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新卒入社1年目デザイナーの働き方。 プロジェクトを通して見つけた課題と理想のデザイナー像

入社して1年目の社員がどのような仕事をしているのか、気になったことはありませんか?
コンセントではどのような業務を担い、その中でどのような学びを得ることができるのか、実際のプロジェクトでの経験をもとに、新卒入社1年目のデザイナー安藤和佳に語ってもらいました。


/ 登場人物:株式会社コンセント|Creative group デザイナー 安藤和佳
多摩美術大学でテキスタイルを学ぶ。より多くの媒体のデザインに触れたいと思い2022年に新卒でコンセントに入社。現在はService Design部門Creative groupにて、コンテンツデザイナーを目指し働いている。

こんにちは!デザイナーの安藤です。
私は普段、社内報制作のプロジェクトや、自社記事や提案資料に挿入するイラストの制作など、ビジュアル制作を通じて情報や思いを伝達する業務を主に行っています。
中でも短い期間ながら濃い経験となったパナソニックオペレーショナルエクセレンス株式会社様(以下、パナソニック)q&dビジュアル制作プロジェクトへの参加で得た学びや気づきを紹介させていただきたいと思います。


q&dプロジェクトについて

パナソニックが展開するライフスタイルメディア“q&d”は、価値観が多様化する現代社会において、特にミレニアル・Z世代と呼ばれる若年層が自分らしいくらしを追い求める際に、よりどころとなる「問い」と「対話」の場を提供することを目指しています。
「これからのくらしを考える11の視点」をもとに特集が組まれており、今回はそのうちの1つ、「Lifelong Learning 常に学び続けたい」をテーマにした特集のメインビジュアルを作成してほしいというご依頼でした。
プロジェクトは、パナソニック、サイト全体や記事の企画・運用をされている株式会社インクワイア(以下、インクワイア)、ビジュアルデザインを担当するコンセントの3社体制でした。実制作からは、制作チームであるコンセントのパートナーとしてフォトグラファー、スタイリストの皆さんにもお力添えをいただきました。

プロジェクトの特徴

メインビジュアルは、コンセントから一方的に提案していくといった方法ではなく、クライアントとお互いのイメージを持ち寄り、アイデアを出し合いながらイメージを作っていきました。
ブレスト型のコミュニケーションは、見たことのない新しいビジュアルを3社で共につくり上げる上で欠かせませんでした。
そうして出来上がったのが、こちらのメインビジュアルです。

このプロジェクトでは、そういった共創型の制作に対応できる臨機応変さと、抽象度が高いテーマに対して自由に発想する頭の柔らかさの両方が求められました。
また、コンセントのデザイナーに加え、クライアントやスタイリスト、フォトグラファーがそれぞれの経験や感覚、得意な領域を持ち寄って1つのビジュアルをつくり上げていこう、という雰囲気のもとで生まれたワンチーム感も特徴だったと思います。

プロジェクト内での私の役割

柔軟性と発想力が求められる難しいプロジェクトの中でも、先輩デザイナーの佐々木が私に期待していることを都度伝えてくれたので、迷いなく思い切った行動をしていくことができました。
期待されていたことは主に下記の3つでした。

① 幅広いアイデアを出す
② クライアントに対し、物怖じせず発言する
③ パートナーとのやりとりを学ぶ


幅広いアイデアを出す
今までにない視座からテーマを考えていくことで、幅広いアイデアを出すことができました。
佐々木が、発想のきっかけとなる会話のテーマやリズムを作ってくれ、それに自分が積極的にのっていくことで自分1人ではできない発想も生まれたと感じています。
具体的には、「Lifelong Learning 常に学び続けたい」というテーマで考える前に、まず「常に学ぶとはどんな状態か」を2人で考えました。
それぞれ過去の体験や学びからテーマに関して感じたことを話していきながら、それらのエピソードや気づきがどんな視点の解釈になるかジャンル分けし、アイデアとして結びつけていきました。

そのようにアイデアを整理すると、抽象的な言葉が図解できたり、ビジュアルが想起される概念となっていったり、自分も今までとは違った視点でアイデアを出していくことができました。


