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「リモート勤務が一般化した時代、わざわざ行きたくなるオフィスに」。Gravityのオフィスツアー【後編】

博報堂マグネットとコスモ・コミュニケーションズの2社が統合し、2022年に誕生した博報堂Gravity。2023年6月には、銀座と外苑前にそれぞれ分散していたオフィスをひとつに集約して、日比谷に新オフィスを完成させました。

博報堂Gravityのオフィスを紹介する企画の前編では、〈DDAA/DDAA LAB〉主宰の建築家・元木大輔氏が手掛けたオフィスをぐるりと紹介しました。後編では、新オフィスの総合ディレクション・企画・コンセプト設計に携わった佐々木裕也と、新オフィスにおけるコンセプトの具体化、ルール作りに携わった大木光に話を聞いていきます。

▼プロフィール

佐々木裕也(ささき・ゆうや) / 職種:シニアコミュニケーションプランナー兼クリエイティブディレクター / 2011年4月 入社

博報堂マグネットに入社。ビジネスプロデューサーとして活躍後、プランナー職に転向。すべての企画を統合するコミュニケーションプランナー兼クリエイティブディレクターとして活躍している。


大木光(おおき・ひかる) / 職種:経営統括部 チーフ / 2013年10月 入社

コスモ・コミュニケーションズの経営部門で採用後、総務部に異動。労務・総務領域をゼロベースから学び、部署の中心メンバーとして全体をサポート。統合後もよりサポート領域を広げ、全社サポートをリードしている。

新オフィスのコンセプトは「ミングル」

───佐々木さんは博報堂Gravityのオフィスのコンセプトづくりから携わっているんですよね。どのような話し合いで進められたのでしょうか。

佐々木裕也(以下、佐々木):僕がプロジェクトリーダーになってオフィスチームを立ち上げ、各部から選出されたメンバーと一緒に「どういうオフィスにしたいか」をブレストしながら進めていきました。

導き出したコンセプトは「ミングル」です。「ミックス」とほぼ同じ意味なのですが、「ミングル」は混ざり合うことでいいものになるっていう、ポジティブなニュアンスがあります。長らく担当していたブランドのある年のシーズンコンセプトが「ミックス&ミングル」だったのですが、ポジティブでいい言葉だなと思っていました。

どんなオフィスにしたいかを考えたときに、博報堂マグネットとコスモ・コミュニケーションズという、人も文化も違う2つの会社が統合するので、「ポジティブに混ざり合う」という、このコンセプトが浮かびました。

───オフィスに使われている素材もいろいろミックスされていますが、まとまっている感じがしますよね。まさにGravityのイメージを具現化したオフィスです。

佐々木:はい、素材はもミングルというコンセプトのもとで、ごちゃまぜにしました。うちはファッション領域を得意とする広告会社なので、ファッションを感じる素材を随所に散りばめるアイデアを考えました。例えば、会議室のドアの取手はミリタリージャケットの「MA-1」を使っていますし、ソファカバーも洋服で使う素材です。

こたつ布団は、韓国の作家Hyewon Shin氏によるハンドメイドのキルティングで、残布をアップサイクルしたものです。

▲「MA-1」を使った取手。


▲カバーリングに家具ではあまり採用されない洋服の仕立て方を取り入れた洋服の素材を使ったソファ。


佐々木:また、元木さんはありのままを見せるような空間デザインをされる方なので、その良さを活かしスイッチプレートやコンセントプレートをスケルトンにしたり、コンクリートに書かれた工事のためのサインを、あえてそのまま残したりしています。

▲スケルトンにしたコンセントプレート。


▲工事のサインが書かれたコンクリート。


───ありのままを見せることで不具合はないですか?

