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「もっと良い仕事」に直結するデータ活用を目指す。大手機械系からAIベンチャーに転職して製造業の自動化を目指す理由とは


株木達郎/AIエンジニア
明治大学理工学部機械工学科卒業。
新卒でダイハツ工業株式会社に入社し、変速機の生産技術を担当。工程設計から設備導入まで全てのフローを経験後、生産準備プロセスの整備およびITシステムの導入に取り組む。退職後は自費でカナダに留学し、英語と航空を学ぶ。帰国後に自動制御機器メーカーにて通訳および市場不具合調査を担当する一方で独自にWEB系技術の学習を始め、2022年10月よりフツパーに参画。

いままでの経歴を教えてください!

最初は自動車メーカーでトランスミッションの生産技術を担当していました。そこでの主な業務は、設計部署から受け取った図面を元に部品を組み立てる順番を考えて、生産ラインをどのようなレイアウトで設置するのか、どこに人や機械を配置するのがいいのかという計画を立てることでした。

一口にトランスミッションの組み立て方を計画するといっても、ひとつの製品は全部で500個くらいの部品から構成されています。模型も何もない状態で渡されるんです。なので頭の中で組み立てて解体して、時には絵をかいて、どういう順番で組み立てるのが一番効率が良くて、かつ不良品をゼロにできるかということを考えながら仕事をしていました。

500個すべての部品に対して組付け条件等を記録していくのですが、当時はそのすべてを紙ベースで行っていました。あまりに大量にあるので、データの引き継ぎも欲しいデータを探すのもかなり大変でしたね。
そんな状態だったので、もっと電子的に管理していこうという話が出たのですが、製造業の会社というのもありソフトウェアに詳しい人がおらず、エクセルのVBAでプログラミングを組んで簡単なアプリケーションを作ってみようとなりました。
自分はそういった仕事に元々興味があったので手をあげたところ、担当できることになりました。

大量の紙のデータを移行するのは大変そうです

大変でしたけど、元々プログラミングを使って自動化するということが好きだったので楽しかったですね。フツパーで今やってることに比べたら当時やっていたことは簡単なことだったと思いますが、そういうのが今につながっていると思います。

仕事でプログラミングをしたのはこれが最初でしたが、仕事以外だと、大学でC言語を勉強したり、プライベートで簡単なアプリを作ったりしていました。

プライベートではプログラミングの経験があったのですね!どういうアプリを作っていたのでしょうか

大学時代に所属していたグライダーの部活で使えるアプリを作っていました。パイロットは、一発のフライト毎に離陸した時間と着地着陸した時間、そして出発地や到着地等をフライトログブックと呼ばれる手帳に書かないといけない決まりになっているんです。それを電子化したものを部活で運用しようと思い、アプリを作りました。

後席で、前席の練習生を教えているのが私です。

一社目を退社したあと、カナダに飛行機の操縦免許を取りにいったとのことですが、大学生の頃から興味があったんですね!

そうですね、元々はパイロットになりたいと思っていたんですけど、日本でパイロットになるのは結構難しいんです。でもずっと未練はあったので、20代のうちに挑戦しようと思って、仕事が落ち着いたタイミングで会社を退社してカナダに行くことにしました。

なぜ日本で目指さなかったのかと聞かれることが多いのですが、わざわざ海外を選んだのはほとんど個人的な趣味です。
当然ですが日本は日本語が通じますし、空から見える風景は代り映えのしない田んぼなので退屈だと思ったんです。あと、英語が下手なパイロットにはなりたくなかったので(笑)
そのような経緯があり、日本ではなく海外でパイロットへの道を自力で切り開いていけたら面白いんじゃないかと考えて、海外で免許を取ることにしました。

日本でパイロットになるには航空大学校に通うか航空会社に就職するかのどっちかどちらかしかないのですが、海外では小型飛行機から免許をとってどんどんステップアップしていくような仕組みで、日本で言う自動車免許のようなイメージで資格が取れるんです。

16歳か17歳くらいから資格が取れるので、現地のスクールではすごく若い子達が飛行機を操縦していて驚きました。

カナダにはどのくらいいたんですか?

