1
/
5

なにをやっているのか

東京大学 FoundX は 2019 年に新設された、スタートアップ向けのプログラムと施設です。本郷三丁目付近にいくつもの FoundX 施設を作る予定です。 私たちは Y Combinator のような「スタートアップのアクセラレーター」のような組織です。 ただし、アイデアがまだ定まっていない状態から、アイデアを固め、チームを作り、最初の資金調達を行うまでのフェーズを支援する、超初期に特化したプログラムです。そのため、スタートアップ向けのインセプションプログラムと呼んでいます。後払いのビジネススクールとも比喩できるでしょう。 私たちは超初期の起業家のフェーズに合わせて様々なプログラムを用意しています。具体的な支援内容は各プログラムのページをご確認ください。ここではどのような方針でプログラムを設計しているのかについて紹介します。 ※各プログラムの比較 https://foundx.jp/news-events/program-comparison/ ==================== ■■Programs ▶Founders Program Founders Program は既にアイデアがあるチームが、次の資金調達を行うまでの支援をします。個室の無償提供などを行っています。 https://foundx.jp/founders/ ---------- ▶Pre-Founders Program Pre-Founders Program では、アイデアを決めてから次のステップへ向かうまでの助走期間を支援します。コワーキングスペースの無償提供などを行っています。 https://foundx.jp/pre-founders/ ---------- ▶Fellows Program Fellows Program では主にアイデアの発見をお手伝いします。コワーキングスペースの無償提供なども行っています。 https://foundx.jp/fellows/ ============= ■従来のプログラムとの違い FoundX はこれまでのアクセラレーターよりも以下のような点を重視して運営しています。 ▶コミュニティを重視します 起業家同士の学びを促すコミュニティを作るほか、起業家をサポートする東大卒業生サポーターのコミュニティを作ることで、起業家の最初期の顧客インタビューなどが簡単に行える環境を育てます。 ▶エビデンスを重視します 私たちの活動の多くを、過去のエビデンスを活用しながら行っていきます。そのため論文を読んだり、他分野の文献を読むことも日常的に行います。 ▶エンジニアリングを重視します 私たちの活動をスケールさせていくために、初期からITを中心としたエンジニアリングを行っていきます。そのためエンジニアリングスキルがある程度ある方が望ましいです。 ▶英語でのコミュニケーションを行います グローバルに出ていくスタートアップを育てるため、コミュニケーションを英語で行います。 ■■What We Don’t 私たちは従来とは異なるやり方でスタートアップを支援します。そのため、以下のようなことは行いません。 ▶Event: 私たちは定例を除き、イベントやミートアップを積極的には行いません。そうしたイベントは別組織の皆さんが行っているからです。そのため共同イベントなどについても基本的にお断りさせていただきます。代わりにオンラインでの情報提供などを行います。 ※例:FoundX Review( https://review.foundx.jp/ ) や Resources ( https://foundx.jp/resources/ ) など ▶Mentoring Program: 私たちは外部の方を招いたメンタリングを行いません。代わりにピア起業家同士のピアメンタリングや、サポーターからのオフィスアワーを行います。 ▶WIP: 私たちは多数の活動を行いません。逆に私たちはWIPの制限を行い、インパクトのある作業にのみフォーカスをします。 ▶個人としての力よりも集団としての力 私たちスタッフ個人個人に優れたアドバイザーとしての能力を求めません。代わりにスタッフや、その周りの人たちが集団として支援の力を出せるような環境づくりに注力します。

なぜやるのか

FoundX では現状既存の組織がカバーしていない、アイデア確定〜最初の資金調達前の支援を行い、起業への挑戦者を増やすことで、イノベーションとアソシエーションの種を多く生み出すことを目指します。 私たちはスタートアップ支援を通して、「イノベーションを可能にし広げることで、ゆとりを生み出し、よりひらかれた社会を作る」ことをミッションとして活動しています。そして優れたイノベーションとアソシエーション(ミッションを持つ会社)を次々と生んでいく仕組みを作ることが私たちが FoundX を行う理由です。 私たちは単にイノベーションを起こしたい、スタートアップを増やしたい、というだけではなく、その先を見据えて活動したいと思っています。 私たちはイノベーションが生み出す経済成長の先や、人々の時間の節約の先には、人々の生活のゆとりがあると考えています。かつては水汲みに数時間かけていました。しかし水道インフラが整うことで、今の私たちはすぐに水へアクセスできます。そうして私たちは時間を節約し、節約された時間を教育や娯楽に使うことができるようになりました。その結果、その時間は私たちの心や時間のゆとりを生んでいます。 ゆとりはすべての人が学び、豊かに過ごしていくうえでとても大切なものです。人々が感じる時間のゆとり、お金のゆとり、そして社会にとってのゆとりの総量を増やしていくことで、私たちはよりひらかれた社会を作っていくことができると思っています。 そしてそのためにはスタートアップやイノベーションが必要です。 私たちはスタートアップの支援をそんな風に位置付けています。 私たち自身がこうしたミッションを持つスタートアップとして、起業家の皆さんと一緒に、よりひらかれた社会を作っていけることを私たちは楽しみにしています。 FoundXに込めた思いについては、とても長くなってしまうので、以下のリンクをご参照ください。 FoundX: スタートアップ向けのシード “インセプション” プログラム https://medium.com/@tumada/foundx-startup-inception-program-50724d180d5a FoundX のミッションを決めた背景: 「ゆとり」と「ひらかれた社会」 https://medium.com/@tumada/foundx-mission-background-a7c8d51759b9 FoundX でのアソシエーション / Association https://medium.com/@tumada/foundx-community-and-association-c5ca457d076 FoundX のビジョンに込めた思い: Factory of Innovation and Association https://medium.com/@tumada/foundx-vision-factory-of-innovation-and-association-8d9ed9ee5bb1 FoundX でのビジョンとミッション、バリューの位置づけ https://medium.com/@tumada/foundx-mission-vision-value-positioning-91af291fdaee FoundX: エビデンスを活用したスタートアップ支援プログラム https://medium.com/@tumada/foundx-evidence-based-accelerator-771a5e1bb611 候補者へのレター (こちらはプログラム参加者向けのものですが、目指している姿の参考に御覧ください) https://foundx.jp/careers/letter/

