2016年6月7日付で、Syn.ホールディングス株式会社の連結子会社となったConnehito株式会社(以下コネヒト)。
今回は、同じくSyn.ホールディングス傘下のSupership株式会社で取締役をつとめるnanapi創業者 古川健介氏をお招きし、コネヒト代表大湯との対談をお届けします。
0から起業し事業をつくり上げた二人が、スタートアップ運営の裏側と両社の今後の展望を語ります。
ママリではなく、もともと違うサービスで起業していた
大湯:けんすうさんに初めてお会いしたのは、3年前ぐらい前、Creattyというクリエイター向けのサービスをやっていた頃でしたね。代々木にオフィスがあったときに、確かランチをご一緒したのが最初だったと思います。
古川:そうですね。ちなみに、コネヒトで、サービスの立ちあげは2つ目になるんですか?
大湯:はい、ママリで2つ目です。
古川:Creatty時代と、ママリ時代とで、何か変わったことってあります?
大湯:Creatty時代、採用をすすめてサービスや会社を大きくしていくぞ!というところまでやれてなかったと思います。ある意味、最初は学生+αみたいな感じで起業して、そのときはメンバーが4〜5人いたのですが、プロダクトがマーケットフィットするところまでいきませんでした。
PDCAをぐるぐるまわしてみてはいたものの、サービスや会社を拡大するところまでいけなかった。当時はマーケットフィットについて意識できていなかったのですが、ママリではマーケットフィットができるようになって、サービスもチームも大きくしていけるようになりましたね。
ピボットして、ママリの立ちあげ
古川:ピボット(※ ベンチャー企業において、既存事業をやめて新しい事業に転換すること)しようとしたとき、社内はどんな雰囲気だったんですか?
大湯:今思えば、本当に異常な感じだったなと思います。冷静に考えると、当時、古びたオフィスで男3人集まって、医学書を広げながら妊娠・出産記事をひたすら書いてる画はやばいと思います(笑) でもやることは明確に定めていて、エンジニアも含めて「つわり」「妊娠◯週」などのテーマの記事をとにかくたくさん書いていました。
ただ、ピボット前後はやっぱり悩みましたし、サービス撤退は勇気のいることでした。2年半かけて創ってきたサービスを、おしりを決めて「やめる!」と宣言しまして。当然、徐々に準備はしていましたが、取締役間でやめることを決めたあと、どういう風にやめる空気を作っていくか、今後何をマイルストーンにするか… など難易度が高いことも多く、予定より3ヶ月くらい伸びてしまいました。
そこから悩みながらも次の芽を出さなければいけない、と試行錯誤を繰り返していたと思います。ピボットしたことでやるべきことを明確にでき、必死ながらも健全に前をむいて進んでいけたのかなと思います。
古川:ママリをやっていくうちに、だいたいどのあたりのタイミングで「いけるかも」と思ったんですか?
大湯:常に「いける」と思うし、常に「やっぱりいけない」とも思っていました。矛盾してるかもしれませんが(笑)
ママリは最高のサービスになれると思って創っていて、家族が生きていくなかの意思決定を支えることのできるサービスという点で「いける」と思っていましたし、今もそう思っています。保険・住宅・転職など、人生にとって大きな意思決定にママリが実際に影響を与えていることもわかって、大きなチャンスがある!と感じました。一方で、そういったチャレンジングな市場だからこそ、一歩間違えればうまくいかないとも思います。その不安は、ママリを始めた当初から変わってないです。
スマートフォンしか使わない多くの女性は、常にライフスタイルや健康とかに対して悩みがあると思います。しかも多くの場合、検索して整理された情報をただ読んでも悩みは解消されないんです。何かに共感し納得することで、悩みが解消されていく。そこのニーズが確実にあると思っていました。だけど、そのテーマ設定をして果たしてうまくいくのか、ビジネスとして大きくできるのか、という不安は常にありました。
(かつて社員数が10名にも満たなかった頃の、渋谷オフィスでの集合写真)
大湯:むしろ、けんすうさんに逆に聞きたいですが、nanapiをずっとやってこられたなかで常に不安な面とかあったんじゃないかなと思いますが、どうでしたか?
古川:まったく同じです(笑)。1日のうち、6回ぐらい「これはいけるでしょ!勝った!」っていう瞬間と、「これは潰れる…」という瞬間がありましたね。疲れますよね、1日にありすぎて…。
大湯:それ誰かに伝えていました?壁打ち相手とかいましたか?
