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アダコテックでの1年を振り返る【前編】

少し前の記事にはなりますが、河邑が2019年7月に入社してから、1年間で感じたことや想いを綴っています。「アダコテックがどのように作られてきたのか」や「河邑が入社してからやってきたこと」「これからのアダコテック」がわかる記事になっている3本立てのストーリーです!それではどうぞ!

製造業向けにAIを提供するアダコテックの河邑(かわむら)です。2019年7月に入社してから早くもマル1年が経過しました。良い機会なので、1年の振り返りをしてみようと思います。今回は実務的なところが中心で、「こうしておけばよかった・・・」という反省点も含めて、赤裸々に書いていこうと思います!

入社したときのアダコテック

アダコテックは2006年に産総研からスピンアウトしたテクノロジーベンチャーです。以来、優れた技術を保有するも、なかなか環境面に恵まれてきませんでしたが、ここ2~3年で風向きが変わり、大手企業への導入が進みました。それをきっかけに2019年7月にはじめて外部からの資金調達(シリーズA 4億円)を行い、私が入社したのがこのタイミングです。

大まかなにこの1年でやってきたこと

入社してから1年間は以下の流れで進めていきました。

①Missionの策定 <2019年7月>

入社して最初に取り組んだのがMissionの策定です。2時間のセッション×4回+週末の1日会議×1回で、創り上げていきました(当時の社員は4名)。

設立から14年の会社でしたので、創業メンバーのこれまでの道のりを振り返ることからはじめました。そして、今後の大きな方向性について、解決したい社会課題とアダコテックが持つ技術を摺り合わせていきました。

テクノロジーがある会社だと、どうしても「この技術をどう社会実装するか?」という観点が先行してしまうのですが、それだと味気ないものになってしまうので、「世界をどう変えたいのか?」といったEMPATHY(共感)を生める内容にフォーカスするのが味噌だったと思います。

最終的に「モノづくりの進化と革新を支える」にMissionを決めましたが、技術的には製造業以外にも広く使える汎用性があったのに敢えて「モノづくり」という言葉を入れたのが、メンバーの意志であり、私が個人的に気に入っている部分です。

<余談&振り返り>
・Missionの議論は「沼」。時間を掛ければ良いモノができるというものでもなく、事業が進む中で、良いアイディアが浮かぶことも多い。ゆえに、弊社のようにまだ事業が固まりきっていない状態の場合は、最後は"仮決め"するくらいの気持ちで時間を掛けすぎないことも大事。
・必要最低限で走り始める。Missionに合わせて社名、ロゴ、Corporate Identity(CI)等、まるっと変えることも考えたが、どうせ色々と変わるので、事業が一定の落ち着きが見えてきた段階が良いと考えた。

②事業戦略をつくる <2019年8月~9月>

Missionをベースに、3年後の目標を定め、そこから直近年度の事業戦略に落とし込んでいきました。A4 2枚のWordで、①どこを目指すのか、②目指す上での主な事業課題、③事業課題を克服するための戦略、④定量計画の4点をまとめました。(余談ですが、私は経営資料はAmazonスタイルでWordです。一覧性や文脈を重視している、というのが表向きの理由、パワポに自信がない、というのが裏の理由です。)


ここでやっておいて良かったのは、「山の登り方」をステークホルダーと合意しておくことでした。弊社の場合は、売切り型の受託モデルではなく、SaaSの積み上げ型のビジネスモデルですので、PL上では売上の立ち上がりが緩やかで、黒字化のタイミングも遅いです。企業価値も、PSRではなく、ARRマルチプルベースで算定されます。「どう事業を評価するか?」の評価軸を目線合わせしておくと、議論の軸もブレないので良しです。

尚、定量計画については、あまり詳細な財務モデルを組むのに時間を使っても仕方ない(どうせ変わる)ので、大きなKPIをもとに簡易なPLと資金計画を作成するにとどめました。

<余談&振り返り>
・反省としては、この段階でもっと市場調査に時間を割くべきだった。当時は、大手企業との契約に向けたプロダクト作りに奔走しており、プロダクト作り&エンジニア採用に心血を注いでいたため、そこまで手が回らなかった。アダコテックは、結果的に、2020年の年初から改めて市場調査を行ったが、非常に重要な発見がいくつもあった。成功しているスタートアップは、ここらへんの市場調査を徹底している(ex.町工場で3ヶ月フルタイムで働いたCaddiの幸松さん)ので、急いでプロダクトを作りたい気持ちをぐっと抑えて、地道にマーケットに向き合う時間を取るべき。

③開発組織の垂直立ち上げ<2019年8月~10月>

幸いなことに入社してすぐに世界有数の大手企業との商談が進んだのですが、一方で、数千万円プロジェクトをエンジニア2名で対応するという状況で、特にクラウド周りの開発は社内に経験者がいないというピンチが訪れました。

この時代、正社員のエンジニアを採用するには最低でも3ヶ月はかかるため、DMM時代から懇意にしていたDMM若手のエースである矢野さん(写真左)に相談し、副業で即日Join頂きました(右の写真は副業メンバーを含めて実施した決起集会の様子)


我々はたまたま運が良かったのですが、最近では色々な副業紹介サービスもあるので、エンジニアがいない/少ない組織は、まず副業や業務委託で信頼できる人に入ってもらい、そこから、組織を立ち上げていくスタイルが現実的だと思います。

尚、2019年11月になると元アカツキの凄腕テックリード柿崎が、2020年6月に元NIKONの光学もデータ分析もできる井上が入社し、さらに業務委託でも素晴らしいエンジニアが参加し、今では23名体制で開発を進めています。

<余談&振り返り> ・エンジニアは知り合い経由で転職することが多いので(特にハイレイヤー)、イケてるエンジニアの知り合いが何人いるか?はスタートアップの成功角度を上げる上で重要な要素。 ・当時もっとも悩んだ意思決定は、クラウドをAWSにするか、GCPにするか。開発者にはGCPが人気あるが、一方で、開発者の人口や、製造業のお客様内での利用率、オンライン上の日本語ドキュメントの数ではAWSが勝っており、散々悩んだが、AWSを選択。

前編はここまで。中編、後編では、採用、プロダクト、バックオフィスについてです!!


最後に・・・

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