井上真嘉 新卒でニコンに入社し、設備開発部門にてソフトウェアと電気の設計開発エンジニアとして7年間勤務。外観検査システムの豊富な開発経験をより多くのフィールドで役立てたいという想いを胸に、2020年6月からアダコテックにジョイン。
日本が誇る大手光学機器メーカーでのエンジニアを辞め、アダコテックでチャレンジすることをなぜ決めたのか?本人から話を聞きました。
「光の可能性」を信じ、光と共に歩んだ学生時代
ーーまずは、井上さんの学生時代について教えてください
高専時代は電気電子を専攻していたのですが、研究に関しては光を扱うテーマを選びました。最初は「ヒカリってナンカカッコイイ」というかなりふわっとした気持ちでした。レーザと受光センサーを活用して微小振動を検知する(例えば地震の初期微動)という研究に携わるなかで、光が社会に与えるインパクトの大きさ、つまりは「光の可能性」を強く感じるようになりました。高専卒業後は、光学を専門とした研究室がある大学に3年次編入しました。
ーー光が大きな軸だったんですね。大学時代についても聞かせてください。
はい。大学生時代は、光コムと呼ばれる特殊な光を光ファイバーで生成し、高速通信や高精度計測に応用するといった研究をしていました。大学院ではその光コムを活用し、地球に似た系外惑星を探査するという夢のある研究を国立天文台(NAOJ)とコラボレーションしながら行いました。
ーーそれは貴重な経験ですね、そこで得たものは大きかったんじゃないですか。
そうですね、やっぱり国立天文台という日本を代表する機関と、専門性が高くハイレベルな方々と一緒に研究できたことは、自分にとってかなり貴重な経験になっています。
モノ作りの深さを知ったニコン時代
ーーどういう経緯でニコンに入社を決められたんですか?
学生時代から光の虜になっていたため、光を専門的に扱っている企業を軸に就職活動をしていました。ニコンは同業他社と比べて、当時創業96年と長い歴史を持ち、少数精鋭(といっても2万人規模ですが)で光に対してストイックに研究や製品開発をしている、というところに強い魅力を感じました。
ーー少数精鋭というポイントは、アダコテックと通じるものがありますね。入社後は、どんなことをされていたんですか?
国内外生産工場に導入する設備を設計開発する部署に配属されました。最初の仕事は、カメラ用レンズの作動検査を自動で行う装置の開発でした。電気系の技術者であったため、電気回路の設計開発はもちろんのこと、装置を制御するためマイコンプログラムや、検査員が操作するためのWindowsアプリケーションの開発を担当しました。このプロジェクトのなかで、現場の課題を解決するためのモノづくりの重要性を感じることができました。
ーーその後はどんなことをされていたんですか?
次に携わったのが、カメラ用レンズの外観検査装置の設計開発です。世に出ている製品は、絶対に不良品の見逃しを許されないという環境の中で、1日に何千何万と検査をしてくれている検査員の人達がいます。この人達がいるからこそ、品質の高いものが世に出せるということを知りました。ミスができないというプレッシャーが強い環境で仕事をする検査員の方たちを助けたいと気持ちがあり、外観検査装置を作るモチベーションは非常に高かったです。その後も、他製品向けの外観検査装置や、現場の方たちが行っている単純作業を自動化するための装置の設計開発を経験してきました。
やっぱり光が面白い
外観検査を自動化する上で「異常部を有効なデータとして捕捉」することが当たり前なんですが、これがとても重要でかつ、とても難しいんです。対象製品への最適な光の当て方や、撮影の仕方、異常部を強調させるための画像処理アルゴリズム開発、装置のメカ精度や現場の方でも簡単に扱えるソフトウェアなど、色々なことをしっかりと考える必要があります。特に光の当て方が、外観検査装置開発において7割8割のウェイトを占めていると思っていています。最適な条件で光を当てることで、見つけたい異常部をカメラ側で捉えることができるようになるので、照明系と撮像系の設計にはとても注力していました。
ニコンを超えて、もっと製造業に貢献したい
ーーニコンで活躍されていた中、なぜ転職を考えられたのですか?
そうですね、ニコン製品の生産工場に導入する外観検査装置の設計開発を多く担当してきたんですけど、たまに社外向けの外観検査装置の開発にも携わることがありました。そのときに、他のメーカーさんも外観検査で同じように苦しんでいるんだなというのがよくわかったんです。そこで、もっと広い範囲で困っている製造業や工場に対して、めちゃくちゃ大変な外観検査を少しでも楽にできるようなサービスを提供したいと思い転職を考えました。
ーーなるほど、井上さんの中で、自社の課題が業界としての課題にスイッチしたんですね。ただ、他にも候補はあったと思うのですが、なぜアダコテックに決めたんですか?
