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【新人PM向け】義務教育の知識でクライアント要望を要件にする思考方法

こんにちは

株式会社FLINTERSが2024年1月6日で10周年を迎えることを記念して、
全社員で取り組む10周年記念FLINTERSブログリレーという企画を行っています。

本投稿はそのブログリレーの78日目の記事となります。

はじめに

上司に「いい感じに資料まとめといて」と依頼されたり、クライアントワークの際に「AIを使ったいい感じのツールで業務の効率を上げたい」(ちょっと誇張しすぎかもですが)のような要望に困った経験ないですか?

これは依頼や要望が悪いというわけではなく、あなたが「大金持ちになりたい!」と漠然と夢を持つのと同じようなもので、1-10まで全て1人で決められる人の方が少ないと思います。

なのでFLINTERSでは、かっちりと要件が固まったものを開発していくだけでなく、前述のようなふんわりとしたアイデア状態からクライアントと一緒に要件定義を進めていくプロジェクトも多くあります。

そんな中、FLINETERSのPMのメンバーが増え、彼らから「どうやってロジックを組み立てているのか?」「どうやって機能を考えているのか?」などの質問をもらう機会がありましたが、自分が無意識にやっていることを説明するのには知識レベルなど前提条件が揃っている上でないとなかなか難しいなと思い、前提条件を義務教育レベルにして思考整理してみようと思いました。

概要と本投稿の目的と対象者

ふんわりとしたクライアント要望を義務教育レベルの知識で紐解いてみる試みです。

ビジネス書に書かれているような大層なフレームワークやなんちゃらシンキングなどを一切使わずに、中学校卒業時点(くらい)でもっているであろう知識のみでアプローチをしていき、前提条件が揃っている上でどんな思考をしているのかを楽しんでもらうのを目的としています。

フレームワークなどは後々覚えていけばよいですし、それを使う時も使い方だけでなく本質を理解した上で使える状態の方が応用が効くと思います。要は中学受験の算数と、中学校の数学の違いですね。

そんな今回は算数の話、つまり新人PM向けの内容となっています。ですので、社会人歴やPM歴が長い、元エンジニアでロジックに自信がある方には物足りないかも知れません。



実践パートへGO

あなたは開発会社のあるプロジェクトの新人PMです!!クライアントは広告代理店です!!と言う前提でさっそく始めてみましょう!!

要望を整理してみよう

あなたは先ほど例に挙げた「AIを使ったいい感じのツールで業務の効率を上げたい」と言われたとしましょう。

・・・んんん?わからん、知らん、どう言うこと?最近流行りのChatGPT使ってみる?どうやって?・・・あれれ~おかしいぞ~、情報が足りない!!となり、ここでつまずいちゃいますよね。

ふんわりしていると言うことは明確な情報が足りないんです。ただし今あなたがもっている情報はこの1文だけなのでなるべくここから得られるだけの情報を整理してみましょう。

まずは「〜で〜したい」なので抽象的ではありますが目的と手段はありますね。

目的: 業務の効率を上げたい

手段:AIを使ったいい感じツール

まだ何もわかりませんが、少し気持ちが軽くなりましたね。

手段と目的を1度眺めてみよう

ここではまず全体的なアタリを付けていきます。

菩薩になったような気持ちで一度、冷静に考えてみましょう。

目的は「業務の効率を上げたい」ということですが、特に違和感は感じませんね。出来たら会社にとって良いことです。ただ、抽象的すぎてこれだけではこれ以上の判断はつけられません。

であれば今度は、目的に対して手段が適切であるかどうかを考える必要があります。

「ツール」を使うと言う点は、本来は疑う必要がありますが、あなたは開発会社の一員なので、疑わないことにしましょう。

次に「AIを使った」ツールである必要があるかどうかという点です。これは目的がふんわりしているのでわかりませんね。

また「いい感じの」とはなんのことやら・・・とは思いますが、目的に対して最適なという意味合いで使われていることが推測できます。

つまり、目的をより詳細にして、「AIを使ったツール」が最適なのか、もしくは最適でないならば目的のためにどんなツールであればいいのかを考える必要があなたにあることがわかりました。

目的を深掘りしよう

目的「業務の効率を上げたい」をより詳細にする必要がありますね。

クライアントの業務に詳しい先輩PMならわかるかもしれませんが、あなたは新人PMなので基本的なことはわかっても、目的になるような業務にピンときません。

なのでこれはクライアントに聞きましょう!!

