自分たちのアイデアをかたちにする。ビジネスサイドとの相互連携で作り上げる、会計業務支援サービス「CalQ(カルク)」開発インタビュー!
個人事業主や小規模法人の方々の確定申告をサポートする、会計サービス「CalQ(カルク)」。この事業開発を株式会社エフアンドエム、システム開発をエフアンドエムネット株式会社が担っており、2社が連携してサービスを成長・拡大させてきました。
今回はその2社からサービスを牽引しているお2人に、対談形式でインタビュー。事業の成り立ちや開発体制、2社がどのように連携してサービスを創り上げているのかを伺いました!
株式会社エフアンドエム
システム企画室 室長
古賀 誠 (写真左)
エフアンドエムネット株式会社
会計システムDiv. ディビジョンマネージャー
三本 耕太郎 (写真右)
70,000名以上の確定申告を担う会計サービス「CalQ(カルク)」
―まずはじめに、「カルク」とはどんなサービスですか?
古賀)
「カルク」とは、個人事業主の方や副業をされている方、小規模法人のお客様など、確定申告が必要な方向けの会計支援サービスです。
通常、確定申告は必要経費の領収書やレシートを収集して、決算書や確定申告書などの書類作成を行い、税務署にこれら書類を決まった時期に提出をするのが一般的な流れです。会計の知識がない方にとっては煩雑で分かりづらい作業も多く、とはいえ誰かが教えてくれるものでありません。
「カルク」ではその一連の流れをシステム化し、お客様には領収書やレシートをまとめて弊社に送付していただくだけで、書類の作成から申告までをお任せいただけるサービスになっています。
※確定申告をはじめとする税務業務は、F&Mパートナーズ税理士法人(税理士法人番号 第579号)をはじめ、エフアンドエムが紹介する税理士法人が対応します。
近年は、コロナの影響や働き方改革、副業解禁といった世の中の流れを受け、新しく副業を始められる個人の方や、フリーランスとして独立する方も増えてきました。「確定申告に手間取りたくない」といったニーズにお答えし、サービス全体としては現在70,000名以上の方にご利用いただいています。
―「カルク」がお客様に喜ばれているポイントを教えてください。
古賀)
このサービスの強みは、「会計事務所よりも安価で確定申告まで行えること」だと思っています。
会計事務所に記帳代行を依頼すると、だいたいひと月あたり30,000円~50,000円ほど。
対して、カルクではひと月あたり3,000円~4,000円ほどです。
これほど安価で提供できる背景には、徹底したシステム化があります。
会計業務から税理士事務所への最終的な引き継ぎまで、1年を通してワンストップで行うサービス体系ですが、システムを開発・改善することによって着々と効率化を進めています。
実際にお客様アンケートでも、「確定申告が年々スピーディに行えるようになって助かっている」「スムーズに確定申告が完了できた」といった声をいただいています。
アプリ開発、AI技術の導入。少人数精鋭で手掛ける「カルク」開発現場
―「カルク」の開発体制について教えてください。
三本)
そもそも「カルク」の全体的な体制は、事業をエフアンドエム社、開発を我々エフアンドエムネット社が担っていて、事業側は古賀さん、開発側は私を中心に密に連携をとっています。
開発の体制は、アプリ開発や各システムの開発担当に分かれ、それぞれ3〜4人のチームを編成しています。少数精鋭なのでチームを兼任しているメンバーもいます。
具体的には、たとえばお客様から預かったレシートなどの書類をデータ化してエントリーするシステムや、顧客管理システム、70,000人分の確定申告の進捗管理システム、お客様に使用していただくiOS/Androidアプリ開発などのチームに分かれています。
役割分担はシステムの規模によりますね。システムの中だけで完結する内容なら仕様から実装までを担当がこなしてしまうこともあります。一方でサービス全体に影響があるようなものですと、それぞれに関わるメンバーで要件定義します。基本的に役割を細分化しているわけではありません。案件によって臨機応変にチームメンバーで協力し合う体制で開発を進めています。
―技術力や知識向上のための取り組みについて教えてください。
三本)
技術力に関しては各自でスキルアップをしてもらう一方で、システムの仕組みについて理解する場を設けることがチームとしては多いです。「カルク」は確定申告をするまでの流れに、様々なシステムが組み合わさっています。それぞれのシステムがどのように連携をしているのかをしっかり理解していなければ、お互いの仕様やプログラミングに影響が出てしまいます。
また会計の知識に関してはその都度、仕組みや意味を伝えながら進めています。メンバーもシステム作りをしながら徐々に学んでいる人が多いですね。もちろん会計の知識があった方がシステム作りに有利ですが、普段の業務上で必須の知識ではないので、焦らないで大丈夫です。
実は、私は元々会計事務所で働いていて、完全に未経験からエンジニアとして入社をしました。互いの得意分野を共有することで、チーム全体の技術・知識の底上げに繋げています。
―「カルク」のシステムにはどのような技術が使われていますか?
