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ドイツ在住のヒューマンシップメンバーが語る「ドイツ🇩🇪日本🇯🇵 / 転職マーケットの違い」とは?(後編)

Photo by CoWomen on Unsplash

こんにちは!ドイツ在住コンサルタントの岡部です。

日本も8月から9月にかけて夏休みを取られた方もいらっしゃると思いますが、ドイツも同時期に各州で夏休みが設けられ、保育園・幼稚園・小中学校すべて、最低2-3週間から長いと1ヵ月強お休みになります。

私の住むミュンヘンがあるバイエルン州は、8月から9月はじめまでが夏休み期間とされています。この期間中、多くの企業(特に家族を持っている人)は、2週間から3週間のお休みをまとめてとるため、仕事が通常の半分くらいのスピードに急激に低下します(笑)

8月や9月初旬に転職希望の方と面談をして人事に連絡しても、
「2週間不在です。帰ってきたらなるべく早く返信しますね。」
というようなオートリプライが返ってくるだけで、本当に仕事がストップしてしまうのです。リクルートで働いていた経験のある私は、ドイツに来て初めの頃、日本とは全く異なる夏季休暇にとても驚きました。

しかし今や慣れたもの…私も最近まで2週間のお休みをいただいていたので、もうオートリプライが返ってくる各クライアントとはお互い様です!「休む時はしっかり休む」を当たり前に感じるようになりました。

(写真は、この夏に家族で訪れたギリシャ南西部で撮った一枚です。カラマタという、海沿いにある古城がレストランになっていて、とてもロマンチックでした!)


さて、前回の 「ドイツ🇩🇪日本🇯🇵 / 転職マーケットの違い」 では、ドイツの転職希望の傾向や、日独におけるコンサルタントに対する期待の違いについて書かせていただきました。後編となる今回は、企業側とのやりとりや営業の仕方について少し触れてみたいと思います。

ヒューマンシップの仕事を東京で始めた頃、 *パーソナルエージェント*であるために大事なことは、以下のようなことだと考えていました。

【転職者である一人一人の方に親身になって寄り添えること】

【転職者と一緒に納得感のある転職活動にできるように尽力すること】

そして働いてしばらくして、より良い*パーソナルエージェント*であるために以下のことも同じくらい大事だと言うことに、思うようになりました。

【企業側とエクスクルーシブな関係を構築すること】
・人事からの情報だけではなく、そのポジションの責任者 (Hiring Manager) や一緒に働く仲間はどういう人たちなのか?

・実際に働いている人、現場の話を聞ける機会はないか?

・事業の責任者からもう少し視座の高い観点で、5年後10年後に目指していること・達成したいことを温度感高く伝えてもらえる機会はないか?

などを知るために、企業側との関係もとても重要だと実感しました。


ただの職務内容 (Job Description) に記載されていることや、企業サイトから読み取れること以外に、どれぐらいリアリティがあるワクワクする “生の情報” を得て、それを転職希望者へ伝えられるか?
これが、お互いのミスマッチを防ぐことや、ひいては納得感のある転職活動支援のために必須だと学びました。それこそが両面のコンサルタントの大きなやりがいの一つだと、こうしてドイツで働くようになった今も思っています。

しかし、ここドイツにおいては…

【企業側とエクスクルーシブな関係を構築すること】
【人事以外のステークホルダーから現場の情報を集めること】

という営業としての動きが、日本よりもずっと難しいということに、私はドイツで働き始めて間もなくして感じ始めました。

多くのドイツ人は 「自分の仕事・役割はこれ」 という線引きを、非常に重視しています。雇用契約書に書かれている業務内容が自分の仕事。それを週40時間でこなし、規定の給与をもらうことが企業と自分個人との契約であるから、それ以上でもそれ以下でも仕事をしない。これぞTHEドイツ人っぽいガチガチの考え方(笑)

とても筋が通っていて 「その通りだよね…」 と思う一方で、自分の役割でないことは、その業務をたとえ隣の人がやっていたとしても、「それは私の仕事じゃないのでわかりません。以上!」と言った感じで(笑)
三遊間に落ちたボールは驚くくらい拾われることがありません。
(もちろん、もっと柔軟な方もいますよ。あくまでも全体の傾向のお話です!)

となると、たとえば採用でドイツ人の人事担当(HR)と一緒に仕事をする場合、どのようなことが頻繁に起こるのでしょうか?


職務内容 (Job Description) は、もちろん企業側から提供されます。インタビューのプロセスなど、HRとして知っておくべき一般的なことも当然教えてくれます。ですが彼らは採用担当なので、現場のことを知る必要はないと思って仕事をしています。よって現場についていくら質問をしても、有益な情報は出て来ないと言った具合です。

日本だと、人事の方がたとえ知らなかったとしても
「ヒアリングして後ほど回答します!」
と言ってくださったり、その後はしっかりと情報をもらえたりすることが当たり前です。時には現場の人と話す機会をいただけることもあります。一方ドイツではどうかと言えば…
「それはインタビューの中で、キャンディデイトから現場社員へ直接聞いてもらえればいいので。(つまり、私の仕事ではないのでしません!)」で終わることが大半です。

確かに直接聞いてもらえればそれでいい部分もありますが、私としては転職希望の方との面談時に、できるだけ豊富でリアルな情報を伝えて動機づけしたり、マッチングを図りたい意図があるのです。且つ、どのエージェントも必ずもらっているような薄い内容の情報でしかポジションのことを伝えられないと、自分の介在価値を実感しにくく、自身が仕事に面白みを感じられない…そこは今でも苦戦しているポイントです。

ドイツにある日系企業の中には、規模感にもよりますが、トップが日本人の企業もまだ多く、また駐在として営業やファイナンスのトップをやられている方もいらっしゃいます。ドイツ人HRを頼れない状況では、そういった方々へもアプローチをし、現場の生の情報を如何に得ていくか?が鍵となります。

ここドイツにおいて、企業側とエクスクルーシブな関係を構築するためには、私がリクルート時代に営業研修で習ったMATRIX営業(深耕営業)をベースに活用しています。とは言え、縄張り意識が非常に強いドイツ人HRの機嫌を損ねないように、うまく立ち回る必要があるので、難しいけれどやりがいのある部分だなと感じています。

最後になりましたが、ドイツのマーケットで色々なHRの人と仕事をしていて改めて思うのは、ヒューマンシップのお客様であられる日本企業の人事の方たちのレベルは、総じてとても高かった!ということです。
採用担当の方でも「採用」そのものの意義や、企業における人財採用のインパクトの大きさをきちんと理解し、矜持をもって仕事をされている方が多かったなぁ、とドイツへ来て振り返っています。

当時の私も、素晴らしいHRに相応のパートナーにならねば!いや、なりたい!という気持ちがありました。お仕事をさせていただいて、良い刺激や学びが沢山あったことを、こうしてドイツのHRと仕事をしている今、なおさら感じています。

「パーソナルエージェントとしてどうあるべきか?」
というこの仕事のあるべき姿のベースは、日本でのヒューマンシップの仕事でしっかりと土台が築けたと自負しています。それがあるからこそ、日本とは異なる文化、言語、価値観が存在する、ここドイツでの応用が利いているのだと思っています。


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