2022/12/13〜2022/12/16の4日間、プロトタイプ展示とトークセッションによる価値共創のハブとなる『IDEATIONS Vol.1』by D2C ID IMG SRC STUDIOを開催いたしました。実機初公開となるものを含んだ自社開発のプロトタイプ計8点(体験展示4点、映像展示4点)の展示と、全4回のトークセッションを実施。実際に皆さんにご体験いただきながら、制作背景・技術面についてご説明させていただきました。今回の記事では『IDEATIONS Vol.1』での展示についてご紹介いたします。
『IDEATIONS』とは
社会の環境や価値観が大きく変化する時代において、様々な課題や理想を超えていくための、クリエイティブとテクノロジーのアイデアを生み出すイベントとして発足しました。ご来場される皆様と次なる価値を見出し、共創の可能性を探っていくことを目指しています。
FLIP-DOTS (フリップドッツ)
皆様を最初にエントランスでお迎えしたのが約2m×2m のFLIP-DOTSです。FLIP-DOTSとは、磁気で反転する複数のドットで構成されたアナログ感覚のディスプレイデバイス。複数のユニットで使用することで、一般的なディスプレイでは味わえない、音と視覚効果を作り出すことができます。
今回は『IDEATIONS Vol.1』のために作成したアニメーションにて展示いたしました。
Wipe Fake(ワイプ・フェイク)
「結露した窓をガラスに指で落書きをする」といった誰もがやったことのある体験を、透明ディスプレイを使って疑似体験ができるプロトタイプ。IMG SRCのR&D活動「μProto」の透明ディスプレイを使ったハッカソンをきっかけに生まれたアイデアです。
結露した窓に落書きをしてはいけない・指が濡れてしまうというネガティブな要素を、デジタル表現によりポジティブな体験へと変えています。デバイスは、透明ディスプレイ「SURU」と赤外線タッチボックスを使用。リアルな表現にこだわった水滴の滲み方や雫の垂れ方は、Unity Shaderを用いて制作しています。透明ディスプレイを複数つなげての演出も可能で、ご来場いただいたお客様とこんな施設や場所に置いてあると面白いのではないか?とアイデアをお話する場面もありました。
KOTOBARA(コトバラ)
処分がしづらく、処分することに罪悪感を持ってしまいがちな「手紙」。捨てにくい手紙に新しい価値を与えることで、ネガティブな行動や感情をポジティブなものに昇華できないか?という、私たちが生きている中で感じる些細な行動や感情に着目し、感情起点から生まれたアイデアです。手紙をシュレッダーに入れると、言葉が瞬時にアーカイブしてビジュアライズされます。今回は処分して無くなってしまう物が新たな命となり生まれ変わることを、裁断された紙は土に、言葉はきのこの胞子に変化することで表現しました。
手書き文字の検出にはIntelが提供する高性能のAIツールキット「OpenVINO™」を活用。文字位置検出・文字認識・形態素解析・ポジネガ判定をおこなっており、ポジネガの判定により演出を変えています。
Ground Surfacer for VPS AR(グラウンド・サーフェイサー・フォー・ブイピーエス・エーアール)
VPS(Visual Positioning System)ARを用いたデジタルツイン表現のモデルケースを実装しました。VPS ARとは、従来のようなマーカーに追従する形でサインやオブジェクトを表示させるものではなく、マーカーは不要、平面ではなく立体的に空間を認識することが可能です。Ground Surfacer for VPS ARでは、カメラからの画像情報とGPSを利用した位置特定から、現実空間に重なったミラーワールドをスキャンして認識するARを体験できます。
社内で行われたハッカソンにて、XR領域のなかでもVPS ARについて世間的にもまだ理解しづらいもので、どうにかわかりやすい表現や体験にできないか?という技術起点で開発が始まりました。
デジタルツイン表現と現実空間を馴染ませられるよう、UIデザインも工夫し視認性を担保。スキャンの操作性や気持ちよさの表現も工夫しました。実際に展示会場では皆さまにスキャンの体験をしていただきました。
PIC(ピク)
今回初登場となる「PIC」は、実空間の色データを取り込みリアルタイムにWeb上に反映させるAR体験ができるプロトタイプです。tensorflow.jsによる機械学習物体検出と8thWallによるWebARの技術を使っています。実空間に存在する色情報をAR上のキャラクターが読み込み、その色に合わせて変化する、リアルとバーチャルを連動させたAR体験が可能です。
今回はAR上のバーチャルキャラクター「PIC」と、実空間に「PIC」のお皿のオブジェクトを用意し、そこに載せた果物の色に合わせて「PIC」の体の色が変化するという演出をお愉しみいただけます。スポイトで吸い取った物体の陰影も細かく読み取ることが可能。また専用のアプリは不要でWeb上でARを体験することができます。
今回のプロトタイプはデザイナーが新しいキャラクター「PIC」を制作したことをきっかけに、エンジニアとアイデアを出し合い、キャラクターの特性を活かした表現の探究と、社会実装に向けたプロセスの中でWebARの作品として昇華させました。
FEATURED WORKS
過去に開発・展示をしたプロトタイプ4点も、今回映像にて展示しました。
ライブ配信映像とシンクロする新しいAR視聴体験ができる「LIVE / AUG」、5G搭載のスマートフォンで操作する「5G RC Car」、光のシャトルが都市を超える新感覚バドミントン「SPACE LIGHT SHUTTLE」、都市データの波に乗るデジタルサーフィン「BIT EAVE SURFIN’」を改めてご説明させていただきました。
・「LIVE / AUG(ライブォーグ)」
・「5G RC Car(ファイブ・ジー・アールシー・カー)」
・「SPACE LIGHT SHUTTLE(スペース・ライト・シャトル)」
・「BIT WAVE SURFIN’(ビット・ウェーブ・サーフィン)」
『IDEATIONS Vol.1』の2日目と3日目の夜に、合計4つのテーマのトークセッションを開催しました。トークセッションの詳細は改めて記事にてご紹介いたします。
私たちIMG SRC STUDIOは、今まで培ってきた体験創造領域に加えマーケティング領域を含んだ統合的なコミュニケーションやメディアコンサルティング、ブランドデザインとフィールドを広げ、クライアントの皆様の真のパートナーとしてご一緒できるよう、未来思考とクラフトマンシップを磨き続けていきます。
D2C IDのIMG SRC STUDIOにご関心をお寄せいただけましたら、ぜひこちらよりご連絡ください。
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