こんにちは。フォーミックスでAI事業化チームのリーダーを務めている呉です。
2016年にこの会社に入社してから、アーキテクトとして技術革新に取り組み、新しい開発技術を導入し続けてきました。そして現在、AI領域に挑戦し、新たな価値を創出するための取り組みを進めています。
最近では、AI技術を活用したプラットフォーム「Fourmix Intelligence」の開発に注力しています。このプラットフォームは、AIが単なるツールではなく、企業のビジネスを根本から支える革新的な基盤となることを目指しています。今回は、その「Fourmix Intelligence」の構想と、私たちが直面した課題、そして未来へのビジョンについてお話しします。
AI事業化の第一歩: 初めての年
AI技術の発展は急速に進んでいますが、ビジネスの現場にAIを実際に活用し、さらにそれを商業化するとなると、そう簡単にはいきません。今年はフォーミックスにとって「AI事業化」の初年度。夢は大きく、AIを活用した革新的なソリューションを市場に送り出すことを目指していました。しかし、現実には多くの課題が立ちはだかりました。
まず最初に直面したのは、AIを導入しただけでは、十分に問題を解決できないということです。AIモデルは強力なツールですが、それ自体が完璧にすべてを理解できるわけではありません。特に、業務で求められる最新のデータやリアルタイムの意思決定には、まだ課題が残っていました。
AIの力を最大限に引き出すためには、単にAIを導入するだけでなく、その背後にしっかりとしたデータ基盤と、AIを実際のビジネスに活用できる仕組みが必要でした。そこで、私たちはこの課題を乗り越えるための大きなビジョンを描きました。それが「Fourmix Intelligence」というプラットフォームの構想です。
Fourmix Intelligence: プラットフォームのビジョン
Fourmix Intelligenceは、単なるAIアプリケーションではありません。私たちの目標は、AIが企業のあらゆる業務をサポートできる「プラットフォーム」を構築することです。このプラットフォームには2つの大きなモジュールがあり、それぞれが異なる役割を担います。
データサービス基盤: 最新データをAIに届ける
AIモデルが効果的に機能するためには、最新のデータを常に取り込み、AIが適切に理解できる形に整える必要があります。しかし、AIモデル自体には新しいデータが含まれておらず、現場で使えるデータをどうやって効率よく集め、モデルが理解できる形にするかが大きな課題でした。
そこで、Fourmix Intelligence の第一の柱となるのが「データサービス基盤」です。このモジュールは、リアルタイムでデータを収集し、AIが理解しやすい形(ベクトル)に整えて提供する役割を担います。具体的には、社内外のデータソースから情報を収集し、それを正確に分析し、さらにAIが使用できる形式(ベクトル化)に変換します。このプロセスにより、私たちが扱う業務データは常に最新であり、AIモデルは迅速に理解できる情報を活用して意思決定を行えるようになります。
たとえば、EC事業や顧客アライアンス部門で活用するデータは、日々新しいものが生成されています。これらのデータをタイムリーに取り込み、AIに適切に学習させることで、顧客の行動予測や市場動向の把握が可能になります。私たちが目指すのは、こうした最新のデータをAIが理解し、実際の業務に活かせるようなインフラを構築することです。
AIエージェント: タスクをこなすAI
もう一つの重要なモジュールが「AIエージェント」です。このエージェントは、単にデータを処理するだけではなく、ビジネスにおいて必要なタスクを実際にこなす役割を果たします。
大規模なAIモデルは、膨大な情報を分析し、複雑な意思決定を支援することができます。しかし、AIが単独で業務を完了できるわけではありません。人間とAIが協力して動くための仕組みが必要です。そこで、私たちが開発するAIエージェントは、データを理解・解析し、それを基にビジネス上のタスクを自律的に処理します。例えば、社内で発生する日々のタスクや、プロジェクトの進行状況をAIが管理し、従業員をサポートします。これにより、業務プロセスがよりスムーズに進み、人間はよりクリエイティブな業務に集中することが可能になります。
また、AIエージェントは、顧客対応や営業活動など、外部に向けた業務にも力を発揮します。チャットボットとしての機能や、カスタマーサポートでの問い合わせ対応、自動化された契約書作成など、AIが幅広くビジネスの現場で活躍できる体制を構築しています。
プラットフォームとメンバーの成長: 挑戦と成果
Fourmix Intelligence の開発は、決して簡単な道のりではありませんでした。今年、私たちはさまざまな技術的な課題に直面しました。例えば、最新データの収集と処理の効率化、AIモデルの精度向上、そしてシステムの拡張性を高めるための設計など、多くの技術的な挑戦がありました。
