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NFC? RFID? Felica? 近距離無線技術のまとめ

 過去の記事で少し触れたNFCと、最近よく聞くようになったRFIDなどについてまとめてみたいと思います。

1.NFCとRFIDの違い

 NFC(Near Field Communication)もRFID(Radio Frequency IDentifier)も近距離の無線通信によってICチップに情報を送ったり受け取ったりする技術全般を指す用語です。

 大きな違いは通信距離RFIDは通信方式次第では約7mまで通信可能であるのに対し、NFCは「近距離無線通信」と約される通り、約10cmまでの距離に対応しています。

<RFIDの通信方式と通信距離>
・LF帯(電磁誘導方式) 〜10cm前後
・HF帯(電磁誘導方式) 〜50cm
・UHF帯(電波方式) 5m〜7m前後
・マイクロ波帯(電波方式) 〜2m前後

引用:NXPセミコンダクターズ「NFC Everywhere」より


2.RFIDの特徴と導入例

 RFIDはユニクロやジーユーのセルフレジに導入されているのでご存じの方も多いと思います。通信距離が比較的長いため、カゴに入れたままでもレジと通信することができ、お会計ができます。

ジーユー「超ハイテク店舗」はこんなにスゴい | 専門店・ブランド・消費財
ジーユーは世界的にも一歩リードした取り組み 今後さらに、RFIDの導入が進むことは間違いない。2017年4月には経済産業省がコンビニ各社とともに「コンビニ電子タグ1000億枚宣言」を発表し、2025年までにコンビニの全商品(推計年間1000億個)の電子タグ導入を進め、商品の個品管理を実現するとしている。 ...
https://toyokeizai.net/articles/-/189390?page=3

 また、天井にRFIDのアンテナを設置し、商品が店内をどう移動しているかの追跡もできます。例えば、ある商品が試着室に持って行かれたあと元の場所に戻るという動きを何度も繰り返すようであれば、その商品には着心地などに何か問題があるということなので商品開発を見直す、といった使い方が出来るわけです。


3.NFCとFelica

 NFCは近距離に特化した無線通信の規格で、SONY、ノキア、そしてNXPセミコンダクターズの3社が設立した業界標準団体”NFCフォーラム”で規定されています。

 FeliCaはその規格の一つでType F(ISO/IEC18092)と呼ばれ、ガラケー時代からおサイフケータイに採用されており、日本人の生活にはすっかり定着しています。

NFCの概要 Type A/Type B/FeliCaの通信部分をまとめた規格(図の水色の部分)がNFCである。
2004年に話題を集めたものの、その後、脚光を浴びることがなかったNFC(Near Field Communicaiton)。そのNFCが突然、2011年になって急速に注目を集めるようになった。きっかけは、米Google社がAndroid 2.3でNFCをサポートしたこと。合わせて同社ブランドのスマートフォン「Nexus S」にNFCの通信機能を搭載した。
https://tech.nikkeibp.co.jp/dm/article/NEWS/20111222/202935/?SS=imgview&FD=-1721764610

 しかし海外ではType FのFeliCaではなく、対応する非接触のICカードやタグが安価なType AやType Bが主流です。

4.盛り上がってしぼんだNFC

 現在では電子マネーでしかほぼ見かけることのないNFCですが、実は2011年頃に大きな盛り上がりを見せました。GoogleがAndroidスマホにNFCを標準装備させることにしたためです。これにより、FelicaのType Fに限らず安価なType A/BのNFCもスマホで利用可能になりました。

いよいよ動き出すNFC-その時ソニーはどうする?(上)
「今後、数年のうちに500社もの企業がNFCを使った新規ビジネスを立ち上げるだろう」――。 図1  NFC機能を搭載するスマートフォン「Nexus S」  2010年11月、米Google社 Chairman of the Board兼Chief Executive Officer(2011年4月4日より会長)のEric Schmidt氏が近距離無線通信技術「NFC」(near field ...
https://tech.nikkeibp.co.jp/dm/article/NEWS/20110420/191270/

