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歩行データを分析することで、認知症の早期発見を実現することができる。

日本社会は高齢化に直面し、認知症はその影響を色濃く反映しています。

高齢者増加に加え、介護期間の長期化が家族負担を増大させ、社会保障制度を圧迫します。認知症は患者本人、家族、社会全体にとって看過できない課題なのです。

現状として、認知症を治癒する治療法はなく、進行抑制とQOL(生活の質)の維持が重要な目標となっており、だからこそ、早期発見と介入が重要な意味を持ちます。

実際に、認知症の前段階である軽度認知障害(MCI)で適切な対策を講じることで、進行を遅らせ、予防できる可能性も示唆されています。

早期兆候を捉え、適切な治療や生活習慣改善が、患者の生活を向上させ、家族の介護負担を軽減、医療費削減にも繋がります。認知症対策には、早期発見を可能にする革新的なアプローチが不可欠なのです。

革新的なアプローチ、「ardi」のメカニズムとデータ解析による早期発見への道

認知症患者は、認知機能の低下だけでなく、運動機能にも影響が出ることが知られています。

特に、歩行は日常生活において不可欠な動作であり、認知症の初期段階から、歩行速度の低下、歩幅のばらつき、歩行時のバランスの不安定さなど、様々な変化が現れることが研究によって明らかになっています。

これらの変化に着目し、改善を図ることは、認知症の進行抑制に繋がると考えられます。

そんな認知症と密接な関係にある歩行の情報によって、認知症の予防・改善を目指すのがインソール型のウェアラブルデバイス「ardi」です。

「ardi」は、インソールを装着するだけで、歩行速度、歩幅、歩行時間、左右のバランス、加速度など、詳細な歩行データを高精度に計測することができます。

さらに、姿勢の変化や重心の移動なども捉えることが可能であり、日常生活における細かな動作を客観的に記録することができます。

藤田医科大学との共同研究では、「ardi」を用いて健常者の高齢者400名を対象に、大規模な歩行データ収集と認知機能テストを実施しました。

まだ分析段階ではありますが、今回の研究では、認知機能の高い人と低い人との間で、歩行パターンに違いが見られるかどうかを探っています。

実際に、国内外で行われた軽度認知障害と歩行に関する研究の中では、MCI群と健常者群の間で、歩行や歩調の規則性、対称性などに差が見られたという結果が出ており、今回の研究でも、同様に歩行と認知症の関連性を確実なものにしていくことを目指しています。

その結果は、認知症の早期兆候を捉えるための有効なツールとして「ardi」が活用される未来に繋がっていくことになるでしょう。

「ardi」実用化への課題と、それを乗り越えた先にある社会への貢献

「ardi」は、認知症の早期発見に貢献できるポテンシャルを持ったデバイスですが、実用化に向けては、まだいくつかの課題を克服する必要があります。

最も重要な課題は、歩行パターンと認知機能との関連性をより明確にし、認知症の早期発見に繋げることです。日常生活における歩行パターンからの推論・予測を行うためにも、実験環境のみならず実生活におけるデータ収集も重要になります。

また、「ardi」で得たデータをどのように活用し、医療現場で実際に活用していくかを検討することも重要です。

具体的には、認知機能低下のアラート基準を設定したり、医師が診断に活用するためのプロセスを構築したりする必要が出てくるでしょう。

しかし、「ardi」がこれらの課題を克服し、実用化に成功すれば、認知症の早期発見に大きく貢献できると期待されています。

例えば、人間ドックのオプション検査として導入することで、手軽に歩行機能のチェックを行うことができます。

また、保険会社と連携し、認知症予防プログラムを提供することで、人々の健康意識を高め、予防行動を促すことも可能です。
「ardi」によって認知症の早期発見が進めば、適切な治療や予防策を講じることができ、患者本人とその家族の生活の質を向上させるとともに、社会全体の医療費削減にも繋がります。

「ardi」が拓く未来:認知症の克服と、より豊かな高齢社会の実現へ

認知症は、今後ますます深刻化する社会問題であり、その克服は、私たちにとって重要な課題です。

「ardi」は、ウェアラブルデバイスの活用によって、認知症の早期発見に貢献する可能性を秘めています。

歩行データという客観的な指標を用いることで、認知症の兆候を早期に捉え、適切な対策を講じることが可能になります。

今後は、さらなる研究開発を進め、「ardi」の性能向上や、データ解析アルゴリズムの改善に取り組むとともに、医療機関や介護施設との連携を強化し、その実用化を加速させる必要があります。

「ardi」の実用化は、認知症の克服に向けた大きな一歩となるとともに、高齢者がより健康で、より豊かな生活を送ることができる社会の実現に貢献していくこととなるでしょう。

このようなAI技術が私たちの健康を守り、より良い未来を拓く、そんな時代がすぐそこまで来ているのかもしれません。



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