8月19日。ただいまの時刻は午前8時ちょうど。
私は今、東京駅にいる。今日は当社の福利厚生を利用して、ある地を初めて訪れる。
「あぁ、それにしてもお腹が空いたなぁ。」
現地でしか味わえない食を楽しむため、駅弁コーナーはスルーする。目的地までは新幹線とローカルバスで三時間ほどかかる。一旦、旅の思い出話に入る前に今回利用する福利厚生制度について説明させてほしい。今回利用した福利厚生制度の名前は「旅費補助制度」という。これはプライベートで“秋田県 鹿角市”に行く際の往復交通費を会社が負担してくれる制度である。因みに「鹿角」なんと読むかお分かりだろうか。正解は「かづの」。入社するまで、私は読み方が分からなかった。今は正直読み方以外なにも知らない地だ。
社長、教えてください!
—Q.なぜ、旅費補助制度は秋田県鹿角市“限定”なのでしょうか。
—A.お金だけじゃなく働く意味を気づかせてくれた大切な場所だからなんだ。
2015年、ニッポン手仕事図鑑が秋田県鹿角市からご依頼をいただき鹿角市の移住促進のドキュメンタリー映像の制作が決定した。これがのちに鹿角オフィス開設へのきっかけとなった。ファストコムにとって鹿角が社会活動を意識させてくれた聖地のような場所で、この素晴らしい地域を社員のみんなに見て知って体感してほしいと思い制度が生まれたんだ。
私はこの話を聞いたとき、あることが気になった。
「この福利厚生、社員にとってどのくらい満足度の高い制度なのか・・・。」
旅費補助制度を利用している人は、少数いるようだが全社員が利用しているわけではなさそうだし、もしかしたら忘れている人もいそうだ。ファストコムは一般的な福利厚生が揃っていることに加えて「うちの米」という福利厚生米という社員に毎月3㎏のお米を配る制度がある。これは、かなり知名度・満足度が高い制度だといえる。それなら今回、社員を代表して「旅費補助制度」を利用し、毎月お米を届けてくれる鹿角へ行ってみよう!今は、田んぼばかりの田舎より、都会派の人間である。そんな私が社員にとっていい制度なのか“本気レビュー”させてもらう!これは、仕事ではない。完全なプライベートなので、存分に楽しませてもらうぞ!
—8/19(SAT)8:30
実は初の1人旅。「1人○○」の経験が乏しいが1人の時間が嫌いではないため、なんとかなりそうな気がする。(なんとかなってほしい・・・)
まずは東京駅から新幹線で盛岡駅までいく。車窓から風景を眺めて、好きな芸人のラジオを聴きながら向かっている。盛岡駅まであと2時間。新幹線の車内販売で、もち米入りの“ずんだアイスクリーム”を売っているのを見つけてしまった私は、スルーすることが出来ず買ってしまった。落ち着いた時間が流れる中、途中ウトウトしていると、あっという間に盛岡駅についた。
—10:30
⁇:「おはようございます~!!」
私:⁉
聴き馴染みのある声がする・・・!
