経営コンサルタントに求められるものでは何だと思いますか?「クライアントの売上を上げること」その答えは間違っていません。けれど私たちは、売上以上に大事なものがあると考えています。コンサル業界の“今”と“これから”について、ベテランの横山光孝に伺ってみました。
昔のコンサルは兼業スタイルがほとんどだった
――コンサル業界は、どのようにできてきたのでしょうか?
コンサルは今でこそ独立した業界だけど、昔は会計事務所が会計処理をしながら経営に関してもアドバイスをしたり、広告代理店が別事業としてやっていたりという兼業スタイルがほとんどでした。そこから派生して、経営戦略を軸にした事業として大きくなり、コンサル業界ができたんです。
そして業界内で細分化し、求人や営業などジャンルに特化したコンサル会社が出てきました。大手の会社こそ手広く総合的にやっていますが、中小規模は特化型が多いですね。
大手は経営者とやり取りしないのが当たり前、当社は経営者とやり取りするのが当たり前
――横山さんは大手のコンサル会社出身ですよね。どういう特徴がありますか?
そもそも大手の場合、コンサル先も大手の場合が多いんですね。そして一緒に仕事をする相手は、部長や課長で、経営者とやり取りすることはまずありません。さらに言えば、課せられたミッションは経営のコンサルではなく、経営の一部分を活性化するためのコンサルです。会社全体を見ることは多くありません。
まれに会社全体を見る場合も、8人程度のチームで分担します。なので、やはり1人が会社全体を見ることはありませんね。
――当社と大きく異なる点ですね。
そうですね。当社は、1人でその医院全体を見ますし、経営者である院長と直接やり取りしてコンサルするので、そういう意味では1番大きな違いと言えるでしょう。私が担当している医院だと、50人規模と大きいところはありますが、そういう医院でも1人で担当し、院長とやり取りしています。
ちなみに当社のように経営者とやり取りするメリットは、行動もレスポンスも早いことです。例えば相手が部長の場合、何をするにしても上司の許諾を得る必要がありますよね。時間がかかるし、そのための資料作成が必要になる場合もある。コンサル以外の部分に労力を割かないといけません。
当社は直接経営者とやり取りするのでその手間はなく、コンサルだけに集中できるのがいいですね。
相手にまず共感し、それからアドバイスする
――今の時代、コンサルに求められるものは何だと思いますか?
会社自体を変えていったり、次の行動をおこす活力になることが、これからより一層求められるようになると思います。
ひと昔前は、情報やノウハウの提供がコンサルの大きな役割でした。けれど今は、インターネットで誰もが簡単にそれらを入手できる時代。情報やノウハウ提供の割合が多いコンサルは必要とされません。
大事なのは、情報やノウハウをしっかりと医院に落とし込み、医院やスタッフの意識を変えていくことです。
――そこに求められるのは何でしょうか?
私は相手との共感力だと思います。コンサルタントって、院長や幹部スタッフと医院の課題や問題点について打ち合わせしてると、問題解決思考になるんですよ。「その原因はこうだから、解決するためにはこうした方がいい」とか。でも、それをそのまま口に出したらダメ。上からの物言いになりますし、院長や幹部スタッフも真剣ですから「そんなのわかってるよ」と反感した気持ちになってしまいます。
ひと呼吸して、まず同じ立場になってみてください。対面するのではなく、横に並ぶイメージです。そしたら気持ちが変わってきませんか?一緒に頑張っていこう、一緒に結果を出していこうって。これこそが共感力。きっと伝え方が変わってくるはずです。
この共感力を持った上で、ノウハウを医院の状況や院長の人柄、考え方に合わせてカスタマイズし、成果を出すのが今、そしてこれからのコンサルのあり方ではないでしょうか。
IT化とのバランスを取りつつ、各々が一層の成長をしないといけない
――では、この先のコンサルに求められるものは何でしょうか?
どの業界もIT化は当たり前になっていますが、コンサル業界も同じです。しかし、対人の仕事ですから、現場に行かないとわからないものもあると自覚しなければなりません。正直、そこを分別できている会社とできていない会社があるなと感じています。
例えば、歯科医院で口腔内のレントゲンを撮ることがありますよね。レントゲンを撮るために患者さんを誘導したりセッティングするのは基本的にスタッフの仕事ですが、レントゲンのスイッチはX線検査の資格を保有する医師が押さなければならないと法で定められています。
けれど、患者さんはレントゲン室に入っていますので、誰がスイッチを押しているかは見えませんよね。なので、医師が押しているのにスタッフが押していると勘違いされ、「この医院はスタッフがレントゲンのスイッチを押していたぞ」など、口コミでデマを流されてしまう恐れがあるのです。
そういう現場のリアルな姿って、現場を見ていないと絶対にわかりません。見ているからこそ、「患者さんに先生が押したって伝わるように、ひと言『今から押しますよ』と声をかけるようにしましょう」と指導できるのです。もし、ビデオ面談などで済ましていたら、医師の「きちんと僕が押していますよ」という言葉を信じるのみで終わり。口コミでデマを流されることを防げないでしょう。
これはあくまで一例。現場を目視して初めてわかることは本当にたくさんあるのです。ITを活用するのはいいことですが、コンサルタントは自分の目や足を使うこととのバランスを意識し続ける必要があります。
――当社の今後において、課題はありますか?
クライアントである歯科医院の規模が大きくなった場合に対して、社全体として備えられていないことですね。規模の大きい医院のコンサル方法を確立したり、歯科医院のスタッフを教育する方法を考えていく必要があります。
今は、その医院に伺った1日で全員と面談ができていますが、規模が大きくなりスタッフ数が増えれば、それも難しくなるかもしれません。接する相手も、経営者や幹部スタッフだけになる可能性もあります。そうなると、経営陣とスタッフの距離感が広がりかねません。そんな事態を防ぐためにコンサルタントは、これまでやっていたことをスタッフの誰かができるように教育したり専門のスタッフを採用する必要があります。
また、規模が大きくなると、経営に関わるスタッフとして事務長を雇用する必要があります。その事務長の役割について院長にアドバイスするのもコンサルタントの役目です。
共に働く仲間を探しています!
当社では、経営に関わることなら何でも取り組めるので、経営コンサルタント以上の力を身に付けられます。少しでも興味をもってくださった方、まずは一度フランクにお話しませんか?会社のこと、あなたが目指していることをざっくばらんにお話しましょう!
経営戦略研究所 株式会社では一緒に働く仲間を募集しています