※以下は塾内報に掲載したコラムです。
3/20の年次報告会が終わり、改めて一年間の節目を迎えました。
「受験までの過程は、人によって全く違うのですね」。年次報告会にお越しいただいた方からそういったコメントをいただくことが毎年多くあるのですが、特に今年はたくさんいただいたように思います。
実際、今年の子どもたちのプレゼンは様々でした。当初から目指していた志望校に合格できた人。当初思い描いていた学校から変更した末に、最終的に合格できた人。誰よりも高い目標を目指して人一倍の努力を重ねた先に、第一志望に届かなかった人。
学力向上や受験に対して責任を持つ「塾」としての立場が私達にある中で、お聞きになる方々がどのように感じられるかと考えながら企画してきた部分も今年はありました。塾全体としては、多くの子どもたちが第一志望に合格できた(都立は9割以上)年でもあったのですが、抱かれる印象は異なるものとなる可能性も考慮しました。また、必ずしもわかりやすいサクセスストーリーではない内容をお話いただく子にとって、それがその子やご家庭にとって負担でないかの不安もありました。
それでも、今回お話いただいた子たちは入試までの過程が素晴らしく、それを是非お話してもらいたいと思い、お願いをしました。学力が伸びたということはありつつ、それだけでなく、自分で進路を決めるという「意思」や、頑張れる自分になれたという「努力」など、一人ひとりに異なる成長がありました。今回の受験の振り返りプレゼンを通して、これまでの経験を言葉にしてもらい、今後の人生の糧にしてもらいたいという思いがありました。
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もっと確実に合格できる学校もあった。それでも、どうしてもその学校に行きたいと思い、誰よりも努力を重ね、実際に大きく伸びた。その過程を通じて、一人の人間としても大きく成長できた。ただ、あまりに高い目標に対して、最終的に僅かに届かなかった。
単純に合格=成功なのか、不合格=失敗なのか。受験の結果という表面だけを切り取った表現に、実際の子どもたちを見ていると、違和感を覚えることもあります。
同時に、ただ「大きなチャレンジ」だけを肯定しているわけでもありません。先日、私立推薦で合格を決めたある子が「私は周りの子に比べて頑張ってない」といった言葉を口にしたことがありましたが、そんなことはないです。その子はその子なりに、この受験までの過程で成長をしてきました。自信を持つべき、これまでの期間であったと思っています。
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入試に対する解釈は様々な考え方がありますが、確実に言えることもあると思います。
一つは、一人ひとりがこの受験に対して自分なりに正面から向き合ってきたこと。この塾で入試まで頑張ってきた子たちの姿を思うと、受験という機会を通じて、何かしらの成長を遂げてきました。
もう一つは、今回の選択や結果が成功であるか否かは、これから先に決まること。これから先、一人ひとりがどのように過ごしていくかによって、今回の結果の意味合いは変わってくると思います。今回の年次報告会の中でも、高校受験の時に納得できなかった経験を糧に、大学受験では大きく飛躍できた話をしてくれた子もいました。
いずれにせよ、今回の経験をこれからに繋げていくためには、これまでの過程をしっかりと振り返り、自分自身が成長したこと、課題としてあり続けたことなど、その一つひとつを今の時点で言葉にしておくことが大切であるとも思います。そのため、年次報告会を行った日の昼間の時間帯には、受験を終えた子たちと塾で一年間の振り返りを行う時間も設けました。
塾としての学力向上はもちろん、その過程を通じた一人ひとりにとっての成長にも貢献していけるよう。これからも子どもたちと関わらせていただけたらと思います。(関屋)