海外から旅行に来られた方に向けて、プライベートツアーを提供している当社。英語でコミュニケーションを取りながら、自ら高級車を運転して観光地を巡ります。
ただ、当社のようなスタイルのツアーはまだ珍しく、どんなツアーなの?と聞かれることも多々あります。そこで今回は、国内外で団体ツアーのアテンドを18年していた旅行のプロ、浮田さんが実施したツアーに密着してみました!
【プロフィール】浮田 孝(うきた・たかし) 47歳
18年間、旅行会社の添乗員として海外・国内を飛び回る。観光の知識や英語スキルを活かし、地元福岡で腰を据えて働きたいと考え転職。2016年5月、国内外VIP対応や観光ツアーをおこなう、「株式会社 福岡ハイヤーサービス」の立ち上げメンバーとして入社。コンシェルジェドライバーとして活動しつつ、マネージャーとしてメンバーのフォローやアサイン、労働環境の整備を担っている。好きな言葉は、「焦らない・腐らない・うぬぼれない」。
【大稲自動車・福岡ハイヤーサービスについて】
創業1950年、歴史ある企業でありながら、タクシー業界にイノベーションを起こし続けている。10年以上前から先駆けてプレママタクシー・こどもタクシーを開始。2016年には国内外VIP向けのツアーサービス、行政・地元企業との共同プロジェクトを手掛ける福岡ハイヤーサービスを設立。2018年8月には、国内大手も未だ実現していない米国リムジン会社との資本提携を実現。大稲自動車から福岡ハイヤーサービスへのキャリアアップ以外にも、海外勤務というキャリアルートも確立中。
「あえて、細かくプランニングしない」というニーズ
――まずはツアーの概要から教えてください!どのようなお客様だったのですか?
はい、フィリピンから観光に来られた、50代の女性8人組みのお客様でした。日本は何回も来られたことがあるという日本好きの方々で、本州の主要観光スポットは行ったことがあるので今回は九州を回りたいというご要望でした。
4泊5日のスケジュールだったのですが、決まっていたのは宿泊先とざっくりとした観光地だけ。海外にはバックパッカーという文化もあるように、「細かいことは現地に行ってから決めたい」というニーズも結構多いんです。今回もかっちり決めずに現地で色んなもの食べたいというご要望があり、ランチや細かい観光スケジュールは決まっていなかったですね。
<巡った主な観光地>
・長崎(平和公園・26聖人記念館・グラバー園・大浦天主堂)
・大分県(別府地獄めぐり、湯布院、由布岳)
・福岡県(柳川の川下り、舞鶴公園)
▲柳川の川下り
臨機応変ってハラハラドキドキ。リアルタイムで“旅行”をつくっていく
――なるほど!確かに決まっていないからこそのワクワク感がありますね。ただ浮田さんとしてはハラハラではないですか(笑)?
そうですね(笑)、それが面白さでもあり難しさだと思いますね。事前にリサーチしてある程度の想定をしておき、状況に応じて臨機応変に動いています。
ランチを例に挙げると、ランチの時間帯に訪れることが決まっている観光地の周辺や、移動ルートにあるお店を調べておいて、お昼時になったらお客さんに提案して決めていくという感じです。
単にその観光地の名物料理を紹介するのではなく、好き嫌いや夜のメニューと被らないように配慮しながら、英語でコミュニケーションを取っていきましたね。
――お食事は好みや国柄も関係するので難しそうですね。実際に、どんなお店に行ったのですか?
「回転寿司に行ったことがないので行きたい!」というお話になって、現地で知名度のある回転寿司にご案内しました。日本ならではのシステムにとても楽しそうにしてくださいましね!
ただ、英語のメニューがなかったので、8名のお客様から「これは何の魚?」と次々に質問が飛んできて大忙しでした(笑)。説明できないような魚も多かったのでどうしようかと思ったんですが、そのお店のHPを開いて写真を見せながら伝えたところスムーズに伝わって。こういうちょっとしたハラハラも旅行の面白さですよね。
他には、その土地の郷土料理が食べられる居酒屋にも行きました。
ここでちょっと焦ったのは料理の順番。フィリピンの方は食事の順番にこだわりがあるようで、おかずを食べる前にスープとご飯を食べたいとのことでした。日本だと居酒屋ではご飯は〆という流れが多いですし、居酒屋なのでメニューにスープがなかったんです(汗)。
お店の方にご相談してなんとか揃えることができて、お客様も「よかった~!こうせんとダメなんですよ~」と喜んでくださいましたね。料理は、つくねがとっても美味しいと興奮されていて、こういう姿を見れることが楽しい瞬間です!
