入社からちょうど1年を経過したメンバーは、今何を思うのでしょうか。
就職活動時や入社当初、社会人としての1年間で、どんな学びを得たのか。 2023年4月に入社した8名に話を聞いていく全4回のシリーズ。今回は、学生時代から独自の切り口でのデザインを探究してきた田中くるみとコミュニケーションデザインを軸に他領域でもデザイナーとしての可能性を広げる坪久田千春がお話しします。
/登場人物:株式会社コンセント| Content Design group デザイナー 田中くるみ
愛知県立芸術大学美術学部卒業。在学中は UX/UIなど幅広くデザインを学ぶ。2023年にコンセントに新卒入社。ウェブ・紙など媒体を問わず、コンテンツディレクションをメインに業務に携わる。
/登場人物:株式会社コンセント| Strategic Design group デザイナー 坪久田千春
京都芸術大学情報デザイン学科卒業。在学中は、「つなぐこと」をテーマにコミュニケーションデザインを学ぶ。2023年にコンセントに新卒入社。事業・サービス開発にかかわるリサーチやワークショップのサポートなど、幅広く担当している。
・ まずは簡単に自己紹介をお願いします。
田中:
Content Design groupの田中くるみです。
クライアントの課題解決のために、どのような見せ方・切り口であれば情報が伝わるかを考える、コンテンツディレクションを担当しています。 学生時代のはじめはファインアートに興味をもっていたのですが、ゼミの先生との出会いから、リフレーミングの観点でデザインすることの面白さを知り、デザインの道を志すようになりました。
坪久田:
Strategic Design groupの坪久田千春です。
事業・サービス開発にかかわるユーザーリサーチやワークショップのサポートの業務をメインに、つくる力も伸ばしたいという思いからクリエイティブ系の業務も担当しています。
学生時代はコミュニケーションデザインを中心に学びながら、課題解決のアプローチとしてのデザインにも魅力を感じ、産学連携プロジェクトにも積極的に参加していました。 さまざまな領域で活動する中で、いろいろな人と対話しながら模索し形にしていくことが楽しくて、デザイナーの道を選びました。
・ コンセントへの入社の経緯を教えてください。
田中:
コンセントを知ったのは、コンセントで働いている知人から話を聞いたことがきっかけでした。
その中でもコンセントに入社を決めたのは、コンセントのデザインに対する価値観への共感と、面接での体験が大きな理由です。
学生時代に参加した産学連携ゼミの活動を通して、ノーマライゼーションな時代を肌で感じ、デザインも常に社会の動きをとらえて変化させていくことが重要だと考えていました。なので、「社会や時代の流れを常に肌で感じながら、社会や企業の問題解決を図る」というコンセントのデザインに対する価値観に共感したんです。 また面接では、自分自身のことをとてもラフに話すことができました。コンセントの採用のスタンスとして、面接を相互理解の場としてとらえているということもあり、リラックスした状態で自分の思いを伝えられる雰囲気があったのを覚えています。
坪久田:
私のコンセントとの出会いは、芸大生向けの就活サイトでした。
その中でコンセントへの入社を決めた理由として、私もコンセントのデザインに対する姿勢・考え方に共感したことが大きかったです。
私は学生時代から、デザインの先にいる人のことを知ることや、その人の顔を思い浮かべながらつくることが好きで、デザインはデザイナーだけのものではなくその先にいる人のためのものだと思っていました。 なので、コンセントのクライアントの課題に伴走する姿勢や、ユーザーファーストな考え方に強く共感したんです。コンセントでなら、自分のデザインに対する価値観を大事にしながら働けると思いました。 また、肩書にとらわれずさまざまなことに挑戦できる環境というのも大きな理由でした。面接のときにお話しした社員の方々が複数の肩書をもっていることが多くて。私もこんなふうにデザイナーとしての経験を積んでいきたいと思いました。
・ 学生時代までの経験や自身の強み・考え方など、今につながっているなと思う部分はありますか?
坪久田:
物事の意図やその構造、それが他者に与える影響について考えることは今につながっていると感じます。 例えば授業1つにしても、「なんでこういう授業設計になっているんだろう?」、「この授業は何を学びとして渡そうとしているんだろう?」など裏側や設計者の意図を考える癖がありました。そういった姿勢がクライアントの課題に対する踏み込みや理解に生きているのではないかなと。
田中:
私は、自分の強みである「独自の視点・観点を探し出し、それを切り口にものをつくる力」は今につながっていると思っています。学生時代から、社会的マイノリティにあたる方々の創作に興味をもち、その影響を受けており、大多数の人がもつ視点とは異なる視点を起点としたデザイン制作を意識的に行っていました。 「他と異なる切り口はないか?」と常に探求し続ける姿勢は、コンテンツ制作における編集の切り口を探す際に生きているように感じます。
・ 入社から1年経ちましたが、振り返ってみてどうですか?
