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【CEOが語る】"はやい・やすい・巧い"フツパー誕生秘話

自己紹介

フツパーの大西洋と申します。「たいせいよう」と書いて、「おおにしひろ」と読むのがポイントです。最近はポケモンパンに付いているポケモンシールの採集にハマってます。

兵庫県出身の現在26歳。広島大学工学部卒業。専攻テーマは製造プロセスの最適化。 2017年に新卒で日東電工に入社、ICT部門の法人営業に従事。 退社後はWebサービスを開発し、イスラエルで起業を試みるも失敗。 その後工場向けAI/IoTベンチャーの事業開発グループリーダーを経て、2020年にフツパーを創業。

ただ最近シールは採集できても、フツパーにマッチする人材はモンスターボールで捕獲できないことを知り、採用活動の要である創業ストーリーについて、ここに記そうと思った次第です。

簡単に創立したフツパーについて、簡単に説明させていただきますと、「はやい・やすい・巧い」AIをコンセプトに、製造業向けに目視検査の自働化に取り組んでいる会社です。2020年に設立して現在2年目に入ったところで、これまで2度の資金調達を実施し、メンバーは創業時の3名から総勢20名近くまで増えました。

ここまでやってこれたのは、お世話になっている取引先の方々、温かく見守ってくださる株主や関係者の方々、そして何よりいつも一緒に泥にまみれて頑張っているフツパーメンバー全員おかげです。
感謝しかありません。ありがとうございます!

しかし、フツパーも私自身もまだまだ発展途上、これからより大きなチャレンジに向けて色々と仕掛けていきたいと思います。

さて、この記事についてですが、改めてどういう経緯でフツパーを創業したのか、何故この事業をやっているのか、今後どうしていきたいかといった、いわゆる私自身の半生も含めた創業ストーリーについて発信します。ぜひご一読ください。

  • 会社員時代
  • 創業までの経緯
  • 初期の構想
  • 今後の拡大に向けて

会社員時代

大学を卒業するまでは起業や何か特別な活動は特にせず、普通に学生時代を過ごし、卒業後は日東電工という総合材料メーカーに入社しました。
営業職として、東京に支店がある半導体や回路部材を扱う部署に配属になり、ここで1年間働きました。
会社や職場に特に大きな不満は無かったのですが、自分が会社に貢献できていないのにそこそこ給料をもらえていることに違和感を感じていたのと、漠然と、自分の手でサービス開発して、海外に行って、起業したいと思い、3月末に退職いたします。

ただこの時に、工場研修や海外工場の視察に行く機会がいくつかあったのですが、そこでフツパーの事業の原点となる工場の人手不足やシステム化の難しさを目の当たりにしました。
また、今後間違いなく少子高齢化が進む日本において労働力を維持するためには、外国籍人材を増やすかテクノロジーで自働化するかの2択しかないと思い、自分は後者に可能性を感じたため、ITに取り組もうと決意しました。


知識ゼロからのスタート

退職後は、まずギークハウス岡山というエンジニアの集まるシェアハウスに住み込み、毎日Webサービス開発に取り掛かりました。
思い立ったら即習慣化、ということで退職を決意した年末辺りから、通勤時間や休日はプログラミングの勉強に費やしていましたが、結局分からないことだらけで、ほぼ無からのスタートでした。
そして偶然そのシェアハウスで出会ったエンジニア(後に一緒にイスラエルへ行きます)と一緒に、思い付きで4月にQ&Aサービスを1つ開発しました。

後に気付くのですが、この時もう既に海外のslidoという超ハイクオリティ類似サービスがあり、それが日本でも無料で普及していて結局自分達のサービスは閉じることになるのですが、当時は特に競合調査等も一切せずに突っ込むスタイルでした。

プロトタイプ開発後は、いくつかピッチイベントに出て、サービスの検証・普及に努めていきました。
この岡山でのピッチイベントの中で、投資家の方(数年後に出資を頂く)や社長の方(半年後に入社します)との出会いがあり、振り返ると貴重な期間だったなあと思います。