そこにいたのは総務部の石澤さん。旅費補助制度を利用して同じく鹿角へ向かうところだという。全く同じ日で、同じ電車なのは凄い偶然だ…!石澤さんは盛岡駅でレンタカーを借りており、なんと私を乗せて行ってくれた。(本当にありがとうございます!)ここまで誰とも会話していなかったので、お話が出来て嬉しい。(笑)車に乗っていると、外は晴れたり雨がふったりと、不安定な天気で鹿角の天気が心配だ。話しているとあっという間に鹿角花輪駅に到着した。まず一番に驚いたことは、東京と変わらない暑さだということ。そして、鹿角の美しい大自然が私を出迎えてくれた。
—12:30
ここで石澤さんとはお別れし、今から予約していた郷土料理屋さん「美ふじ」へ向かう。場所はファストコム鹿角オフィスの裏手にあり、鹿角オフィスの皆さんや、鹿角へ行ったことのある先輩方においしいご飯屋さんを伺ったところ、みんなが口をそろえて「美ふじ」と答えていた。Googleマップを頼りに歩くこと5分、お店に到着し店看板を見てみると・・・
“本日はお休みです”
私:「んんん⁉」
慌ててGoogleで調べると“休業”の文字が。心配性な性格のため、旅のしおりまで準備するほど、事前準備に力を注いできたが、スタートでこけるとは考えてもいなかった。「どうしようかな…」としばらく考えていると、女将さんが慌てて出迎えてくれた。
「お待ちしてましたよ~~~~!さぁ入って。」
私:「あ、はい!」(よかった~~~~~(涙目))
中に入るとカウンター席には、“伝統のきりたんぽ鍋コース”の準備が出来ていた。水出し昆布に比内地鶏のガラをじっくり煮だし旨味が凝縮されたスープときりたんぽのお米の香ばしい香りが相性抜群で絶品だった。お腹が減っていたので、ばくばく食べていると、女将さんから、あまりにも食べっぷりがいいからと「礒部たんぽ」をおまけしてくれた。因みに「たんぽ」という名の由来は「ガマの穂」という川沿いや池の周りなどに生える植物を鹿角の方言で、“短穂”と呼んでおり、形が似ていることに由来してこの名前になったそうだ。女将さんが資料ももってきてくれて説明してくれたのだ。そして最後には、お土産で桃を2つくれた。さっき出会ったばかりの私を、温かく出迎えてくれて本当に嬉しかった。
旬ではないと聞いていたが、美ふじのきりたんぽはいつでも美味しくいただける。
—14:30
お腹いっぱいの後は、電車に乗りホテルへ向かう。美ふじさんから駅までは10分ほどだが、気温が高くてダラダラ歩いていたら20分以上かかってしまった。なんと14時30分の電車を逃すと次にくるのが18時30分。時刻表をみて思わず笑ってしまった。なんとか間に合った小さな電車から見える景色はとんでもなく美しい。電車に揺られること約10分、ものすごく楽しみだったホテルが見えてきた。
駅付近は栄えており、着々とお祭りの準備が進められていた。
この日は人が多く、撮影が出来なかったので、夕暮れ時にもう一度訪れて撮影した1枚。駅員さんに「どこから来たの?」と尋ねられたので「1人で東京から来た」と答えると、優しくほほえんでいた。
—15:00
湯瀬温泉駅に到着。今日泊まるホテルはココ!
四季彩り 秋田づくし 湯瀬ホテル
本館と旧館があり、渡り廊下は川の上にかけられている。
大浴場や露天風呂、更には貸し切り露天風呂があり温泉好きにはたまらない。
ここまで立派なホテルに予約したのは初めてだ。いつもの旅行はホテルにこだわっていなかったので、こんな大きくて豪華なホテルに1人で宿泊すると思うと、そわそわしてしまう。選んだ決め手は、温泉だ。湯瀬ホテルの周りは大自然で湯瀬渓谷沿いにあり、温泉から見る景色は絶景なんだとか・・・。夜が待ち遠しい。
いまから2時間ほど、次の予定まで空き時間があるので、湯瀬ホテルにあるお土産コーナーにて買い物をする。ついつい買いすぎてしまったため、家まで配送してもらうことにした。購入した商品は全部で18点。(笑)ファストコムがお中元・お歳暮でクライアント様にお贈りしている『北限の桃』があったので久しぶりに味わった。
横にある本物の桃は、美ふじの女将さんから頂いたもの!おいしかったです。
鹿角で長く愛されている定番の千歳盛3本セット。地元限定のオリジナルラベルで可愛い!