クライアントに対し、物怖じせず発言する
ミーティングでは、ついていくだけで一杯一杯になってしまったり、気後れして発言できなかったりすることがあり、この点は大きく課題を感じました。
ただその分、できるだけ佐々木の発言を覚えよう、と意識するようにしていました。そうしていると、佐々木は先を予測し「きっとこうしたほうが良いだろう」を導きながら発言していることに気がつきました。
特に印象に残っているのは、ビジュアルのコンセプトが決定し、使用するモチーフを精査していく話の中で「ここから先はこちらで決め切らず、スタイリストに任せるべきだと思います」と提案していたことです。
その時ははっきりと発言の意図を理解することができていなかったのですが、実際に撮影までのやり取りを重ねるうちに、「プロであるスタイリストが自由に発想できるフィールドがあることで、アウトプットがより良いものになる」ということを意識していたのだと理解することができました。
このプロジェクトのように、先輩の発言1つ1つの意味を考えることでも、発言に自信を持つためのヒントを得られると気付くことができたので、今後も意識していきたいです。


パートナーとのやりとりを学ぶ
佐々木の「デザイナーはクライアントとパートナーを繋ぐ存在でいること」という言葉がとても印象に残っています。
特にその言葉を意識したのが撮影当日です。現場では、時間の制限があるため、飛び交っているさまざま立場からの視点やアイデアから、スピーディーに最適解を見つけていかねばなりません。そんな時に必要になるのが、その視点たちをつなぐデザイナーの存在なのだと、体感することができました。
プロジェクトを進行していくためにはクライアント・デザイナー・パートナーの三者が同じところに向かって進んで行く必要があります。そのために、「デザイナーはクライアントとパートナーを繋ぐ存在でいること」が必要なのだと、プロジェクトを通じて学びました。デザイナーにはそれぞれの思いが行き違わないよう、言葉を尽くして伝え、それぞれの視点を繋いでいく責任があるのだと思います。


工夫・チャレンジしたこと

常に少し未来を想像して実行することを意識して動きました。
まだ経験が少ない分、行き届かない部分があると感じていたので、その分とにかく先回りすることを意識していました。
特に撮影は初めての体験だったため緊張しましたが、全体を見て今必要なことは何かを常に考えるようにしていました。反省はたくさんありましたが、経験できてとても良かったです。
また、社内のアイデア出しでは、会話をしながらそこで出た話や、ワードから想起したものを都度イラストとしてビジュアル化していくことを意識して取り組みました。

(学び続けることに対しての議論の中で出た言葉に、簡単なイラストをつけていった)

そうすることで、個人的にも理解度を高めることができたし、その場での佐々木との共通認識を形にすることができたと考えています。このような経験から、自分は言葉にするよりも、印象で捉えて表現していく方が得意なのかもしれないと改めて気がつくことができました。
最近は個人ワークやちょっとした思考の整理でも、自分の理解度をあげるために、一度絵にしてみるようになりました。
こうして気づいた自分の強みや意識は、これからの経験に存分に生かしていこうと考えています。



プロジェクトで得た学びと課題

初めは進め方やゴールの想像が難しかったプロジェクトでしたが、抽象的なテーマに対して3社で共通のイメージをつくり、ビジュアル化までの一連の動きになんとか食らいつく経験ができたことで、そのポイントを掴めた気がしています。


ゴールに向かうためのフィードバックの価値

プロジェクトが始まった頃は、クライアントに自分の考えた案が却下され、落ち込んだこともありました。しかし、プロジェクトが進んでいくにつれて「『この方向性は違う』とわかること」の価値を知り、「違う」の繰り返しで、段々と最適なイメージが作り上げられていくのだと考えられるようになりました。
また、提案する際に良いフィードバックを得るには、「複数の案ごとの違いを明確にして伝える」ことが重要だと学びました。そうすることで、まだはっきりとした正解のイメージがもてないときでも、選びやすかったり、意見を出しやすかったりする状態をつくることができるのだと、提案を繰り返す中で実感しました。