三本)
AI技術を活用したシステムを導入しています。具体的にはAIOCRという技術で、お客様から送られてきた書類のデータを自動で取り込むためのツールです。
繁忙期になると、弊社には70,000人のお客様から4,000万枚以上の領収書等書類が送られてきます。お客様から送られてきた書類を全部画像化し、AIを使って日付や金額といった内容を判断させています。
この技術を導入するまでは、全て現物を見ながら手打ちしていたのですが、当然人件費がかかりますしヒューマンエラーも発生します。この作業を自動化することで業務効率の改善につながりました。
現在OCRとして信頼度が高いデータの場合は、読み取りの正解率が領収書では98.42%、支払調書では99.53%となっていて、これらの書類の読み取り精度としては、他と比べても突出していると思います。
今後は読み取り精度をさらに向上させることで、処理フローにおけるAIの比重を増やしたり、購入履歴や決算書といった様々なビックデータ解析などサービス向上のためにどんどんAIを活用していきたいです。
垣根のないコミュニケーションで連携する事業部と開発部
―機能改善や新規開発などのアイデアはどのようにして生まれるのですか?
古賀)
特に機能改善に関する課題感は、お客様や開発チームが抱えていることが多いんです。事業部側はそれらの課題や改善の方向性を抽出してアイデアに変換し、企画やコンテンツを考えています。「悪いから変える」のではなく、「より良くするにはどうしたらいいか」というマインドで開発チームの皆さんと進めています。現状に満足するのではなく、常により良いサービスにしていきたいですね。
三本)
事業部と開発部のミーティングは週1回ペースで行っており、ミーティングを設定しなくても、普段からチャットで密に連絡を取り合いながら進めています。機能の新規開発などのタスクは毎年出てくるものなので、今期の目標を定めてお互いがそこに向かって進んでいくというスタイルです。
その他にも、チームによっては事業部側が使用する業務システムを開発しています。この場合、システムの動きが怪しいときに事業部から連絡がきて、原因を調べて返答するというようなサポートは毎日ありますね。細かい改善要望が日々あるので、そのタイミングで直接聞いて、開発に活かしています。
―機能開発には開発チームからの意見も反映されているんですか?
古賀)
かなり取り入れています!開発チームからは事業部側が気付かないような、費用感やリスク管理といった側面も踏まえた率直な意見をもらっています。
たとえば「サーバーのスペックはこの時期ならこのくらいにした方がいいんじゃないか」、「アプリはこのタイミングでリリースした方が反響はいいんじゃないか」など、常に能動的な意見が出ています。こういった開発者の意見は非常に貴重で、サービスにもかなり厚めに反映されています。
―開発チームが掲げる目標を教えてください。
三本)
「カルク」の最終地点はなんといっても確定申告です。システム作りを目指すのではなく、確定申告をスムーズに終わらせるということが何よりも大切で、それが開発側の目標ですね。それに対してシステムでどうサポートできるか、真に必要な機能は何かを考えて開発しています。
新しいサービスの展開も視野に。今後のビジョンと新しいメンバーへの期待
―事業の今後のビジョンを教えてください。
古賀)
今は会計システム「カルク」がメイン事業ですが、今後は会計サービスを必要としない方々に向けたサービス展開も視野に入れたいと思っています。
というのも、エフアンドエムグループでは「サービスの水道哲学」という考え方を大切にしているからです。個人事業主や中小企業に対して、「水のごとく当たり前のように、価値あるサービスを低コストで提供することができれば、社会はもっと活性化するのではないか。」
これがグループの代表である森中の言葉です。
カルクサービスの利用者は確定申告することが前提なので、たとえば確定申告が必要なくなったときには必然的に退会されてしまうことになるんです。ですので、会計に限らず社会のニーズを汲み取って、確定申告が不要になった方々にも喜んでいただけるようなサービスが提供できたらと考えています。
―これから入社を希望するエンジニアへメッセージをお願いします。
三本)
ただ依頼されたから作るというのではなく、自分たちもサービスに対して積極的にアイデアを出して、一緒に良いものを作っていこうという姿勢が持てる点はやりがいです。自分たちの発信で新しい機能が生まれるような環境って、システム開発の現場ではなかなかないんじゃないでしょうか。
積極的に、前向きに、楽しみながら新しいことやりたいと思える人が来てくれるとうれしいです。技術に対して強いこだわりがあることよりも、事業としてまずサービスの成功を考えられるような感覚を持っている人が合っていると思います。とはいえ「この分野だったら任せてくれ」なんて強みがあると尚いいですね。
一緒にサービスを良くしていける人をお待ちしています。
―古賀さん、三本さんありがとうございました!