今までの私
若いころは、外出が嫌いで、本ばかり読んでいました。学生時代には野田秀樹さんに憧れて、芝居に熱中し、脚本・演出・出演を担当しました。ひとつの劇団で開催するのではなく、プロジェクト毎に人を集める「プロデュース公演」を行っていました。
卒業後、予備校などを経営する会社に新卒で就職しました。そこで出会った先輩が、デジタルハリウッドの子会社(現DHE)にてデジタルコンテンツのプロデューサーをしていて、後にその方に誘われて子会社に転職しました。そのあと事業再編があり、親会社(デジタルハリウッド株式会社)に転籍したというのが経緯です。
デジタルハリウッドに入社してまず印象的だったのは、その変わった社名の由来が「ハリウッド・スタイル」から来ているということ。映画産業の中心地ハリウッドでは、一つの組織に所属して働くのではなく、プロジェクト毎にプロフェッショナルなプレイヤーを集めて仕事を進めます。これは私が劇団の公演を行っていたときに大切にしていたスタイルで、この考え方に共感した私は、デジタルハリウッドでの仕事にもすぐに馴染むことができました。
今の仕事
その後、人材育成コンサルティングと法人営業のマネージャーを担当し、現在では大学事業部の副部長として、「デジタルハリウッド大学大学院」の事務局長などを務めています。仕事内容としては、専門職大学院と産学官連携センターという、デジタルハリウッド大学の中の2つの組織の統括をしています。具体的には、院生の募集、カリキュラム開発、学事の企画・運営、研究推進、法人営業などのリーダーを担当しています。
主に社会人を対象とした大学院のため、授業が行われるのは夜の時間帯です。大学院と産学官連携センターを兼務している私は、午前中に設置会社(デジタルハリウッド株式会社)の会議への参加や法人営業を行い、院生・教員・入学検討者と会うために夜中まで居ることが少なくありません。当然、夕方以降は教室準備をはじめとするキャンパス運営で現場スタッフは大忙しです。やりたいことはいくらでもあり、人手はいつも足りないので私も含めメンバー全員で動きます。最繁忙期は土日も大事なイベントがあり、体力が無いと出来ないですね(笑)
やりがいも非常に大きいです。なんといっても、建学者本人(杉山学長)と仕事ができることが楽しいですね。100年続く学校の礎をつくる創成期ならではの楽しさ、厳しさ、苦しさがあると思います。何のため・誰のための学校で、これからどこに向かうのか、といったことをベンチャースピリットをもって直接話し合えるのは幸せなことです。一方で、企業理念にもあるとおり、自らも近未来の社会を見据え、学校のあり方・やり方を探求する者であり続けることが求められるので、強力なトップがいることに甘んじていては結局実力が発揮できないのではないかと思います。
院生も教員も実務家が多く、活動ひとつとっても変化に富んでいるので、 驚くような出来事が起きたり、想像以上の成果が出るのも楽しいです。アイデアの実装やスタートアップを支援する、広い意味でのビジネススクールですので、新しいものが生まれてくるような多様性を担保し続けることがとても重要です。そのためには、企画・運営側が内部の予定調和を自ら否定し、社会で活躍する院生・修了生・教員のパートナーとしてあらゆる挑戦を試みる姿勢を持ち続けたいと思います。
デジタルハリウッド株式会社について
社風としては、規律と柔軟性のバランスが良いな、と常々感じています。教育事業がどうこうという以前に紛れも無い客商売ですので、一般的な意味でお客様に対面させられないような言動・姿勢の人には不向きです。それは日常の業務に表れるので、言葉遣いや清潔さへの配慮といったことの水準は、決して低くはないと思います。同時に、カジュアルでリラックスした雰囲気で、働きやすい職場と思います。特に服装に決まりがあるわけではなく、それぞれのスタイルで働いています。先輩から大学院の仕事を引き継いだときは、「何を着てもいいが、おしゃれであれ」というようなことを言われたことを覚えています。
意外だったのは、結構アナログな仕組みが多いことでしょうか。「デジハリのオフィスは完全IT化されているんでしょう?」と思われがちですが、そうでもありません。1対1のコミュニケーションや、既存の文化を大切にしているので、効率的ではないと感じる場面もあるかと思います。そのあたりの改善も含めて、新しく入社される方と一緒に考えていくことができればと思っています。
これからどうしたいか
今後は、大学院の仕事としてはMBA、MOTなど、他の学校と連携した取り組みに挑戦したいです。企業派遣にはもっと力を入れて、企業内の新規事業開発への貢献度を高めたい。また、中長期で取り組むアジェンダですが後期博士課程にも興味があります。差し当たりの目標は、Webサービス、IoTプロダクト、VR・AR、テクノロジーカルチャー等の実装とスタートアップによる学発ベンチャー数で私立大学1位になることです。研究費や設備は限られていますが、デジタルハリウッドグループ全体のシナジーで様々な支援が実現できるはずです。
哲学者のホワイトヘッドは、「大学とは冒険の拠点であるべきだ」と語ったそうです。単に通うための学校ではなくて、そこから新しい探求に挑む足がかりでありたいです。失敗すれば戻ってきて、また支度を整えられる。そういう実践的なビジネススクールであるためには、カリキュラム、環境整備、現場のホスピタリティなどまだまだたくさんの課題があります。一緒に学校づくりできる仲間に出会えたら嬉しいです。