古川:他の取締役のメンバーや、小澤さん(nanapiへエンジェル投資をした、個人投資家。現ヤフージャパン株式会社執行役員)や高宮さん(グロービス・キャピタル・パートナーズ)など外部の株主と壁打ちしてました。よく「勝ったね!!」って話してましたね。
でも、どちらかというと僕は「あまり長く考えててもしょうがない派」の人間です。最近はよく、アウトプットで会話したほうがよいな… と思っています。考えている時は、すげーいいアイディアだ!と思うんですが、実装して触ってみた瞬間、「これは違う・・・」とよくなったりするので。
サービスを伸ばしてきたモチベーション
古川:ところで大湯さんは、何が一番モチベーションなんですか?
大湯:いくつかあるんですけど、けっこう恩返し欲が強いと思っています。1回サービスを変えていて、有り体に言えば、失敗していて。そのときに、無償のアドバイスや情報をくださる方がたくさんいました。「全然いけてないな…」と自分では思いながらも、周りは「大丈夫だから!」と言ってくれるみたいな。そういった周りの人の無償の愛に報いたい、と常に思っていました。この言葉だけ見ると美談に見えますが、裏返すと、ただただ恥ずかしいというか。そんなに言ってもらって成功しないと「情けない」「顔向けできない」というのが本音でした。そこは常に表裏一体だと思っていまもモチベーションになっているんです。
あとは単純にインターネットが好き、楽しい、というのが大きいです。良いWebサービスを創りたい。ママリQでは「産まれました!」っていう出産報告の投稿を、赤ちゃんが産まれてから1時間後にしてくれているユーザーがたくさんいます。しかもそれに知らない人からどんどん「おめでとう!」ってコメントがついて。楽しいし、ワクワクします。
古川:子供が産まれた1時間後に想起されるサービスになっているわけですか。すごいですね。
大湯:こういうことを体験として起こせているのは、すごく嬉しいことだなと思っています。
古川:素晴らしいですね。
(ママリQには、たくさんの出産直後のお子さんの写真が投稿されています)
いかに接触時間を増やせるサービスになれるか
古川:これからメディアを立ちあげますっていう人や、メディアを運営している人にアドバイスするとしたら、どういうアドバイスをしますか?
大湯:僕は「接触時間」が大切な概念だな、と思っています。名前をどれだけ覚えてもらえるかが重要です。ママリでいうと、メディア(ママリ.jp)とアプリ(ママリQ)、あとは在宅で仕事を提供をする場所(ママリサポーターズ)の3つのサービスを創っています。
短期収益化目的だったら、記事を大量生産するロジカルな仕組みを作ってメディアのトラフィックを増やせば、それが見栄えが一番いいです。そのうえでアドネットワークなどの自動化広告を入れて、短期的に収益を大きくできると思います。でも、アプリ開発にメディアの3〜4倍くらいのコストをかけていて、ママリ事業ではメディアだけでなく、大きくアプリに投資をしています。それは、ママリというサービスをめがけて時間を使いに来る人を増やすという狙いがあります。
他にも、FacebookやInstagramにも、すごい力を入れています。ユーザーが起きてる時間のなかで、何回ママリって単語を思い出してくれるかということを大事にしています。それを指標としてサービスを創るのが良いのではないでしょうか。
古川:なるほど。そういうメディアや、サービスを作りたいとき、どうやってコンテンツを作っていくのが良いと思いますか?
大湯:人の生活に入り込んで考えることじゃないかな、と思います。1日に密着して考えてみて、たとえば「朝起きて何するんだろう」「で、じゃあ昼過ぎに子ども寝かせて何するんだろう」と。ママリって夜がトラフィックのピークタイムなんですけど、寝かしつけたあとの瞬間にギュンってあがるんですよ。その時間に、はじめてちょっと自分の時間がとれて、少し心が緩んで、インターネットに接触する時間が増えるんです。そのときのシーンに「ユーザーは何をみたいのかな」というのを考えぬくべし、だと思っています。
さっきの質問に戻ると、いわゆる自分たちがサービス提供したいと思うような、ペルソナみたいな人たちの生活パターンを知るのかなと思います。
(実際にママリQに寄せられたママの声)
大湯:けんすうさんだったら何をアドバイスしますか?
