地域店舗がリアルタイムに情報発信をすることができる「まいぷれ」のニュース機能が2023年4月5日に大幅にバージョンアップします(一部エリアにて2023年1月より実装 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000183.000058260.html)。今回はその機能開発に携わる2名に、開発までの経緯や、開発時に苦労したこと・大事にしたこと、今後の展望など開発秘話に迫りました。
■今回の話し手
小川 修(おがわ おさむ)
プラットフォーム推進部 部長
2006年 新卒入社
加藤 優志(かとう ゆうし)
プラットフォーム推進部 プラットフォーム開発チーム リーダー
2019年 新卒入社
ニュース機能をバージョンアップするに至った経緯を教えてください。
【Term1】分析力をあげる
小川:ニュース機能の開発以前に、「まいぷれ」のプラットフォームとしての価値向上のために「まいぷれ」の有料店舗掲載ページとGoogleビジネスプロフィール(以下、GBP)の連携を2020年4月に開始しました。
加藤:GBPは、マップや検索などの Google サービスで店舗情報等をどのように表示するかを管理できるGoogleのサービスです。そもそも「まいぷれ」が地域の方々に情報を届けるという意識が強い媒体なので親和性が高かったですよね。
小川:そうですね。この連携により、「まいぷれ」の更新によってGBPへ最新情報が連動されるようになり、「まいぷれ」を利用している店舗は情報発信と情報の一元管理がワンストップで可能になりました。GBPをしっかり活用することで、小さな個店でもGoogleマップで上位表示を狙えるというのは地域のお店にとってもチャンスですよね。
加藤:確かにいわゆるSEOだとしっかり予算をつけて広告を出し、対策ができるような規模の会社が有利みたいなところがありますよね。「近くのカフェ」とか曖昧な検索でも、ユーザーが求めている情報に応えられるような情報を発信できていれば、店舗の規模に関わらず表示されるような世界ができた、というのが大事なポイントになったと思います。
小川:しかもGBPの分析ツールでGoogleマップやGoogle検索にて店舗情報が何回表示されているか等の経営や情報発信の参考になる数値の分析も可能になりました。
加藤:そうなんです。この分析について教えてほしい、一緒に考えてほしいというニーズがあったので、最初はコンサル的に人が介入してサポートをするプランを弊社でも運用していました。僕もこの運用に携わっていて、ニーズは強く感じられましたが、運用負荷がかかるのでそれ以上は成長できないという壁に直面したんですよね…。
小川:そこでもう少し人が介入しなくても地域店舗が活用していけるようにGBPの分析ツール「まいぷれアナライザー」を開発していったんです。地域店舗が自走出来るようなツールがつくりたかった。
加藤:ただ「まいぷれ」は基本的にはWeb上に情報を掲載するもので、分析ツールというものではなかったので、中々ツールを渡しただけでは活用しきれない店舗も多かったですよね。
小川:そう。だからそれをもう少し活用しやすくしようと思い「まいぷれアナライザー」の中に運用評価機能を開発しました。現在の状態が〇か×か一目でわかり、×になっているところを改善していけばGBPの運用を改善していけるような仕組みですね。
加藤:ただ、使っている皆さんは「何をどう投稿したらいいのかがわからない」っていう感じなので、行動を促すというのはまだまだ足りず……「×なのは分かるけど、×に対して何をしたらよいのかっていうのがわからない!」という状態なので、もちろん習慣化も出来ず……
【Term2】分析力よりも先に発信力をあげる
小川:そうすると「次の形って何?」みたいな議論を加藤くんとたくさんして、ツールを使いながらPDCAは回せるのはとっても理想的だけど、PDCAをすっ飛ばして、常に「次に何をやるか」のアクションを提示させるような状態にした方が、まだ行動に移せるのではないかという仮説を立てました。
加藤:SNSとかもそうですよね。自分の見ている動画をAIが学習して、勝手に好きそうな動画を表示してくるからはまりやすい。もはや今のユーザーは、検索するために文字を入れることすら避けているわけで、それぐらい考えずにできることがどれだけ大事かという時代ではあるのかなと思っています。
小川:そうなったときに「まいぷれアナライザー」の機能の充実を考えていく以前に「まいぷれ」を使って情報発信することが習慣化出来ないと意味がない、使ってほしい機能も使ってもらえないという結論に至りました。
加藤:なので途中から「まいぷれアナライザー」をどう変えるかではなくて、「まいぷれの管理画面をどう変えるか」という風に変わっていきました。結果として「まいぷれアナライザー」も変えるのですが、別のサービスの2つの管理画面を行き来するのは難しいので、まずは既に「まいぷれ」を活用してくださっている地域店舗の方々を動かしていくことにしました。
そして次の議論が「なぜ習慣化しないのか?」ですね(笑)
小川:単純にUIが分かりづらいとか、何やったらいいかわからないとか、そもそもモチベーションが続かないとか……習慣化するためにシステム的につぶせることをつぶしていこうと話していきました。それぞれの課題の「ここで止まるのではないか?」という仮説に対して、それぞれ新しい機能を導入していったのが、今回リリースになるバージョンアップしたニュース機能です。
機能開発にあたって大事にしたことを教えてください。
加藤:最初にページを開いた瞬間に、「これいいな」「次も使いたいな」と思わせることがとても重要で、「まいぷれの管理画面においてのそれって何だろう?」というのは考えましたね。初めてログインしたときに「こんな内容でニュースを書くといいですよ」「このキーワードで書きましょう」っていうのが仮説として出てきて、それを選ぶとさらにその先で「このキーワードを入れてニュースを書いているこんなお店がありますよ」っていう事例が出てきて、それを参考にしながら書く。一気通貫できるように体験を作るということが、大事だと思っています。
