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【卒業生インタビュー】社会的インパクトが大きく難しい技術的課題に取り組むことが誇り|世界の言葉でマンガを届ける Mantra

FoundXに在籍していたチームに、起業に関する決断への振り返りやFoundXでの体験を伺いました。今回はマンガの自動翻訳スタートアップのMantraさんのインタビューをご紹介します。
※この記事は2019年に行ったインタビューの記事の転載となります。

現在の事業とチームについて簡単に教えて下さい。

Mantraは「世界の言葉でマンガを届ける」スタートアップです。

マンガの海外展開には、翻訳のコストが高い、翻訳から海外版出版までのスピードが遅い、翻訳版マンガを購入できるチャネルが少ない、といった問題があります。これらの問題により、現在多くのマンガがファンによって非公式に翻訳され、海賊版サイトで読まれています。私たちはマンガの自動翻訳技術と、それを活用した多言語マンガ配信サービスを提供することで、翻訳コスト、配信スピード、販路不足の問題を解決し、世界中のマンガファンが正規版マンガを楽しめるような環境を作ろうとしています。

Mantraのチームは技術者2名と編集者1名で構成されています。創業者の石渡と日並は創業直前までそれぞれ自然言語処理と画像認識の研究をしていた経験があり、編集者の山中にはマンガの編集やゲーム広告のディレクションの経験があります。

これまで多くの決断をされたと思いますが、最もよかった決断を教えてください。

一人ではなく、二人でスタートアップを始めたことです。「誰もやり方を知らない」問題に取り組むスタートアップでは、困難に面したり重圧がかかったりする場面も多いと思います。このような場面において、複数人のチームで問題に取り組むことによって、より良い解決策が浮かんだり、精神的な負荷を和らげたりできているように思います。また、共同創業者と話すことによって、自分が認識していない考え方のバイアスに気づくこともできるので、「知らず知らずのうちに変な方向に進んでいる」リスクは低減できるかもしれません。

これまでに犯した最大の過ちについて教えてください。

プロトタイプの開発に時間とコストをかけ過ぎたことです。もっとユーザの声を聴きながら作ることが出来ていれば、より速く、より安く、事業判断のための材料を集められたように思います。たとえば、オンラインで公開する事を前提に完成度の高いものを作るよりも、オフラインで知り合いに見せるためだけに完成度の低いものを作る方が圧倒的に低コストです。浮いた時間や予算でVer.2、Ver.3とプロトタイプの改良を重ねられると考えると、Ver.1を作るための時間はもっと短い方が良かったと思います。

創業者そしてCEOとして、あなたの会社の誇れる点を教えてください。

私たちは、Mantraの挑戦に大きな社会的インパクトがあることと、難しい技術的課題を解いていることに誇りを持っています

「世界の言葉でマンガを届ける」、しかも海賊版ユーザに正規版を読んでもらうことは容易ではありません。しかし、Netflixが映画の海賊版を、Spotifyが音楽の海賊版を激減させた歴史を振り返れば、マンガの海賊版を減らすことは不可能では無いはずです。この挑戦の成功は、世界中のマンガ読者に即時的にマンガを届けることだけでなく、マンガの作り手に適切な利益を還元することにも繋がります。

マンガの完全自動翻訳もまた、容易に実現できるゴールではありません。手で描かれた特殊なフォントや、マンガ独特の話し言葉、ストーリーに含まれる複雑な文脈など、マンガには翻訳を難しくする要素がたくさん詰まっています。ですが、私たちはこの難しい技術的課題を解くことが楽しくて仕方ありません。小規模なチームですが、一見達成不可能に見えるゴールに向かって、一歩ずつ着実に研究開発を進めていることを誇りに思っています。

FoundXという場所で起業を行うことについて、どんな点が良いと思いますか?

いい点を挙げるとキリがありませんが、まず、ノンエクイティかつ大学発のプログラムなので、直接利害関係が無いメンターたちに事業内容や資金調達について相談できるのが良かったです。(Foundersプログラムでは)個室やバックオフィス支援が与えられるので、売上がまだ無いような状況でも、集中して事業に取り組めます。さらに、同時期にFoundXに所属していた他の起業家たちと、コーヒーを飲みながら進捗を共有したり悩みを相談しあったりすることができたのもとても楽しかったです。

日本では、安定した仕事に就くことが特に重要視されているように思います。起業家になることは大きなリスクではありませんでしたか?

私たちは大学院修了と同時にFoundXに入ったので、いわゆる「新卒カード」を使うことなくスタートアップの世界に飛び込んでしまいました。この決断を下す際には少し恐れもありましたが、それよりも「今このビジネスに取り組まないと、世界中のライバルに先んじられてしまう」リスクの方がよほど大きく感じました。また、学生生活が長く、生活水準が上がっていなかったことと、情報系の専攻だったので「もし全て失敗しても、頑張って就活すれば仕事は見つかるだろう」と思えたことにも背中を押されたように思います。

最後に、FoundXにメッセージをお願いします!

FoundXには集中して事業に取り組むためのサポートが揃っています。創業者がやり甲斐を感じるような、かつスタートアップとして取り組むべき課題が見つかれば、あとはFoundXに応募して、粛々とトライするだけです。私たちの挑戦もまだ始まったばかりです。お互い頑張りましょう!

Mantraについて

Mantraは、FoundXのファウンダープログラムに選定され、2019年4月から12月まで在籍していました。Mantraに関する情報はオフィシャルウェブサイトをご覧ください。https://mntr.jp

FoundX の関連コンテンツ

FoundX では Mantra も参加していた Founders Program への参加者を随時募集しています。ご興味のある方はぜひ一度「話を聞きに行きたい」ボタンをクリックください!

東京大学 FoundX の各種プログラム

  • Founders Program - 無償の個室提供と各種起業支援プログラム
  • Pre-Founders Program - 起業までの助走期間を支援するプログラム
  • Fellows Program - 起業のアイデアを見つけるための支援を行うプログラム
  • Supporters Program - 起業はしないけれど、スタートアップを支援したい東大卒業生のコミュニティ

起業について学びたい方へ、FoundXのリソース

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