団体ツアーとプライベートツアー、どちらも経験したからこそ感じる違い
―光景が目に浮びますね!浮田さんはお客さんの要望に応えようという気持ちが人一倍強いと思うのですが、それがお客様のリピート率にも表れていますよね。お客様が自国の人に紹介してくれて予約が入ることもありますし。そのホスピタリティの源は何なのでしょうか?
単純に、喜んでもらうのが好きなんだと思います。
ツアーに同行しているのは自分だけなので、ハラハラしたり焦ったりしても1人でなんとかしないといけない難しさもあります。ただ私の場合、お客さんが楽しそうに笑っている姿を見ると、全部チャラになっちゃうんです。
また、プライベートツアーという点は自社ならではのポイント。ニーズに合わせてプランニングできるのは自社だからこそなので、団体バスツアーとの違いは出したいと思っています。
例えば、桜がキレイな時期だったらちょっとルートを変えて桜並木を通ってみたり、その日しかやってないイベントがあったら興味があるか伺ってみたり。お客様の希望があればご案内できるように、日頃からイベントや観光地の情報収集をしていますね。
前職で団体ツアーの添乗員を18年していたらからこそ分かるのですが、旬な情報は団体ツアーにはなかなか入れにくいものなんです。
――前職の団体ツアーの添乗員と、今の違いはどのようなところでしょうか?
一言で言うと、自由度かなと思いますね。
どちらが良い悪いではなく、それぞれ役割が違うと思うんです。添乗員の役割は、滞りなくスケジュール通りにツアーを進行すること。旅行をアレンジすることは求められておらず、もしお客様からご要望があってもできる・できない・追加料金が必要という調整をしていきます。
一方で、今のコンシェルジュドライバーの仕事は、完全にフリー。お客さんがOKであれば何でもやることができます。自分でプランニングから運転までするので余計に自由度が高くなっていると思いますね。夕暮れ時に夕焼けスポットを通るように調整してよく見えるように左車線を走ってみたり、車窓からイベントのショーが見えるようにスケジューリングしたり。スケジュールには入っていないような付加価値を自分で付けることができるんですよね。
食事も、郷土料理・ローカル名物・お客様が食べたいもの・自分が興味のあるものをキャッチしておいて、自由に案内できますしね。
世界中に、「タカ」と呼んでくれる人の輪が広がる
――普段からわざわざルートを変えてまで、お客様のために桜並木を通ったりされていますよね。浮田さんのホスピタリティと下調べはすごい…!今こういうイベントやっているよ、寄れたら寄ってみるといいかもね。などとメンバーにもシェアしてくれたり。
細部まで心配りをしながら5日間ずっと行動を共にしていたわけですが、お客さんとの別れの時はどんな感じだったんですか?
最後は、別府から福岡空港への移動で、割と長めのドライブでした。その車内で、「フィリピンの音楽が聴きたい」とリクエストがあり、私がiPadで音楽を流して全員で大合唱!有名な曲のカバー曲だったので、私もサビは英語で一緒に歌って、最高に楽しい時間でしたね。
海外からのお客様はみなさん「タカ」とフランクに呼んでくださるのですが、今回のお客様も「タカ、また今度九州に来たら一緒に旅行しようね!」と言ってくださって。
毎回ツアーの最後は記念写真を撮らせてもらっていて、今回も一緒に撮らせていただきました。
――今回のツアーの振り返り、今後に向けて一言お願いします!
毎回、ツアーの振り返りはするのですが、反省は多々あります。
今回で言うと、回転寿司での魚の名前をもうちょっと英語でスムーズに回答できればよかったなとか。
また、かっちり決まり切っていないスケジュールの中で動くので、常にいくつかの選択肢の中から選んで行動しています。なので、あの選択がよかったのかな?もし別な選択をしていたら…と考えます。
どの選択が良かったのかは結果論なので分からないと思うのですが、その場に合わせて最適な選択をするためにも、これからも引き出しを増やしていきたいですね!
福岡にいながら世界と繋がり、九州の魅力を発信!
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