なにをやっているのか
弊社が開発・製造しているのは超コンパクトな風洞試験装置「Aero Optim-Cell」です。
「風洞」というものは空力(風による影響)を調べるため、乱れの非常に少ない、整った流れを作り出す試験装置です。従来、10~30mの長い距離と様々なフィルターを使用して気流を整えるため、通常風洞は建物一つまるごと専有するほど大きく、高額な装置です。大学でも1大学に1台あるかないか、というような「高嶺の花」の装置です。
●超コンパクト
弊社では独自の整流技術により、全長わずか1.4mの装置を開発・製造しております。事務所の片隅に置けるサイズの風洞というのはこれまでの風洞の常識を覆すものです。さらに、キャスターで移動できるため、使わないときには部屋の片隅に寄せて置けるため、環境を選びません。
●革新的なユニット式
さらに、弊社では風洞としては革新的なユニット方式を採用しており、70cm×70cmの基本ユニットを上下左右に必要な数だけ連結することで欲しいサイズの風洞を実現できる画期的なシステムです。従来の風洞はすべて顧客の測定対象物に合わせてオーダーメイドであったため、一点物の特注品ということで非常に高額であった背景もあります。弊社のユニット式の風洞は量産が可能な上、お客様の要望に合わせたサイズに組み換えができる、量産品と特注品のいいとこ取りができるのが特徴です。
●どこにでも運べる
従来、風洞は「風洞実験棟」という建物をまるごと建てるのが一般的ですが、弊社の製品であればソファーを置けるくらいのスペースが有れば風洞を導入できます。ユニットごとに分解できるため、高層階であっても、ドアが狭くてもどこにでも導入できます。
なぜやるのか
弊社はこれまで「高嶺の花」だった風洞を手軽なものにしたいという信念で開発を行っています。これは、「風洞を持てる会社」と「これまで風洞を持てなかった会社」(中小企業・スタートアップ等)の差を埋め、より公平な競争を実現したいためです。
皆さん、新幹線などの空力設計や、F1マシンなどのスポーツカーの空力設計、航空機の空力設計、巨大な橋梁などの空力設計などを行っている会社を思い浮かべてみてください。思い浮かぶのは大企業ばかりではありませんか?
資金力や組織力、技術力など様々な要因はありますが、要因の一つに「風洞を持てるかどうか」があります。
風洞を持っている会社と、風洞を持っていない会社では到達できる製品レベルに大きな差ができてしまうのが実情です。これは例えばツール・ド・フランスなどの自転車競技や、F1などのモータースポーツなどでも明白で、風洞を毎日自由に使える会社・団体は細やかな空力設計、頻繁なプロトタイピングが行えるのに対し、なんとか費用を捻出して数年に1回風洞を使えるかどうか、という会社・団体では検証できる内容・プロトタイピングの回数に大きな差ができてしまいます。レンタルで使うにも、大型な風洞のレンタル費用というのは高額であり、一般的に40~100万円/日ほどかかります。風洞試験は測定機器のセッティングや調整などの準備作業はもちろん、搬入や搬出などの作業もあるため、どんなに小さなものでも1週間は設備を借りないといけないため、1件あたり200万円~500万円前後の費用がかかります。これは中小企業やスタートアップ、セミプロのスポーツ選手などには頻繁に使えるものではありません。これが中小企業やスタートアップなどが空力設計のトップに躍り出るのが難しい、大きな参入障壁となっています。
弊社では、この参入障壁を取り除き、中小企業やスタートアップでも大企業と対等に渡り合える健全な競争を実現したいという信念から、導入しやすい風洞を目指して開発を行っています。
どうやっているのか
私達の会社では、過去の「できない」を疑うこと、そしてまずは「やってみる」ことを最も大事にしています。
現在弊社で製造している世界最小の風洞「Aero Optim-Cell」も、専門家から散々「できない」と言われ続けながら、まずは「やってみる」ことで挑戦し、ぶつかった障壁を一つ一つ解決する技術を開発していくことで実現した技術・製品です。ものづくりの世界はまだまだ、実際に「やってみて」検証しないとわからないことだらけです。どんなに前代未聞な突飛な意見でも真剣に議論し、わからないならまずプロトタイプを作る、そういうスピーディな開発環境です。