古川:僕だったら、メディアをすすめないです(笑)。 メディアをやるのは、メディアに向いている性格かどうか、というのがあると思います。。メディアって労力の割のリターンが実は少ないので、そういうことに気づかないタイプが良いのかもしれません。僕はメディア業が好きなので、やってます。
大湯:メディアの運営って意外と地味なので、まじめじゃないと難しいかもしれないですね。積み上げ型の思考が好きな人は向いていると思います。
古川:1記事書いただけで、すぐに変わることってないじゃないですか。1000記事でやっと効果が目に見えてくる。飽きないタイプが良いのかなぁ、と。
大湯:パッと見、外からはそう見えないんでしょうね。伸びてきたぞ!って水面に出てからしか見えないんだと思います。
古川:何かメディアって楽しそうだし、みんなPV稼いでいるから、簡単そうに見えるんですよね。。 そして、たしかに、1記事書くのは簡単なんです。ただ、それはコンテンツを作っているのであって、メディアを作っているわけじゃないんですよね。メディアは、とにかく地道に積み上げていくしかないので、それができる人であれば向いているかもしれません。
CGMのキュレーションが面白い
大湯:けんすうさんが手掛けるCGM(消費者が生成するメディア)だと、nanapiとアンサーがあるじゃないですか。アンサーは、よりコミュニティ寄りというか。そこってどういうすみ分けや整理をしてるんですか?
古川:僕の中ではそこはつながっていたりもします。たとえば、アンサーは 匿名のコミュティサービスなんですが、これはメディアをつくる1つの手段にもできるんですね。
2010年くらいには、nanapiワークスっていうライターさんのクラウドソーシングのサイト作ってたんですけど、それもメディアをつくるために、コンテンツを作る手段です。まだクラウドワークスとかない時代だったのですが、ライターのためのクラウドソーシングサービスをを持ってて、自分たちでお金はらってユーザーの投稿集めるために作りました。、ただ、今はランサーズやクラウドワークスが大きくなってきているので、クラウドソーシングで記事を集めるのはどこでもできちゃいます。さらに、キュレーションメディアも、ネット上から取得できるものはソースが同じなので、誰が作っても同じようになってしまうんですよね。
だから面白いネタがちゃんと集まって、それを自分たちのメディアだけで使える場所、としてのアンサーの役割としては大きいです。
大湯:実は今の話にはすごい親近感があって、なぜかというと、ブログで「アンサー劇場やります」っていう記事を書かれてたじゃないですか。その前後くらいで僕らもママリQっていうQ&Aアプリをやってたので、「ママリQまとめ」を作って効果検証をしていて。全部が全部うまくいってるわけではないですけど、わりと良い方向に進んでいますし、アンサー劇場を見ていてすごく勇気づけられたのを覚えています。笑
古川:なるほど。一方でメディアはPVが伸びるまでに時間がかかるじゃないですか。なので、最初はPV数を見ないで、記事数だけを見るようにしていたりしました。
アンサー劇場は編集長がすごくセンスがよくて、しっかりしている人なので、その人が面白いって言わないと出せないという基準のもと、そこに達する記事をどれだけ作れるかというのをやってます。僕が記事をほとんど作らずに立ち上げるメディアになっています。
大湯:面白いですね。今もそんな感じですか?
古川:ほぼノータッチです。それで結構順調に伸びていますね。
大湯:アンサー劇場を見に来る人の導線ってどこが多いんですか?
古川:検索が多いですね。あんまりバズることを中心に考えてないです。あえて、はてなブックマークを狙わないようにしてます。
大湯:面白い。
これからママリをどうしていきたいか
古川:これからママリをどういう風にしていきたい、とかありますか?
