この記事は2022年12月22日に弊社noteに掲載した内容となっております。
「どんな味か気になる。飲んでみたい」
「パッケージがかわいい」
「秋の夜長にぴったりそう」
こうした口コミを中心にSNSなどで女性たちから“共感”を集め、過去最高の売上を記録。クラフトジンブランド「HOLON(ホロン)」が展開する秋限定フレーバー「HOLON SEASONAL 秋 <金木犀>」がヒットしています。
秋限定フレーバー「HOLON SEASONAL 秋 <金木犀>」
これまでにも金木犀の香水など“香り”にまつわる商品でのヒット事例はありましたが、「お酒×金木犀」というのは珍しい組み合わせ。なぜ、「HOLON SEASONAL 秋 <金木犀>」は人気が出たのでしょうか。企画・プロデュースを担当する堀江麗に話を聞きました。
▼目次
- ヒットの裏側にあった「女性」の狙い打ちと“HOLONらしさ”
- HOLONは日常の行為を捉え直し、日々に豊かさをもたらすブランドへ
ヒットの裏側にあった「女性」の狙い打ちと“HOLONらしさ”
──「HOLON SEASONAL 秋 <金木犀>」が過去最高の売上を記録しています。
堀江:もともとコスメ業界ではSHIRO(シロ)の「キンモクセイ オードパルファン」が大ヒットするなど、金木犀の香りに対する需要があることは知っていました。ただ、それはあくまでも“香り”の話で。金木犀が飲み物として成立するかどうかはわからない部分もあり、商品化するにあたって、社内でもその点が検討のポイントになりました。
そうした中、ユーザーインタビューなどを通してHOLONは美味しいかどうか判断される一般的なクラフトジンのブランドよりも、ライフスタイルブランドというイメージを持たれていることがわかって。それなら、コスメと近い発想で商品化してもいいと思ったんです。
また、一般的なお酒のブランドのメインユーザーは男性ですが、HOLONのユーザーは男女比率が半々。むしろ女性の方が多いくらいです。これまでの商品も女性の購買率が非常に高かったので、女性が好きな「金木犀」ならいけるのではないかと思いました。
──味など、商品化する上で迷った部分はありましたか?
堀江:当初、社内では「金木犀に杏や柑橘などのフルーツを加えて組み合わせを楽しめるようにした方がいい」「金木犀ではなく紅茶の方がいいのではないか」といったアイデアもありました。ただ、ユーザーの女性比率が圧倒的に高いこともあり、ターゲットを「女性に振り切ろう」と。下手に組み合わせを提案するよりも、金木犀だけの味わいを追求することにしたんです。ラベルも女性向けを意識して、事前ヒアリングで女性人気が高かった金色を採用しています。
──そうした点も踏まえて、ヒットの理由をどう分析していますか。
堀江:美味しいかどうかもヒットするためには重要ですが、それ以上に“HOLONらしさ”というものを表現できたのが良かったのかなと思います。多くの人がイメージする「秋の季節にぴったりのもの」と「HOLONらしい」というイメージが上手く合致した。その結果、過去最高の売上に繋がったんだと思います。
例えば、これまでHOLONは冬に蜜柑、春に桜、夏に梅紫蘇、秋に金木犀を販売しました。どれも季節感はあるのですが、その中でも「どういう味になるんだろう」という意外性がある桜と金木犀の売上が良かった。そういう意味では、想像力が膨らむ良さがあるものが“HOLONらしさ”なのかなと思います。
このシーズナルラインは「この季節になったら、◯◯ブランドの◯◯を飲もう」といったものにしていきたいと思っているので、製法自体は今後も変えていく予定はありません。12月12日から予約販売を開始している、2022/23 冬限定フレーバー「HOLON SEASONAL 冬<蜜柑>」も製法自体は昨年と同じですが、蜜柑自体がその年によって味わいが異なるため、そこで変化を楽しんでいただけたらと思います。
2022/23 冬限定フレーバー「HOLON SEASONAL 冬<蜜柑>」
その一方で、新しいラインアップを始めるときは今回の金木犀のヒットを参考にしながら、商品のテーマは一捻りあるものにした方が、HOLONらしいものができるのかなと思います。
HOLONは日常の行為を捉え直し、日々に豊かさをもたらすブランドへ
──前回のnoteから半年が経ちました。何かHOLONのブランド自体に変化はありましたか?
堀江:当時はカンカク発のD2Cブランドとして展開していたのですが、現在はグッドイートカンパニーのD2C事業部の中にある、いち事業としてHOLONがあります。流通額を重視するプラットフォーム事業と比較すると、D2C事業は利益率を上げること、そして商品やブランドの企画力を上げる役目を担っている、と個人的には思っています。企画力を高めることで、将来的にグッドイートカンパニーからヒットする商品やブランドを生み出しやすくなるはずです。
また、ブランドの運営体制も変わり、グッドイートカンパニーの中に入ってからは物流や編集、CSのチームなど、さまざまな領域のプロの力を借りることができ、とても助かっています。それによって、新しい商品の企画にも力を入れられるようになりました。HOLONはミニボトル(200ml)も展開しているのですが、その商品展開もグッドイートカンパニーで一緒に働く人たちからの声がもとになり、開発することができました。ブランドを成長させていく上で、さまざまな知見をいただくことができています。
──今後、HOLONをどういうブランドにしていきたいですか。
堀江:HOLONは“心身をととのえる”をキーコンセプトに、飲むや嗅ぐ、物を愛でるといった日常にある行為を捉え直し、日々に豊かさをもたらすブランドになりたいと思っています。商品展開もクラフトジンにとどまらず、1〜2年の間にノンアルコールの“お茶”のラインをつくったり、お香のラインをつくったりしていきたいです。
また、3年ぐらいを目処に“都市と休息”をテーマにした雑誌を発行したり、ブランドのコンセプトが体感できる実店舗を展開したりできたら、と思っています。
HOLONはまだまだ生まれて間もないので、今回の成功体験を生かしながら、さらに多くの人の生活を豊かにできるようなブランドに成長させていきたいです。