—17:30
いよいよ、この旅メイン。19日・20日に鹿角で開催される“花輪ばやし”という伝統的なお祭りを見に行く。花輪ばやしについてはファストコムに入社して知った。さっきの街の様子とは打って変わって、大勢の人たちが祭りを見に鹿角へ集まっていた。私が到着する頃には屋台というものが、各町から御旅所へ出発していた。急いでお好み焼きと焼きそばを購入し、駅前広場という場所に向かう。
まっすぐ歩けないほど、街がとにかく若者で溢れかえっていた。
お腹がいっぱいで、諦めたりんご飴。
地元に誇れるお祭りがあるなんて鹿角の方が羨ましい。
—20:00
あたりはすっかり真っ暗になり、お祭りの活気もどんどん増していく。花輪ばやしの一番の見どころである屋台はぞくぞくと駅前に集合していた。事前に観覧用の桟敷席を購入していたが、こちらの席運が良く、揃い踏みや囃子の共演などを目の前でみることが出来た。そのあとパレードが開始され、踊りが一緒に付いていく。町内の方のお話によると、この花輪ばやしのために若者が都会から戻ってくるとのこと。よく見ると屋台の中にいるのは若者ばかりで、ものすごい活気があり圧倒されてしまった。町内によって形が違う屋台がどれも素敵だった。
隣のおじさんが、屋台の上に乗っている人の役割を教えてくれた。電線をよけてくれる人らしい。
舟場元町が一番盛り上げ上手で、思わず動画に収めました!
花輪ばやし一番の見どころ、全町の屋台が一列に並ぶ様子。
—21:30
ホテルへ戻り、旅の疲れを癒しに行きます。湯瀬ホテルの温泉はアルカリ性単純泉とのこと。くすみの解消や新陳代謝を促進してくれるらしい!(ありがたい…)目の前を流れる渓流のせせらぎを聴きながら、露天風呂を満喫できるかと思っていたが、少し前まで土砂降りだったため川の流れが早すぎて怖かった(笑)ただ開放的で贅沢な時間を味わうことができ大満足だった。もう明日帰るのかと思うと、遊び足りない気がする。明日も早いので夜更かしはせずにもう寝よう。昼間は東京と変わらない気温だった鹿角は夜になると、涼しく快適だった。
—8/20(SUN)6:00
社会人になって2年、休日も早起きしてしまうのが悩みだ。ただ今日は都合がいい。なぜかといえば、朝風呂に向かうため。朝入る温泉は昨日と違って空いており、露天風呂を貸し切り状態で満喫できた。湯瀬ホテルのラウンジ付近に、お酒やジュースが無料で飲めるドリンクコーナーがあり、お風呂上りにキンキンに冷えた桃ジュースを飲んだ。朝から気分がいい。さて、この後はお待ちかねのバイキング。ホテルのバイキングなんていつぶりだろうか。「テレビ千鳥」の1周だけバイキングという企画を見てしまったので、バイキングに緊張している自分がいる。私のバイキングはこちら。誰にも気を遣わず、ただ自分が食べたいものだけを大量によそった。と言いたいところだが、実はこのストーリーを意識してしまい、いつも以上に上品によそっている自分がいた。残念ながら、あとは帰るだけ。
「あれ、帰りたくないかも?」
—11:00
いよいよ帰路のバスに乗る。さて、では冒頭でお話したように“本気レビュー”をさせてもらおう!
“結論”
とっても充実した休日となり、またこの制度を利用し鹿角へ行きたいと思った。行きの車内は田んぼばかりで、都会の方が魅力的かなと思っていた私が、こんな風に感じるのは自分でも驚いている。郷土料理やホテルも満喫でき、花輪ばやしが開催されている8月19~20日の間に行くことができ、非日常を味わうことができた。そして何より、会う人全員が温かく迎えてくれて、困ったことがあるとすぐに助けてくれた。
欲を言うと、誰かを連れて行きたくなるような素敵な場所だったため、家族・友人1名も一緒に使える制度なら、とても嬉しい。交通機関が不便でなかなか思うようにいかない旅だが、不便だからこそ人の温かみに気付き、大満足の2日間となった。もし、社員の方でこの制度の利用を考えているなら、今回、私が立案した“郷土料理を食べまくるコース”をおすすめしたい。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。「旅費補助制度」は、たぶんファストコムにしかない福利厚生だと思います。ファストコムの年間休日は126日(2022度実績)で、誕生日休暇や入社日休暇などがあります。また去年の年末年始は9連休でした。それに前もって上司に有給を利用したい日を共有しておけば、旅行や好きなアーティストのライブに行く計画などが立てやすく、プライベートの両立がしやすい環境だと思います。もし、ご縁がありファストコムにご入社されましたら、ぜひ今回ご紹介した福利厚生制度を使ってみてください。…電車の時刻表はしっかり確認してから行くことをおすすめします!