マーケティング機能”すべて”を包括するため、あえて強みは持たない
- Giobaiの事業について教えてください。
Giobaiの事業は一言でいうと「D2Cファーム事業」です。
ファームという言葉には『ビジネス農場(Farm)』と『マーケティングファーム(Firm)』という2種類の意味が込められています。
『ビジネス農場(Farm)』はGiobaiのモノづくり的な側面を表す言葉ですが、我々が作っているのはモノそのものというよりはイノベーションです。
市場のスキマを見つけ、耕し、アイデアという種を植え、ブランドという果樹を育てていく。
そこに事業ドメインやインダストリーに対するこだわりはなく、領域を問わず新規事業を開発し、どこまでも変化と進化を繰り返すことで加速度的に成長しつづけるのがGiobaiです。
一方の『マーケティングファーム(Firm)』は、僕たちの軸がマーケティングであることを表しています。
Giobaiのインハウスにいるのはディレクターやマネージャーのみで、商品の企画・ペルソナやカスタマージャーニーの設計・マーケティング戦略の構築などをメインに行っています。
それを元にして外部のパートナーであるデザイナーやカメラマン、コーダーなど各分野のプロフェッショナルを巻き込んで実行に移していく。その包括的なシステムがマーケティングファームです。
- Giobaiの強みは何ですか?
正直なところ、ここが”一番強い”という部分はありません。というよりは、あえてそうしないようにしています。
分野に特化した強みは、同時にコモディティ化のリスクへつながるからです。
それよりも、商流を隅々まで把握した上で各フェーズに必要な職能を包括している体制を持つ方が、スピード感を持ってユーザーに刺さるブランドストーリーを描くことができます。
なのでGiobaiではコールセンターや広告制作なども全て自社で行うなど、マーケティングにおける必要な機能は全て自社で持っています。
その分めちゃめちゃに大変ではありますが、「自分で事業をやりたい」という意思を持っている人にとってはこれ以上ない環境だと思います。
ブランド横断の組織体制で俯瞰的な戦略を練る
- Giobaiの商品について教えてください。
現状だと6ブランド10商品ですね。それぞれのブランドが持つコンセプトに沿った商品をいくつか展開しています。
昨年は市場を開拓し横に広げていくことを意識してブランド数増加に力を入れていましたが、今年は開拓したブランドを深耕しユーザーのLTVを高めていくために商品数を増やしています。
このように会社としての方針も年度ごとに大きく変わってくるため、決まったことを繰り返せばいいという環境ではありません。
常に変化する環境に合わせて自分の役割を変えていってもらう必要があります。
Giobaiの商品開発プロセス
商品の開発プロセスはそれぞれで大きく異なりますが、大まかには「体験」・「分析」・「テストマーケティング」という3つのステップに分けられます。
僕自身の課題体験を元に開発した商品も数多くありますし、ふとした瞬間に見つけたアイデアを、あらゆるマーケティング戦略を使って市場のスキマにフィットさせていくようなイメージです。
Giobaiの組織体制
組織はマーケティング・クリエイティブ・事業開発など職能別に分かれており、横断的にブランド運営ができる構成になっています。
採用も基本的には職能別に行っていますが、自分のロールにこだわらず事業全体を見てもらい、いずれはブランドそのものを任せてスピンアウトできるようなブランドオーナーにまで成長してもらいたいと思っています。
D2C事業への参入は「リスクを取りたかったから」
- Giobaiの沿革を教えてください。
Giobaiを設立したのは2016年です。当初は留学や海外インターンシップなど、海外で挑戦したい人のキャリア支援を行うチャットボットアプリ事業を展開していました。
これは僕自身が学生時代に海外インターンシップをしていた経験から、コミュニケーションコストをシステムで解決できないかと考えたのがきっかけでした。
しかしサービス自体はあまりうまくいかず、2ヶ月ほどでクローズし、海外インターンシップのメディア運営へ方針転換します。
こちらは事業としてある程度成長し、現在は分社化しています。
