人材不足の時代、1名の採用に1000万を超える予算をかけても、25%しか定着しないとも言われる昨今、社員のエンゲージメントは会社にとってさらに重要とされるようになってきた。エンゲージメントとは、会社人事分野では、社員の会社に対する思い入れや愛着心、愛社精神のことである。エンゲージメントの高い社員は、業績、株価、すべてにおいて数字が高くなるという結果も出ている。
TBSの情報番組「がっちりマンデー」で取り上げられた「儲かる社内コンテストNO.1」では、社員エンゲージメントを高めるユニークな取り組みをする企業にフォーカスが当てられた。
起業から10年間で95%のビジネスが廃業すると言われている現状で、生き残れる企業は少ない。その中、生き残っている会社のユニークな社内コンテストが紹介された。株式会社アデランスの女性用ウィッグのヘアスタイリング技術を競う社内コンテスト、株式会社タイトーでは顧客対応とゲーム機扱い技術を競う社内コンテスト、そしてカゴメでは社内検定「オムライス検定」が会社業績を大きく上げている。
カゴメの社内の「オムライス検定」は、社員の自社製品に対する理解と関心を高める目的を、検定級を昇給に反映させることで成功させている。カゴメの主力商品のトマトケチャップは基礎調味料であるため、爆発的な売り上げにはならない。そこで直接的な販促を強化するのではなく、社員の自社商品へのエンゲージメントを高めることを優先した戦略は見事である。
オムライスはトマトケチャップを大量に使う料理であり、オムライス料理を社内から普及していくことで、最終的にはトマトケチャップの消費を上げることが目的であるが、一見すると社内で行われる料理検定が売り上げに速結するのはわかりにくい。しかしながら、社員のオムライス検定導入から同社のトマトケチャップの売り上げは6年で13%13億の増収を記録した。調味料業界ではこの6年間では味噌の消費は16%減、塩の消費は27%減と落ち込んでいる中でも快挙である。
社員エンゲージメントは強要されて構築されるものではない。会社には、自社事業の取り組み、社会的使命の共有、そして従業員の幸福度につかながるモチベーション向上のタスクを与える義務がある。エンゲージメントはそこから社員が自ら作り上げていくものである。どのような規模の企業においても、組織力やエンゲージメントの高さは業績を左右することは明白である。社員が自社製品を楽しみ、愛用し、商品を使うエキスパートになるというエンゲージメントは、かけがえのない会社の財産となるだろう。