これをもっと大きな話で行くと、僕は「プロダクトレッドグロース」(製品自体を顧客獲得、維持、拡大の主要な推進力として使用することに焦点を当てたビジネス戦略)がとても好きなんです。いわゆるSaaSのサービスって、営業や広報担当者が売って、使い方を教えてもらって利用する、というものではないじゃないですか。そういう風に営業を使わず課金させるモデルになっている。それを最終的に実現していくためには、その製品を使っている体験の中に摩擦があってはいけないので、利用する過程の中にいかに「これいいな」というポイントをちりばめていけるかという世界になっていますよね。そこは機能開発でも大切にしています。
小川:個人店を中心とした地域店舗をターゲットとしている部分はかなり大事だと考えています。普通に経済的な合理性を考えると、そこに対して勝負を仕掛けていくというのは効率がとても悪くて、だから普通は勝負するスピードをもっと考えないといけないです(笑)
僕らが関わってきた色んなMEO運用会社さんは、ターゲットが基本的にチェーン店企業の代表や広報担当などになるので、パソコンの前に座って作業ができる人で、マスマーケティングでも問い合わせなどがあり効率的にアプローチが出来ます。
一方で僕たちがターゲットとする地域店舗はマスマーケティングを受けるリテラシーや時間もない。でも効率が悪いから地域店舗には良いサービスが提供されないと、地域の魅力的な店舗のすてきな情報が全然Web上にあがってこない。GBPの普及で個人店にも大きなチャンスがあるのに、結局有料サポートツールが使いやすいチェーン店さんだけが積極的に利用できて、ツールがうまく使えない地域店舗の情報が埋もれていってしまう。僕たちはそれを是とはしないので、効率性よりも地域店舗が魅力的な情報を積極的に発信できる世界にすることを高い優先順位に位置付けています。
大変なこともある中で面白いこと
加藤:最近夢中になっていることは、より便利で使えそうなツールを発掘することです。まいぷれのシステムと連携して…もそうだし、開発や営業段階の調査等で使えるようなものもそうです。
小川:僕たちが自社で作る必要はないと思っていたけれど、使いこなし方1つで、価値を出せるツールとかも実際あって、国内のサービスだとやれることが限られることもあるけど、海外にも進んでいるサービスが色々あります。カスタマーサクセスもそうだし、オンボーディングとかも。科学的にも進んでいて、海外のサービスを工夫して使うことができれば、そっちの方がコスト安く、新しいミックス機能を使えるというのがわかってきました。そうすると通常日本でお店をやっていたら営業されることなく、知ることもなくで、体験すらできなかったサービスも、僕たちが咀嚼して地域店舗に使えるような状態にすることで、地域店舗によりハイエンドな体験をしてもらえるかもしれないのはとても面白いですよね。
見つけてくるところは主に加藤くんがやっているけどどうやって見つけているの?
加藤:ひたすら検索します(笑)英語を日本語に翻訳する有料のツール使って検索したりサービス概要を理解したりしています。
議論し、調査し…深めているお2人なのだなと感じました!
小川:「まいぷれアナライザー」の開発を始めてから、会社の中でダントツ加藤くんと話すようになりました。1週間で絶対奥さんよりも話してる(笑)
加藤:そうですね(笑)議論を重ねることがいいサービスにつながっていると思います。
最後に今後の展望を教えてください!
小川:利益と理念というのがFLNのマインドセットに有りますが、理想のお客さん(地域店舗)の状態として以下の2点を定義しています。
①継続的な利益を出して経営を続けられる状態
②こだわりと自信をもって続けられる状態
この①についてはニュースのバージョンアップ機能や「まいぷれアナライザー」を活用することでMEO対策ができ、利益ベースのサポートをするというのが出来ていくと考えています。ここは今のベースを更にアップデートしながら強化していくのですが、ただお金儲けだけして幸せになれるというタイプのお客さんだけではありません。
②のいかに自分がやりたかったサービスを作りこんで届けて、そこに共感してもらって生きていける状態になるのか、というのは、同じくらい価値があると思っていて、それはまだまだ広げられていないので、これから挑んでいきたい領域です。
加藤:FLNはフューチャーリンクネットワークというぐらいですから、人と人とのつながりを大事にしている会社だと思っていて、自分自身もそこはとても大事に考えています。一方で、絶対に弱みも抱えていると思っていて、この時代の流れに乗り遅れずお客さんを獲得してグロースするためには、人が1個1個やっていたら絶対に成長していけないので、どうやってゲームチェンジを起こすかというのは今一番大事に動いていますね。
前でも少し「プロダクトレッドグロース」の話に触れましたが、まいぷれでも人が営業に動かなくても、アップセルできるような仕組みができるのではないかと思っています。それができれば、今までの10倍から100倍のスピードで展開できるはずです。
小川:いい体験をしたお客さんがより上位プランを契約していくみたいな流れを作りたいという話はしていて、でも、そこに本当に人はいらないのかというとそんなことはないとも思っています。すべての地域店舗のみなさんには絶対に情報が届かないので「こんなことをやっています」「使いませんか」という案内はまだまだいるだろうなと感じているし、その役割を果たしてくれる心強い仲間として全国にパートナー企業がいます。
加藤:本当に人がやるべきことだけをやることで成長するっていう形をいかに作れるかですね。
小川:そうなると単なるプロダクトの話じゃなくて、まいぷれ事業全体収益性の改善にも繋がっていきますね。脳に汗をかくことが楽しいと思える方、一緒にやりましょう!