今のようにD2C事業へ参入することを決めたのは2018年です。きっかけは、とある病気で余命が10年程度だと知らされたことでした。
それまでは受託事業でそこそこ順調な経営ができていたのですが、人生の終わりを意識した時に「やり残したことがたくさんあるな」と。
中でも強かったのが「もっとリスクを取ってチャレンジすればよかった」という思いでした。
自分にとって起業は自由になるための手段でした。元々サラリーマンとして人に決められた環境でパフォーマンスを出すのが苦手なタイプだったので、自分のペースで、自分がコントロールできる範囲で仕事をすることが起業の目的だったように思います。
ただ、ふと「今の自分は小さくまとまってるな」と感じて。コンフォートゾーンを破って身の丈以上のチャレンジをしたいという気持ちに駆り立てられました。
結果的に大事には至らず無事に退院もできたので、その瞬間から資金を借り入れ事務所を借り、人も雇って本格的に自社ブランド事業をスタートしました。
ホームラン商品の登場と、組織崩壊の引き金
自社ブランドの立ち上げを決意した2018年から2年ほどで3商品ほど作り、全て利益を残すことができるほどのヒットを残しました。
その利益全てと借り入れも加えて、初期投資5,000万円ほどをかけて勝負に挑んだのがmy’sという商品の開発です。
結果的にmy’sはGiobaiを代表するホームラン商品となり、一気に会社としての成長が促されることになります。
一方で、急激な売り上げ増加でユーザーからの問い合わせなどに対応しきれず、人を大量に採用する必要が出てきてました。
しかし、あまりにも急激な変化にコントロールを失った結果、組織は崩壊していきます。
3ヶ月かけて10人採用しても、2ヶ月後には全員辞めてしまったり、会社に対してもネガティブな気持ちだけが向けられ、売り上げに反比例するように組織は崩れていきました。
その時の経験から「僕のいうことを全て素直に聞いてくれて、オペレーションをしっかり回せる人だけを採用しよう」という結論に至りました。
- でも、今は「一緒に組織を作る人を採用したい」という方針で仲間集めに力を入れていますね。どのような変化があったんですか?
一番は、my’sを売却して会社の状況が落ち着いたことが大きいです。手元に十分な利益も残り、「さあ、これからどうしよう」と腰を据えて考えました。
そして至った結論が「新しい挑戦をしよう、一人じゃ見れない景色を見よう」でした。
まだ人生も長いんだから、新しい景色を見続けられるようにチャレンジしようと。
仲間集めをしようと決意した瞬間から、コーポレートサイトや採用ピッチ資料もリニューアルに取り掛かりました。
面接にもできるだけ僕自身が出て、自分の言葉で会社のことを伝えることで、少しでも共感してもらえる人を増やそうという思いで採用活動に取り組んでいます。
批評家精神を捨て、仲間として組織を作ってほしい
- 新しく入社した方に、仲間として一緒に組織を作っていくにあたって何を期待しますか?
まずは、当事者として向き合ってもらいたいです。Giobaiはまだ未完成な会社で、指摘し始めるとキリがないくらい不十分なところだらけです。
だからこそ、それを一緒にどう改善していこうか、どんな組織・事業にしていこうかという話ができる人が今Giobaiに必要な人だと思います。
逆に、ブランドや商品を好きになってもらう必要は全く無いと言ってもいいかもしれません。
思い入れを持ってもらえること自体は非常にありがたいですが、もし使ったことのない商品なのであれば、無理に共感ポイントを探す必要はないと思っています。
それよりも、例えば広告がめちゃくちゃ好きで運用改善を繰り返せる人だったり、自分自身と向き合える方がマーケティングには向いているのではと最近は考えています。
あとは何よりも、自分の可能性を信じ、コンフォートゾーンから抜け出して成長することをやめないでほしいですね。
現状維持は衰退と同じです。インターネット広告の業界は移り変わりも激しいので、常に新しい知識を仕入れて自分のキャパを広げていかないとすぐに取り残されてしまいます。
別に大層な夢を持つ必要も、常に上を目指す必要はないので、ほんの少しの好奇心を大事にして、一歩を踏み出してもらいたいです。