インタビューに答える、まるや商事３代目、 宮尾寿彦社長。商品開発の〝裏方〟としてのこだわり続け、会社と事業を成長させてきた。

2022年2月に創業75周年を迎えた「まるや商事」。〝おかげさま三訓〟〝⚪︎◻︎△理念〟など、創業から受け継がれる思いを、ふんだんに言語化し実直な姿勢は、あらゆる商品の開発や社員の意識共有に至るまで、一貫性を演出。今なお成長し続ける企業の秘訣について、宮尾寿彦社長に聞いた。

「商品」は俳優！？ 名裏方として、九州の可能性を解き放つ！

”食”のプロデュース事業について、御社はどんな気持ちで望んでいますか？

菓子を始めとする食品やお酒の卸プロデュース業として、全国各地のメーカーさんや小売さんとやりとりを続けてきましたが、私たちは商品を「舞台に立つ俳優」と捉えています。ですので、弊社はあくまで〝裏方〟。スポットライトを当てたりとか、台本書いたりとか、演出を考えるのが仕事ということになります。しかし、これからの時代を考えると、裏方だけでは難しくなってきた、とも考えています。メーカーさんと小売さんの間に立つ、「卸売業」は、コミュニケーションの量も多く、すごく大変です。時代とともに、メーカーさんが商品を届ける手段も常に変化し続けていることを忘れないことも重要です。

ちなみに「卸売業」だからこその〝強み〟はどんなところですか？

間に立つからこそ、スピーディーかつコスト削減に寄与することもできます。その中で、私たちは今後も社会に必要とされる存在であり続けるために「商品選択」と「商品開発」という卸しの機能をどんどん強化していきたいなと。思考はシンプルで「お客様に求められていることは何か」をしっかり考えていくことこそ、時代の変化に適応できる上で、大切だと思います。

ー時代の変化にも言及していただきましたが、業界の見通しについては、どのようなお考えでしょうか？

〝食〟においては、熊本ひいては九州は自然に恵まれて色々な産物が採れるので、まだまだ可能性に満ち溢れているマーケットだと考えています。その可能性をもっと解き放つことが、私たちは目指しているところです。以前、台湾で仕事をしていたときの話ですが、商品に「北海道」と名前が付帯するだけで、お客様の反響が大きかったんです。でも九州、熊本の一次産業のポテンシャルは高いので、ほかの地域に比べると、加工する場所が少ない。だからこそ私たちのような中小企業が、お菓子だけでなく、食品や加工食品、冷凍食品、調味料など、九州の産品を使って様々な食をデザインすることで、より九州の魅力を海外に発信していくことができるようにもなります。九州・熊本だからこそできる仕事は、まだまだたくさんありますね！笑

グループ会社が手掛けているプロデュース商品一覧。

「おかげ三訓」…！社内を一致団結する鍵は「言語化」すること。

1947年に創業し、2023年には過去最高の売上を記録するなど躍進を遂げていますが、宮尾社長の就任当初を振り返ってみて、現状はどう映りますか？

祖父が創業し、父から引き継いだ会社ですが、根本的な部分は変わっていません。メーカーさんから商品を買って小売さんに渡すというシンプルな行為は、今も昔も同じです。そんな中、現状を付け加えるとしたら、「困ったときには何でも相談できる企業」を私たちはずっと目指しています。メーカーさん、小売さんの困り事を聞いて回るのが我々の仕事であり、中間業者として重要なことです。そこに様々なヒントが眠っていて、適切な商品選択、開発へとつながります。振り返ると、私たちが主軸となって商品開発の旗頭となる、というより誰かと一緒に助け合えること、求められることに対してすごく価値を感じていました。

それが御社の「おかげ三訓」につながっていくわけですね。

一、仕入れ先のおかげで商い

一、お得意先のおかげ繁盛

一、従業員のおかげで盤石

ですね。創業当初から大切にしてきた言葉です。実は私は個人的に社内教育という文化は好きではないのですが、会社のメッセージを社内に共有することについては、積極的に取り組んでいます。一般的な言葉の定義を明確にしたり、行動指針を作ったりですね。例えば「整理整頓」という言葉。整理とは「不要なものを捨てる」。整頓とは「必要なものがすぐに出せる」。言葉は人によって、色々な解釈ができるからこそ、誰が聞いてもわかる言葉で話し、その意味をきちんと共有することは、仕事に取り組む上で重要なんです笑 昔、ある大手企業へ勉強しに行ったときに学びました。メッセージがトイレに貼ってたりとかしてですね！笑〝言語化〟って本当に大事。

個人的に大切にされている言葉もあるのでしょうか？

昔、父から言われた「人は信用してもいいが、信頼はするな」という言葉も大事にしています。当初はなかなか理解できなかったんですが、「任せる」ことと「頼りすぎない」ことのバランス感覚は、社長業を通じて、より深く身に沁みるようになりました。最近は、父の言葉に私なりの解釈を足して…「信じて用いるのはいいけど、信じて頼りすぎるな、ただし、お互いに信頼関係がない限り、次の成長はない」としたことで腹落ちして、納得を持って仕事ができるようになりましたね。

倉庫には、様々な加工品が並び、全国のスーパーや店舗へ出荷されている。

感謝と素直さあれば、学歴問わず大歓迎です！

最後に求職者へメッセージがあれば教えてください。

私たちは、学歴や背景、性別、年齢に関係なく、素直さと感謝の気持ちを持っている人を歓迎しています！共通の価値観を持ち、ともに成長できる仲間を求めています。日本にはインバウンドが増えているので、業界の勢いもあり、今後も活躍する機会に恵まれています。日本は、ご飯が美味しい、人が優しい、自然が豊かで文化がユニークなので、前述しましたが、本当に可能性に満ち溢れていて、これからの30年が楽しみです。そんな中、一緒に挑戦できる環境が整えば、もっと仕事が楽しくなるのではと考えています。〝九州で面白い仕事を探している〟という方は、ぜひ一度、お声かけください。