こんにちは。人事部の田中です。
現在当社は、プロダクトの方針や会社の行動指針の策定がなされ、大きな変革期を迎えています。
そこで今回は会長の木村さんへマイクを向け、Gunosyの創業からこれまでの変遷、今後の展望などについて語っていただきました。
木村さん/代表取締役会長 グループ最高経営責任者
投資家としてGunosyの創業に関与しており、2013年に当社代表取締役に就任。2014年に退任後、2017年8月より当社取締役へ復帰。2020年6月より代表取締役会長 グループ最高経営責任者に就任した。趣味はゴルフで、現在はシンガポールを拠点にしている。
Gunosyが誕生した2012年、複数の企業が生まれては廃れたIT企業の群雄割拠時代
ーニュースメディアの業界はどのように変化していったと感じていますか?
昔は情報取得する場合、基本的には新聞か、PCのトップページにあるYahoo!がデフォルトでしたよね。電車に乗ったときに皆、新聞を半分に折って読んでいた。
iPhoneの3Gが出たのが2010年前後なんですが、そこからスマートフォンでのインターネットコネクションがものすごく早くなってアプリを使うことが主流になってきた。スマートフォンが普及し始めてからは、皆スマートフォンでニュースを読むようになってきて、電車に乗っても新聞を読んでいる人の数はどんどんいなくなっている状況でした。
そこが、デバイスの置き換わりと共にメディアの在り方がすごく変わったターニングポイントだったなと感じます。
当時は単なるニュースアプリで良かったけど、今後はニュースの質に対する責任、というものも出てきます。単にトピックを並び替えれば良いというだけではなく、伝えるべき内容、質、見せ方にもこだわる時代になっていくでしょう。今まで新聞が担っていたような役割を、ニュースアプリが担い始めなければいけないフェーズに来ているなと。
ーグノシーのサービスは初め、アプリではなくメールでニュース配信をしていたんですよね
そうですね。メール配信サービスをやっている頃、Gunosyの創業者である福島さんと出会ったのですが、会社化する段階で、アプリに切り替えていった背景があります。一番最初のグノシーのサービスは、単にユーザーが興味関心のある記事を10個ぐらい集めてメールで配信する、アプリ化したときも同じく、興味関心のある記事だけをピックアップしていました。しかもニュースっぽい記事というよりも、どちらかと言うと読み物系で。
テレビCMが始まる前ぐらいに、もっと一般的なニュースをカテゴリ化して集めないといけないよね、と考えてから今のように上段にタブができて、トップに並ぶ記事も読み物系から速報性のあるものに変わっていった。それが設立から1年ぐらいの話ですね。
ー当時はアプリを購入してあとは無料で使うというものが多かった中で、グノシーをフリーミアム型にするのは最初から決まっていたんですか?
正直、当時はどうやってマネタイズしていくか決まっていなかったんです。業界的にも、今みたいにFacebook広告のようにフィードの中に広告を置くという概念がなかったので、PCの画面でどこに広告を置くか苦戦していた。Facebookがやり始めてから、どれぐらいフィードに広告を挟んだら収益性が上がるのか計算して、無料提供でも収益化できる判断ができてから走り出しました。なので、実は僕らが初めて国内でインフィード広告を始めたんです。バナーより効果は良くなると思ってましたけど、広告主さん達もこれまでフィード広告ってやったことなかったしクリエイティブも作ったことなかった。なのでクリックの効果がどうなるか不透明な状態で、広告表示のワーディングなど教えていかないとならず導入が難しかったなと。そこからのスタートでめちゃくちゃ大変でしたが、結果としては業界的にバナー広告からフィード広告へはものすごい速さで変わっていったなと感じますね。
ー配信する記事については、どのようにニーズをキャッチして内容を変えていった背景がありますか?
最初の流れで言うと、Twitterが流行りだした頃、情報が溢れている中で何を読んだらいいかわからない状態だったんですね。当時はアルゴリズムがなくてただ記事が流れているだけだったので、効率的に記事を読めていなかった。速報性があるニュースよりも、どちらかと言うと興味があるニュースをまとめてピックアップするというニーズがある中で登場したのがグノシーです。
もう一つの流れとしては、スマートフォンが普及してきて、速報性のあるニュースが読めた方が良いよね、と徐々に気づき始めた。
この2つの流れがあっての立ち上がりだったと感じます。
ーここ最近で見ると、ユーザー属性に適した記事だけでなく共通で抑えておくべきニュースが表示されるように変わった印象です
それはですね、その人の興味があるニュースだけだとなかなか毎日見たいものにならないんですね。いわゆる一般的なニュースが欲しいという層の方が圧倒的に多くて、パーソナライズされたニュースを欲しいという人は潜在ニーズなんです。まずは顕在ニーズを満たすというところが欠けていたので、そこの質を保ちつつ、その中で少しずつパーソナライズされたものに自然に気づかせていく必要があると感じています。冒頭で話した通り、新聞の役割を担う、という意味でも一般的なニュースや速報や天気などを、正確に伝えられる状態にもならないといけない時代に入ってきているなと思っています。
ーグノシーの強みはどんなところだと思いますか?
一般的なニュースアプリを作るのって実は結構難しくて。カテゴリを分けて、その中で記事を並び替えて、アルゴリズムによってユーザーが知りたい情報を自動的に選んでいるんですね。これはトップのトピックだけではなく、全てのカテゴリにおいて一つずつ作っているんです。いかに質の高いカテゴリにするか、どういうニュースを各カテゴリに並べたらいいのか深掘りし続けている集団であることは、一つの強みかと思います。また、それぞれのカテゴリや記事、そもそもの取材のクオリティを上げていくことも今後強みになってくるかなと。
ー競合のメディアがある中で、どのように路線の違いを打ち出そうとされていたんですか?
もちろん全部見た上で、どのポジションを取るか考えました。個人的にアドネットワークとかやっていたので、どのメディアがリテンション高くDAUを集めて、サービスとして残る存在になるかわかっていたんですよね。なので当初軸になっていた読み物から、ニュースコンテンツに寄せていかないともたないと思った。実はその頃、創業者同士でも意見が割れていたんです(笑)
ー会社としてこの先どうなっていきたいと考えていますか?
ニュースアプリの社会的な立場って変わり始めていると思っているので、メディアをつくっている責任感みたいなものを、もっと醸成していく必要があるかなと。選ぶ記事もそうだし、クオリティを保つために自分達でコンテンツを作っていくとか、そういうパブリッシュするものに対する責任を唱えるような経営とか組織、会社にしていかないといけないなと思います。今まではテックカンパニーでアルゴリズムをつくっていればいいということだったのが、僕が2020年6月にGunosyへ戻ってからはコンテンツの質をだいぶ変えたんですよね。ニュースは社会のインフラなので、国内での情報流通ってすごく大事なんです。なのでこれからは、自分達がつくったものが長く使われて、この国の情報インフラにちゃんとなるように仕上げていく必要があると考えています。
ー今後、どんな人材が集まる会社にしていきたいですか?
ものづくり、インフラづくりというものを責任を持ってやってみたい、社会の役に立っていることを喜ばしく思えて楽しいと感じてもらえる人に集まってほしいですね。発信するコンテンツの良し悪しを判断して、プライドを持ってメディアはこうあるべきだと、アイデンティティを一緒につくってくれる人と一緒に働きたいです。
ー木村さん、貴重なお話をありがとうございました!