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【updraft×パートナーインタビュー】株式会社リバー・スター代表 星川 太輔さん

2021年6月、株式会社リバー・スター代表の星川 太輔さんがスポーツキャリアトレーニング事業「updraft (アップドラフト)」のキャリアディレクター(for baseball)に就任しました。

データアナリストとして、2009年の第2回WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)にて侍ジャパンの優勝に貢献、現在は野球界の変革を志し、多方面で活躍されている星川さんに、弊社代表の眞野目との対談も交え、これまでの取り組みや野球界の課題についてお話を伺いました。

Profile

株式会社リバー・スター
代表取締役
星川 太輔(写真右)

1976年生まれ。慶應義塾大学出身。卒業後は株式会社アソボウズ(現データスタジアム株式会社)に入社し、データアナリスト・プロスポーツチーム向けのコンサルティング事業を担当。2009年の第2回WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)ではデータ分析担当として帯同、侍ジャパンの優勝に貢献。同年にデータスタジアムを退社後、商社の株式会社ミスミでの勤務を経て2015年10月、株式会社リバー・スターを設立し代表取締役に就任。トラックマン※1の野球部門責任者を務めながら、野球界変革に向けたコミュニティ運営にも取り組む。

※1:弾道を測定できる機器。投球のリリース位置や球速、回転数、打球の速度、角度、飛距離などあらゆるデータを取得しチームの戦略に活用できる。日本のプロ野球界では11球団が導入している。

TOiRO株式会社
代表取締役
眞野目 悠太(写真左)

大学1・2年生からの教育型インターンのパイオニア「 Mirai Ship」の事業責任者。大手ゲーム会社にて人事として成長率日本1位に貢献。その経験を活かし、ベンチャー企業にて人事部門立上げや人材紹介・派遣事業の立上げを行う。その後、現在グループ会社であるMOVER&COMPANYへ事業譲渡。同社執行役員就任。企業組織の課題や個人のキャリア教育の課題を解決するべくTOiRO株式会社を設立。組織コンサルティング実績は延べ30社を超える。また、教育事業においては、日本初の産学連携型のキャリア教育に取り組み、これまでに計55大学の学生が参加。

データを活用して日本の野球界を変革したい

本日はよろしくお願いします。まず、星川さんが現在力を入れていることについてお伺いさせてください。

星川さん:現在、トラックマン※1の普及活動に力を入れています。データを活用して野球界を変革したいというのが働くモチベーションになっています。

※1:弾道を測定できる機器。投球のリリース位置や球速、回転数、打球の速度、角度、飛距離などあらゆるデータを取得しチームの戦略に活用できる。日本のプロ野球では11球団が導入している。

眞野目:「野球界を変える」というのは具体的にどういった切り口でお考えですか?

星川さん:いくつか観点はあるのですが、その中でも特に、取得したデータをもとに新しいビジネスを創るということに関心があります。

野球×データ活用、肌で感じた日米の大きな差

10〜20年前は日本とアメリカの野球ビジネスの市場規模はあまり差がなかったのですが、今は桁ひとつ差ができています。その理由のひとつに、日本が野球界において、データ・テクノロジー活用で遅れているということが挙げられます。

新卒で入社した株式会社アソボウズ(現データスタジアム株式会社)で、データアナリストとしてプロスポーツチーム向けのコンサルティング事業を担当していたとき、出張で初めてアメリカへ行く機会がありました。今から、20年ほど前ですね。

出張の目的のひとつは、現地でアメリカ野球学会の集会に参加することでした。ホテルを貸し切って行われる数百人規模のイベントで、アジアから参加しているのは私だけでとても疎外感を感じたことを覚えています。

たまたま近くにいて話した方が、野球のデータ活用の研究において権威のある方で、持っていたデータ分析のソフトを見せると興味をもってもらえて、だんだんと人が集まってきました。

そこで一番衝撃だったのは、研究者でもない、現地のいち野球ファンのおじさんが、データの研究者の方々と対等に会話ができていたことです。当時から、メジャーリーグではデータの活用が盛んでさらにファンの方までデータへの造形や関心がとても強い、自分がやっている仕事の価値と可能性を感じた瞬間でした。

スポーツにおけるデータ活用に興味をもたれたきっかけは何だったのですか。

星川さん:大学時代に体育会硬式野球部で、データ班の担当になったことです。当時、自ら希望して担当になったわけではなかったのですが、分析したことがチームの戦略に生かされて、プレー以外でもチームの勝利に貢献できる道があると知り、面白いと感じました。

眞野目:母校の慶應義塾大学(以下、慶大)、先月の東京六大学野球春季リーグで優勝されてましたよね!おめでとうございます。

星川さん:ありがとうございます。慶大野球部では、昨年2020年からはアナリスト専任の部員が入部しました。また今年から新学年でも入っているようです。新しい風がアマチュア野球界にも吹いてきていると感じます。

野球界の育成年代における課題

その他にも力をいれて取り組まれていることはありますか?

