この記事では「過去20年間で企業が求める人物像はどのように変化したのか?」をご紹介します。
■20年前に求められていた人物像
現在、日本企業は失われた20年を経て、グローバル競争の中で存在感を失いつつあります。
かつては「ジャパンアズNO.1」と評価された時代がありましたが、いまや、中国をはじめとする新興国に追い抜かれていき、このままいくと国際的地位は下がる一方ではないかと危惧しています。
「ジャパンアズNO.1」と言われた時代において、企業が求めた人物像は、「明るく、勤勉で、まじめで、協調性があり、従順である」といった人物像でした。それは、高品質の製品を大量に生産すれば売れるという当時にニーズに合致したものでした。
■企業が求める人物像の変化
しかし、時代は激しく変わりました。
製造現場はIoT等でオートメーション化が進み、オフィス業務に関してもITが仕事を代替するようになりました。定型業務は機械に任せるほうが早くて安くなったのです。
現在の企業が求める人物像は、機械にはできない能力を備えた人材です。知恵と人間力と技術の3つを兼ね備えた人材を求めています。それぞれの能力の特徴と習得方法と詳しく見ていきます。
■求められる人材条件①「知恵」
まず、知識と知恵の違いを説明します。
知識は「物事を知っていること」。知恵は「物事の道理を判断し適切に処理する能力」です。知恵は機械にはできないことは明白です。
知恵は、知識をインプットし、自分のなかで咀嚼と昇華を行い、その時の状況に合わせてアウトプットすることで生まれます。
私が私淑する柴田励司さんは、これを「インプット→スループット→アウトプット」と表現しています。
このインプット、スループット、アウトプットにはそれぞれに必要なスキルがあります。
インプット:情報収集能力、読解力。
スループット:ラテラルシンキング、ロジカルシンキング、クリティカルシンキング
アウトプット:プレゼン能力、交渉力、対話スキル。
このように個別具体的なスキルに落とし込むことで、私たちはひとつずつスキルを習得することが可能になります。
■求められる人材条件②「人間力」
次に、人間力ですが、魅力、迫力、底力に因数分解して考えます。
人間的魅力とは、見た目の魅力・愛情・世話力・人間関係力などです。
人間的迫力とは、情熱・パワー・使命感・責任感・真剣な取り組み姿勢・本気度です。
人間的底力とは、度胸・包容力・立ち向かう勇気・ピンチを凌ぐ力です。
例えば、「人間的魅力」がある人物に対して、私たちは、一緒に行動したい、この人のために尽くしたいと思います。これが人間力の持つ効果です。どこまでいってもビジネスは人と人の営みですので、人間力は大切な能力になります。
習得方法のコツは「生身の人間と格闘すること」です。殴り合いのけんかをしろと言っているのではありません。他人と真正面から向き合うことで人間力を磨かれていきます。古典などを読んで聖人君子になったような気持ちになる人もいますが(これ私です・・・)読書と現実では大きな隔たりがあります。
■求められる人材条件③「技術」
最後に、技術にはいろんな分野があります。
工学技術、IT技術などの理系分野もあれば、語学、コミュニケーション、会計、法律等の文系の分野もあります。
これらの技術は繰り返し行うことで習得することが可能です。高齢になれば習得に時間がかかりようになりますが、何歳からでも技術は習得できます。
このことはスズキメソードという教育法にて証明されています。
■まとめ
いかがでしたでしょうか。
この20年間で、企業が求める人物像は大きく変わりました。
これからの時代は、知恵、人間力、技術を持った人材が求められています。機械に代替されることがなく価値のある人材として活躍を続けることができます。
あなたのキャリア戦略のご参考になれば幸いです。