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【後編】 ”自分なりの幸せ”を生きる人を増やすため、転職エージェントを理想形に変えていきたい。 - CEO interview -

多様な働き方ができる時代だからこそ、転職だけではない理想の選択肢を提供したい。

ーー<前回のお話>で転職しかマネタイズ先がないとおっしゃっていましたが、Xbetでは何か違った受け皿があるのでしょうか?

そうですね、現代はいろんな働き方がありますから。Xbetでは転職はもちろんのこと、起業や副業、もっといえば現職での異動といった手段も、フラットに紹介できる体制を作っていこうと考えています。

それぞれの幸せの形を実現するうえで、〈キャリアにおける最適な選択肢を増やしていくこと〉が理想だと思っています。

もちろん、これを実現するには求人の量も幅も必要ですし、副業であれば企業とマッチングさせるだけではなく、機能として自社でも副業人材に発注可能な案件を持っておくことが重要ですね。

ーー自社で副業案件とは、具体的にどのようなものですか?

例えば、子育て中の方が今までのキャリアを活かして、採用支援領域の副業がしたいとします。ただ、子育て中では時間的制約があり、納品への責任を持ちづらいため、企業対個人では受注できないケースが多いんですね。

そんな時でも、弊社で自社案件として受注すれば、フルタイムで働けない人にも仕事を細分化して提供できます。フルタイムで働けない複数人で案件を担当することで、誰か稼動できなければ、他のメンバーでカバーしリスクヘッジもできる。

このように、〈自社として案件を持ちながら、副業人材を活用して納品できる体制を作っていくこと〉が、選択肢提示の観点から重要だと思っています。

ーーたしかに、個人で受注できなくても、細分化すれば納品ハードルは下がりますね。副業以外にも何か選択肢はあるのでしょうか?

それでいうと、スタートアップスタジオのようなこともやっていきたいと考えています。事業をゼロから作るだけでなく、M&Aなども活用しながら新規事業をどんどん作っていく体制を作りたいですね。

今、日本には後継者不足で黒字倒産する企業がたくさんあり、社会課題になっています。一方で、面談をしていると『起業したいけど具体的なビジネスプランがない』と悩んでいる方もたくさんいて。

そんな方々に、いわゆるサーチファンドに近い形式で、M&Aをした企業のCEOをしてもらうことを想定しています。

そこに、自社の業務委託のマーケターなど、ビジネスサイドのメンバーも参画させて、事業を伸ばして会社を成長させていく。ビジネスサイドの窓口としても、こういった仕組みを作っていきたいと考えています。

最大公約数での〈正解〉がない時代にこそ、自分なりの〈正解〉を羅針盤に。

ーーM&Aまで選択肢として備わっているエージェントは聞いたことがないですね。

そうですね。ありがたいことに、個人的な繋がりで企業から副業案件をいただいたり、知人の起業家や提携しているファンドの買収した会社からCEO・CXOポジションをいただいたり、属人的ではありますが案件も担保できています。

理想の世界観としては、転職するしないに関わらず、まずは常に相談をもらえる環境をコーチングを通じて作っていくこと。そして、目標に対してキャリアを変える必要があるタイミングで、エージェントとしての機能を果たしていきたいですね。

ーー転職だけではない選択肢も含めて、既存のエージェントモデルではカバーしきれない事態になっているのだと改めて感じました。

そうですね。それは、価値観の多様化によって〈キャリアの正解〉が消失したことが大きな要因だと思っています。

少子化が進む中で、私たち世代の定年はどんどん延び、70歳前後まで50年近く働くことが当たり前になると思っています。

一方で企業の平均寿命は23.3年と言われており(※)、数字で見たら終身雇用なんて完全に崩壊していると言えます。『最近の若者は転職を前提に新卒で入る会社を考えている』とニュースになっていましたが、至極当然のことで、むしろ1社で定年まで働けたらラッキーなくらいだと思います。

もっというと、企業という箱は50年残ったとしても、ビジネスモデルは大きく変わっていきます。そんななかで、2〜30年培ったスキルが会社にとって急に不要なものになるなんて……想像に難くないですよね。

※2022年の東京商工リサーチの調査による

ーーたしかに、実際の数字を見ると今後のキャリア形成が転職を前提にしたものになると感じます。

終身雇用時代であれば『30歳だとA先輩、40歳だとB先輩のような仕事をしている』とイメージがつきやすかったですよね。しかし、現代のように複数企業でキャリアを築くことが前提の社会になると、同じキャリアを歩むロールモデルが見えなくなり、『キャリアをどう築いていくか?』をイメージする難易度が格段に上がりました。

一方で、転職エージェントは毎日いろんな方のキャリア相談を受けているので『この経験では次にこのキャリアには行けない』ということは分かるじゃないですか。その実情を転職しようとしたタイミングで初めて知るというのは、かなり危ないことだと思っていて。

実際に転職を考え始めたり、相談した瞬間に実は思い描いたキャリアを実現することが難しくなっていたということもよくありますよね。こういった人を1人でも減らすべく、前編で話したように、〈自身がどんな人生を生きたいのか〉を決めて、これを羅針盤にしていきたい。

そうして常に、現在のキャリアが目指したい方向に向いているのかチューニングしながら進んでいく必要があると思っていますし、Xbetも伴走していきたいと思っています。



難易度が上がってでも可能性を広げ、新たな課題に挑み続けたい。

ーー小規模エージェントは、コンサルティングファーム専門や営業職専門のように領域特化が多いですが、逆にXbetではどんどん領域を広げていこうとしているように見えます。

そうですね。Xbetのようにキャリア相談にコーチングを取り入れたい場合、出口を絞ってしまうとコーチングの形をした誘導になってしまうと思うんです。

難易度はもちろん上がってしまいますが、出口を絞りたくなかった。実際、リクルートやコンサル、ベンチャーに在籍する20〜30代から、未経験の若手、大手企業の役員や部長といった40~50代の方まで、多様なキャリアの方から面談のご希望をいただいています。

ーーこれまで実際に事業運営してきて、新たに感じた課題感は何かありましたか?