一年半ですね。でも実は、結局コロナの影響で免許はとれなかったんですよね。コロナ前は飛行機のスクールに通っていて、かなり実践的なこともしていたのですが、あと一歩というところでコロナが流行してしまっていまして。
かなり強い気持ちでカナダに行ったので日本に帰る決心も付かず、コロナの終息を待ってひたすら現地で粘っていました。でも向こうは新型コロナの行動規制が日本の比じゃなく、本当に全部のお店が閉まっていたんです。3か月以上髪も切りに行けない状態が続き、自分至上一番髪の毛が長くなって困ったのを覚えています。
そんなこんなでしばらく滞在していましたが、物価も高くているだけでもかなりお金がかかりますし、悩みに悩み抜いたうえでパイロットは諦めることにしました。

ついに日本に帰ることを決めたんですね

はい。ですがここからまた4か月くらい粘りました(笑)
せっかくカナダに来たことですし、何かを達成して帰りたかったんです。そこで取り組んだのが、英語力の向上でした。
まずは語学学校に通おうと思い、パイロットを目指すのを諦めたその日に現地の留学エージェントに連絡を取りました。生徒が泣くくらい厳しいことで有名な、カレッジ付属のESL(English for Second Language)を紹介してもらい、通うことにしたんです。そして、そこで出会った人たちとの身の上話や、世界で起きていることについての議論をする中で自分の考え方が変わり、必ずしもパイロットにこだわる必要はないなと思えるようになったので帰国することにしました。

そこでどのような心境の変化があったのでしょうか

それまでは自分が空を飛びたいという気持ちだけでパイロットを目指していたんです。でも学校で自分より10個くらい下の子たちと話していて、その子たちが世の中にはこういう問題があって、それを解決するために今ここにいるんだっていう考え方をしていて、それが素直にすごいなと思ったんです。正直、あこがれだけで必死に勉強をしてきて、自分のやりたいことを第一にする自分のこれまでの考え方を振り返るきっかけになりました。

そこからパイロットだけじゃない他の世界も見えるようになって、社会に対して自分にできることは何かということを考えたら、自分が得意なデジタルの分野で人の助けになるものを作っていくというのが一番世の中に貢献できることなのかなと思いました。

生徒が泣くほど厳しいという授業は無事に乗り越えられたのですか?

なかなかきつかったですが、何とか乗り越えました。
週一回プレゼンをしないといけないのに加えて、週二回は皆の前でホワイトボードを使って社会問題などの話題を取り扱うような課題もあったのでかなりハードな授業でしたし、本当に泣いている人もいました。
でもそのおかげでかなり話せるようになりましたね。厳しいと噂を聞いていた先生も、蓋を開けてみるとすごく生徒想いの方で、未だにtwitterやインスタにコメントをくれます。当時のクラスメイトとは現在でも連絡を取り合うくらいに仲良くなりました。そういう経緯があって、完全にパイロットはもういいか、という気持ちになったんです。

素敵な出会いがあったんですね
帰国後はどういった仕事をしていたのでしょうか

空調や冷凍設備の部品をつくっているメーカーで、通訳兼機械系エンジニアとして海外とのやり取りを担当していました。

せっかくカナダで英語を話せるようになったのでそれを風化させたくなかったという気持ちもありましたし、機械系のキャリアも維持したいという理由で選びました。

ここでも一社目でやってたVBAというプログラミング言語を使っていろいろ自動化を進めたりもしていて、例えば通訳の仕事で、連絡書や報告書を翻訳して海外の企業に送るというのがあったのですが、一枚一枚やるのは大変だったので、それを自動で作成できるアプリを作りました。


でも新しくなにかすることを提案してもなかなか前向きじゃない人が多く、結局ぜんぜん普及しませんでした。また英語のスピーキングを使った業務が多くカナダで得たスキルは活かせていたのですが、通訳の仕事は自分でなにかを作り出すという感覚があまり持てなくて。自分にはちょっと物足りなくてなってしまい、転職活動をするようになりました。

フツパーのことはどこで知ったのですか?