そして何を思ったのか、2018年5月に、色々と理由を付けて、隠れ起業大国イスラエルに飛び込みました。



結局6月末にダサダサ帰国(1年くらい滞在すると見せかけて1ヶ月くらいで帰国した)をするのですが、
イスラエル滞在中は、現地のVCやスタートアップを訪問したり、起業家のマッチングイベントに参加したりしていました。
期間は短かったですが、得たものは多かったと感じています。思想、教育、宗教、軍事、産業、政治、どこをとっても日本と異なる部分が大きい、というより真反対なことがたくさんありました。

ここでもいくつか、フツパー創業のきっかけを得た体験があったと思っていて、まず私が見聞きしたあらゆる企業がAIを日本でいうITのようなレベル感で活用していました。
農業、医療、フィットネスセンター、コーチング等、一見テクノロジーとは無関係そうな領域も関係なく、本業の一部や裏側の解析といったところで使っているとのことでした。
AIという文脈が全面的に出ることなく、事業紹介の一部で触れられるくらいなところにある種の進み具合を感じました。

そしてそれ以外にも、何より精神面で参考になるところが多かったです。
ユダヤのタルムードの教えの中にある「金は奪われるが知識は奪われない」は私のお気に入りです。

社名の由来

でも1番のお気に入りはもちろん「フツパー」という言葉です。
フツパーはヘブライ語で、リスクを恐れず野心を抱くことや、大胆に臆することなく物事をやり抜く姿勢を表す言葉で、起業に限らず様々なことにチャレンジする際の原動力となる言葉です。
このフツパーの精神に感銘を受け、いつでも忘れないように、フツパーの社名はフツパーにしました。


帰国後は東京でサービス開発や資金調達活動を継続しました。

ただ思った以上にサービスの伸びも資金集めも難航し、一時は法人設立の登記申請までは進めていたのですが、改めて冷静に現状を見直して、この時は会社を作らないことに決めました。
この東京にいた期間に、当時IBMで働いていた黒瀬(後にフツパーやります)や萩原(後にフツパー入ります)に会ったりもしました。


写真左から:若かりしCOO黒瀬、大西、CMO萩原


やはり自分が困っていたり、社会的信用が無い時期にも関わってくれる友達というのは本当に大事です。

そして手元資金もほぼ底をつきかけていたタイミングで、ご縁もあって、10月より大阪にある工場設備の中小企業に入って働くことを決めます。
将来また自分でベンチャーやりたいですという意向もお伝えした上で、全然構わない、むしろそっちの方がいい、と言ってくださる懐の大きい会社でした。

この2社目では、社内ベンチャー(後に子会社として法人化)として工場向けにAI・IoTの新規事業立上げに取り組み、開発〜営業や採用業務まで、幅広く担当させていただきました。
結果的に在籍期間は1年半でしたが、この間に様々な工場の現場を回ってお客様と会話することができました。

この1年半の間に学んだことは、工場のIoT化及び見える化がテーマだったこともあり、ほぼ全ての経験がフツパーの事業にも役立っています。
お客様の工場にセンサやネットワーク工事を行い、データ収集・整理をして、クラウド経由で現場管理やAI判定を行う、という一連の流れに関わりました。
ただし顧客の全てが大手製造業だったこともあり、こういった新規領域への初期投資ができる基盤があってこそ可能な取り組みだとは感じていました。

もっと手軽に、コンパクトな形で、現場で使えるAIサービスを、規模問わず全ての工場に提供できれば、日本の製造業をより良くしていけるのではと思い、気付けば2020年4月よりフツパーの事業を始めていました。

創業までの経緯

フツパーは3人創業のスタートアップであり、3人の共通点は広島大学の工学部出身という点があります。
私とCOOの黒瀬は同学年の入学2日目くらいからの友達で、CTOの弓場は1つ下の学年でしたが、ずっと仲良くしてもらってました。
学生時代の思い出としては、この3名含む5名で短期留学でロシアに行ったことです。何か新しい刺激を求めて、未知の場所に行ったり体験をしたりすることが全員好きでした。

