伝えたい「こと」を訳す。
ウェブサイトをまるごと翻訳するミッションをやり遂げた彼らにインタビュー
こんにちは、広報沖野です。
弊社のウェブサイトが、少し前から多言語化したことにお気づきの方はいらっしゃるでしょうか。
訪問時に表示される言語のプルダウンを選ぶことで、繁体字・タイ語・日本語を選ぶことができるようになったのです!
Gear8では2016年にタイに現地法人を設立し、今年4月には自社アプリの「TrippinoHOKKAIDO」が従来のタイ語に繁体字と英語を加えて多言語化しました。年内には台湾に現地オフィスを構える予定で準備を進めており、そんな中でぜひ対応しておきたいとおこなったのが自社ウェブサイトの翻訳。
今回は、タイ語への翻訳を担当したICE(アイス)と、繁体字への翻訳を担当した韓にいくつか質問をしてみました。
ニュアンスで読み取って欲しいポイントなどが満載の、いかにも訳しづらそうな弊社サイト。
翻訳にあたって苦労したところやそれぞれの母国語との差異など、とても興味深い回答を得られました。
少々長くなりますが、以下どうぞお付き合いくださいませ。
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普段のTrippino関連での翻訳業務はどんなことをやっていますか?
韓:
厳密に言いますと、社内の台湾人は私しかいませんので、Trippino台湾版に関して毎日の投稿やブログ執筆、アプリやオフィシャルサイトの翻訳など、ほぼ何でも手伝ってます!最近は新しく手伝ってくれる台湾インターンの子たちとも会ってきました。ファンページもアプリもまだスタートして1ヶ月ちょっとですので、日々運用について勉強してます。
ファンが増えますように…(強い念)
ICE:
僕は普段会社のタイ語全般を担当しています。Webの翻訳、パンフレット、ポップなどタイ語の仕事は僕が担当しています。
翻訳の際に気を使っていることはどんな点でしょうか?
韓:
日本語の文法は日本人独特な言い方(遠回しな言い方?)があるので、中国語で一言で終わらせる表現を何行もかけて説明する場合があり、そのまま訳してしまうと読む人は困ってしまいます。なので文章を略すだけではなく、きちんと伝えたいことの正しい語彙をチョイスして、翻訳するようにしてます。自信のない時は友達に文章をチェックしてもらったりもしてます。
「伝えたいことは言語を変えても、相手に伝わるように」いつもこれを基準にして訳しています。
ICE:
僕は翻訳するだけではなく、読む人にとってただの”海外の文章”にならないように、どうやったら読み手が飽きず、読みやすく、深く理解できるかを意識して訳しました。これは翻訳会社と違って僕の翻訳のスタイルかもしれないです。
Gear8のサイトの場合では日本語の言葉遣いが格好良すぎることですね。困りました(笑) どんなタイ語の言葉を選んで、日本語の美しさにぴったり合わせるかは一番気を使っていました。
なので、ただ文字だけ翻訳するのではなくサイトのどこに記載されるか、どこに示してかいてあるか、誰が読むかをすべて確認して、それでトーンや言葉を選んで訳しました。
翻訳は一つのアートだと思います。タイ語も日本語と同様、同じ意味でたくさんの単語があります。日常的には使わない単語を使うときでもタイ人が読みやすいようにしました。そして、日本語的な文章にならないよう、何回もタイ人の目として読み返さなければならないのです。読み側になって、どう読んだら理解できるかなど気を使っていました。
Gear8ウェブサイトの翻訳の中で大変だったことはどんな点ですか?
韓:
ギアエイトのウェブサイトは100ページ以上を超えていて、文章もかなりの量があります。その中でもギアエイトの「About」関連について、一番苦労しました。未来のクライアントさんと今後深く関わっていくのがこのページですので、会社の思いを的確な言葉を通して伝えるように何回も書き直しました。皆さんが想像するように「一言、一行ずつ翻訳していく」のではなく、「全部の文章や段落を読んでから考えて文章を作っていく」のです。
ふさわしい言い方や表現がなかった時、近い表現をどう書いていくか、中国語の文章力が試されますね。
ICE:
日本語は、主語があまりかいてないので、この文章の主語は、Gear8なのか、お客さんなのか、サイトを見る人なのか…誰から誰に向けて書いてあるのか分からない文章があって悩みました。あとは、キャッチコピーを日本語と同じ意味で長さもフィットしたものにさせることかな。
今回の多言語化には「WOVN.io」*を使用しました。
使ってよかった部分、また大変だった部分はありましたか?
