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「自分たちで会社をアップデートする喜び」を知った。大企業のSEが未経験の営業職へ飛び込んで感じたこと。


サイボウズのソリューション営業部に所属する前田小百合さんは、前職の外資系大手IT企業でエンジニアとして活躍した後、未経験から営業職として入社しました。


「エンジニアとしての豊富な経験があるのに、本当に営業でいいんですか?」


入社前の面接では何度もそう聞かれたそう。ある意味ではキャリアをリセットすることになる転職で、年収などの条件の変化も避けられない……。それでも前田さんが入社を決めた背景には、「子育てと仕事の両立」と「ユーザーの顔が見える役割」、そして「サイボウズの意思決定に関わっていくこと」への思いがあったといいます。


前田さんが転職によって得たものは何だったのでしょうか。そのストーリーを聞きました。


(話を聞いた人)

前田 小百合(まえだ・さゆり)さん





インターネット技術に魅せられ、新卒で外資系大手IT企業に入社。顧客のビジネスを支えるIT基盤を構築するシステムエンジニアとしてキャリアを積み、3 人の子どもの出産と職場復帰を経験。2018 年10 月にサイボウズへ転職し、ソリューション営業部へ配属。2021 年9 月からは社長室の「学校の働き方改革プロジェクト 」にも参画している。



外資系大手で感じるようになった「2つのモヤモヤ」


――前田さんは新卒からずっとIT業界なんですね。


前田:私は日本でインターネットが広まっていった時期に学生時代を過ごしていました。「インターネットってすごいな」と純粋に思っていたこと、海外にも興味があったことから、外資系大手IT企業に入社したんです。また、結婚や出産を経た後でも仕事を続けられるよう、システムエンジニアとして確固たるスキルを身に着けたいという思いもありました。


――その外資系大手IT企業で約20 年のキャリアを積んだ前田さんが、転職を考えるようになったのはなぜですか?


前田:「2 つのモヤモヤ」がありました。

ひとつは子育てと仕事の両立です。出産を機にバックオフィス業務へ移っていく同期も多いなか、私は3 人の子どもの出産を間に挟みながら、エンジニアとして顧客先へ行くことを続けていました。


システムを作っていればトラブルや不具合は避けられません。そうなると部署のメンバーは残業して遅くまで働き、どうにかして対応せざるを得ない。だけど私は「子どものお迎えがあるので」と、平謝りしながら帰宅していました。周囲の人たちは私に配慮し、気持ちよく送り出してくれるのですが、後ろめたさはどうしても拭えなくて。


もうひとつのモヤモヤは、仕事そのものに関することです。システム基盤を作る仕事は、きちんとしたものを粛々と作ることが求められます。「ちょっとこれを試してみようかな」は許されないんですね。そうした環境に、徐々に面白みを感じられなくなってきていました。


同時に、自分の作っているシステムが「誰の、何の役に立っているのか」が分かりづらいとも感じていました。どんなシステムの基盤を作ったのかはもちろん知っていますが、ユーザーにどんな価値を届けられたのかを実感しにくいんです。そのため、ユーザーの課題解決に直接携われる仕事がしたいと思うようになり、フロントに立つ営業職に興味を持ち始めました。



『チームのことだけ、考えた』の失敗談に心を動かされた


――転職先としてサイボウズを選んだ理由は?


前田:3 人目の子を出産して育休を取っているときに、青野さん(サイボウズ代表取締役社長:青野慶久)の著書『チームのことだけ、考えた』を手に取ったんです。この本を読んで、サイボウズのカルチャーのもとで、サイボウズの目指す社会を、青野さんやサイボウズメンバーと一緒に実現したいと思うようになりました。


そこまで心を動かされたのは、社長の青野さん自身が失敗談を含めて赤裸々に綴っていたからだと思います。本にはやりたいことも、まだ実現できていないことも書かれていました。


「サイボウズという会社は、失敗を重ねながらも、社長も社員も一緒にチャレンジを続けている会社なんだ」「みんなで議論しながら、みんなで成長していける、その一員となりたい。」そんなふうに思ったことを覚えています。


それから本格的に転職活動を始め、サイボウズの「キャリアBAR」などにも参加して社員さんたちの話を聞き、ますます魅力を感じていきました。前職時代のモヤモヤを踏まえて、営業職でエントリーしました。


――ひとつ、突っ込んだことを聞きたいのですが……。大手でエンジニアとしてキャリアを積んできた前田さんが、未経験の営業職としてサイボウズへ転職する場合、年収などの条件面での変化は避けられなかったと思うんです。そこに迷いはありませんでしたか?