実は仮説を立てて自力で導き出すことも不可能ではないですが、5分考えて無理そうならば諦めて聞いてみましょう、その方が早いです。

ではどのような質問をするかですが、「 業務の効率を上げたい」の詳しい内容が知りたいですよね?

つまり、誰のどんな業務なのか?なぜそれが必要なのか?などを聞く必要があります。

ちょうどいいものがありそうです。中学英語でよく出てきたなら5W1H(「When:いつ」「Where:どこで」「Who:だれが」「What:何を」「Why:なぜ」「How:どのように」)ならわかると思うのでこちらを使ってみましょう。

What:なんの業務ですか? A.広告の営業資料の作成です

When:どのタイミングの業務ですか? A.取引のない会社への提案に行く際に行います

Who:誰が行う業務ですか? A.営業です

How:どのように行う業務ですか? A.提案先のホームページや商品、広告の出稿状況などを分析し、最適な広告メニューを検討、その際の広告効果や予算の見積もりをし、パワーポイントで資料化します

分析はどのような方法で行いますか? A.人力で情報を集めて、どのような人に向けてどんな広告を配信しているのかを整理しています

広告メニューを検討はどのような方法で行いますか? A.各広告メニューの特徴表があるのでそれを元に、先の分析結果に基づいて、配信すべき人に向けて効率よく配信出来る広告メニューやそのクリエイティブを検討しています

広告効果や予算の見積もりはどのような方法で行いますか? A.他の会社の実績を元に算出しています

Why:なぜその業務の効率をあげたいのですか? A.現在、営業1人あたり1日2つ以上の営業資料を作成する必要があり、営業範囲の拡大限界に来ているため

作成する営業資料がどれくらいになればよいですか? A.1人あたり1日4つ以上です

※Whereは省略

のように深掘っていくと、だんだん目的が鮮明に見えてきましたね。本来は答えられなくなるくらいまで深掘っていくべきですが、時間は有限なので今回の質問はこれくらいにしておきましょう。

手段を深掘りしよう

目的の深掘りが完了し、詳細がわかったのでまた手段の話に戻りましょう。

「AIを使ったツール」が最適なのか、もしくは最適でないならば目的のためにどんなツールであればいいのかを考えてみましょう。

まずは、AIをどんな風に使えるのかわからない場合は、プロジェクトメンバーに聞いてみましょう!!

今回の例ではAIを使えそうな箇所がたくさんありそうなのでAIを使うことはアリとします。

そうすると「AIを使ったツール」か他のツール「AIを使わないツール」のどちらかで目的の達成に最適なものをたくさん考えれば良さそうです。

ですが、少ない情報のクライアント要望の中にわざわざ「AIを使った」ツールが明言されているので、何か特別な理由がありそうです。

なので、これもクライアントに聞きましょう!!(こちらも仮説を建てて導き出せる可能性がありますが、聞いた方が早いです!)