 NFCを活用したサービスを一般ユーザーに展開できる可能性が開けたため、様々な実証実験も行われました。

NFC対応スマートフォンを活用した店舗内情報発信ソリューションの実証実験を実施 |凸版印刷
凸版印刷の"NFC対応スマートフォンを活用した店舗内情報発信ソリューションの実証実験を実施 "を紹介しています。
https://www.toppan.co.jp/news/2012/01/newsrelease1312.html
交通広告・屋外広告とNFCスマートフォンを組み合わせたプロモーションを検証(東急電鉄など)
2012年11月19日11:05 サイバーエージェント、東京急行電鉄(東急電鉄)、東急エージェンシー、凸版印刷は、NFC技術を活用し、交通広告・屋外広告などのOOH(Out Of Home:屋外広告など家庭以外の場所で接触するメディア)とスマートフォンを組み合わせた新たな広告手法「スマートOOH広告」を開発し、実証実験を開始したと発表した。4社は「スマートOOH広告」の第1弾として、サントリー食品
https://paymentnavi.com/cardnavi/27455.html

 しかし、ご存知のように日本ではiPhoneユーザーが圧倒的に多く、普及するには至りませんでした。


5.2020年はNFC元年?

 そのiPhoneですが、実はiPhone6以降にはNFCの機能を提供するICが内蔵されています。そしてiPhone7からはいくつかのNFCの機能が開放されたのですが、NFCを読み取るアプリを事前にダウンロードし、毎回いちいちアプリを立ち上げてから読み取らせなければならず、非常に面倒です。

 しかし2018年、ついにiPhone XSとiPhone XRからはアプリを起動することなくNFCタグを読み取り可能になりました。

 そして2019年6月のWWDC19にて発表され、9月にリリースされたiOS13ではiPhoneでのNFCタグへの書込みも可能になりました。

iPhone版 NFC Tools アプリ NFCタグの書き込みに対応 | AppleFan Media
iPhone版 NFC Toolsは20日、iOS 13のリリース日に合わせ、アプリのアップデートを行いました。 今回のアップデートはiOS 13のCoreNFC仕様変更に合わせた物で、iPhone版 NFC ToolsでもNFCタグの書き込みができるようになりました。 アプリは こちら からダウンロードする事が可能です。 Source: App Store Mr.RS AppleFanの管理人 スタバ、Apple、電子工作、ディズニーが好きです。趣味でraspberry piを弄っています。
https://applefan.net/2019/09/24/nfc-tools_app_nfc-tag_write_support/

 また2019年11月、ドイツ連邦議会が「電子マネーのインフラを持つ企業は、合理的な手数料を支払った外部企業に対してそれにアクセスさせることを義務付ける」項目を追加した法律を通過させました。これは、ほぼApple狙い撃ちの項目です。

ドイツ議会がiPhoneのNFCモバイル決済を他社に開放する法律を可決。アップルは「セキュリティに危険」と警告 - Engadget Japanese
米Reuters報道によると、この法律はアップルを具体的に名指しせず「電子マネーのインフラ運営者に対して、合理的なマージンを支払う他社モバイル決済サービスにインフラへのアクセスを認めることを義務づける」というもの。マネーロンダリング防止法の修正というかたちで、来年初めに施行される予定です。 ...
https://japanese.engadget.com/2019/11/17/iphone-nfc/

 Androidスマホではすでにサードパーティーのアプリ開発者がNFCチップに対してアクセスすることができるようになっていますが、iPhoneで電子マネーを利用する際はApple純正のWalletアプリ経由でなければいけません。

 こうした各国の動きや最近のiPhoneの"Android化"の傾向を踏まえると、2020年あたりでiOSのバージョンアップにより、iPhone7以降の機種すべてでアプリ無しでNFCの読み取りができるのでは?との憶測もあり、いよいよNFCが本格普及するのではと見込んでいます。

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