事業成功にフォーカスした、エンジニアのプロ集団を作っていきたい
明石 信之
CTO/最高技術責任者
システム開発会社を経て、2000年にヤフー株式会社(現、LINEヤフー株式会社)入社。Yahoo! JAPANの広告配信システムなどの開発に従事。2009年に同社CTOに、2013年にシニアフェローに就任。2014年に株式会社フリークアウト執行役員CTO就任。IPO後を見据えたエンジニアリング組織作りに携わる。2017年1月、フリークアウト・ホールディング執行役員就任。その後、ユアマイスター、インフォステラ、フリークルなどベンチャー企業の技術顧問就任。2019年10月、東京都デジタルトランスフォーメーションフェロー委嘱し、東京都のDX推進および構造改革のためのアドバイザーを務めている。2021年1月スタンバイCTO就任。
代表・南の思いに触れ、事業拡大の可能性に惹かれた
スタンバイへの参画を決めた理由は2つあります。代表である南 壮一郎が描くビジョンに共感したこと。そして、自分で事業プランを描き執行できることでした。
もともと現場志向が強く、2000年にヤフー(現、LINEヤフー株式会社)に入ったときは「マネジメントではなくエンジニアでいたい」と明言していました。CTOになったのは、エンジニアのキャリア戦略上、ロールモデルが必要だったから。実績を示せた段階で、3年後には新たなチャレンジを求めてフリークアウト社に移り、IPO後を見据えたエンジニアリング組織づくりに携わりました。その後、日本のスタートアップ業界の発展のため同社のベンチャー投資や投資先企業を中心とした複数社の技術顧問を務めるようになったのですが、“アドバイザー”ポジションは提案や助言をするだけで最終的に事業に責任を持つことはありません。自分では執行しないポジションにいることにストレスを感じ始めていました。
そんなときに声をかけてきてくれたのが、設立間もないスタンバイでした。
南と初めて顔を合わせたのは2020年の年明け。当初はその熱量に面喰いました。人付き合いが苦手で基本的にローテンションな僕にとって、熱過ぎるくらいです。でも話を聞いていくと、「求人領域での検索サービスを確立させたい」「プロダクトドリブンの会社にしていきたい」と実現したいビジョンは明確だった。一人の圧倒的な熱量が新たな事業を生み出していくことは、これまで様々な組織を見てきて確信がありました。それからしばらくヤフー(現、LINEヤフー株式会社)側からスタンバイをサポートし、その後、正式なオファーをいただきました。自分の今までの経験を生かし、自ら執行できるポジションに立てる。これは面白くなるだろうと思いましたね。
プロダクトドリブンの実現に向け、検索精度の向上に取り組んだ
スタンバイには、伸びない理由がない。2020年の年明け、話を聞いてすぐに直感しました。同じような求人検索サービスを手掛ける事業会社は、何十倍もの売上を達成しており、マーケット規模は膨大です。その上、ヤフーのユーザーなどの資産や技術ナレッジなど豊富なアセットを活用できる。やればやるほど良くなる可能性以外想像がつきません。こんな恵まれたスタートアップ環境は、スタンバイのほかにほとんどないだろうと思いヤフーの明石としてサポートを始めました。
最初にやったことは、事業計画を壊すことでした。ヤフー側には「ヤフーが持つ膨大なトラフィックを利用した送客で事業を拡大させたい」という考えがあったでしょう。しかし、送客で一時的に事業が成り立ったとしても、それでは継続性がありません。
ユーザーの流入があっても、検索結果が悪ければ離脱してしまい、一度離れたらもう二度と戻ってこない。これは検索エンジン領域の常識です。たとえ広告やプロモーションに力をいれてサービス認知度を上げても「使ってみたら、必要な情報にあたらない」となれば、サービスに対するネガティブ印象はこれからずっとついて回るのです。
南が言う「プロダクトドリブン」を実現するには、現スタンバイサービスの土台となる検索精度をさらに上げることが最重要ミッションでした。そこでまずは、検索エンジンのアルゴリズム開発に着手。スタンバイ組織の自走をサポートしながら、1年かけてじっくり取り組むことを決めました。この提案に対して、経営陣全員が賛同し、前向きに実施してくれたことは、非常にこのあとスタンバイ参画を決定する要因にもなっています。
プロのエンジニアとして事業成功にフォーカスしていく
検索は、データと数字の世界です。最低限、検索結果のクリックスルー率(CTR)、離脱率、直帰率などの数字を見てはじめて、ユーザーが求める情報は何かを理解し、今の検索エンジンに足りないところを洗い出していくことができます。
データドリブンな経営を根付かせるために、2020年はひたすらABテストを繰り返しました。「ヤフーチーム」「スタンバイチーム」双方で自分の得意な検索基盤を使いながらモデルを構築し、お互いの知見を学び合う試みも実践。その中で、「こんなやり方があるのか」と素直にオーソドックスな手法を共感して吸収していく一方、ディープラーニングなどの先端技術を活用してトライするなど、スタートアップ期ならではのチャレンジングな姿勢も見られ、今後の成長の可能性を感じました。
僕は、エンジニアである以上、携わっている事業をエンジニアリングで成功させなければ意味がないと思っています。面白いから作っているだけでは自己満足。事業の成功にコミットし、そのために必要な技術を勉強するのがエンジニアの仕事の一環でしょう。
目の前のやるべきことをただこなすのではなく、仕事の先にある事業目標に対し、どう貢献しているのか全体像からとらえて成果を出してほしいと考えています。
検索精度を高めることが、事業成長の土台としていかに重要なのかについて、エンジニアたちと繰り返し共有してきました。今後も、検索フォーカスの軸はぶらさずに、ユーザーのデータが蓄積されてきた段階で、検索の延長線上にある広告、レコメンドなど応用技術の開発強化を進めていきたいです。
「UPDATE WORKSTYLES」を自ら体現する組織でありたい
検索技術は、いまだ成長途上です。こと日本語検索領域においては、他の言語と文法が異なる特殊な領域であり検索エンジニアの数も圧倒的に少ない。僕の見ている限り、Googleなど世界のWeb検索専門のトッププレイヤーとのレベルの間にはまだまだ大きな壁があります。しかし、だからこそ、求人領域というバーティカル検索×日本語検索の世界では、これからトッププレイヤーになれる可能性を秘めています。僕自身が誰にも負けたくないと思っているし、それをスタンバイで一緒に作っていき、そのナレッジをもとに他の特殊な言語や文化環境を持つ国に対して展開できると思っています。しかし、これはスタンバイの目指す未来への序章でしかありません。
検索理論を理解した上でコードを書けるエンジニアの市場価値は、これからどんどん高くなっていくでしょう。その中で、自社プロダクトを持ち、事業拡大のためのアセットが用意されたスタンバイは、スキルや経験を伸ばしていく絶好の環境だと思います。
スタンバイのミッションは“UPDATE WORKSTYLES 「はたらく」にもっと彩りを”。人々の「はたらく」をアップデートしていくという言葉は、スタンバイ社内の僕たち自らで体現すべきものです。働きやすい環境を自分たちで作り、自らの成長を楽しみながら、サービスの先にいるユーザーに幸せを提供していきたいと考えています。