元々はweb系で探していたのですが、フツパーから転職サイトでスカウトをもらって、興味を持ったので面談することにしました。

もともとweb系を希望していて、最終的にはフツパーのAIエンジニアを選んだんですね

そうですね。これまで機械系のキャリアを歩んできたのですが、次はITとかデジタルの業界に行ってみたいと思っていました。でも機械系からIT業界に転職するのは結構大変だったので、当時IT業界では一番間口が広いと思っていたweb系で見ていました。

とはいえ、これまでの経験から、機械や製造の業界で解決したいことや、改善したいことはたくさんあったんです。そんな中スカウトをくれたフツパーが、まさに自分がやりたかったことをやっている会社だったというのが決め手ですね。一社目の会社で、こういうアプリがあったらいいなとか、AIだったらできるんじゃないかと考えていたものがあったんですけど、それに一番近いことをやってるなと思いました。
フツパーで実際に業務をしていると、一社目にいたときにやりたいと思っていてもできなかったようなことをやっていて、あの時ほしかった機能だ!と思うことが多いです。

生産ラインでの生産って次から次へとやってくるんですけど、現場ではそれをデータとして吸い上げて、貯めることはしていたんです。でも実際どうやって活用しているかというと、貯めておくだけということがほとんどでした。しかも、不良が発生していざデータが必要になったときは頑張って掘り出さないと出てこないという状態でした。
なので、こんなにデータはあるのに活用の機会が少ないなと、当時はもどかしかったのを覚えています。

データを集めることの目的は、「製品の品質を向上させる」とか「人間や仕事全体の仕事の質をあげる」ということじゃないですか。
それは簡単そうに見えて意外と難しいというのを痛感していたのですが、フツパーはそういう目的に直結する事業をしていると思えたので入社を決めました。

入社から半年が経ちますが、実際に働いてみていかがですか?

現場に寄り添って、どうすれば不良を減らせるかとか、フツパーの製品を新たに導入することで別の不具合が出たりしないかとかを検討するのは、最初の会社での経験が生きているなと感じます。
それに加えて、自分が製造業でこういうことをしたいと思い描いていたことが実際に実現できているので、入社後のギャップもなかったです。いい転職だったと思います!

そもそも自分はベンチャー企業で働くこと自体が初めてだったのですが、スピード感がとにかくすごいなと思いますし、すごく働きやすいなと感じています。たぶんベンチャー企業のほうが自分の性格に合っていたんだと思います。


ベンチャーのどういう雰囲気が働きやすいと感じるのでしょうか

一番は、新しいことをやろうとしたときに否定的なことをいう人があまりいないということですね。もちろん、理に適っていればの話ではありますが。これまでは新しいことを提案しても却下されることが多くてすごくストレスだったので、今の環境はそこが嬉しいです。

確かに、新しいことへの積極性やスピード感は、フツパーの強みかもしれないですね

入社後のAIエンジニアの研修制度について教えてください!

今は自分が入社した時よりも充実していますが、当時もプログラミングと光学設計の研修がありました。でも研修期間はかなり短くて、あとは実際に手を動かしてやってみようというやり方でした。でも、その方が覚えやすいし、頭に入ってきやすかったので、自分にはそのやり方がすごく合っていたなと思います。

前の仕事に似ている部分があるとはいえ、知らない分野にたくさん取り組んでいますよね。覚えるのは大変じゃなかったですか?

