思います。

ただそれ以上に、AI技術の進歩や業界の変化は速いなと感じています。

ChatGPTやグーグルのBardのような大規模言語モデルが出てきたり、世の中をガラッと変えてしまうような技術が日々出てきていますし、それらがすぐ社会に浸透していっています。

世の中の変化に合わせて、どう会社やサービスを変えていくか、常にメタ的な視点を持ちながら、対応していくことが求められているのではと思います。

フツパーの成長スピードは創業当時に思い描いていたとおりになりましたか?

ここだけは、想定に近いです。

事業内容もですが社員数、売上規模、顧客数、資金調達額、どれも概ね目指していた数値感ではあります。

というよりは、当初の計画通りの成長ができるように、やれることをやってきたというのが実態に近いです、なのでプロセスや中身は全く計画通りではないですね。

むしろ想定外だったこととしては、最初の事業から大きなピボットをせずに、そのまま拡大してきたことです。

これは製造業の人手不足、特に検品・検査という領域に大きな課題があり、これまで大きな変革が起きてこなかった最大のアナログ産業になっているためだと考えています。

とはいえ、まだまだ製造業全体で考えた時に、ほんの一部の課題解決にしか取り組めていないのも事実ですので、サービスの提供価値をより高めていき、事業拡大のスピードをさらに加速させていきたいです。

創業当時に比べて競合のサービス・会社は増えたのではないかと思いますが、どのような勝ち抜くビジョンをお持ちですか?

まず前提としてあるのは、フツパーはAI会社というカテゴリーで見ると、そもそも後発のスタートアップの部類に入るということです、それもかなりのレベルで。

色々なAIスタートアップや大手テック企業が研究開発やサービス開発を進めている中で、半導体の進化もあり安価な小型デバイス上でAI推論ができるようになってきたというタイミングで、「月額で手軽に使える画像認識のエッジAIを製造業の検査領域に特化した形でサービスインした」のがフツパーだと思っています。

創業当時は結構SaaSの領域だと業界特化のサービスがたくさん出てきていたんですが、一方でAIに関しては汎用的な用途のものがまだまだ多いという、そのくらいの時期だったと認識しています。

もう少し遡ると2017年頃に最初のAI銘柄のIPOが出始めて、ただ、研究開発や受託メインのところも多く、それから徐々に社会実装や具体的な用途が分かるものにシフトしていき、さらに直近1〜2年はより事業性や利益を求められるような、そんな流れがきているのが現在という流れですね。

これは短期的なトレンドの移り変わりかもしれませんが、結局は、実社会でしっかりと使われていて、ちゃんと利益が出て、そして継続性のあるビジネスが生き残っていくのだと思っています。

勝ち抜くにはそこに愚直に取り組むしかないと思っています、それが1番難しいのですが。

なので、あまり競合のサービスがどうとかは気にせず、製造業という市場はとてつもなく大きいですし、今はライバルに見えるような会社ともむしろ一緒に頑張っていきたいですし、自分たちは徹底してお客さんと向き合って提供価値を高めていくしかないです、これを続けていきます。

一方で長期的なトレンドをみたときには、明確な取り組むべきポイントはあるかと思っています。

2010年以降の10年間は主にスマホの中のサービスが世の中を変えてきましたが、これからはスマホの外、リアル産業のDXが主戦場になると考えられます。

クラウドとエッジ、集中と分散、バンドル化とアンバンドル化のような、いくつか繰り返している流れがあり、そのなかでより分散化や個別最適な方向に進み、エッジAIが活用されると信じてきました。

そして、今はまだ現場にデータがない領域に対して、カメラやセンサを使ってデータを集め、蓄積されたデータベースの情報を最適化するのがAIで、これによって業務の一部を自動化及び最適化していく、というフェーズです。

モノづくりの過程のある部分から全体の最適化を進めていく、そして最適化によって空いた時間で新しい価値を創出する、という取り組みを進めていきます。

そのため今主力のサービスとなっている外観検査に限らず、工場全体に対して価値提供していくため、複数のプロダクトを同時に展開していく必要があると考えています。

昨年辺りからコンパウンドスタートアップという言葉も出てきていますが、製造業というバーティカルな領域でそこを目指していく、という形になると思っています。

今日明日で急に賢くならないような分野、Web上にデータが溜まってないところで勝負していく、ここが実は「泥臭い」やり方の先にあるいわゆる勝ち筋ではないかと思っています。

製造業のDXは日本が世界をリードできる可能性がある分野です。もともとモノづくりが強い国が当然有利なはずなので、そういう領域で勝負すべきだし、するしかないと考えています。


会社の今後のチャレンジに不可欠な“人”ですが、多様なバックグラウンド、キャリアのメンバーが集まってきていますね。今後はどんなメンバーの参画を期待していますか?

もっと多様で尖った強みを持ったメンバーが集まるような会社にしていきたいです。

その上で、どこにいっても活躍できるような人達が集まっているが故に、フツパーの事業に共感して働いてもらえるどうか、ここは特に重要だと思っています。

元々は黒瀬、弓場という同じ大学出身の属性の近い3人で創業して、当初はそこからのリファラル経由ばかりだったので、創業して10人目くらいまでは結構偏ったメンバーの会社だったと思います。

それが10人を超える辺りから、色々な分野のすごい人達が加わってくれ始め、大阪だけでなくて関東にオープンした支社も含め、全国的に採用も拡大できましたし、国籍も日本に限らずグローバルになりつつあり、どんどんすごいことになってきています。

創業からの初期メンバーの団結力の強さがあって、そこの土台に素晴らしいメンバーが加わっていった、これが今のフツパーだと思っています。

あとで振り返った時に、あの時期のフツパーに在籍していた、ということがブランドになるような、1つの時代のうねりが生み出されるような居場所にしていきたいです。

後編では、IPOを目指すフツパーが変わっていくこと、変わらないこと、さらにはフツパーの目指す世界についてお聞きします!お楽しみに!

後編はこちら ↓

【CEOインタビュー後編】創業3年を迎えたフツパーの"今"と"これから" | CXO
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