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京都のコーヒースタートアップ Kurasuでは、さまざまなバックグラウンドを持つメンバーが活躍しています。
アメリカ出身で、UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)を卒業後、慶應義塾大学大学院を経て2024年1月に入社したAdamもその一人。「Kurasuでキャリアのスタートを切れたことは幸運」とほほえむ彼に、来日やKurasu入社のきっかけ、今取り組んでいる仕事や今後のビジョンについて聞きました。
海外店舗のマネジメントから京都店の現場まで
——Adamさんは2024年1月にKurasuに入社したそうですが、現在どのような業務を担当しているのでしょうか。
主に携わっているのは、Kurasuの海外拠点のマネジメントです。特に、本社がある京都と世界各地の拠点とのコミュニケーションをより円滑にすることが重要な役割です。毎週、世界各国の店舗メンバーとオンラインミーティングを行ない、日々の運営について密にやりとりしています。
それ以外にも、いろいろな仕事を任せてもらっています。Kurasuは今年2月、近未来的な空間で「10秒で一杯」のスペシャルティコーヒーを提供する「2050 COFFEE」をグランドオープンしました。その2050 COFFEEのイベント企画やプロダクトデザイン、マーケティングも手掛けています。
そして、実は昨日からKurasu Kyoto Standの現場にも行って、バリスタさんのトレーニングもしているんです。バリスタの仕事って、とにかくかっこいいですよね! エスプレッソをつくるプロセス自体がかっこいいし、そこに一人ひとりのスタイルを取り入れられるところもいいですね。お客さんとお話できるのもすごく魅力的なポイントだと思います。
——海外店舗のマネージメントをしながら、店頭でも活躍されているのですね!
はい。オフィスでマネジメントに携わる人間が、現場の様子もしっかり見ているのは、いいコーヒー会社の証拠だと思います。世界的に見ても、すばらしいコーヒー会社では、昔バリスタを経験していた社長が今でもときどき店頭に立っていたりするんです。
オフィスにいるだけではお客さんのことが見えませんよね。経営と現場、どちらもちゃんと理解していることがとても大事だと思っています。
——Kurasuのチームやカルチャーについてどのように感じていますか。
Kurasuのメンバーは、とにかく全員すごくいい人。「いい人が多い」ではなく、「全員がいい人」なんですよ! これってすごいことですよね。
しかも、みんな同じタイプではなく、それぞれ違った良さがあって、お互いを尊敬し合えています。そうした多様性がKurasuのカルチャーをつくっているのかもしれません。
コーヒー産業に興味を抱き、慶應義塾大学院へ
——Adamさんのご出身はどちらですか。どのような経緯で日本に来たのですか。
生まれ育ったのはアメリカの南カリフォルニア・ロサンゼルスです。学生時代は、UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)で経済学を専攻しました。しかし、経済の分野にはあまり馴染めず、その方面で働きたいとは思えなかったんです。
キャリアを決めかねたまま、2019年、大学卒業後に来日し、東京都世田谷区の国士舘中学校・高等学校でALT(外国語指導助手)をすることにしました。
なぜ日本だったかというと、高校卒業時に約3週間日本でホームステイをした経験があり、そのとき日本を好きになったから。僕の出身地であるロサンゼルスのトーランス市と千葉県の柏市は姉妹都市で、市のホームステイ・プログラムを利用して日本へ行ったんです。
ホストファミリーは祖父母・父母・3人兄弟のいる7人家族。チワワと柴犬もいましたね。すごくよい人たちで、母と兄の3人家族で育った僕にとって、大家族での暮らしは本当に楽しかった。その思い出が心に残っていて、大学を出たあと日本に渡ることにしたんです。
しかし、ALTの1年間の任期が終わる頃、パンデミックが始まって、カリフォルニアに戻ることになりました。依然キャリアには悩んでいましたが、当時は行動制限が多くて、バイトも含めてできることがほとんどなかったので、毎日のようにカフェに通っていました。
——2021年に再び来日したそうですが、そのときの目的は?
