「千葉銀行傘下のAIベンダーとして、希少価値の高いAI人材リソースを地域社会に還流させる社会インフラでありたい」
エッジテクノロジーは2024年12月10日、株式会社千葉銀行により完全子会社化。地域経済の中核を担う千葉銀行傘下のAIベンダーとして、経営体制が大きく変わりました。エッジテクノロジーの強みや目指すべき姿は何か、そして社員に求められるものとは。2024年12月10日付で代表取締役社長に就任した島田雄太に話を聞きました。
国内最大級のAI人材ネットワークや地銀の子会社ならではの財務基盤が強み
――エッジテクノロジーの強みや、他社にはない特徴について教えてください。
国内最大級のAI人材データベースを有している点です。2014年の会社設立当初からフリーランス向けの案件掲載サイト「BIGDATA NAVI」を運営しており、フリーランスを中心としたAI人材の獲得に成功しています。また、当社はAIベンダーとして自社でAI開発を請け負うことができるため、案件の目利きができるという点も当社の強みです。
加えて、他社にない特徴を2点お伝えします。
1つ目は、銀行の100%子会社であるため財務基盤が安定しており、中長期的な視点に立った経営ができること。2つ目は、地域社会にアクセスするネットワークを有していることです。
親会社の千葉銀行はTSUBASAアライアンス(経営統合によらない地銀広域連携の枠組み)の参加行であるだけでなく、横浜銀行や武蔵野銀行とのパートナーシップを提携しています。このように、千葉銀行は他行との連携に積極的であるため、アライアンス行を通じて日本全国を当社の営業圏内にすることが可能です。少子高齢化が進む本邦において、「希少価値の高いAI人材リソースを提供することで、データ活用を推進し、地域社会の生産性を向上させる社会インフラでありたい」。それが千葉銀行のグループ会社である私たちが目指している姿です。
――目指す姿を実現するため、具体的にはどのような取り組みを進めていくのでしょうか。
当社が「社会インフラ」になるためには、地域社会の経済を支える地域金融機関との協業がかかせません。当社は銀行業に精通したAIベンダーに進化する事が求められています。
現在、当社は千葉銀行が保有するビッグデータを活用して、銀行業務に特化したAIモデルを開発しています。千葉銀行では、お客さまをより深く理解するため、広範なデータをデータ分析基盤に蓄積し、お客さまごとに個別最適化したマーケティングを実現するべく、AIの活用を進めています。
TSUBASAアライアンスの参加行はIBMが提供する基盤システムを千葉銀行と共有しているため、当社が千葉銀行のために開発したAIモデルを容易に提供することが可能です。TSUBASAアライアンス行との協業を通じて、地域社会とのつながりを深めていくことができれば、当社のAI人材データベースを地域社会にご活用いただける機会が自然と広がっていくと考えます。
――千葉銀行の子会社として、地域社会にどのように貢献していきたいと考えていますか。
地域社会は、様々な事業規模の企業が相互に補完し合いながら構成する生態系(エコシステム)です。従業員数やデジタルツールの活用状況、設備投資額は事業規模によって異なります。丁寧にお客さまの状況をヒアリングしながら、最適なソリューションをご提案することで地域社会の発展に貢献したいと考えています。
一般論ですが、大企業や中堅企業であれば、DXを推進する担当部署があるでしょうから、当社が保有するAI人材データベースから必要な人的リソースをご提供します。また、お客さまが保有するビッグデータを用いてAIを個別開発することもあります。当社が個別開発したAIの中でも、市場ニーズが旺盛なAIは、製品化します。製品化することで、サブスクリプションなど比較的安価にサービス提供ができるため、中小企業にもご利用いただくことが可能となります。AI教育サービスでは、大企業や中堅企業であればカスタマイズ型の研修、中小企業向けには自治体の公募案件を通じて研修を提供しています。
変化著しいAI業界では、「学び続ける」という姿勢を忘れてはいけない
――エッジテクノロジーの企業文化の中で最も大切にしている価値観を教えてください。
AI業界は日進月歩。日々新しい情報がSNSなどを通じて上がってきます。だからこそ、情報に対する感度や適応力の高さが非常に大切です。そのためにも、「自ら学び続ける」という姿勢を忘れないこと。私自身も、将来に不安を感じていた20歳の頃の自分が「一緒に働きたい」と思えるような人物になるため、時代の潮流に合わせて価値観をアップデートしていくよう心がけています。
プライベートに関しても、社員の皆さんにはワーク・ライフ・バランスを大切に、人生を謳歌してもらいたいです。それこそが勤労意欲や仕事の質の向上へ繋がると思います。
――社員に期待していることについて教えてください。
自分の置かれている状況を俯瞰的に見る癖を身に付けること。近視眼的なものの見方に囚われてしまうと、感情的で短絡的な判断を行ってしまうことがあります。俯瞰的に自分の置かれている立場を見る癖がついていると、例え感情の高ぶりを感じる場面に直面しても、少しの間を置いて冷静になることができます。そして、私たちの日常は、両親、家族、上司、同僚、お客さま等、私たちを取り巻く周囲の人々の支えによって成り立っていることに気づくはずです。
俯瞰的に自分を見る技術は、私たちの日々の意思決定の質を高めてくれるだけでなく、私たちを取り巻く人間関係を豊かにしてくれると思います。
「人が育つグローバル企業」に成長させていきたい
――今後、エッジテクノロジーをどのような会社に育てていきたいですか。
当面の目標は、エッジテクノロジーをグローバル企業に成長させること。少子高齢化による日本のプレゼンス低下を改善するためには、日本企業が海外市場で外貨を稼ぐ必要があります。海外の仕事を受注し、国内へ外貨を還流させるためにも、「当社が海外展開するにあたり、足りないパーツは何か」という課題に向き合っています。
また、エッジテクノロジーを「人が育つ組織」にしたいと考えています。そのために、目下、人事システムの改良に取り組んでいるところです。売上などのパフォーマンスと、千葉銀行が掲げる「Integrity」「Professional」「Challenge」の3つのバリューを評価指標として活用していきます。
人事システムは、社員の皆さんと一緒に作り上げていきたいです。一緒に作り上げていくことで社員の皆さんの納得感が醸成できれば良いと思っています。
――エッジテクノロジーに興味を持ってくださっている方へメッセージをお願いします。
ご入社いただくにあたり、AIの実務経験は必要ありません。
「前の会社で頑張ったけれども、上手くいかなかった」という方でも構わない。逆に、前職で厳しい経験をしている方が、当社で活躍しているようにも思います。「AIの領域で長期的にキャリアを見据えていきたい、それこそが自分のやりたいことなんだ」などと自分の頭で考え、語れる人材であれば大歓迎です。