この春、組織体制を刷新し、社内横断デザインチームを設立。HRBrain一人目のデザイナーとして入社し、2019年にグッドデザイン賞受賞、2021年にはVP of Designに就任した安藤に、その背景や今後の意気込みを語ってもらいました。
「未来のなにかを創りたい」25歳でデザイナーに転身
デザイナーになろうと思ったのは、25歳のときでした。最初の仕事は、大学職員。わりと異色のキャリアですよね。当時音楽をやってて、その活動のための時間が欲しくて、母校で事務をしていたんです。でもだんだん、1日9時間も拘束されているのがもったいないと感じるようになりました。
仕事について改めて考えたときに、「『未来のなにか』を創る仕事をしたい」という結論に至ったのです。社会に貢献できて、未来を描けて、楽しめるものーー。改めて自分のバックグラウンドを振り返ると、デジタルプロダクトの領域が一番間口が広いと思い、デザインを勉強したのです。
その後、制作会社での勤務を経たのち、フロントエンドとデザインを両方やっていきたいと思うようになり、次のステップへ。そこで出会ったのが外資コンサルティングファームのアクセンチュアです。デザイナーとしてやらせてくれることになり、大手企業向けの業務支援アプリなどを制作など、多くの経験を積ませてもらいました。
5年が経って、自分が描いていた目標に到達。新たなステップは、いくつかの選択肢からスタートアップに入ることを選びました。企業選びの条件は、次の3つ。
①人の成長に関わるサービスをつくっている
②アーリーステージである
③一人目のデザイナーとしてジョインできる
これにジャストフィットしたのが、HRBrainでした。運命的なものを感じましたね。
ジョインしたのがまるで昨日のことのよう。今でも気持ちは入社時と同じ
とはいえ自分のスキルセットでバリューを発揮できるかどうか不安もありました。だから、入社前にUIを議論するMTGに参加させてもらったんです。メンバーは川田・中野・由利。そこで正論を発言したときに、きちんと受け入れてもらえる実感が得られて、ひとりめのデザイナーとして挑戦するスイッチが入りました。
それがもう2年前のこと。まるで昨日のことような感覚です。2年経った今でも、当時と同じ気持ちで働いています。不思議と、ずっとワクワクしていられるんですよね。
会社としてはこの半年で、フェーズが変わったという実感があります。まさに、アーリーステージ後期という感じ。社内の仕組化が進んでいるし、サービスへの問合せも急増しています。お客様の規模も大きくなっていて、確実にプロダクトが成長していることを感じます。それに伴い、エンジニアリングもデザインも要求される質が上がり、気持ちのよい成長痛の中で日々の仕事に取り組んでいます。
そのデザインは、伝わっているか。こだわるのは、徹底的な顧客理解
「顧客の課題を捉えているか」。私がデザインをする上で大切にしていることは、シンプルに言うとこれだけです。
デザインというと「ビジュアルを創る作業」だというイメージだと思いますが、私はあくまでビジュアルはツールで、「顧客の課題が解決されること(顧客の課題を適切に捉え、解決される手段が伝わったこと)」がデザインの成功だと思っています。
特にBtoBのUI/UXデザインは、ユーザーの業務をインターフェースに置き換えた「課題解決」です。相手の業務を理解した上でデザインを行い、それが相手に伝わって初めて、デザインの目的が達成されたことになります。一方的に「伝える」のではなく、双方向のコミュニケーションとして「伝わる」が実現したときに、最も達成感がありますし、それがデザインの醍醐味だと思っています。
ここで重要になるのが、「いかに相手の目線に立てるか」ということ。
toBのSaaSの場合、まず顧客の業務を、構造のあるストーリーとして把握することが大事です。フェーズごとに洗い出して、一つ一つを理解する。営業やCSは当たり前にやっていることですが、デザイナーにこそ大切な作業だと考えています。顧客が本当に困っていることへの共感が出来た時にこそ、顧客に伝わるデザインを創れるからです。とはいえ、まだまだそうした顧客理解を深めるようなユーザーリサーチは、十分とは言えない状況。きちんと動き方を設計して、今後さらに強化していきたいですね。
採用面接でも、「目の前の相手のUXを気にしているか」はよく見ます。コミュニケーションのマネジメントを自然にできているか。それが、HRBrainのデザインチームで価値を発揮するためのキーとなるかもしれませんね。
HRBrainのデザイナーは、全職種とのコラボレーションが最重要
HRBrainで活躍できるデザイナーの特徴は、大きく2つあると思っています。
1つめは、デザインという役割に縛られずに働けること。
デザイナーの仕事は、「デザイン作業」だけではありません。そもそも何をするのが最も価値を発揮できるかを考えることが、非常に重要な仕事の一部です。『多面的な視点で、全体最適を探る』というHRBrainの行動規範にもあるように、ある課題のいろいろな側面を認識した上で、デザインの力でバリューを発揮できるところを、自ら捉えにいく姿勢が大事だと思っています。
2つめは、先入観をもたず、事実を並べて俯瞰してから冷静に判断できること。