大湯:いまママリのユーザーでいうと、スマートフォンしか持っていない層ばかりなんですよ。パソコンなんてないし!みたいな。むしろPC持ち歩いてたら「えっ、なんでパソコン持ってるんですか、大変ですね!」っていう人たちばっかりなんですよね。その人たちが生活していくなかで、家を買ったり、保険に入ったり、復職をするとか、大きな意思決定って山ほどあります。そのなかでスマートフォンは、情報収集とか意思決定にとって大きな役割を果たすデバイスだと思ってます。
でも、ユーザーがいまスマートフォンを使って意思決定している現状と、まだまだスマートフォンで出来ることとのギャップがあると思っていて。ユーザーが家族として大きな意思決定をしていくなかで、そういったギャップをママリでカバーしていきたいです。どういうことかというと、大きな意思決定って、情報収集して冷静に考えて車を買う、家を買うっていう側面だけではなく、「雰囲気でなんとなくこれがいい」という感覚の捕捉がすごく大事じゃないですか。後押しやムードが必要なんですよね。そのとき、コミュニティとか感情に訴えかけるプラットフォームってすごく大事だと思っています。だから口コミが強いと思いますし、そういうところをちゃんとカバーしていきたいと思っています。
古川:いいですねぇ…!ママリの雑誌を作るとかもアリですよね。
大湯:そうですね、紙も大事だし、イベントとかも本当にやりたいです。ぜひお力を借りたいと思ってるんですが、ママリを使うようなユーザー層って、外出したい人たちだから「動く」んですよね。楽天のママフェスとか、メルカリのフリマとか、動く人たちってあの層なんですよね。
古川:なるほど。そういえば最近、The First Penguin(※起業を目指す人向けのメディア)で「起業をあと押しナイト」っていう、起業したいけどできない人を後押しするイベントをやったんですね。テーマがニッチなので、そんなにこないだろうと思ってたら、一瞬で埋まりました。「なんとか入れませんか」っていう問い合わせが非常に多くきたんですね。。渋谷ヒカリエの会議室で開催したので、定員100名程度だったんですけど、キャンセル待ちが同じくらいいまして。有料のイベントだったのに、です。
大湯:すごい!100人も来たんですか。みんな起業したいと思っていて、後押しして欲しいんですね。
古川:それで、イベント後にアンケート取ったら、ほぼすべての人が満足という結果でした。情報がきちんと届いた、という意味ですごく良いイベントだったと思います。
大湯:いいですね、そういうイベントやりたいですね。
古川:イベントとか雑誌とか、より情報が届く側のメディアいいですよね。
大湯:そうですね。それこそ「1日のなかで何回ママリを思い出してもらう」じゃないですけど、Webだけだと接触回数が限られるんですよね。たとえば産婦人科にママリの本がポン、ポン、ポンと置いてあることで、そこからマインドシェアをとれるでしょうし。そういうことをやっていかなければいけないな、と思っています。
どうしてSyn.ホールディングス/Supershipとママリで一緒にやっていこうと思ったのか
古川:我々は、まず、日本で影響力が非常に高い総合インターネット会社になりたいと思っています。その先に、世界の大きなネット企業と戦えるぐらいになるといいなって思います。
そのなかで、人生においてライフステージが変わっていく瞬間の大事な領域でユーザーに価値を届けられるパートナーとしてコネヒトと一緒にやっていけるといいよね、っというそんなイメージです。
大湯:そうですね。僕らは終始一貫「ライフイベントごとの、家族の意思決定」をテーマにしたいということをずっと言い続けていて。そこがバチッと合致していると感じたのがSyn.ホールディングス/Supershipでした。僕らのやりたいことを肯定してもらった気がしていて、そこがすごくよかったなと思っています。
実ははじめは他の会社様も含めて、シンプルな資金調達を前提として動いていたんです。が、森岡さんを始めとしたSupershipの方々の見ている未来が、自分のやりたいことと一致したことにワクワクして、気づいたら今回の形になっていました。笑
すごく難しい領域だから、一筋縄ではいけない。そこへのチャレンジにKDDIグループという後ろ盾があって、思いっきりサービスが創れるなと感じています。
古川:いいですね。 ママのユーザーがたくさん集まっているので、インターネットの中だけじゃなくて、生活そのものをよくするようなサービスも展開できていくといいですね。その中で、Supershipとか、KDDIと一緒にすることで、今までできなかったチャレンジもできればいいなと思っています。
大湯:KDDIは銀行から保険まで広くカバーしていますし、ある意味普通じゃ出来ない座組みを持ってるところなんか、本当にやれること多いなと思っています。何か頑張れば、単独では難しい領域に手が届く。そのあたりのチャレンジングなことが、僕ら次第で取り組んでいけるのかなと思ってます。
古川:やりましょう!
どういう人と一緒にやりたいのか
(現在のコネヒトの集合写真。社員数は約40名ほどに)
古川:コネヒトでは、どういう人と一緒にサービスを創っていきたいですか?
大湯:弊社は今ってまだ、全体で40名弱、フルタイム13名で、まだスモールなチームだと思っています。「良いサービスを作りたい」っていう人が多くて、たとえばエンジニアだとコード書くのが好き、ということ以上に、その向こう側にあるユーザーの体験とか、この製品が出たらどんな良いことが起きるんだろうとワクワクする人が多いです。
弊社は「人の生活になくてはならないものを作る」というのが会社のミッションなんですけど、サービスを創るということのさらに向こう側に、より「体験をつくる」というか「生活のインフラを作りたい」というような、ちょっと抽象化したところにモチベーションを感じてくれている人ばかりだなと感じています。
インターネットを使って社会の土台にチャレンジしたい、というところはすごくうちの組織のなかで多分にあると思いますし、そういう人と一緒にサービスを創っていけたらと思っています。
古川:採用するとき、候補者のどのあたりをみているんですか?