大学卒業後の進路はバラバラで、私は上記の通りで、黒瀬は日本IBMの九州支店で営業、弓場は大学院に進学しゲノム編集の研究を行っていました。

再び再会し始めたのは2019年後半です。元々、私と黒瀬は大学1年生の頃から、将来何かで起業したいねという話はしていて、ただその頃はアイデアばかりで実現するには至りませんでした。
その流れは卒業してからも続いていて、時々連絡を取り合って、今ならこんなことができるんじゃないかといった話を色々していました。
主に私がプロダクト面、黒瀬がビジネス面のアイデアを持っていて、私は当時のAIを大規模サーバーではなくもっと小型のデバイス上で展開する手段を調べていて、黒瀬は価格が高くてなかなか導入が進まないAIを地方や中小のお客様に届ける方法を探していました。

そして具体的に進めていくにあたって、もう1人開発ができるコアメンバーが必要と考えていた時に、私と黒瀬で共通で最初に名前が挙がった1人が弓場で、彼は昔から至るところで才能を発揮していたので、カズキ(弓場)は天才だから一緒にやろうと声をかけスタートしました。

何をいつからやるか、社名やロゴ、会社のビジョンについて等、色々とその後本格的に話し合いを進めていきました。


創業当初のメンバーの様子


当初感じていた課題感

どんな会社が世の中に求められているか考えた時に、世界では日々色々な技術が開発されていく中で、本来誰でも当たり前に使えるはずの技術を、一部の企業や個人しか使えていない現状があると感じ、その差を縮めて、浸透させてくような会社が必要と考えました。
特にAI等の分野は最新技術や情報に関して非常にオープンな文化があり、もっと便利な道具として使われるべきなのに、実際のところはそうはなっていませんでした。
一部のIT企業が、インターネット上の広告や小売の分野のみに活用するのではなく、リアルな産業に対してソフトウェアの技術を適用していくことが、非常に重要だと考えました。

また、AI系のスタートアップは東京にある企業が圧倒的に多く、さらに言うと東大卒の方が立ち上げたケースも多く、なかなか他エリアからは出てこない印象がありました。
そこで、自分達のような地方出身メンバーが、東京以外のエリアでAIスタートアップを立ち上げて、地方から革命を起こすことは、とても刺激的なチャレンジだと感じました。

だからこそ地方や中小の企業を支援していき、そこの人手不足の課題を解決していくことで価値が生まれる、この時の想いがフツパーの事業の原点に繋がっています。

初期の構想

大前提として、単なるWebサービスやアプリ開発はやらないと決めていたので、インターネットの外の領域に対して、IT技術を絡めて既存のオペレーションを変えられるような事業をやりたいと思っていました。
そこを起点として、より具体的な事業の枠組みを考えていきました。


初期構想のホワイトペーパー


世のトレンドに逆らわないに、世界の投資先がどういった領域に向けられているかを調べ、AIやロボット、フィンテック、バイオ系、あとはブロックチェーンや宇宙関連等のいくつかの分野に注目しました。
システムの移り変わりを見ても、中国の歴史のように集中と分散が繰り返されており、昔のメインフレームからクライアントサーバになり、その後インターネットを通じたクラウドコンピューティングの時代になったので、次はIoTやエッジコンピューティングの流れがくると予想されます。
2019年付近はGoogleやIntel、Nvidiaから続々と安価なエッジAIアクセラレータがリリースされていたため、本格的にエッジAIが普及していく時代がきているように感じていました。そしてこのエッジAIを、日本の強みであるモノづくりの分野に掛け合わせられないか考えました。

製造業×エッジAIの事業へ

上場企業約3700社の内、製造業は1500社程を占めており、工場数でみると国内で20万以上の工場があり、市場はとても大きいです。
この製造業の中で、既存の業務プロセスを改善できないかと思い、検品・検査工程に着目しました。