アダコテックの技術と人に魅力を感じた
転職活動を進める中、エージェントの紹介でアダコテックを知りました。はじめて聞いた名前でしたが、事業やテクノロジーを調べて行く中で、アダコテックの技術が唯一無二なサービスであることに気付きました。アダコテックが利用しているHLAC(産総研が発明した技術)は、最近よく耳にするディープラーニングと違って、汎用的なパソコンで動かすことができます。さらに、異常部を検出する性能も高く、複雑な条件でも検知することができるので、本当にすごいと思いました。また、ディープラーニングのようにブラックボックス化しないという特徴もあるので、どういう過程で欠陥が見つかったという、説明できる点にも驚きました。
こんなに優れた技術が日本にあったんだと、アダコテックへの興味が強くなっていきました。
代表の河邑さん、アダコテック創業者である伊藤さんとのカジュアルな面談から始まり、池田さん伊部さん佐藤さん柿崎さんを含めた面談の機会を頂き、技術のユニークさもですが、この会社の親しみやすい雰囲気にも魅力を感じました。アダコテックが持つ技術と、私が持つ技術や経験が融合したらどうなるんだろう!と色々と勝手に想像して興奮していました(笑)
エンジニアであり、コンサルタントである
ーー井上さんの入社してからの業務や、課題に感じていることについてはどうですか?
今私が主として行なっている業務は、お客様から頂いた画像や動画データの分析です。
また、お客様の中には、そもそもデータの取得が困難なお客様もいれば、データは存在するものの良い条件で撮れていないといったケースがあります。その場合には、これまで身につけてきた技術を活かして照明系や撮像系、画像処理についてのアドバイスをさせていただいています。最適な条件を作り出すことによって、アダコテックの技術をしっかりと適用できるようにしています。
私は製造現場そのものの在り方を考え、現場の人達を救いたいと思っています。あとは、検査対象の製品に対してどういうふうに光を当てて、どういう処理をかけたら、異常部が見やすくなるかなど、これまで培ってきた光の活かし方を常に考え続けていきたいです。
職業病になってしまいますが、「光を読む」のが好きで、普段こうやって座ってる時もそうですし、通勤中もですが、光の反射によって床や壁にある傷がどう見えるかのか、どういう角度だと見えやすくなるかなど、目で追ったり、自然と考えてしまう癖があります。(笑)
毎日毎時間毎分毎秒、新しいことを刺激として受けていたい
ーー前職と比べ、アダコテックにいるからこそ感じるやりがいはありますか?
やりがいは何千倍もありますね。アダコテックにいると、色々なお客様と出会えるんです。子供の頃から知っているような有名なメーカーさんの画像データや部品を頂く事もあって、それを見るだけでもとてもワクワクします。しかも、そのデータに対して、自分の頭をフル回転させながら携わることができるんです。毎日毎時間毎分毎秒、常に新しい刺激を受けており、エンジニアとしての成長をすごく感じまくっていてやりがいしかありません。
ーー新しい発見や経験が井上さんにとってのやりがいになっているんですね。井上さんのモチベーションの源泉というか、ポジティブさや、強いエネルギーはどこから来ているんですか?
そうですね、どんな技術の裏にも、それをすごく考えた技術者や研究者がいます。私も世の中を驚かす技術を生み出したいという目標が、学生の頃からあるからだと思います。
あと、一昨年に娘が生まれたのもあります(笑)
ーー井上さんに似てギークで、リケジョになるかもしれませんね(笑)
そうですね(笑)娘にエンジニアになって欲しいとかは考えていないですが、「私の父はこんなを仕事をしています!」って、胸を張って言ってもらえるようなエンジニアパパになりたいなという気持ちもあります。
全員が尖りすぎているチーム
ーー井上さんから見たアダコテックのチームについてお聞きしてもいいですか?
何より、みんながそれぞれの得意分野に尖りすぎています。ただ、尖っていながらもとても親しみやすいんです。
ーーそれは、どんな時に感じますか?
そうですね、仕事しながらも、ムードメーカーの池田さんが、くだらないって言ったら怒られてしまうかも知れませんが(笑)、ユニークなことを言い始めることがよくあって、それにみんなが反応するんですけど、反応の仕方が、それぞれの専門分野の返し方で面白いなと思っています。私がいた会社に比べると雰囲気が柔らかく、ただ、柔らかい中にも、高度な技術をみんな持っているので、そのギャップが楽しいです。
ーー確かに、変わったやりとりをしてるかもしれませんね。(笑)
ーー最後にこれからアダコテックに入社する方へメッセージをお願いします!
「国内外の製造業が抱える課題を解決したい!」と考えている人が、やりがいを感じながら楽しく仕事ができる会社だと思っています。また、この会社は、みんな尋常じゃないくらい尖っています(笑)それが互いにうまくリンクしていて、自分自身をさらに成長させたい人にとってもかなり良い環境だと思います。自分の得意とする分野も成長させつつ、異なる分野の知識も得ることができます。距離感もみんな近くて、社長だから、取締役だからといった肩書きでのコミュニケーションや気遣いもなく、コトに向かってフラットに仕事を進めていける点もいいなと思います。
自分の好きな光について、そしてアダコテックについて、まだまだ話きれていないので、この続きはぜひオフィスでお話させてください!
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