前田:たしかに、未経験の職種へのチャレンジだったので、前職時代と比べて年収は下がってしまいましたね(笑)


でも迷いはありませんでした。これからの職業人生を考えると、1 日の大半を過ごす仕事の内容には妥協したくないと思っていましたから。子育ての忙しさもあるからこそ、「どんなふうに自分の時間を使うか」については、より真剣に考えるようになっていました。


そういえば、面接での忘れられないエピソードがあるんです。


サイボウズの面接で栗山さん(執行役員 営業本部長 兼 事業戦略室長)と話したときのこと。栗山さんから「前田さんはエンジニアとしての豊富な経験があるのに、本当に営業でいいんですか? 」と何度も聞かれたんですよ。転職によって私のキャリアステージがリセットされることを、本気で心配していただいたみたいです。


「営業をやってみて、もし合わないと思ったら、サイボウズのインフラ系の部署に移ることもできますから」とも言ってもらいました。誰かを採用するということは、一つの人生を受け取るということでもあるんですよね。それを真剣に考えている会社なのだと思いました。




「セクショナリズム」や「システム運用」の苦労が分かるからこそ、役に立ちたい


――現在はどのような仕事を担当しているのでしょうか。


前田:ソリューション営業として、サイボウズ製品についてのお問い合わせをいただいたお客さまから課題をヒアリングし、その解決に向けて kintone の活用を提案しています。


kintone はさまざまな活用方法がある、いわば守備範囲が広い製品であるだけに、お客さまからはどんな課題が飛び出すか分かりません。たとえば「営業組織の課題」といっても、新規顧客に関することなのか、既存顧客に関することなのかだけでもまったく違いますよね。だから私たちの仕事は、ヒアリングを丁寧に行うことからスタートするんです。


――そうした意味では、お客さま側からお問い合わせをいただいたからといって、すぐに受注できるわけではないんですね。


前田:はい。まっさらなところから課題を理解し、お客さまに合う方法を提案していくので、短期間で受注できることは多くありません。受注後には「誰が作るのか」も考えなくてはなりません。予算規模やリソースに応じて、お客さまによる内製をサポートしたり、開発パートナーの会社をマッチングしたりするのも私たちの大切な仕事です。


――前田さん自身は、営業としてどんなことに力を入れていますか?


前田:お客さまの規模は中小企業から大企業までさまざまです。


私自身は大企業に勤めた経験があり、大企業ならではのセクショナリズムのようなものにも直面してきました。だからこそ同じような課題を持つお客さまの力になりたいと思っています。


また、システムを作ってきた身としては、システムを自社で持つことの大変さ、運用・メンテナンスの苦労を深く理解できます。その上でクラウド製品を提案できることは、私自身の強みだと感じています。







意思決定のプロセスから関わり、熱量を一緒に高めていける


――前職と比べて、職場の風土や文化も大きく変わったと思います。前田さんはサイボウズのどんなところに魅力を感じていますか?


前田:サイボウズでは一人ひとりの個人が積極的に情報を発信しているので、別部門からのアナウンスがあった際にも、「あの人のことだ」と、情報と人をすぐに結び付けられます。前職にはそうした情報発信の文化がなかったので、人を知る機会が圧倒的に少なかったように思います。


「人」が見えないと、チームワークを感じるのが難しいんですよね。


サイボウズでは社長の青野さん自身もメッセージをどんどん出してくれるので、とても身近に感じますし、思いの熱さも伝わってきます 。会社方針についても自分ごと化して落とし込むことができています。


――「思いの熱さ」とは?


