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東日本大震災から11年目の春に、復興支援の歩みから見えた景色

今、ロシア軍によるウクライナ侵攻に、世界中の人々が心を痛めています。あたりまえの日常を、子どもたちの未来を奪ってしまう戦いは、決して起きてはならないものです。

この戦いで犠牲になった尊い命に心から哀悼の意を表するとともに、一日も早く平和が戻るよう祈ります。

2011年3月11日も、ひとりひとりの命の重みを誰もが強く感じた日でした。そして、被災した人々のために「何かできることはないか」と、フローレンスが模索し始めた日でもありました。あれから11年、フローレンスの走り続けてきた復興支援の軌跡をたどります。

震災発生直後から、ニーズに応える支援を提供

甚大な被害をもたらし、かけがえのない命を奪い、多くの人生に影響を与えた東日本大震災。被災し、今なおつらい状況に置かれている人がいます。被災地に飛び込み、支援活動をする中でその後の生き方を変えた人がいます。仕事や家族など様々な理由で被災地に行けない人は、何か自分にできることはないかと模索し、物資の支援や寄付という形での支援をしました。2011年は、世界の人々が被災地に心を寄せ、行動を起こした年でした。

当時、東京の飯田橋にオフィスがあったフローレンスでも、「何かできることはないか」と模索し、震災直後から東京と東北で様々な支援活動を行ってきました。

東京では、被災地から避難してきた妊婦さんの受け入れや、小さなお子さんのいるご家庭へベビーシッターを無償で提供。慣れない土地で孤立しがちな妊婦さんや母子に寄り添いました。

東北では被災して経済的に困窮する中高生を対象にした無償の学習進学サポート「希望のゼミ」をベネッセコーポレーション様の協力で2011年10月より開始。

さらに石巻に無償学習室を設置し、仮設住宅で暮らす子どもたちが集中して勉強できる環境を作るなどして、被災地の塾運営企業が復興するまでのあいだ、震災によって子どもたちの夢や進路が絶たれないよう支援しました。

2011年12月には、西友様が郡山市で運営するショッピングモール内にスペースを提供していただき、放射線量が高く外遊びができない子どもたちのために「ふくしまインドアパーク」をオープン

評判となり翌年2012年8月には南相馬市でも開始。活動を地域に引き継ぎ2015年に終了するまでの4年間に、のべ4万人を超える福島の子どもたちに、のびのびと思い切り体を動かして遊べる場所を提供しました。


2014年2月 ふくしまインドアパーク南相馬閉園イベント

復興の新たなフェーズを迎えて

震災から数年が経ち、復興のフェーズが変わり、多くの団体や企業が緊急支援の役目を終えていくなかで、フローレンスは新たな課題を見出します。それが、仙台市の待機児童数の急増でした。沿岸部で被災した多くの人が近隣都市に移住したことで、仙台市も人口が急増し、数年前に解消していた待機児童問題がふたたび浮上していたのです。

辛い状況のなかで移住した土地で、子どもを預けられずに働くことが困難な親御さんを支援するために、保育園の運営実績があったフローレンスは2015年4月に「おうち保育園こうとう台」を開園、続く2016年に「おうち保育園木町どおり」、そして2017年4月には企業主導型保育園「おうち保育園かしわぎ」を開園しました。

不足していた障害児の親子の行き場

こうして保育という形で親子に寄り添う中で、さらに見えてきたのが障害児の保育問題でした。2019年にもなると、仙台市内に保育園が増え、待機児童問題が徐々に解消されてきた一方で、「障害児の保育園受け入れが進んでいない」という現状が見えてきたのです。

フローレンスのおうち保育園では「子どもの年齢や国籍、障害の有無にかかわらず、すべてのお子さんへ、それぞれの発達状況にあわせた保育を提供する」インクルーシブ保育を提供しており、「違うこと」はその子一人ひとりの素敵な個性であると考えています。

ある親御さんは、障害があることを理由にいくつもの園で入園を断られるなかで、つねに「障害があってすみません」と謝りつづけていたと話してくれました。

その親御さんがフローレンスのおうち保育園の入園説明会で「うちの子、すみません。障害があるんですが」と尋ねたところ、園スタッフが「障害があることで謝らないでください。私たちは障害があることが悪いことだとは1ミリも思っていませんよ」と当たり前のように答えた、その一言で受け入れられたと感じ、感極まられたというエピソードがあります。

すべての親子の笑顔のために

2014年に被災地支援を主軸として始まったフローレンス仙台支社の活動は、目の前の親子をとりまく社会課題に向き合い続け、保育事業の枠を超えて、「ほいくえん子ども食堂」やコロナ禍の緊急支援として開始した「仙台子ども宅食」を通じた見守り支援、政策提言活動と広がり続けています

2021年10月には、たんの吸引や経管栄養などの医療的ケアが日常的に必要な医療的ケア児を、ご自宅で医療的ケアに対応した看護師がお預かりするサービス「医療的ケアシッター ナンシー」の全国展開の最初のエリアとして、仙台市エリアにて開始しています。

「ほいくえん子ども食堂」(写真は2019年に撮影したものです)

11年目を迎えた支援、そしてこれからも

日本は長引くコロナ禍にあり、誰もがいまだかつてないストレスにさらされながら日常を送ることを強いられています。虐待件数は過去最高を記録し、経済的に苦しい状況にあるひとり親家庭や困窮家庭はさらに厳しい状況におかれています。

フローレンスは2020年3月から「すべての親子を置き去りにしない」を合言葉に、これらの課題に向き合い、あらゆる緊急支援を展開し続けています。

現在も「新型コロナこども緊急支援プロジェクト2022」として、別居中・離婚前の実質的なひとり親状態にあるご家庭への取り組みとして、10kgのお米の配送、デジタルによる情報提供などを通じた支援をスタートさせました。

今、目の前にいる親子に笑顔を届けるために、フローレンスは何ができるのか? それはフローレンスが常に問い続け、活動してきた歴史であり、フローレンスの被災地での復興支援の形でもあります。

そして、このようなフローレンスの活動の原動力となっているのは、ご支援くださる企業の皆さんや個人の寄付者の皆さんが寄付に託してくださる想いです。フローレンスが皆さんと一緒にさらに前に進んでいくために、引き続きご支援・応援をよろしくお願いします。

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