検品・検査に関わる工程は、大きい工場だと1工場で15箇所以上工程が存在しているところもあり、どこの現場でも不可欠な業務です。
重要な業務であると同時に、特に人手が不足している業務でもあり、常に人材募集を行っていたり代替手段を探している企業は多くありました。
今まで人が目視で行ってきた外観検査を、画像認識ディープラーニングを用いて、改善することができれば、インパクトは大きいと思いました。
また画像認識は他の音声や自然言語等のAIの領域と比べても、最も早くAIが人間をテストで上回った得意な領域であり、最初に取り組むには適したテーマのように感じました。

もちろんこの画像認識AIで製造業の外観検査を自働化するのは世界初の試みという訳ではなく、これまでも技術的には可能な取り組みではありました。
ただしAI導入にかかるコストが大きかったため、費用対効果が出しにくいという課題があり、なかなか導入が進まない状況でした。
自分達としては、お客様が導入して損するものは絶対に作りたくなかったため、どうすれば道具としてのAIサービスを届けられるのかたくさん悩みました。
そもそもAIプロジェクトは、スタート段階では成果物のクオリティ及びAIの精度がどうなるか分からないため、初期の見積が難しいものです。

考えた結果、いつでも解約できる月額制の料金体系にすれば、最小限のリスクとコストでスタートできるため、これなら自信を持って提案できると考えました。
トータルコストも人件費よりも安価に設定することで費用対効果が見込めるものにし、これであれば初期投資をかけられない大手以外の会社にも入っていけると思いました。
既存のプロセスを変えて、工場の固定費を下げることができれば、収益構造を大幅に変えることができ、本業のコア事業に積極投資ができるようになる良いサイクルが生まれると考えました。

そしてまだ構想段階の頃、このアイデアを実際に知り合いの町工場の方にぶつけてみたところ、「間違いなく需要があるし、世の中のためにもなるから絶対やった方がいい」と後押ししてもらうことができ、よしこれでいこうと最終的に決断しました。

この初期の構想を元に、今のHutzper Vision&Insightの開発を進めてきて、日々現場の声を反映させながらのアップデートを繰り返しています。

今後の拡大に向けて

まだまだフツパーの事業は始まったばかりで、拡大の余地しかありません。

AIの眼の技術に特化して、製造業を中心としたリアルな産業の課題解決に取り組んでいますが、そこからさらにロボットアームと連携したハードウェア側の連携や5Gを活用したソリューション等の展開も進めていっているところです。
またもちろん目視検査の自働化以外のテーマも様々あり、お客様と共同開発したAIソリューションの展開もいくつか予定しています。
今後この他社とのコラボはもっと増やしていきたいと考えていますし、営業面や開発面で協業できるパートナーもいつでもお待ちしています。

ここからさらなる事業拡大に向けては、組織を拡大していくことが何より必要です。
一緒にリスクを取って頑張っていけるメンバーを探しています。

伸びる領域で、優秀なメンバーが集まって、真面目に頑張ることができれば、間違いなく成長していけると信じています。
仕事についても、毎日特別なことをしている訳ではなく、凡事徹底で、当たり前のことを積み重ねていくことが重要と思い、実践できるようにしています。

決してキラキラしたスタートアップではないですが、それでも一緒にチャレンジしたいという方は、ぜひ気軽にお問い合わせください。
営業も開発もバックオフィスも、絶賛採用強化中ですので、たくさんのご応募お待ちしております!


大西の最新インタビューはこちら☟


【CEOインタビュー前編】創業3年を迎えたフツパーの"今"と"これから" | CXO
大西 洋(おおにし ひろ)兵庫県出身。広島大学工学部卒業。専攻テーマは製造プロセスの最適化。 2017年に新卒で日東電工に入社、ICT部門の法人営業に従事。 退社後はWebサービスを開発し、イス...
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【CEOインタビュー後編】創業3年を迎えたフツパーの"今"と"これから" | CXO
大西 洋(おおにし ひろ)兵庫県出身。広島大学工学部卒業。専攻テーマは製造プロセスの最適化。 2017年に新卒で日東電工に入社、ICT部門の法人営業に従事。 退社後はWebサービスを開発し、イス...
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