前田:青野さんが新しいアイデアを考えたときには、その内容がどうすればみんなに伝わるか、どうすればみんなの心を動かせるかを深く考えて発信しているのだと思うんです。逆に言えば、サイボウズの社員は基本的に「社長が言うから」だけでは動きません。その分だけ社長は大変なのかも……と感じることもあります(笑)。


そういえば社内には「青野さんの頭の中を整理する会議」という場もあるんですよ。青野さんが考えているアイデアを共有し、みんなの意見を取り入れてブラッシュアップしていく会議で、ボツになるアイデアもたくさんあります。ここには特に参加資格はなく、興味のある人は自由に入れます。


そうした意思決定のプロセスから関われて、熱量を一緒に高めていける環境は、他の会社にはなかなかないと思います。事業をしっかりと軌道に乗せ、経済的な安定性を確保しているからこその取り組みなんです。



共有カレンダーにも、遠慮なく「保護者会」の予定を入れられる


――子育てと仕事のバランスについても教えてください。


前田:うちの子は、上が中学生2 年生、真ん中は小学3 年生、下は年長になりました。これから順番に受験や新入学のタイミングが訪れるので、今までよりも大変になるなぁ……と覚悟しています。今年度はPTA活動にも積極的に参加していて、平日に会議が入ることもあるので忙しい日々です。





ただ前職と違って、サイボウズでは、プライベートな用事で勤務時間中に抜けることについて「申し訳ないな」と感じることがありません。自分で自由にスケジュールを管理し、抜けた分の仕事は別の時間で挽回すればいい。そして、別の時間でも間に合わないようであれば働く時間を見直せばいい。そんな考え方が当たり前になっています。だから遠慮なく、仕事用の共有カレンダーにも「保護者会」などの予定を入れられるようになりました。



――前田さんは現在、社長室の「学校プロジェクト」にも参加しているんですよね。これはどのような取り組みなのでしょうか。


前田:社長室のプロジェクトは、解決すべき社会課題や、サイボウズがまだプレゼンスを発揮しきれていない分野の課題に対して、解決策を提案していく取り組みです。私は子どもが3 人いるので学校の教育環境にも関心があり、「学校をチームワークあふれる場所にする」という活動趣旨に共感して参画しました。


このプロジェクトは、学校の働き方改革がテーマです。 学校の先生たちはさまざまな志を持ちながらも、日々の業務が忙しすぎて取り組めないことに悩んでいると思うんです。そうした現状を棚卸ししながら、「誰も取り残さずに多様な子どもたちの学習機会を保障できる」状態を学校の先生たちと一緒に作っていきます。サイボウズのコンサルティング部門であるチームワーク総研とも連携し、先生たちにどんどんアプローチしていきます。


ソリューション営業としての「やるべきこと」を意識しながらバランスを考える必要はありますが、他部署のプロジェクトにも関われることはモチベーションアップにも繋がりますね。







自分たちが働く場所を、自分たちでアップデートしていける会社


――前田さんは、サイボウズの営業にはどんな人が向いていると思いますか?


前田:自分で考え、自律して動ける人だと思います。


サイボウズでは、指示された目の前の仕事を正しく実行するだけでは「活躍している人材」になれないかもしれません。チーム全体を見ながら、今の自分たちにはどんな活動が必要なのかを考える。そんな動きが求められる会社だと感じます。


サイボウズは「チームワークあふれる社会」を目指して活動していますが、そこで働く私たち自身も、チームワークよく働ける環境を作るためのチャレンジを続けているんです。一つの課題を解決しても、また新しい課題が見つかる。そうやって常に満足することなく、自分たちが働く場所を自分たちでアップデートしていける会社です。


以前の私のように、こうした環境を求めている人も少なくないと思います。共感していただける部分があれば、ぜひ一緒に活動していきたいですね。



企画   :サイボウズ営業人材開発部

取材 / 執筆:多田慎介

撮影   :小林 陸

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