プロセステクノロジーで職人技を可視化
ここで突然、僕ら創業メンバーの話になるんだけど、僕たちは元々製造業のコンサルティングの会社出身。
そこで学んでいた事は「プロセステクノロジー」という技術。
簡単に言うと職人の思考プロセス(判断と作業)を細分化して、可視化して、組み替えて、標準化して、属人性を下げて、自動化して、圧倒的な生産性を実現することをやってきた。
まずはこれをデザインのロゴの業界に持ち込もうとやってみた。
社内のデザイナーにロゴを作ってもらい、その様子を撮影させてもらい、ヒアリングして、プロセスを可視化してみた。
平均的にロゴを一個作り終えるまで約300分かかっていた。
5時間も掛かっていた。
これじゃあデザイナーさんは儲からない。
一体何にそんなに時間をかけてるの?を解明するためにプロセスを細分化していった。
最も時間がかかっていたのが、アイディアを形にする時間だった。
お客さんのオーダー情報(こういうロゴが欲しいという情報)を頭にインプットしてから、あーでもないこーでもないと手書きをする時間がめちゃくちゃ長かった。
(こんな感じで手書きで模索してた。)
それであれば、まずこの「設計」工程の時間をゼロにしてしまおうと考えた。
要は、過去のパターンのDB化だ。そのために、Deep Learningによる画像認識技術をフル活用してみた。
(Deep Learningで特徴量を抽出してマッピングしてみたり。近いと似てるでしょ?)
オーダー情報をシステムに入れたら、AIがリコメンドをしてくれて、類似したものを描いて作る。
試算したらこれができれば30分で一個作れそうだと分かった。
生産性はいきなり10倍になる。
もはや、デザイン産業革命の始まりだ。
(ロゴの設計画面をまずは作ってみた。)
そしてこのLAI System 1.0を成立させるためには、3つのデータが必要だった。
①インプットのオーダー情報
②アウトプットの画像データ
③画像の評価データ
要は、どういう要望で、作られたロゴデータのうち、良いロゴはどれか?というデータである。
これが都合良く全部揃ってるし、何ならマネタイズもできるマーケットは無いものか?
あった。
クラウドソーシングである。
AIと人の協働で初めて売れた
データがあるとは言え、そこからが大変だった。
画像データを集めるものの、そのままだと全く使えない。
データをアノテーション(キレイにしたりタグ情報をつけたりする)するための画像認識AIを自作したりしながら、30万個分くらいの画像データを加工していった。
人手が足りなかったので、僕の奥さんも夜なべしてデータを加工してくれた。
(こんな感じで2万件くらいを手作業で切り取って)
(エクセルでめちゃくちゃ細かく分類したりしながら。)
LAIプロジェクトが本格的に始まってから1年と2ヶ月が経過した2017年8月のある日の夜。
社内のSlackの通知が鳴った。
売れた!!!
LAI SystemでAIが設計を行い、人間がデータ作成作業を行い、トータル30分で作ったロゴが、クラウドソーシングのコンペで人間のデザイナーに勝って、売れた。
AIと人が協働して作ったロゴが売れた。
大きな仮説が成立し、デザイン産業革命の一歩目を踏み始めた瞬間だった。
これで、行ける。
思い描いた通りのデザインの世界が、これで作れる。
この時の僕たちは、まだそこに、何の疑いも無かった。
Part3へ続く、、、
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