「経験値」の捉え方の変化
佐々木と一緒にプロジェクトを推進していく中で、自分の大きな課題である「経験の少なさ」に関して、正しい理解を得ることができました。これは本を読んだり、先輩の体験談を聞いたりするだけでは得ることができなかった学びだと思っています。
以前までは、経験がないことに対して漠然とした不安とコンプレックスがありましたが、経験を重ねた先輩と密にやりとりをしていく中で、経験値が違うことはあらゆるものの解像度が違うことなのだと考えるようになりました。

例えば、パートナーと話をするときも、佐々木はより明確に相手が見ている景色を共有していて、それがスムーズなコミュニケーション、最終的にはより良いアウトプットにつながるのだと思いました。それができるのは、これまでの経験で培ってきたものの記憶や感覚があるからこそだと思います。
このような動きを直近で見ることができたおかげで、具体的に先輩との差が見えたことは自分にとって大きな学びとなりました。

これまでは自分がつまずきや悩みを感じたときにだけ、先輩に相談をしていました。しかし今では、「自分はこうしましたが、先輩ならどうしますか」と、先輩の視点を取り込むためにこまめにコミュニケーションを取ろうと考えるようになりました。それは学びをきっかけに自分と先輩の目線の違いを実感し、一度自分で答えを出したことでも、先輩の違う視点を得ることでより良いアウトプットをつくれるかもしれないと思うようになったからです。
経験不足が解消されるのにはどうしても時間がかかります。経験が少ないという事実が変わらない今は、このようにして先輩の視点を借りるのも一手なのだと知ることができました。


学生から社会人になった今

一番感じる大きな違いは、「人と共につくる」というところです。
大学時代の制作は、自分の中のイメージを最終的なアウトプットで表現できればよく、そのためにどうするのかを1番の問題として考えていました。
ですが入社後、人とものをつくるためには、アウトプットに至るまでの前の段階で既にイメージを共有できていることが必要であると知りました。そして、そのために資料を集める、何かに例える、ビジュアル化する…。いろんな技や言葉を尽くしていかねばならないのだと思いました。
一方で、今回のような抽象的な言葉からアイデアを広げたり、ビジュアルにするためのひっかかりを探すための考え方は、大学までの制作で得たものが生きたように感じています。
例えば、「Lifelong Learning 常に学び続けたい」というテーマにおいては、学びは未来の自分をつくるもの→食事は自分の体をつくるもの→常に学ぶということは食べることのように学ぶことが日常化した状態…というように考えていきました。この連想ゲームのような考え方は、自分が普段イラストを描くときにも使っている考え方です。

学生時代は、その発想の元となるのは自分の興味関心や体験など全て内なるものでした。ですが、仕事として行うとなると、与件や他の人の意見など外部から由来するものが付随します。初めはそれが発想の縛りとなってしまうのではと不安に感じていました。けれど実際にやってみると、それは縛りではなく、自分だけでは飛躍できない部分の発想の元となることに気がつきました。社会人になったことで、思考は自分ベースだから自由なのではなく、自分という枠に囚われてしまうものであったのだと自覚することになりました。

今後の目標と、理想のデザイナー像

学生時代に自分の周りにいた人は、良くも悪くも自分と似たようなバックグラウンドや目的からデザインに触れていていることがほとんどでした。具体的に言うと、ものを作ったり、ビジュアルを作ったりすることが好きだからデザインをやっている、そういう人が圧倒的多数で、自分もそうでした。
ですが、コンセントに入社し、さまざまな人と接するようになると、社会をより良くしたい、ある人の思想に影響を受けて…など、全く違うきっかけから面白みや課題意識を感じてデザインに取り組んでいる人がたくさんいるのだとわかりました。
最初は自分のデザイン観が崩壊していく感覚に陥り、戸惑いましたが、チームリーダーに「まずあなたは自分なりのデザインの定義をつくっていけばいいのだ」と言われてから、この感覚を楽しもうと思うようになりました。

今私は、人やその考えと出会い自分の固定観念を捉え直すことで、理想のデザイナー像をつくっていっている最中です。そのためにさまざまなデザイナーや考えと出会っていきたいと思っています。それができる環境がとてもうれしいし、会社で働く喜びややりがいであると思っています。


【q&d公式サイト】
https://dialogue.panasonic.com/

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