韓:
今回の翻訳は社内エンジニアからWOVNを教えてもらい、使わせていただきました。コツを掴むと大変便利なシステムです。「ライブ編集」を使い、文章をクリックしてそのまま翻訳できる感じです。しかも実際に反映する文字のバランスも翻訳しながら確認することができますので、すごく良いです。
使っていてちょっと苦労したのは…実は「クリックしても翻訳ツールの出ない文章」があることです。このような時は、ページの翻訳画面でバラバラになっている単語や文章を探して、一個一個翻訳していくしかありません。ページの文章が順番通りではなく、ごちゃまぜになっているので、探して文章を繋げるのに苦労しました(笑)。
(これは恐らく、実際に使ってみないと、ちょっと伝わらないかもしれませんね)
ICE:
WOVNはいいツールですね。WOVNを導入する前はいつも、別のファイルで翻訳だけ準備してから、エンジニアが反映してくれていたのですが、入れた後に文章の変更やスペルミスがあったらエンジニア側が修正をしてくれないといけなかったんです。でもWOVNを使ったら、僕の方で自由に文章を変更できます。これは大変助かりますね。文章の調整やスペルの修正もすぐ自分でできました。
意訳が多い部分、自分なりの表現で訳した部分はどんなところでしょうか?
韓:
翻訳はマニュアルがないので、スキルがあっても翻訳する人によって微妙に違います。今回は一番よく伝わるやり方で取り組んでいましたので、自分なりの表現はあちらこちらに存在すると思います。
ICE:
タイにはない言葉ですかね。特に「ディレクション」っていう事業はタイにはないようです。「ディレクションチーム」をそのまま翻訳すると、映画の監督みたいな仕事というイメージが強い。なので、タイ国内だれでも納得できるように「ディレクション」から「コンサルティング」に変更しました。あとは「summit」を「Blog」に変更したこともそうです。
Gear8サイトは日本人に向けて書いてあるので、日本独自の文化などはそのままではタイ人にはわからないでしょう。たとえば、採用サイトを3月にリリースするのは卒業生に向けた説明会に合わせるためと書いてあっても、タイでは5月に卒業しますし、説明会などが無くいつでも会社に応募できる文化なので、伝わりません。そこで「日本では4月には大手企業の説明会があり、就活は3-4月に行う」と追記して補いました。
タイ企業のケーススタディーでは、「商品を輸出」とだけ書かれた文章も、意味は「日本からタイに輸出」のはず。タイでタイ人が読むので、訳は「タイに日本から輸入」に変更するなど、細かい部分がたくさんありました。
ちなみに、スタッフの名前の表記は大変でしたか?
韓:
タイ人スタッフの名前が一番大変でしたね。日本のように漢字でもローマ字でもないので、すごく調べましたが、やはりタイの詳しい歴史も地域名も分からないので。漢字を選んでもらい読み漢字で出しました。今後タイ語について詳しい台湾人と知り合えたらその辺はまたあらためて聞いて、修正する可能性もあります。名前はとても大事ですので…若干引きずってます。
ICE:
タイ語は大丈夫です。
Gear8サイトの翻訳、表現で気に入っている部分はどこですか?
韓:
全部時間をかけて翻訳しましたので、特にこれという部分はないのですが。一番好きな部分と言いますと、ケーススタディーですね。表現ではなく、文字並びと写真との空気感が好きです。そして、翻訳のために何回も読み返したので、あの案件はそうでしたか~というのが知れてよかったです。
ICE:
気に入っているところというか、実績パート以外はイメージ的な文章が多いので…この会社は本当に書いてあることをその通りにできるの?格好つけすぎ&言い過ぎじゃないかな…って疑問に思ったりしてしまいますが、実際のところはきちんと実現できているようです(笑)
翻訳した言語の国の方にGear8サイトをどうみてほしいですか?
韓:
翻訳はとても奥が深いです、年齢や経験によって表現も異なってくると思います。
この度は私なりの表現で「Gear8をもっと深く分かってもらえるように」訳しました。
きちんとコンセプトが伝わるようにと願うばかりです。
ICE:
翻訳は、普通に翻訳会社に出したら間違いなく意味も完璧なタイ語ができあがるはず。ですが、僕はGear8のメンバーとしてGear8のことを翻訳したので、一番理解も深く、コンセプトや社長が言いたいことに近い翻訳ができたのではないかと思います。タイ人のために翻訳したので、言葉の選び方、結び方などすこしでも目を通していただければ嬉しいです。
是非、Gear8のことを深く知ってくださいませ。
*WOVN.io…WEBページ翻訳編集ツール
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以上、二人からの回答でした。
私は日本語オンリーの人間ですが、こういう企画を振っても二人がしっかりと日本語で回答してくれるので本当に助かります…。そして、二人の性格や考え方、Gear8に対する思いがよくわかるかなと。
日本語で同じ内容の文章を書いても、書く人の性格やちょっとした語尾ひとつで違った印象になるのが当たり前ですから、二人が書いてくれているそれぞれの言語も、ニュアンスや言葉選びなどセンスと理解をもってしっかりと伝えてくれているんだろうな、と改めて思いました。
本サイトに関しては、今後7月中旬ごろに英語にも対応する見通しで目下作業進行中。
よりグローバルな企業になるべくひとつずつ成長していきますので、どうぞ温かく見守っていただけますと幸いです。