BBQ&Co(バーベキューアンドコー)の代表・成田です。
大阪駅から車をほんの30分走らせるだけで行けるアーバンリゾート、大阪・舞洲。僕らはここで「森とリルのBBQフィールド(ホテル・ロッジ舞洲)」 を運営しています。
開放感あふれる海と豊かな森という、恵まれたロケーションに見合うBBQとは?
この土地の価値を最大限に引き出すことを考えた結果、屋内と屋外とをシームレスにつなげるBBQの場づくりというアイデアに結びつきました。
美とは自然と作為の融合。
数年前、西オーストラリア州と兵庫県との姉妹提携35周年記念の式典がパースで開かれ、僕も現地で参加しました。式典後の懇親会での空間演出に驚きました。
会場はホテルのバンケットルームでありながら、ほぼ屋外。
部屋の2つの壁面が開放されて、広大なゴルフ場を見下ろす作りになっていました。快適なホテルの中にいながら、光や風を感じられて眺望も楽しめる。人工物と自然との融合が美しさと心地よさを生み出していました。
「今、国際的なコンベンション会場にこういう空間が選ばれているんだ!」と僕は驚きました。壁で閉じ込められた屋内空間で豪華絢爛な装飾を競うのではなく、自然との調和に美しさを見出す、成熟した感覚。
そしてその一方で、手つかずの自然には生命力という魅力はあるけど美は感じられないことに気づきました。自然に対して作為的に人が手を加えることで、人はそれを「美しい」と感じるようになるんだ、と。
鑑賞する庭ではなく、過ごすための庭づくり。
このときの経験に基づいて僕らが手掛けたのが、ホテル・ロッジ舞洲の「森とリルのBBQフィールド」 です。
BBQを「大変さ」や「面倒くささ」から解放して誰もが楽しめるものにしたい。清潔で快適なBBQ環境のために、自然と作為を融合させる空間づくりを行いました。
全天候型のBBQサイトを新設し、雑木林を開拓し、庭や芝生を美しく整備して……キッチンの前に設けた広いウッドデッキでこの風景を楽しみながらBBQを楽しんでほしいと考えました。
そんな時、
「ここ入ってもいいのかな」
「きれいな庭だから見るだけじゃない?」
という声が聞こえて、ハッとしました。
海外のようなBBQ文化が根付いていない日本では、庭の中に入っていいかわからず遠巻きに鑑賞するだけになってしまう。この庭の中で過ごしていいんだと感じさせるサイン的なものが必要だったんです。
「外に出たい」と思わせる仕掛けを。
そこで、僕らが力を入れたのがアウトドア家具です。
アウトドア家具は、持ち運びが前提のキャンプ用品とは違って基本的に屋外に据え置きするものです。雨風に強い素材を使っているものの、デザイン性の高さや質感はインドア家具と同じ。そのような「外にいるのに家の中と同じクオリティ」のものを、テラスや庭に常設することにしました。
アウトドア家具については北欧やベルギーで学び、買い付けもしてきました。
夏が短い北欧では、屋外で過ごすひとときをとても大切にしています。屋外にも洒落た家具を置き、洗練されたスタイルでアウトドアを謳歌する様子を多く見ました。あんな椅子やテーブルが庭にあれば、屋外で過ごしたいと誰もが思うだろうな……。
それを体現させたのが「森とリルのBBQフィールド」 です。
屋内と屋外を、ウッドデッキでシームレスにつなぎ、アウトドア家具で人を外に誘い出す仕掛けを作りました。
風景の整備も大事だけど、実際に身体に触れる家具やプロダクトも大切。それ以来、BBQ&Coでは家具選びやプロダクト開発にも力を入れるようになりました。
BBQ場づくりはインフラづくり。
僕らはBBQ事業を、街に「にぎわい」を生み出すためのインフラ整備ととらえています。
かつての大蔵海岸や舞洲のように、人々から忘れ去られた土地に新しい活気を生み出すこと。そのために、日本には馴染みがなかったBBQ文化を紹介し、日本の土壌に合う形で広めていくことを目指しています。
「こんなにスマートにBBQができるんだ」
「外なのに家の中のようにくつろいでいいんだ」
「BBQってみんなで楽しめるものなんだ」
そんな発見を生んでいくための仕掛けとして、ランドスケープの再評価、スマートで快適なアウトドア空間づくり、そしてBBQを楽しむためのプロダクト開発やTips共有など、たくさんのチャレンジをしていけたらと思っています。