どうやっているのか

FoundX はスタートアップの支援をする組織です。ただし従来の支援とは異なり、エビデンスを活用した、公正で検証可能なプロセスとポリシーを持つことを心がけています。 ■■ポリシー ■改善 ▶ 15% for Self Development フルタイムの場合、15% の時間を自分の成長に使っていただきます。この時間は外部への記事投稿なども含んでいます。例えば木曜の午後はすべて自分の成長や考え事のために使う、などということも可能です。 ▶ 5% for Feedback ミーティングを行った場合は、その時間の5%をフィードバックに使うよう推奨しています。 ■生産性 ▶ 25 minutes meeting / Friday Meeting ミーティングの単位は25分で、かつ極力金曜日にミーティングを集めることで、ミーティングによる生産性の低下を最低限にします。 ▶ No Agenda, No Meeting 事前にアジェンダ共有のないミーティングは誰もが断ることができます。 ▶ 4 Hours Rule 4時間以上の作業が発生しそうなタスクには、所定の仮説検証シートを書いて、エビデンスを残すようにしています。 ■透明性 ▶Documentation 短期間で辞めていく人を応援しながら、組織として継続していくため、ドキュメントを重視した運用にしています。また外国人の方にも働いてもらえるよう、ドキュメントはすべて英語で残しています。またドキュメント化することで、判断の経緯が参照でき、透明性の担保ができるほか、リモートでのコミュニケーションが可能になります。 ▶Evidence エビデンスを活用しながら、かつ私たち自身も新たなエビデンスを出していけるよう、リサーチを行いたいと考えています。 ■■FoundX の行動指針 私たちは6つのEという行動指針を立てて、スタートアップ支援をしています。 ▶Evidence: 私たちはエビデンスを活用しながら、効果的な支援ができるように改善していきます。エビデンスを用いるのは、支援の効果を上げるだけではありません。私たちの透明性を維持するためにも重要視したいと考えています。既存のエビデンスがない場合もあるかもしれません。そのときはそのことをドキュメントとして残し、今回の施策はどのような仮説で行い、どのような学びを得るのか、そしてその意思決定のプロセスはどういったものだったのかを残します。その積み重ねが私たちの支援のプロセスを長期的に優れたものにしてくれるはずです。 ▶Experiment: 私たちはエビデンスや仮説に基づいて改善を行うため、常に実験を行います。ですので決まりきったやり方があるわけではありません。そのため私たちのやり方は常に不完全であり続けますが、それは私たちが挑戦し続けているということでもあります。 ▶Engineering: 支援の幅を広げ、様々な可能にしていくために、私たちはエンジニアリングを用います。エンジニアリングとは「工学とは数学と自然科学を基礎とし、ときには人文社会科学の知見を用いて、公共の安全、健康、福祉のために有用な事物や快適な環境を構築することを目的とする学問」であり、私たちは科学技術の知見だけではなく、人文社会科学の知見も実装して、スタートアップの皆さんを支援します。 ▶Enlightenment: 私たちはスタートアップに関する啓蒙活動を行っていきます。また私たちはリーディングとライティングの文化を大切にし、大量のインプットをしながら、その知識の外化を通して、私たち自身の学びを定着させながら発信していきます。そして研究を行うことで、知の蓄積に貢献します。 ▶Environment: 私たちは環境づくりを重視します。エコシステムや場所や人といった環境を通して、起業家の学びを促進し、起業家同士のつながりを作ります。いくつかの環境については、『成功する起業家は居場所を選ぶ』に書いています。 ▶Exemplariness: 私たち自身が起業家の模範となれるような行動を取り、それを通じて起業家の皆さんの学びを促します。