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東大ラクロス部 対談企画②(前編)

~GPSSグループ代表 目﨑雅昭 × 予防医学者 石川善樹(東京大学運動会ラクロス部男子OB)~


GPSSグループがスポンサーしているBlue Bullets(東大男子ラクロス部)。
現在、東大ラクロス部の皆さんとは様々な企画が進んでいますが、この対談企画もそのうちのひとつです。ラクロス部はOBの皆さん含めて実に魅力的な人材が豊富!

第二回の対談は、GPSSグループ代表の目﨑雅昭と、現在予防医学者として活躍されている石川善樹さん(東京大学運動会ラクロス部男子OB)です。
今回のテーマは、『一人ひとりが幸せに生きるとは?』。

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司会:山口幹生(東京大学運動会ラクロス部男子GM)
文責:宇佐見彰太(東京大学運動会ラクロス部男子Relations Manager)
※名前は敬称略

山口: 今日はよろしくお願いします!
今回は、『一人ひとりが幸せに生きるとは?』というテーマで、東京大学の運動会ラクロス部男子を支援いただいているGPSSホールディングスの目﨑雅昭代表と、東大ラクロス部OBで予防医学者の石川善樹君に対談をしていただきます。司会は東大ラクロス部でGMの山口幹生が担当します。

目﨑: 「幸せ」ってすべての根本ですよね。政治でも社会の在り方でも、最終的には人間の幸福というのがゴールとしてあって、それが達成されないと意味がない。そういう意味で、これ以上に大事なテーマはないのかもしれませんね。

山口: ありがとうございます。僕自身、石川君とは同期なのですが、10代の頃から「幸せに生きるにはどうしたらいいんだろう?」いう話をずっとしてきました。その流れもあってか、石川君はいつの間にか有名になっていて。今、「幸せ=Well-being」というところが日本で一般化してきたことについても石川君の多大な貢献があると思っています。目﨑さんのGPSSグループが掲げる『地球は燃やさない。魂、燃やせ。』にも私自身非常に共感していまして、今日はその延長で考えられている「幸せ」について、お二人の対談という形で聞かせていただけたらと思っています。よろしくお願いいたします!

1. 幸せって、一体何? ———『魂、燃やせ』に込められた意味

山口: 冒頭ですが、まずは今日の大きなテーマである「幸せ」について、お二人にとってこの時代に「幸せに生きる」とはどういうことなのかをお話いただけたらと思います。

石川: 幸せって・・・なんでしょう!?(笑)もちろん、幸せの形は一人ひとり違うものですよね。

目﨑: なるほど、幸せの定義って100人いたら100通りあるというのはその通りですよね。だから僕は、幸せを定義するときに、「幸せ」という言葉自体が最初に存在するという前提で、その言葉の歴史的背景とか本来の意味を探していくことはナンセンスだなと思っています。「幸せ」という言葉自体はあくまでコミュニケーションを取るための「記号」なので、その記号自体には本来の意味など存在しないのです。
僕は逆に、どういう状態を僕らが共通認識として幸せと呼んでいるのかを考えたいなと思っていて。そこから僕なりの定義をすると、「自分の意識が最高の体験をしている状態」を、僕らは「幸福」と呼んでいるのだと思います。それでは、どうしたら「意識が最高の体験」をできるかというと、例えば「身体が健康」っていうのは一つの条件ですよね。他にも、人と人との関係性とか、社会との関係とか、いろんなもののフィードバックがあると思うし、何よりも「自分が何のために存在しているのか」という問いについての自分なりの答えを認識していることが重要で、それらが全方位的に「最高の状態」にあるのが僕たちの認識している「幸せ」なのかなと思っています。
石川: 目﨑さんが幸せを感じる象徴的な瞬間や体験はありますか?
目﨑: 幸せの定義の議論でもよく言われる話ですが、「美味しいものを食べた」とか「楽しいものを見た」みたいな瞬間的な喜怒哀楽の高まりと、自分自身の人生を振り返ったときの過去の体験全体に感じる満足感みたいなものとではかなり違いますよね。



(石川)ハーバード大学学長と



(目﨑)米国ヨセミテ国立公園にてキャンプ中


石川: 人生の一番最後に、どう振り返るかということですね。

目﨑: そうです。そして人生の一番最後がいつかっていうと、いつであっても今なのです。だからこそ今、過去を振り返った時に「意識が最高の体験をしている状態」であったことが大事だと思います。
先ほど、幸せというのは100人いたら100通り、という話をしましたが、実際には「人間」って生き物としてはすごく似ているわけじゃないですか。だから、人間が高揚感を感じるメカニズムもある程度は研究されてきていますよね。そういった中で、僕は「意味づけ」が一番重要だと思っています。これこそが、「人生において自分が何のために存在しているのか」ということを自分自身が認識することです。
意味付けの方法はいろいろあります。例えば昔は、こうした人間の問いに対しては「宗教」が社会の構造や人間の生きる道を示してくれる役割を果たしていたのだと思います。でも今の時代には、答えを外側から与えられるのではなくて、自分自身で生み出していく必要があります。生きるための理由を自分なりに決めて、それにコミットして努力していくプロセスが、自分の存在意義というものに繋がってくるのだと思います。
『魂、燃やせ』という当社のミッションも、全然スピリチュアルな話ではなく、僕の中で「魂」を「自分自身を定義する最小単位」と定義してます。
「あなたは誰ですか?」と聞かれたときに、名前も国籍も変わりうるし、あとからついてきたものであって、決して本質じゃないですよね。身体をつくっている細胞も、日々の新陳代謝で全部入れ替わっています。だから、「自分自身を定義する最小単位」を突き詰めていくと、意識ぐらいしか残らないのかもしれない。でも、何かは残ると思っています。『魂、燃やせ』というのは、その意識がどういう方向で何がしたいのか、ということに対してしっかりと向き合って、それに全力で取り組むということ。そこで完全燃焼することこそが、「意識が最高の状態」であって、幸せの象徴的瞬間だと思っています。