田中:
1年経って、改めて先輩や同期に恵まれたなと思います。
先輩方にはときに厳しく、ときに温かくご指導いただき、手厚くサポートしてもらいました。例えば、週に1回開いているチューター(業務に必要な知識や技術をサポートする先輩メンバー)とのミーティングではプロジェクトで感じている課題について相談しています。課題を言語化する機会を設けてもらうことで自身の課題の解決に向けて、意識的に行動できています。
また、同期とはお互いに仲間意識をもって、気兼ねなくコミュニケーションが取れる関係になりました。 仕事の場面ではわからないことがあればすぐにミーティングをセットして話し合うことが多く、相談し合いながら良い仕事の進め方ができていると感じます。
坪久田:
私はとにかくあっという間でした。
デザインするって大変だ…!と日々感じています(笑)。当たり前ですが、できないことの方が多いですし、わからない、けどやってみるの繰り返しで、毎日ぶつかり稽古みたいだなと感じます。ですが、毎日学びがたくさんあってとても充実しています。理解しきれていなかったことに対して、こういうことだったのか!とわかる瞬間や、考えたり試したりしていく過程で光が見えてくる感覚は面白いです。いろいろな方とデザインできる環境の中にいることが嬉しいし、ありがたいなと感じます。
・ 入社前と比較して、変化や成長を感じる部分はありますか?
坪久田:
コミュニケーションへの意識はかなり変わったと思います。今でも完璧にできていると言える状態ではないと思いますが、クライアントやプロジェクトメンバーとの意思疎通を強く意識するようになりました。
例えば、自分が考えていることを相手に正しく受け取ってもらうためにはどう伝えるべきなのか、相手に確認する上でどのような返答が欲しいのか、その返答をもらうために何をすべきかなど、伝え方とそのための準備について以前より考えるようになりました。どんなデザインをするときも、コミュニケーションデザイン(ビジュアルデザインだけでなく人とのつながり方自体)が重要であり、アウトプットに直結するということを実感しています。
田中:
私も、コミュニケーションへの意識はかなり変わりました。自分1人ではなく多くの人と一緒に仕事をしているという意識が強くなったと感じます。
学生時代は、1人で制作することが多かったので、コミュニケーションの取り方を意識するのは最終の作品発表のときのみでした。 ただ、デザイナーとして働くようになってからは常にまわりとのコミュニケーションが求められるようになって。進捗共有の方法、プロジェクトメンバーへの声がけ、フィードバックの取りまとめ方、ミーティングの進行など、私自身の未熟な点が多いことを痛感した1年でした。 その中でも先輩社員・同期からはコミュニケーションのアドバイスをたくさんいただき、少しずつ改善していくことができたのではないかなと思っています。
昔は人とつながり、一緒にひとつのものをつくることに苦手意識をもっていましたが、自分にはないアイデアを取り入れることでよりよいものがつくり出せたり、他の人の働き方を知り取り入れることでより効率的な動き方ができるようになったりと、チームでものづくりをすることの良さが少しずつわかってきました。
・ 最後に、今後の抱負・意気込みを聞かせてください!
田中:
今後、仕事で挑戦してみたいことは2つあります。
1つめはユニバーサルコミュニケーションデザイン(UCD)の知識を生かしたコンテンツ制作です。今年の3月に個人のスキルアップ目的で、「わかりやすく伝えるスキル」を証明するUCDA認定2級の資格を取りました。資格取得の際に学んだ、情報の伝わりにくさの要因となるものを特定しそれを改善していくプロセスをアウトプットできる仕事をしてみたいです。
2つめは問題提起型のデザインアプローチである「スペキュラティブデザイン」に関連する仕事です。
スペキュラティブデザインを現在の業務にどう生かせるかはまだ見当がついていませんが、答えの出ないことに関してコンテンツという形で可視化することで、思索のきっかけをつくるといった取り組みは挑戦できたら楽しそうだなと考えています。
坪久田:
一緒に「掘る」人になりたいです。
私は「掘ること=知ること」だと考えていて、デザインをする上で「知る」という過程が全ての土台になると思っています。知る過程の中でその物事について深掘ったら、この分野にも関係していた、というような発見がたくさんあると思っていて、対話やリサーチ、プロトタイピングを通して、そういった発見をし続けたいです。
また、自分だけではなく他の人も巻き込んで考えられる人になりたいです。まわりを巻き込むことによって、よりよいデザインができるようになると思いますし、そんな人になるためにも、まずは自分から積極的にできることの幅を広げていきたいです。