つまり、なるべく主観に囚われないということです。行動規範にも、『ゼロベースで考え、課題から作り出す』という言葉があります。自分が創りたいものではなく、課題を解決できるものを創るために何が必要かを、少し離れたところから見てフラットに選び取る。これが自然にできる人は、デザイナーとして最適な判断ができる人だと思っています。
デザイナーの仕事は必ず、他部署とのコミュニケーションが発生しますよね。開発・ビジネス・経営層など、視点や立場の異なるチームを越境して関わり、全体最適を探っていきます。様々なバックグラウンドを持つ人とのコラボレーションが仕事のベースとなっているので、ファシリテーションや構造化、ゴール設計といったスキルがあると、レバレッジが効くんです。
デザイナーとしての基礎的なハードスキルはもちろん大事ですが、ハードスキルに囚われすぎていると、コラボレーションの中で発揮できるバリューが足し算にしかならない。一つ一つのアウトプットが、本当に顧客に「伝わる」アウトプットになっているかを知るためには、関係者を巻き込み、適切な情報を抽出 / 整理 / 集約する必要があります。そこでソフトスキルを駆使して、それを再現性ある形で行えるようになれば、デザインが発揮するバリューは掛け算になっていくと感じています。
そうやって、自分の仕事の幅を広げていくほうが楽しいじゃないですか。HRBrainにはそれができる環境があるので、どこにでも通用するソフトスキルを磨くことができると思います。
2021年4月、新体制発足。横断的デザイン組織がスタート
デザインチームは、4月に新体制になります。これまでプロダクトサイドに属していたデザイナーが、これからは社内横断のデザイン組織に入ることになります。(下記イメージ参照)
これまでも実態としては、プロダクトデザインだけではなく、LPや会社紹介資料、CSの資料など、多岐にわたる制作に携わっていました。様々な部署とコラボレーションして活躍しているデザイナーたちが、より大きな責任と権限を持てるように、組織としてデザインを切り出した形です。
会社のフェーズが変わり、仕事のインパクトが大きくなっていく中で、この体制でチャレンジできることに非常にワクワクしています。
デザインはそもそも、「何をどうしたら伝わるか」を考えて、コミュニケーションを設計する仕事。そこに対して責任を持とうとすると、どこかひとつのところに所属している必要はないんですよね。各部署と協力し模索していきながら、横断的に、かつ統一感をもって、デザインの力でHRBrainの成長をさらに加速させていきたいと考えています。
しかし、そのためにはまだまだ課題もたくさんあります。例えば、今後ユーザーリサーチやプロトタイピングなどUXの取り組みをもっと強化していきたいし、広告や資料など、顧客接点となっているクリエイティブの品質もまだまだだと感じています。だから、一緒に課題に取り組んでくれる方や、組織づくりから携わってくれる方は大歓迎。横断型のデザインチームに少しでも興味があれば、ぜひお話させていただきたいです。
新たなポジション「デザインエンジニア」
さらに今回、デザインエンジニアというポジションを新設しました。既存メンバーにも、デザインエンジニアになってさらに職能を広げて活躍してもらう人がいます。新たに募集もしています。
フロントエンドエンジニアで、デザインにも深く関わっていて、実はそっちのほうが適性があるかも…という人はけっこう多いのではないでしょうか。そういう方にぜひ挑戦してほしいです。また、制作会社にいて、もっとデザイナーが権限を持ちたいと感じていたり、デザインだけに限らず責任範囲を広げていきたいと考えている人にもおすすめです。多くの人と関わる仕事なので、自ら人を巻き込んでプロジェクトを推進するのが好きな人も良いですね。
新体制をドライブするにあたり、間違いなくカギになるポジションです。どんな動き方をするのかは自由。デザイン×エンジニアリングという観点で裁量を持ち、PdMと一緒になって上流工程を推進していく立場になるので、先進的なキャリアを築けると思いますよ。
新組織で描いている、今後のビジョン
まずプロダクトデザインにおいては、デザインエンジニアが入ることによって、コンポーネントライブラリの改善など、ユーザビリティにより大きな責任を持てるようになります。さらに、エンジニアのスクラム開発に倣い、デザイナーも一定の区切りで、粗く早くものを創っていきます。開発の方向性を検証するための動きに、デザイン面で参加する。これによって、プロダクトの機能性とビジュアルが両立し、より質の高いものづくりを実現できます。
また、コミュニケーションデザインにおいては、コーポレートブランディングに取り組む第一歩を踏み出したいと考えています。HRBrainならではの統一感のあるデザインで、営業資料やCS資料、マーケティングの広告などを制作していきます。採用やオンボーディング資料にも広げていきたいですね。中長期的な話になりますが、UI/UXだけではなく、グラフィックに強い人も活躍できる場になると思います。
こんな人と働きたい
デザインという強みをもって、他部署と関わりながら人として一緒に成長できる人。そして、成長の苦しみさえもみんなで楽しめる人と働きたいですね。事業を成長させながら、「デザインを武器にして」自分も成長するという視点を持つ。HRBrainはそういう人こそ、楽しめる会社だと思います。まさに、自分もそうです。少しでも共感したところがあれば、一緒に楽しみましょう!