カリフォルニアで足繁くカフェに通ううちにバリスタと仲良くなり、コーヒーそのものだけでなく、コーヒー産業にも興味を持つようになりました。いろいろと知識を得るうちに「コーヒー業界のサステナビリティやサービスデザインを専門的に学びたい」という気持ちが湧いてきて、慶應義塾大学大学院のメディアデザイン研究科(KMD)に入学、再来日したんです。
KMDには多様なキャリア・年齢・国籍の学生が集まって、それぞれの領域を横断しながら研究活動をおこなっています。僕はそこでコーヒー産業を研究しました。修士論文のテーマは「持続可能なコーヒーコミュニティの成長を支援するサービスデザイン」です。
フィールドワークとして日本とカリフォルニアのコーヒーショップで働く人を訪ねたり、オンラインでコーヒー農園の生産者さんや管理者さんなどにインタビューをしたり。本当に多くの人々とコラボレーションしながら、研究を進めました。振り返ってみると、当時学んだことがKurasuでの現在の仕事にもつながっています。
▼ Adamの修士論文はこちらから読めます!
Brewing strong relationships through coffee with the "Blooming Post" : a service design to support the growth of sustainable coffee communities
(慶應義塾大学 学術情報リポジトリ)
「Kurasuの成長にコミットしたい」という強い想い
——Kurasuを知ったきっかけと、入社した動機を教えてください。
大学院時代に京都大学で学会発表があり、3日間京都に滞在しました。その間、京都でたくさんのコーヒー屋さんをまわり、その1つがKurasuだったのです。すごく素敵なコーヒー屋さんで、スタイルやマーケティングの手法にも惹かれましたが、そのときはKurasuに入ることになるとは思ってもいませんでしたね。
僕は日本語も話せますが、母語は英語。就職活動にあたっては、漠然と「欧米のコーヒー会社に行くんだろうな」と思っていました。そんなときに、ふとKurasuのことを思い出したんです。
——日本で巡ったコーヒーショップの中でも、Kurasuが思い浮かんだのですね。
Kurasuは、いわゆる「スペシャルティーコーヒーのお店」ではなく、グローバルに事業を展開する「会社」です。だから、自分がそこで働くイメージを持つことができたんです。
そのとき、Webサイトに具体的なポジションの募集はなかったのですが、メールで問い合わせたらその日のうちに代表のYozoさんから返信があり、翌日オンラインミーティングをすることになりました。
ミーティングは30分の予定だったのに話が盛り上がって、1時間も話したことを覚えています。Yozoさんの話し方もすごく好きで、「ほかのコーヒー会社ではなく、Kurasuに入りたい」と強く感じ、入社を決めました。先ほどもお伝えしたように、Kurasuのメンバーは全員いい人で、ここで自分のキャリアをスタートできたことはとても幸運だったと思っています。
——Kurasuは、どんな人におすすめの会社ですか?
Kurasuのメンバーは多種多様なので「こういうタイプの人」というのは難しいですね。でも、Kurasuとチームの成長に関わりたいと思える人なら、きっと楽しく仕事ができるでしょう。僕自身、入社前にYozoさんと初めて直接会ったときに「Kurasuの成長にコミットしたい」と強く感じたんです。その気持ちが大切だと思います。
世界中にKurasuを出店する夢に向かって
——Kurasuで達成したい目標や、キャリアで成し遂げたいことはありますか。
すべての国にKurasuを出店させることが夢です! ここ数年、Kurasuは積極的に海外出店をしているので、いつか母国であるアメリカでも出店できたらいいなと思っています。ニューヨークかロサンゼルス、あるいはその両方にKurasuをオープンさせられたら、僕のキャリアは成功したと言えるでしょう。
そして、僕は大学院でコーヒー産業について研究していたこともあり、コーヒーを取り巻く社会的な問題にも強い関心があります。コーヒー生産者の労働環境改善は絶対に必要なので、Kurasuがその一翼を担えたら……と毎日考えています。
コーヒーって、特別なものだと思うんです。ほかに類を見ないほど世界中で飲まれていて、膨大な量が必要とされていますが、すべてのコーヒーがファクトリーではなく「人間の手」から生み出されているのですから。
消費者の側から生産者の実態は見えにくいけれど、僕たちが飲んでいるコーヒーと生産者の労働は、切っても切り離せません。一人ひとりにできることは小さくても、消費者がそういった構造的な問題に気づくことで、業界全体が動いていくと思っています。
Kurasuが最近立ち上げた店舗ブランド「2050 Coffee」は課題解決に向けたひとつの提案ですが、今後も未来に向けてムーブメントを起こしていきたいですね。
——Adamさん、ありがとうございました。最後に、今お気に入りのコーヒーを教えてください!
Kurasuのハウスブレンド「春こち」です。まろやかで、まるくて明るい、飲みやすいブレンドで、僕は愛用のHARIO V60でドリップして飲むのが気に入っています。アイスの春こちもおいしいので、これからの季節も楽しみです!