佐々木:ありますよ(笑)。OAフロアって下に配線を通せるような二重床になっていて、この上にフローリングやカーペットを敷くのが一般的なので、見せ物として作っているわけじゃなくて、めちゃめちゃ雑なんですよね。フラットじゃなくてぼこぼこしているので、接着剤がのらないんですよ。

でも言い訳すると、実はもうひとつコンセプトがあって、それが「未完成」なんですよ。だからやりながらみんなで作っていこうぜ、みたいな(笑)。

───なるほど(笑)。素材の話でいうと、もともと使われていた建材を、什器や家具など、他のものに再利用しているとか。

 佐々木:天井高を上げるために、3階ロビーではこのOAフロアを外して一段下げ、天井パネルも外したんですが、そうした廃材をできるだけ再利用できないかと元木さんが試行錯誤してくださくださって、OAフロアをソファや棚、小上がりにしてくれました。床に貼ってあった時はデザインが気に入らなかったパーティクルボード(削片板)も、艶の高い塗装を施すことで見え方ががらりと変わり、テーブルや棚などに採用しています。

▲OAフロアを脚にしたソファと、パーティクルボード(削片板)のタイルを使ったテーブル。

 

───固定席ではなくフリーアドレスにした狙いは?

佐々木:固定席があった方がいいのではないかという意見ももちろんありました。でも、固定化するとそこで滞留してしまうじゃないですか。せっかく統合してメンバーが増えることだし、できるだけ人と人がミングルする流動性の流れのあるオフィスにしたくて、フリーアドレス制を採用しました。

さらに、社員のロッカーを執務室の奥に配置することで、総務や経理の固定席の横を通って、フリーアドレス席に行くような動線にしました。そうすると、会社に来たとき、ランチに出るとき、退社するときなど、必ずそこを通ることになります。

───利便性だけ考えると、デスクの近くにそれぞれロッカーがあった方がいいのかもしれませんが、あえて不便にすることで生まれるコミュニケーションがあるんですね。

佐々木:そうですね。行き来するので、偶発的なコミュニケーションが生まれやすくなっていると思います。他にも、通路の真ん中に、3段になったハイテーブルを設置したのですが、その場で打ち合わせが始まったときに台があるといいなと思ったからです。モニターも動かせるように、足をローラー付きにしました。


───流動的で、開放的で、他者の気配を感じられるオフィスですよね。例えば、3階ロビーのロープに囲まれた会議室は、視覚的には遮断されているものの、音は聞こえるし、人の気配を感じる空間になっています。

▲3階のロビーにある空間。クライミングロープで暖簾のようにぐるりと囲んで空間を区切っている。


佐々木:コロナ禍以降、リモートワークも主流になってきて、顔を合わせなくても仕事ができてしまうんですよね。でも、それによって失われているコミュニケーションも絶対にあって。それを取り戻したいという思いがありました。

会社に行かなくてもいい時代に、わざわざ行きたくなるオフィス

───大木さんは総務として、オフィスのコンセプトの具体化、ルール作りに携わったと聞いています。コロナ禍を経たことで、オフィスの課題感に変化はありましたか?

大木:2社が統合する前にコロナ禍になり、リモートがメインになっていたので、そもそもオフィスでの交流がなくなり、チーム感が薄れてしまっていたと思います。そうした課題を受けて、偶発的なコミュニケーションを生むようなオフィスを具現化しています。

カウンターとかにお菓子をポンポンッと置いておくと、みんなわあっと集まって、コミュニケーションが生まれることもありますね。

───新たに入社した人も孤立しないような気配りですね。

大木:フリーアドレスなので、ポツンと孤立してしまうことに気づかない、ということがないように施策を行っていけたらなと思っています。懇親会も定期的に開催していますし、家族をオフィスに招くことができるオープンオフィスデーもあります。親がどんな場所でどんな仕事をしているのかを子どもたちに見てもらったり、親御さんを連れてきてGravityについて知っていただいたりする機会になっています。

▲懇親会・オープンオフィスデーの様子。


───オフィスについて、「想定していた使い方じゃないけれど、こんな使い方もあったんだ!」みたいなこともありますか?

佐々木:箱型の小さなミーティングルームは、オンラインミーティングなどに便利なので、意外とひとりで使っている人が多いですね。あとは、こたつには入らずに段差の部分に腰掛けていたり、休憩スペースのつもりだったベランダに出て作業していたり。

大木:フリーアドレスだからこそ、自分なりの居場所を見つけているのではないかと思います。使いづらそうにしていたらテーブルを持っていくとか、我々でフォローすることもありますが、そうするとみんな上手に使ってくれます。

───今出社率ってどれくらいですか?