しかし、これらの課題に立ち向かう中で、私たちのチームは一丸となって成長していきました。プラットフォームの開発と進化のプロセスは、単なる技術的な学びに留まらず、メンバー一人ひとりのスキルと視野を広げる貴重な経験となりました。以下は、チームメンバーがこの挑戦の中で感じた成長と、それぞれが得た学びの一部です。
大谷(AIリサーチャ)
「AI学習の習慣が身につき、AIの基礎知識を網羅的に学ぶことができました。さらに、社外のAIセミナーに参加し、他企業のAI活用事例を学ぶことで、Fourmix Intelligence により高度なAIモデルを導入するための知見を深めています。この経験を通じて、より実践的なAIの知識を体系的に身につけることができました。」
橋本(データリサーチャ)
「AI技術の最新動向を定期的に確認する習慣が身につきました。また、社内で利用しているツールの棚卸しを行い、業務プロセスの効率化を考えるきっかけになりました。AIをどのように日常業務に取り入れ、効率的な改善を行うかについての視点が広がり、今後のプロジェクトにも大いに活かせると感じています。」
加瀬(エンジニア)
「AIチームに入ってから、AIそのものへの理解を深めることができました。例えば、現在どのような大規模言語モデル(LLM)が存在し、企業でどのように活用されているのか、そして効果的に活用するためにはどんな方法があるのかを学んでいます。また、LLMを活用するためのプログラミングスキル、特にPythonや連携先のAPIの扱い方についても勉強中です。これらの学びを通して、実際のプロジェクトでAIを応用できる力を身につけていきたいと思っています。」
石原(エンジニア)
「Pythonの学習を通じて、AI技術が実際のビジネス課題にどのように適用できるかを学びました。Fourmix Intelligence の開発に携わりながら、AIを用いて具体的なソリューションを提供するスキルを磨いています。こうした経験は、私自身のエンジニアとしての成長に大きく寄与しており、今後もさらに技術を深めていきたいと思います。」
愛鈴(エンジニア)
「初めてPythonやFastAPIを使って開発を行いました。開発中には、AIのサポートを活用し、英語の公式ドキュメントの理解や、コードの修正、さらには改善案の提案を受けながらプロジェクトを進めました。この経験を通じて、新しい技術に対する柔軟な対応力と、実践的なスキルを身につけることができたと感じています。」
さらに、今年の下半期には、新たに2名のメンバーがAIチームに加わりました。彼らは今年4月に新卒として入社したばかりで、IT初心者です。まだソフトウェア開発に十分な経験がない彼らにとって、AIチームへの配属は大きな挑戦であり、また新しい機会でもあります。
財満
「AIについてはまだどんなものかよくわかりませんが、その仕組みにとても興味があります。入社して半年でAIチームに配属されたことで、早く理解し、追いつきたいと思っています。新しい技術を学ぶのは大変ですが、自分の成長につながると思うので、全力で取り組んでいきたいです。」
大野
「AIでビートルズの曲を復元するなど、面白いことができると聞き、とてもワクワクしています。ただ、正直なところ、不安な部分もあります。しかし、こうした新しい挑戦をさせてもらえることが嬉しく、今はそのワクワク感と不安の中で成長していきたいと思っています。」
彼らは、まだ経験が浅い中でAIという最先端の分野に挑戦していますが、この環境を自らの成長の機会として積極的に捉えています。フォーミックスのAIチームは、経験豊富なメンバーの支援のもとで、若手メンバーが技術と知識を吸収しながら成長していける場となっています。これからの彼らの活躍に期待し、共に新たな価値を創出していきます。
AI事業化とFourmix Intelligenceの未来
Fourmix Intelligence の開発は、私たちのチームにとって大きな挑戦でしたが、それ以上に大きな成長の機会となりました。プラットフォームの進化と共に、チームメンバー一人ひとりが自身のスキルを磨き、新しい視点と知識を得ることができました。この一年を通して、AIがもたらすビジネスチャンスを最大限に活かし、次世代のインテリジェンスプラットフォームを創り上げる基盤を築けたと自信を持っています。
しかし、私たちの挑戦はまだ始まったばかりです。Fourmix Intelligence は、今後さらに多くのデータを取り込み、AIエージェントの機能を強化することで、企業の多様な業務をサポートできる自由に拡張可能なシステムへと進化していきます。そして、私たち自身も、技術革新に挑戦し続けることで、より高度で実践的なスキルを磨き続ける決意です。
私たちは、Fourmix Intelligence を通じて、フォーミックスのビジネスを革新し、そして業界全体に新しい価値を提供することを目指しています。AI事業化の第一歩を踏み出した今年の経験を糧に、これからも成長を続け、未来を切り開いていきます。