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創業ストーリー Vol.1

坂下国際税理士法人 代表社員 坂下 利明

Q. 税理士事務所開設までのご経歴をお聞かせください。

A. 国立電気通信大学の経営工学科を卒業後、1989年に山一證券に入社しました。大学の専攻が理系でしたので、子会社の「山一コンピュータセンター」に配属となり、プログラミングやテスト等に携わることになりました。

理系でしたが、もともと経営分析に興味があり、入社1年目に日本証券業協会が主催する通信教育の「財務分析基礎講座」を受講しました。講座を終える頃には、「将来決算書などを作成・分析する仕事をしてみたい」とおぼろげに考えるようになり、今から思うとこの業界に進むこととなった最初のきっかけとなりました。とはいえ当時会計や簿記の知識は殆どありませんでしたので、仕事をしつつ簿記の基礎知識を独学で習得しました。

25歳で簿記1級を取得後、税理士資格の取得を目指し、1993年に山一證券を退社して暫く受験勉強に専念いたしました。運よく1年半ほどで税理士の科目中4科目合格することが出来、そのタイミングで大手の外資系税理士事務所に入社が決まりました。27歳で就職しましたが、その時は将来独立することは全く頭にありませんでした。

就職した税理士事務所では、会計、税務(特に法人税・消費税)の基礎から叩き込まれました。実務に携わり、実際の会社の帳簿を締め、申告書を作成する仕事が自分は好きなのではないかと感じ始めます。その中で、理系的な思考や、前職で集計作業や大量のデータにも触れてきた経験が、この業界ではアドバンテージになることを実感しました。

順調に経験を積み、就業中に最終科目にも合格して税理士登録することが出来ましたが、このころから、将来は自分のアドバンテージを生かしつつ、お客様に喜ばれる仕事をしたいと思うようになり、独立開業を考え始めました。

実際には税理士事務所に通算8年近く、また途中一般企業に1年半勤務した後、35歳で独立いたしました。

Q. 独立当初の状況はいかがでしたか?

A. 知り合いの方に、外資系企業のお客様を1件だけ紹介して頂いた状態で独立しましたので、かなり無謀でしたね。ただ、独立するにはタイミングと思い切りが重要だと思いますので、あまり考えすぎず勢いで独立したことは、今となっては良かったのかと感じています。

独立するにあたっては、とにかく得意分野・専門性を明確に打ち出すことが重要と思っていました。自分の経験で他の独立開業税理士と勝負できるのは、外資系企業の子会社などを顧客とするインバウンドの国際税務でしたので、思い切って外資系企業専門の事務所とし、事務所名に「国際」と掲げることにしました。また当時(2003年)はまだ、税理士事務所のホームページを出しているところでも内容が薄いものが大部分でしたので、ここに国際税務の基礎知識を大量に掲載し、とにかく専門性をアピールすることにしました。

この段階で事務所の方針を明確にしたのは、今でも非常に良かったと思っています。現在でもぶれることなくその方針を貫いています。

Q, 売上や顧客の獲得は順調だったのですか?

A.しばらく収入が減ることは覚悟していましたが、ホームページからコンタクトして頂いた会計士の先生からお仕事を紹介頂いたり、独立前に所属していた企業及び事務所や、その事務所の同僚だった方々からもお仕事を頂いたりと、仕事運に恵まれておりました。このころお仕事をご紹介頂いた方々、お客様になって頂いた方には非常に感謝しております。

また頂いたお仕事については質の高い成果物を出すことを心掛け、お客様に喜んで頂けたことを徐々に実感できる様になっていったのは嬉しかったですね。

Q. 創業時には、どのような点を重要視していましたか?

A. 独立当時気を付けていたのは、体力を温存するため余計な出費をしないよう工夫することでした。自宅の1室から事務所をスタートさせましたが、仕事増により事務所として使っていた部屋が手狭になった時は、一時的に自宅のリビングを事務所兼用にしたこともあります。

また前述のようにホームページを重要視していましたので、内容の更新やページの追加など、ホームページの業者には頼らずに自力で行いました。これは業者に支払うキャッシュを抑えるだけでなく、こちらでホームページの内容をコントロールし、適宜アップデートするのがとても重要だと思っていましたので、時間をかけてコンテンツの作成・更新を行いました。現在でも、コンテンツ作成・内容の更新はいつでも自由に行える体制です。

ただ苦労では無いのですが、やはり独立当初は前述のように収入は得られていたものの、安定収入という訳では無かったので、将来を考えると常に不安感はありました。

その後独立3年目に、前職の同僚でもある妻が事務所に合流いたしました。新しい考え方を事務所に取り入れ、事務所は大きく変革しました。そのあたりは妻の「創業ストーリー②」でお話したいと思います。

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