知識が増えていくのは楽しいので、自分にとっては苦ではなかったですね。現場で治具を組み立てるのは今でもちょっと苦手だったりしますが、ソフト関連でいうと、プライベートの個人開発のために休日にも触ってしまうくらい楽しんでやっています。

今は具体的に、どういった業務を行っているのでしょうか

入社当初は人が少なかったのもあって、PoC(概念実証)から、設計・調達・導入まで全部やっていました。でも、大阪本社は最近AIエンジニアが増えてきて分業制が進んできたので、入社後に一通りの流れを研修で学んだあと、スキルや経験を活かして自分の得意な部門をやることが多いと思います。

ただ、分業とはいっても、上から一方的に自分の担当をを決められるとか、その分野しかできないというわけではなくて、それぞれやりたい分野に挑戦できるようになっています。なので、これから入社する人も、どんどん手をあげて自分のやりたいことをやっていってほしいなと思います。

株木さんは主にどの分野を担当しているのですか?

私の担当は、AIによる不良品判定・排除を現場で行うソフトウェアを作ることです。
AIを作るためにはたくさんの画像データが必要なので、その画像を集めるために必要な設定をしています。具体的に言うと、ベルトコンベアを流れていく製品に合わせてシャッターのタイミングなどを調整できるソフトを作っています。

それも各案件ごとに調整が必要なんですか?

そうですね、今は自分たちがプログラミングで設定しています。でも今後は、専門のエンジニアが調整しなくてもGUI(設定画面のようなもの)を使って誰でも設定ができるようになればいいなと考えていて、今まさにそのようなソフトウェアも作っています。
自動アップデート機能なんかも作りたいですね。

この計画は結構順調に進んでいて、今の目標はこのソフトを完璧に仕上げていくことですね。

完成が楽しみですね!
他にもこれからやってみたいことがあれば教えてください

さっきの話もそうですが、カメラのシャッタータイミングの調整をしたり、AIモデルを作ったり、これまではフツパーのエンジニアじゃないとできなかったものを、お客さん自身ができるようにする仕組みを作ることですね。

AIも、今はフツパーの社員が作っているのですが、製品のOK(良品)とNG(不良品)の判定基準を教えてもらえるとはいえ、フツパーの社員が画像データを貰ってAIに学習させるよりも、これまで検品作業をしてきたお客さんたち自身が画像を仕分けてAIに学習させたほうが、納得できるモデルや撮影の環境が出来上がると思うんです。

なので、難しい技術を誰でも使えるものにしていくというのが今後の目標です。どうすればお客さん自身が良いAIを作ることができる方法を提供できるかを考えていきたいです。

最終的には、外観検査にとどまらず生産全体を管理して品質を向上させることができるサービスを作り上げていきたいです。

そして、そのためにはAIの知識をもっとつけていく必要があると思っています。やっぱりお客さんに説明したり、現場で使える良いソフトを作るにはAIの根本を理解していないとダメだと思うので。
今は、こういうデータを使ってこういう学習方法をかけると良いAIができるというのは分かっているのですが、その間がどういう仕組みになっているかまだ充分には理解できていないと思っているので、そこの理解を深めていきたいです!


フツパーで働いていて、やりがいを感じるときを教えてください!

お客さんの工場に機械を入れて、実際に外観検査をする人がいなくなったと聞くと嬉しいです!
あと、自分の書いたプログラムが、一発目からエラーなく動いたときは特に嬉しいですね。
現場導入の際には、事前に想定してなかった不具合が起こることが多々あります。事前にこういうこともあるんじゃないかと予測してプログラムに仕込んでおいて、それが現場で綺麗に回るとすごく達成感があります。
イレギュラーまで事前に想像しておいて現場でも滞りなく進めば、お客さんも自分たちもハッピーですよね。

不具合を未然に防ぐのは周りからは気づかれにくいかもしれませんが、すごくかっこいい仕事ですね!

1日のスケジュールを教えてください!

9時半  出社

午前中 ひたすらプログラムを書く(python or C#)

12時 納豆タイム

13時 既存案件のプログラム刷新打合せ

15時 作ったソフトウェアで外観検査のテスト

17時 ソフトウェア開発メンバーとプロダクト方針会議。終了後プロジェクトのスケジュール立案等など。

18時 プルリク地獄。コードレビューしたりされたり。

20時 颯爽退勤

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