大木:だいたい50%くらいですね。

佐々木:だいたい70%くらいの想定で作ったんですが、すごいときだと、80%、90%の日もあります。座るところがないくらい。

───リモート可なのに、半数が出社するのはすごいですね。

佐々木:会社に行かなくてもいい時代に、わざわざ会社に行きたくなるオフィスにしたかったので、環境はすごく良くしています。最高の環境が整ったプレゼンルームの「Neptune」もそうですし、ブツ撮りができる簡易的なスタジオがあり、印刷物の色味を確認できる色校室もあります。別にリモートでもできないことはないけれど、オフィスに行って仕事しよう、みたいな感じは作れているのではないでしょうか。

───2社が統合していますが、会社の制度やルール作りは、どのように決めていきましたか。

大木:相互にあったいい部分をとり合って伸ばしつつ、弱かったところは改善して、一から作っていきました。例えば、もともとマグネットにあったプレミアムフライデーはいい制度なので、Gravityでも採用したら、みんなすごく喜んでいましたね。一方で、研修制度などはかなり充実したので、苦労せずすんなり会社に馴染んでもらえるはずです。

オフィスと同じでまだまだ未完成だけど、みんなで育てて良くしていこうという気風です。

佐々木:Gravityは経験に対してすごくサポートしてくれる会社ですよね。例えば「学び支援制度」はメンバーの成長を目的とした取り組みを支援するもので、 例えば美術館に行ってみり、外部のイベントやセミナーへの参加費、書籍の購入など様々な用途で利用できます。

大木:実務面でいうと、システム環境はすごくいいなと思っていまして、パソコンはひとり2台持ちで、社内のシステム用のものが1台と、持ち運びできるものが1台。MacとWindowsから選べて、特に設定しなくても社内のWi-Fiに接続できるようになっています。

育休明けの社員もリモートワークをフル活用

───お二人はどれくらい出社されていますか?

大木:私はほぼ毎日ですね。

佐々木:僕は週によるんですが、それこそ週1のときもあるし、週4のときもあるし。雨だからやめておこうか……みたいなことも全然ありますし。すごく自由なんですよね。

大木:そうですね。リモートOKを謳っていても、社内の雰囲気的に厳しい、みたいなことって、よく話で聞くと思うんです。でも、Gravityは本当に個人の判断に任されていて自由ですね。

佐々木:僕は小学生の娘がいるので、学校が長期休みになるとリモートをよく使っています。学童に毎日行くのは嫌って言うんですよね。だから週1日は必ずリモートにして、急ぎの仕事があればやるけど、基本は家にいて娘と過ごすようにしています。自分のライフスタイルによって変えていけるのは、働き方の自由度が高いですよね。

───本当ですね。ライフステージの変化によって、家族との過ごし方や、仕事とプライベートの優先度が変わってきたときに、バランスを取りながら選択できる環境というのはすごく大事なことだと思います。

大木:それでいうと、うちは育休から復職する時に時短勤務を選択される方が非常に少ないです。というのもリモートを併用することで、育児と仕事を両立しながらご自身のペースで効率よく働けるからだと思います。

お子さんが小さいうちはどうしても突発的な対応や幼稚園・保育園のお迎え時間などで働き方をぐっと抑えがちだと思うんですけど、リモートも活用することで子育てする社員にも働きやすい環境なのかなと。

───キャリアを分断されない環境になっているんですね。

大木:そう思います。保育園の入園しやすいタイミングが4月なので、そのタイミングに合わせて育休から早めに復帰される方も多くいるのですが、リモートが併用できることで復帰の時期も働き方も選択の幅が広がっているのだと思います。

私たちは「こうしてほしい」という要望をいただいて改善策を考えるのはもちろんですが、みなさんの様子を見て、ここは不便そうだなと思ったら先回りして変えることもあります。会社の仕組みを柔軟にすることで、子育てする社員のことも支えていきたいと考えています。

───立派なオフィスだけが先行するのではなく、中身も伴っていますね。最後に、これからGravityで新しく働く方にメッセージをお願いします。 

大木:新しい環境に慣れるまでの不安をできるだけ軽減できるよう、会社でサポートしていきたいので、なんでも気軽に相談してほしいです。

佐々木:会社もオフィスも、まだまだ未完成です。一緒に作っていきましょう。

Gravityのオフィスツアー【前編】はこちら



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