そうですね、『意欲はあるのに能力を活かせていない人たち』が多数存在していることに、課題を感じています。

というのも最近、50歳前後のシニア層からの問い合わせも増えていまして。大手企業の部長や役員クラスの方が多くスキルもご経験も素晴らしいのですが、50歳を超えると転職を受け入れてくれる企業が極端に少なくなるのです。

こういった方々の多くは、これまでは家庭のために年収を下げられなかったけど、ようやくゴールも見えてきたところで。定年までのキャリアをもう一度見直し、『これまで培ってきた経験を社会に還元したい!』『年収を下げてでもやりたいことでイキイキと働きたい!』とおっしゃっている方が多いです。

そうして意気込んで転職市場に出てみても、ほとんどが年齢を理由に受け入れ先がないわけです。労働人口の減少が社会課題として取り上げられている一方で、意欲的で元気なシニアの方々が定年までイキイキと働けない状況は、非常にもったいないと感じました。

そのうえ、僕ら世代はさらに定年が延びていくわけです。現状で50代でも受け入れる企業がなければ、転職したくても70歳まで20年間も今の会社にしがみつくしかない。

そんなことを想像したら……結構、絶望しますよね。

ーー労働人口を増やすために様々な施策が議論されていますが、まだまだポテンシャルを活かしきれていない人も多そうですね。

働きたいのに働けていないという観点では、ワーキングペアレンツのキャリア形成に関しても大きな課題を感じています。

特に女性の場合は、出産・育児がキャリアブレイクになってしまうケースが多く、またそれがキャリアとして脂の乗り始める30歳前後に来ることも多いので、一層キャリア形成の難易度が高いですよね。

私自身、子供が0歳のタイミングで夫婦ともに起業していて。妻と一緒に在宅で仕事をしながら子育てをしてきたのですが、これを会社に勤めながらワンオペでやっているママ・パパがいると思うと、本当に想像を絶する苦労があると思います。

先ほどの副業の話もそうですが、支援対象も支援領域もどんどん広げ、こういった方々の課題を解決できるようなソリューションを提供していきたいと思っています。

売上でなく、個人の幸せにフルコミットする会社を創りたい。

ーー濱上さん自身がプロコーチであることから着想を得たXbetのビジネスモデルかと思いますが、メンバーの方々もコーチング経験は必須なのでしょうか?

現在15名前後のメンバーがキャリアコーチングやコンサルティングをおこなっていますが、全員がコーチング経験者という訳ではないですよ。

毎週夜に集まって、より良い面談が提供できるように勉強会を行い、コーチングだけでなくキャリアに伴走していく上で必要なスキルや知識についてアップデートをしていますが、まだまだ理想の状態には至っていないと考えています。

メンバーの誰が面談しても、意義のある価値提供ができる体制を作っていく必要があるので、教育体制や提供できるコンテンツなどに注力しているフェーズですね。

メンバーは、僕がXbetで目指すビジョンに共感してジョインしてくださる方が多いですし、なかには転職相談に乗っていたなかでそのまま入社してくださった方もいます。

そういった意欲の高いメンバーなので、キャッチアップできる環境を作ることができれば、自走して価値提供していってくれると信じています。

ーー濱上さんの目指すビジョンを伺ってきましたが、そのビジョンを叶えるためにまずは何に取り組んでいきますか?

そうですね。より多くの方に最適な選択肢を提供するためには、転職先である企業に対しての交渉力を持つ必要がありますし、自社の中でもたくさんプロジェクトをサステナブルに回していく必要があります。

だからこそ、事業として数字・成果をきちんと上げていくことが大切だと思っています。

ただ、前述の通り、転職をするべきではない人に転職を勧めてもしょうがないと思っているので、基本的には〈個人の売上目標を作らない〉形で事業運営していこうと思っています。

必要な支援を必ず提供することにこだわれば、必然的に売上はついてきます。クライアントが満足する体験を提供できれば、口コミや紹介でより多くの方の人生に関わることができると思っていますね。

ーー今後、仲間を増やしていくフェーズとのことで、濱上さんはどんな方に来ていただきたいと思いますか?

目標に向かってハードに働ける方ですね。これは長時間働くという意味ではなく、プロとしてどこまで真摯に向き合えるかというスタンスの話をしています。

〈個人の売上目標を作らない〉と聞くと、『ノルマがなくてゆるく働けるんだ〜!』と勘違いされる方がいますが、プロとしてコミットする対象が売上ではなく〈クライアント個人としての幸せ〉なだけなので、そこに対して真摯に向き合ってほしいと思っています。

言葉にすると綺麗ですが、非常に責任が重たく、またキャッチアップすべき内容も膨大で難しい仕事です。企業・職種・業界について幅広い知識を持つことはもちろん、独立や起業などの相談に乗るとなれば、ビジネスモデルやファイナンス、マーケティングに至るまで様々な引き出しが必要です。

常に新しいことを学びながら、クライアントの幸せのために向き合い続ける覚悟を持った方と一緒に働きたいと思っていますし、そんな働き方が〈自分自身の幸せ〉につながると本気で思える方にとっては、弊社はきっと良い環境だと思います。

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