GRIでは定期的にデータサイエンスに関する雑談を通して、すいすいデータサイエンスを理解できるような知見を貯めていく『オンライン雑談会』のすいすい会を開催しています。本記事では、Pythonプログラマやアプリ開発者、データサイエンティストに向けて、プロダクトの育て方と、Streamlitという効率的なプロタイピングのためのツールの概要をお届けします。前半ではプロダクトオーナーというお仕事やフィットジャーニーの思想について説明し、後半ではStreamlitを使って開発したプロトタイプどのように本開発へ進むかを、弊社取締役の大友よりご紹介しました。
プロダクトのフィットジャーニー
PMF(プロダクトマーケットフィット)は2007年に米国のベンチャーキャピタリストのマーク・アンドリーセンが初めて提唱しました。PMFとは、いい市場にいて、かつその市場を満足させられるプロダクトを持っていることであり、スタートアップの成功で最も重要なこととも言われています。DropboxやNetflixの創業者たちによると、PMFを達成することは「高速で走る車や離陸する飛行機に乗っている時に、座席の後ろに押し付けらた」ように、突然マーケットからの「引き」に引っ張られる経験だと言われています。
PMFに到達するまでのフィットジャーニーは一般的に4ステップに分かれていて、顧客課題の検証、解決策の検証、プロダクトの実装検証から、顧客の定着化の検証を目指していきます。具体例を挙げる前に、まずGRIの事業内容とプロダクトについて紹介させていただきます。
株式会社GRIの事業コンセプトと自社サービス
GRIは「世界中のデータを資産化する」というコンセプトで、業界・業種問わず、エンタープライズ企業に主に①共創事業②自社サービスの2つのカスタム・ソリューションを提供しています。
GRIデータサイエンス事業部の事業のコンセプトは世界中のデータを資産化することであり、大きくは売り上げを上げていくことと、データ利活用コストを下げていくことを軸にしています。さらに、新な付加価値をカスタムでコンサルテーションを提供していく中で、発見した共通のソリューションをプロダクト化しています。
現在では自社サービスとして、自動機械学習サービスの「ForecastFlow」と拡張地理データパッケージの「LLoco」を提供しています。
「ForecastFlow」では機械学習モデル構築で必ず行われる環境構築や前処理、パラメータチューニングを自動化し、効率的な概念検証から組織的な本運用まで一貫して利用できるプラットフォームです。
また「LLoco」 は郵便番号界の地図ポリゴンを中心に、各種地域統計を一元化し、自社データや外部データと柔軟に結合可能な地理空間データのプラットフォームです。どちらも、データ利活用における共通課題のソリューションをプロダクト化することでコスト削減を目的としています。
エンジニアからプロダクトオーナーへ
前置きが長くなってしまいましたが、GRI流フィットジャーニーは六つの段階に分かれています。本日のトピックは、課題発見、価値検証から、プロトタイプ開発までの3ステップになります。
各ステップのチーム構成の解像度をもう少し上げますと、資料で示すようになります。
「プロダクトオーナー」とは技術シーズ指向で、「プロダクトマネージャー」は顧客ニーズ指向であることも補足しています。
その中のエンジニアから「プロダクトオーナー」に成長する、GRIの場合のすすめは以下の通りです。
- プロトタイプからMVP(Minimum Viable Product)を開発し、PMFを目指すかどうか、他のメンバーと協議が必要
- 生々しくお話しすると、受託開発にアサインすれば短期的に売上につながるエンジニアをプロダクト開発にアサインして投資するか
- 他のメンバーが任せたい・託したいと思える情熱や説得力を感じられるかが重要
- 各マネージャとコミュニケーションをとりながら進めるのが重要
社内では、隔週受託開発等で得られた知見から開発したプロトタイプを社内共有する場も提供しています。外部の企業・大学から招待し、パートナー提携や協業検討することもあります。
前半のお気持ちの部分をまとめますと
- 受託開発だけではなく、プロダクト開発に進ませるためにプロジェクトをどう作っていくか大事にしています
- 顧客満足度(利益につながるかどうか)とメンバーの満足度(興味もてるかどうか、得意かどうか)両方大事にしています
- プロトタイプ作って満足するだけではなく、社内勉強会で共有し、売れるところまでコミットできそうか大事にしています
Streamlitとは?高速プロトタイピングのためのツール紹介
StreamlitとはPythonでWebアプリを簡単に作成できるフレームワークです。データ分析結果の可視化、LLMのインターフェースや、簡易的な関数のワークフローなど、目に見えるプロトタイプをクイックに作れます。(デモはこちらから)
Streamlit Community Cloudも展開されていて、コミュニティのパワーでサンプルアプリが豊富にありソースコードを参考にできます。Githubと連携することで、プロトタイプ公開も可能です。
2022年3月頃、データクラウドのSnowflakeがStreamlitを$800Mで買収し、将来的にはSnowflakeのコンソールから簡単にStreamlitのデプロイできることが見込まれています。
ただし、我々のようにビッグデータを扱う企業からみると、Streamlit単体では限界があります。本開発に移行する際は参考にあるツールを用いることが多いです。
まとめ
以上で、エンジニアがプロダクトをつくる時のPMFの考え方を、GRIでの取り組みと共にご紹介しました。また、Streamlitを利用したプロトタイピングのイメージや本開発に移行する際の注意点について述べました。全編動画はGRIチャンネルからご覧ください。
お知らせ
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