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なにをやっているのか

私たちグリーンバードは、主に"街のゴミ拾いボランティア"をおこなう団体です。 今から遡ること19年前。2002年、東京・原宿表参道で活動をスタートしました。ポイ捨てのない社会の実現するために、ゴミ拾いの概念を「楽しく面白い」といった活動にへ変換し、ゴミ拾いという社会貢献活動に関わる人を増やす事に取り組んでいます。 私たちの活動には、老若男女、多種多様な色んな人が参加します。活動する地域の在住者、在勤者、在学者、その街が好きな人。参加の理由も、新しい事に挑戦したい、社会貢献や環境問題に興味関心がある、学校の宿題で、企業の取組みの一貫でなど様々。そうした普段では出会うことのない人たちが、ごみ拾いを通じて同じ空間に共存しているのです。 SNSが普及し、誰もが気軽に繋がれる世の中になりましたが、こうして、ごみ拾いを通じて人と人が繋がるコミュニティを、グリーンバードの”価値”として19年間、大切に築いてきました。活動の輪は各地に広がり、現在では国内外に約70チーム、参加者数はおよそ年間3万人まで及びます。

なぜやるのか

さて、私たちの活動を継続するためには、ゴミ拾いに必要な清掃用具、各チームの運営サポートなど活動資金が当然、必要不可欠です。 この資金をどこからどう集めているのか? 資金源は、主に寄附金、助成金、協賛金の3つに大きく分類されます。 寄付金は、説明するまでもありませんが個人や企業から活動を支援するために頂いたお金です。 助成金は、国や自治体、企業が所有する財団に対して「こんな事業をやりたいので支援して欲しい。そのためには、これくらいの費用が必要です」といった申請に対して助成して頂くお金です。 そして、協賛金。企業と一緒に取り組む事業に対して、協賛して頂くお金(スポンサー収益をイメージして頂けると◎)です。グリーンバードにおいては、この協賛金の比重が一番大きいです。これはNPO業界ではかなり珍しいかと思います。 でもそれには理由があります。障害者の方や災害、一人親家庭などの社会課題に取り組む活動と、ごみ拾い活動のどちらに寄付をするか?となった場合、前者の方に寄付が集まりやすいです。私たちよりも困っている人が多いですし、これは当然だと思います。しかし、ごみのポイ捨て問題も解決しなくてはいけない重要な社会課題です。そのため、寄付に頼るのではなく、賛同して頂けるパートナー企業を探していかなければなりません。 サッカーのJリーグを想像してみてください。各チームのユニフォームには企業のロゴが載っていますが、私たちのビブスや軍手、ごみ袋など清掃用具にも企業ロゴが掲載されています。ロゴを身につけているのが選手か、ごみ拾い参加者の違いででしかなく、こうした広告スポンサー収益を主な活動資金としてきました。 しかし、このやり方が何年も続くかというとそうでもありません。企業とのコラボレーションも(例えば、会社周辺での社員参加型ごみ拾い企画)に珍しさはなくなり、10年前は渋谷で100人規模のごみ拾いを開催するだけでメディアが取り上げてくれていましたが、もうその規模感のごみ拾いでは注目もされず、残念ながら話題にもなりません。 団体を存続、そして発展させていくためには、時代の変化に合わせ、ごみ拾いの枠を越えた団体の新たな可能性を見出し、挑戦していかなければならないのです。

どうやっているのか

私が3代目の代表になって以来、こうしたゴミ拾いの枠を超えた挑戦の事例を1つご紹介します。 【ラグビーボール型ゴミ袋『ゴミ袋でトライ!プロジェクト』】 これは「試合会場(スタジアム)のゴミ問題」に対しての取り組み。 これまでは"試合後に会場内を清掃活動する"というのが従来のアプローチ方法でした。"試合後にゴミ拾いする日本人サポーター"が海外のメディア等で賞賛されるニュースを見たことある人もいるかと思います。確かに素晴らしい活動ですが、そもそも観客が会場内にごみをポイ捨てする事が前提であり、根本的な課題解決にはなっていません。 そこで重要なのは「歩み寄り」と考えました。ポイ捨て禁止を訴えるのではなく、ごみをごみ箱に捨てさせれば良いのです。 それでは、どうすれば観客たちがゴミを正しく捨ててくれるか。ここに"アイディア"が求められます。読み進める前に、皆さんも少し頭の中で考えてみてください。 私が導いた解決策は「ごみ袋を入場ゲートで配布する」というアクションです。 しかし、単にごみ袋を配る訳ではありません。着目したのは袋のデザインや仕掛けです。 ①ラグビーボールの形は丸ではなく楕円球。 ②ゴール地点にボールを置く(=トライ)すると得点が入る。 この2つの要素を汲み取りました。まず、ごみ袋にボールのデザインを施し、ごみを入れて袋の上下を結ぶと楕円球になる仕掛け。そして会場内に芝生のミニコートを敷いて、そこにごみ袋を捨てて(=トライ)もらう。 するとどうでしょう。ハーフタイムや試合後に子供も大人も、みんな楽しそうに選手を真似してトライしに集まって来ます。トライするためにはボールが必要であり、ボールを作るためにはゴミが必要です。そこで身の回りのゴミや他の席に置いてあるゴミを拾い集めるのです。 「みんながポイ捨てしてるから私も捨てても大丈夫」を、 「みんながトライしてるから、私もトライしたい」に心理を変える。 ゴミ袋のデザインを無地から茶色に、ゴミ箱の形状を箱から芝生に変えるだけで、観客を巻き込んだムーブメントを引き起こす事ができるのです。 さて、ゴミ袋を製作するのにも、勿論お金が必要です。コンセプトは良くても、費用面をクリアできず、実施が困難となる場面に直面した事もありました。そこで、袋の片面に広告枠を設けてスポンサー企業を募りました。企業側にとっては観客たちに確実に見てもらえるため、会場内に看板を設置する以上に広告効果を発揮できます。やがてこのプロジェクトは現役選手たちにも携わって頂き、遂には日本を熱狂させた2019年W杯で全45試合にて計70万枚を配布する事ができました。 このように常に新しいアイディア・企画を考える日々です。ただし、天才でもない限り、アイディアがどんどん閃く訳ではないので、ニュースを見たり、SNSやYoutubeを見たり、色んな人と話したりと、インプット&アウトプットを繰り返しています。私と一緒にこのインプット&アウトプットからアイディアを生み出し、それを実現できる仲間を募集します。