「AIを使った先進的な企業とアピールしたい」ということでした。

深掘りするのであれば、それが本当に必要なことかどうかまで考える必要がありますが、ここに記載していないクライアントの説明が非常に納得がいくものだったとして進めましょう。

これらをまとめると、あなたはAIを使ったツールでコク的の達成に最適なものをたくさん考えれば良さそうというところまで来ました。

実は本当の目的は、「AIを使った先進的な企業とアピールしつつ、営業の資料作成速度を2倍以上にしたい」だったんですね。

手段を具体的にしてみよう

ここまでわかればあとはどんなツールを開発するのか案を考えて選ぶだけです。

この段階では案はたくさんあった方がいいので、一人で考えても、同僚にアドバイスをもらっても、プロジェクトメンバー全員で考えてもなんでもよいと思います。

ただし、ここで重要なのは、もう何も案が出てこない、、となるくらいまで考えましょう。

今回はこの記事をこれ以上長くしないために記載は3案に省略しますが、

・社名を入れると広告出稿情報をAIが返してくれるツール

・人力で集めた情報を入力すると、最適な広告メニュー、広告効果や予算を算出して特定のフォーマットで出力してくれるツール

・社名を入れるとAIがパワーポイントまで作成してくれるツール

+97案の合計100案が絞り出されました。

手段を絞り込もう

出した案を100から1個に絞り込むことはできないので、まずは、非現実的な案などわかりやすいところから没にしていきましょう。

・願ったら脳内に直接パワポを想像させてくれるツール

あったら楽しいですが、これはありえませんね。

このような形で減らしていくと数えられるには絞ることが出来ると思います。

しかし、数個から1個に絞るのはこのままではできません。どれも良い点、悪い点がそれぞれあってあなたでは選べない状態になっているかと思います。

その状態になれば、あとはクライアントと最終的な選択をします。

ただ、この情報だけではあなたと同じようにクライアント側も選べません。

外食をする時を思い出してください。

牛丼屋さんは安い早い美味い、ファミレスは普通普通ぼちぼち美味い、ステーキ屋さんは高い普通めっちゃ美味いのようにそれぞれあり、どこが絶対に良いではなく、その時の状況によって行く店を変えると思います。

それと同じように、状況によって、最終的な手段も変わってくるのです。

・社名を入れると広告出稿情報をAIが返してくれるツール:開発費100円、開発期間1週間、目的達成はAIを使っていると言える程度で1.1倍の効率になる

・人力で集めた情報を入力すると、最適な広告メニュー、広告効果や予算を算出して特定のフォーマットで出力してくれるツール:開発費1万円、開発期間3ヶ月、目的達成はAIを使っていて、2倍の効率になる

・社名を入れるとAIがパワーポイントまで作成してくれるツール:開発費1億円、開発期間3年、目的達成はフルでAIを使っていて、100倍の効率になる

というような整理が出来(例のため極端にしましたが)、初めてクライアント側の状況と照らし合わせて決定することができます。

今回は目的も達成出来、クライアントの予算内で、待てる期間も合致したため、2番目の下記案になりました。

・人力で集めた情報を入力すると、最適な広告メニュー、広告効果や予算を算出して特定のフォーマットで出力してくれるツール

なんということでしょう

といった流れでいつの間にか、ふんわりとした要望が超ざっくりとした機能要件に様変わりしました。

同じことの繰り返しでより詳細な機能要件を詰めていき、設計、開発と進んでください。



まとめ

簡単に言いたかったことをまとめてみようと思います。

・フレームワークとか難しい単語とか知らなくてもなんとかなる

・何がわかれば次のステップに進めるのかを明確にするように自分なりに整理してみよう

・情報収集が大事(チームメンバーやクライアントという情報源もある)

・深掘りを何度も繰り返そう

・案が出てこなくなるまで考え続けよう

・案を整理する際は選んだり優先順位をつけるための指標を設けよう

最後に

これらにしっかりと向き合っていくと途方もない時間がかかることがわかると思いますが、それに気づいたら今度は、フレームワークなどを学んでみると、時間をかなり短縮しつつ、精度が高いものが出せるようになってきます。

また、記事が長すぎるので簡易に表現してあるところもありますが、この記事で思考方法を少しでも理解して、応用してもらえるといいなと思っています。


この記事よりもっと面白い記事がこれからも出てくると思いますので、明日以降のブログリレーもぜひお楽しみにしてください!!

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