星川さん:同じくらい力を入れているのが、選手たちの未来のために少年野球から高校野球までの育成年代の指導現場を変革することです。

現状の野球界の育成年代の一番の課題は指導者及び大会運営側にあると考えています。どうしても指導者や監督の方から選手への一方的な指示が多く、選手たちが主体的に考え、行動する機会が少ないチームが多いです。

「何のためにこの練習をしているのか」という目的意識をもつことや振り返りの機会が少ない今までの指導法では、社会が求める人材像の育成にはつながりません。自分で考えた経験が少ないのに、社会に出て自分で考えてみろと言われても、多くの子はそんなこと言われても、、となってしまっているのが現状です。

育成年代への指導方法と社会との接続で生まれるギャップ

眞野目:指導現場において、教育としての目的やその基準がないのは課題ですよね。私も大学で腰を怪我してプロになることを断念し、将来を考え直したときに、教育の在り方、特に学校と社会とのギャップに疑問をもちました。

社会に出ると新卒でも即戦力を期待されて、結果が求められる。野球に例えると、これまで練習をしてきていないのに、急に打順4番で「ホームランを打て」と言われるようなものですよね。

指導者がやるべきことは子供たちに考えるきっかけを与える環境づくり

星川さん:わかりやすいたとえですね。その通りだと思います。

指導者がやるべきことはどうやって子供たちに考えるきっかけを与えるか、その環境づくりだと思います。また、具体的な数値目標を設定することも大事です。例えば、筋トレで単に重いものを持ち上げればいいや、ではなく、具体的な数値目標を設定して、なぜその筋力が必要かを理解した上でトレーニングを行うことが大切です。ランニングをするときも例えば50Mを単に全力で10本走るのではなく一本一本タイムを光電管で測定して全力で走った方が効果が大きいです。

試合中の監督の声かけひとつとっても、「何でもっと早くスタート切らなかったんだ」ではなく、「どうしてアウトになったか分かる?」と問いかけて選手に考えさせる。選手が自分で考えて行動を変えていけるように促すことが指導者の役割だと考えます。

「子どもたちの将来のために」全国各地の指導者をひとつに

育成年代の指導現場を変革するために、具体的に取り組まれていることはありますか?

星川さん:『Players' future-first Club』(プレイヤーズ・フューチャー・ファースト・クラブ)という野球指導者のためのコミュニティを2017年に有志と立ち上げました。これは、大人のためではなく、子どもの将来のために野球の指導をされている全国の指導者たちが繋がり、それぞれの活動を集約して発信できるプラットフォームです。

これまでの野球の指導法に課題を感じ、子どもたちの将来を考えて指導をされている方は全国に少なくありません。指導者の方々が相互にアイデアや情報を共有し、大きな変革エネルギーに変えられないか、という思いで生まれ、現在は指導者・団体・連盟の方々を中心に500人以上のメンバーがいます。

これまでの野球の指導法に課題を感じ、子どもたちの将来を考えて指導をされている方は全国に少なくありません。指導者の方々が相互にアイデアや情報を共有し、大きな変革エネルギーに変えられないか、という思いで生まれ、現在は指導者・団体・連盟の方々を中心に500人以上のメンバーがいます。


指導法とその効果や課題の共有以外にも、まだ身体ができあがっていない少年野球の選手たちの将来を守るということにも取り組んでいます。これまで、少年野球のリーグでは過酷なトーナメント大会が主流のため投手の負担が大きく、少年期の肩・肘の故障が問題視されていました。

Players' future-first Club』の活動を続ける中で、直接的な影響かは正直分かりませんが、ポニーリーグなど、少年野球のトーナメント大会がリーグ戦に徐々に切り替わってきています。

少年野球から高校野球、育成年代の仕組みを変えていきた

全国の志ある指導者の方々をつなげる素敵な取り組みですね。星川さんが今後、やっていかれたいことについて教えていただけますか。

星川さん:そうですね。今後も「野球界を変える」というテーマは変わらないのですが、現在は特にアマチュアに興味があります。課題も多く、このままではだめになってしまうのではないかと思うので、小学校〜高校の育成年代の仕組みを変えていかないと、と考えています。

育成年代の仕組み、具体的には部活動のあり方を変えたいですね。スポーツを通じて競技力、人間力、社会人基礎力を伸ばして欲しいなど、期待する側も求めすぎていて、顧問の先生や監督さんは限界だと思います。事実、休日返上して選手への指導に向き合っている先生や監督さんは多いです。

その解決策として、先生方や監督さんが全ての役割を一人で担うのではなく外部やマネージャー・部員と役割分担をするべきだと考えます。たとえば監督さんは競技力向上のみを指導して、その他は外部に任せるというように。updraftのトレーニングは子供たちにキャリアについて考えさせるとてもいい内容になっていますので外部委託先として、とても有用と思います。

野球以外のチームビルディングやキャリアのトレーニングをきかっけに選手たちが変化していく

ありがとうございます。先日、updraftの立花学園高校野球部へのキャリアトレーニングを見学されたと伺っているのですが、星川さんの目にはどのように映りましたか?

星川さん:トレーニングを通して子どもたちの表情が変わった瞬間、すごいなと思いました。また、外部のトレーニングをやってみようという監督さんも、それを認める学校さんも素晴らしいと思います。

(写真)立花学園高校野球部 トレーニングの様子

高校野球は年間の休みが少なく、練習時間も長いので、選手たちは他の社会や世界をほとんど知りません。それは選手たちの将来にとってとても危険なことだと思います。そんななかで、野球以外のチームビルディングやキャリアのトレーニングの機会を得ることで、気づきを得て変わっていくことができる、非常にいい取り組みだと思います。

競技面以外でのアプローチをしている会社はありますが、1度だけのトレーニング・講義をやったきりになり、選手たちに響いていないケースが多いです。他社とは違い、TOiROでは組織として教育事業を展開し、チーム・個人のニーズに合わせて個別最適化した継続的なフォローにこだわり、本気で選手たちの変化・成長を支援している点に魅力を感じています。

また、自分を知ることや他人を知ることはとても大事ですが、その手段として、ビノベーション®️レポートを活用して数値化しデータを活用している点も、一緒に野球界を変革していくパートナーとしてやっていきたいと思った理由のひとつです。

眞野目:ありがとうございます。これから星川さんと一緒に、updraftのサービスをアップデートしながら、野球界をよりよくしていけることが楽しみです。

本日、星川さんにお話を伺い、野球の指導現場のリアルな課題を知ることができました。ありがとうございました!これからよろしくお願いします!
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