(石川)15期の同期とアメリカにて



(目﨑)ガラパゴス諸島にてゾウガメたちと


2. スポーツと『魂、燃やせ』———スポーツで体感する「最高の状態」とは

山口: 目﨑さんのお話、ラクロス部で昔よく言われていた「意識が変われば行動が変わり、行動が変われば習慣が変わり、習慣が変われば人生が変わる」という話にすごく通じるものを感じました。石川君ともよくそんな話をしていたなと思って。

石川: そうですね。部活とかスポーツって、『魂、燃やせ』を実行に移しやすい環境なんだと思います。一番の理由は、利害関係のあんまりない仲間がいるということ。プロ集団ではないので、勝利のためだけに集まっているのではないし、ある時点で切り取ってみるとモチベーションの状態もいろんな人がいます。それでも、例えばBチーム(2軍)のメンバーが腐っているとAチーム(1軍)も弱いということが往々にしてあって。人って弱いから、1人だとなかなか燃えることって難しかったりするんだけど、仲間がいるからやれるっていうところはありますね。
あと、「最初から最後まで自分たちでやれる」というのもすごく大きな要素だと思います。社会人になると、常に部分のことを担当するようになるんですが、よほど自己洗脳が上手くないと、部分のことをしていてそれが全体に繋がっているって信じ込むのは難しいですよね。社会ってすごく複雑なので、どうしても部分のことを担当せざるを得ないんだけど、そうするとイマイチ魂を燃やしきれないということが結構起こっているなというのは世の中を観察していて思うところです。そういう意味で、スポーツっていうのは自分たちで始めて、練習して、水を運んだりボールを運んだりして、最終的に結果につながるところまでできる。結果までの一連のプロセスをすべて自分たちで担うというところが、魂を燃やしやすい環境だなと思います。

目﨑: スポーツは魂を燃やすことを通じて幸福感を感じるっていう意味ではわかりやすい手段ですね。その前提は先ほどお話した「意識が最高の状態にある」ということなですが、大事なのはこれが主観だけで完結するのでは「最高の状態」とは言えないと思うのです。
主観と客観といわれるものの間にあるものを、どれだけ主観として捉えられるか。平たく言えば、自分以外の人について、どれだけそれをあたかも自分自身の主観のように体験できるか。これが「意識が最高の状態」を体験できる要素だと思っています。例えば、愛する人がいるとなったら、恋人でも子どもでも、その人の命や人生が完全の自分の人生の一部、身体の一部になって、更にはその人の命のほうが自分の命よりも大切、ってなることがあるじゃないですか。この、自分の肉体を超越して、主観の中で統合している感じがあると、すごく高い高揚感に繋がると思うんです。
極端な話、全人類でこの感覚を共有できたら、すごいことだと思いませんか?スポーツっていうのは、ラクロスもそうだと思いますが、それを身近なもので、時間限定で体験できる活動だと思っています。
石川: 今の目﨑さんのお話でふと思い出した光景があります。僕、6年間ラクロスをやったんですけど、ちょうど大学4年生の今ぐらいの時期でした。練習中にディフェンスをしていたんですけど、後にも先にも1回きり、ディフェンス陣が本当に一体となった感覚というか、自分が声を出してるのか出してなかったのかもよくわからないくらい、本当に以心伝心という感覚でした。それがラクロスをやっていて一番幸せだった経験ですね。本当に6年間で1回だけだったんですが、今でもずっとあの一体感って何だったんだろうって追いかけている気がしています。



(目﨑)アフリカのケニアにて



(石川)ラクロスプレイ中


目﨑: まさしくその体験ですよね。勝ち負けという基準やチームの目標があってそういった体験が引き出される部分も1つのメカニズムとしてあると思うし、石川さんのように日々の練習の中でもそういった体験ができるということは、スポーツ以外の部分でもそういった可能性ってありますよね。
僕は高校の頃、バンドをやっていました。学園祭の時間が終わってしまって、それでも強行突破でライブを続けていました(笑) 業者の人にやめろ!って言われて、電気を落とされたりしながらも、小さな教室で100人くらいの生徒が総立ちですよ。電気を切られちゃったので最後はドラムに乗せてみんな口でそれぞれの楽器のラインを歌ったりして。そのときの教室の一体感と高揚感を思うと、1万人のライブをやったらどんな感覚になるだろうと思ったりもしていました。

石川: そうですよね。先ほど目﨑さんがおっしゃったように、100人いたら100通りと言いつつも、動物としての人間っていうのは多分みんなそんなに変わらなくて。声を揃えたり、手拍子が揃ったりっていうのは、脳にとってとんでもなく気持ちのいい経験なんですよね。

目﨑: やっぱりそれはシンクロするっていうことだと思います。意識のシンクロです。

(後編に続く)

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