大湯:2つあって、1つ目は、やっぱり「圧倒的にいいやつか」っていうところをすごく見ますね。人として善いかどうか。一緒にベンチャーでガッツを持って働くなかで、尊敬できて、いい人、というところをすごく大事にしています。
もう1つは「サービスに対する愛があるか」ですね。僕らが提供しているサービスの価値、平たく言えば人口を増やすことがママリというサービスのテーマで、「家族が生きていくなかのライフイベントにまつわる悩み事を解決したい」「その体験を通じて、良い家族像を作りたい」ということに対して、パッションを感じているか。話をしていて、自分のキャリアアップの手段としてコネヒトを考えている人ではなくて、サービスを純粋に良いと思うような動機がどれくらい強くあるか、が大事だと思っています。
古川:今足りない人ってどういう人なんですか?
大湯:2つあるかなと思っています。私たちのサービスって特に感情とか意思決定という、うつろいゆくものをテーマにしているサービスだと思っていまして、かつ、スマートフォンのアプリにしては珍しく、投稿量や中身が濃いテキストや情報があがってくるサービスです。1つの課題に対して、いわゆるチャットではなく、課題に対してより深くアドバイスする側面があります。だから、すごくたくさんのデータが集まってきます。
なので、1つ目としては、そのデータをちゃんと道筋たてて活用する、ということをやれる人が足りないなと思っています。◯◯地方にすんでて、△歳の子どもがいる人が、どういう質問をして、どういう会話の流れのなかで、保険に対して納得感を醸成して資料請求します、っていうところまでわかるんです。そういった意思決定がうまれるまでに、どういう傾向で話をしているのか、ということが見えるだけのデータが集まってきているなと感じています。そこに道筋をつけてあげるような、データを使って、どういう人が納得するのかというところを科学するような人たちが、ものづくり側で入ってきて欲しいなと思ってます。
もう1つは、やっぱり私たちのサービスの1つの理想として、クックパッドのように利益構造的にユーザーにも支えてほしい、と思っていて、実際にユーザーの「ファン度」をお金に変えていく、それは別に汚い意味ではなくて、「ファン度」が高まり、それが極まったところで課金する、というイメージです。そういう転換点をつくる人に入ってきて欲しいな、と思ってます。
古川:なるほど。データアナリストっぽい人とか、ユーザー課金まわりを見れる人に来てもらうと助かる、ということですかね。
大湯:そうですね。そういった領域が出来るようになれば、壁を超えられるかな、みたいなことを思っています。知り合いで、「一生クックパッドに課金する」って宣言してる人がいるんです(笑) 「私は料理が得意ではなかったのにクックパッドで料理ができるようになって、今の旦那さんは私の料理が好きになってくれて結婚した」ということらしいです。だから、クックパッドに一生課金し続けると。体験を買ってるというか、恩に対してお金を払ってるんですよね。
古川:ロイヤリティが高い、ということですね。
大湯:そういうのすごいな、って思います。うちのサービスでいうと、たとえば生まれる瞬間の不安を、安心に変えるというところだと思います。ユーザーの「ファン度が極まる」ような体験をつくっていけたら良いなと思ってます。
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以上、前編ではママリの立ちあげから今後の展望についての対談を中心にお送りいたしました。
後編では、メディアの未来やコミュニティサービスを運営するうえで大事に考えていることなど、メディア・コミュニティ全般についての対談をお届けいたします!
⇒後編はこちら
■ もっとコネヒトのことを知る
CTO インタビュー:
https://www.wantedly.com/companies/connehito/employee_interviews/3848
ディレクターインタビュー:
https://www.wantedly.com/companies/connehito/post_articles/27832
エンジニアインタビュー:
https://www.wantedly.com/companies/connehito/post_articles/27524
■ プロフィール
古川 健介
Supership株式会社取締役。
1981年6月2日生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。複数の事業立ち上げを経験後、2009年にHowtoサイト「nanapi」を運営する株式会社ロケットスタート(のちの株式会社nanapi)代表取締役に就任。2014年10月よりKDDIグループにジョインし、2015年11月にnanapi等グループ企業3社が統合してSupershipが誕生、同社取締役に就任。
大湯俊介
Connehito株式会社代表取締役社長。
1988年生まれ、慶應大学卒。在学中にアメリカ留学を経て帰国後の2012年にConnehito株式会社を創業。
2014年より、同社にて「人の生活になくてはならないものを作る」というミッションのもとママリ事業を開始。2016年に同社はKDDIにグループ入りし、KDDI子会社のSyn.ホールディングスのもとで引続き代表取締役社長を務める。