航空貨物業界の課題と向き合い、DXを進めているCargoLabo(カーゴラボ)。業界全体が抱える課題への解決策として『CargoLabo』をリリースしました。近年は航空貨物輸送のニーズが高まり、市場規模も拡大※しています。
※参考:航空貨物市場規模と市場規模株式分析 - 成長傾向と成長傾向予測 (2024 ~ 2029 年)
自身も航空貨物業界で長くキャリアを積み、業界全体の変革に携わりたいと願う代表の稲葉さんに、お話を伺いました。
航空貨物業界の課題は「DX」と「人材不足」
現在、航空貨物業界が抱えている課題は、大きく2つに分けられます。
1|データ管理の遅れ
「荷主と航空会社の間に入り、荷主に代わって輸出入業務をコーディネートする仲介会社」であるフォワーダーから見ると、取り扱うデータやコミュニケーションのほとんどがアナログで管理されています。
業界のDX化が遅れており、インボイスや料金表、見積書などのフォーマットもPDF、Word、Excelなど形式が統一されていません。そのため、仕事を進めていく上での重要なデータも集約しづらく、管理コストの負担が大きくなっています。
またWebシステムによる予約・問い合わせ管理が浸透しておらず、航空会社へ電話・メールで個別に問い合わせる従来の方法が残存しています。本来であれば、航空貨物は海外にいち早く届けたいニーズに応える輸送手段であり、業務を最短で進める必要がありますが、属人的な業務が残っているのが現状です。
2|人材不足
航空物流業界の市場規模は右肩上がりで伸びてきています。半導体、自動車部品、医薬品などの需要増加により「航空貨物での輸送ニーズ」が拡大しているのです。
その一方で「業界に興味があるので、就職したい」と思う人材は、それほど多くありません。活躍している人材の高齢化も進み、従業員1人あたりの負担は年々大きくなっています。こうした背景から見ても、業務のDXは喫緊の課題です。
航空貨物に特化したサービス『CargoLabo』とは
CargoLaboがリリースした『CargoLabo』のメインユーザーは、フォワーダーを想定しています。まずはログインしていただき、「航空会社へのフライト予約」「過去の予約履歴」「入札機能」の3つが利用できるようになっています。
予約機能で業務効率UP!クラウド上で一括管理できるSaaS
例えば「航空会社へのフライト予約」を行う場合を、考えてみます。
「関西国際空港 発→サンフランシスコ 着」の貨物を扱うとすると、まず貨物の内容を設定します。「一般貨物・危険物・特殊貨物」のいずれかを選択。さらに「個数・重量・サイズ」を入力すると航空運賃を算出するための適用重量が自動算出されます。
また「サーチボタン」を押下すれば、航空会社ごとの料金がBooking.comのように一覧で表示されます。必要に応じて航空運送状や危険物申告書などの書類や、航空会社へあらかじめ伝えておきたい貨物を取り扱う上での特記事項なども入力し、通知できるようになっています。
「ボタンを押すだけ」でできる──当たり前のことかもしれませんが、電話などアナログで対応している状況から比べると「言った言わない」の水掛け論を未然に防止できるなど驚くべき進歩と言えるでしょう。
入札機能により情報を一括管理。データの見える化をさらに推進
さらに、『CargoLabo』では荷主からフォワーダーへスポット・定期的に出荷される貨物の相見積もりを依頼できます。荷主は半年・年間で想定される出荷量、納期、発地空港・着地空港、直行便又は経由便などの貨物情報を設定し、各フォワーダーに見積もりを取ることが可能です。こうした情報が一覧にまとまっているので、フォワーダーはスムーズに案件管理ができるのです。
これまではExcelでまとめたファイルをメールに添付して何通もやり取りをしている状況から、情報がクラウド上で一括管理・確認できるようになります。ファイルを探す時間もなくなり、最新の情報がスピーディにチェックできるだけでも、業務効率は大幅に高まります。
来年以降に追加される新機能:「請求書の自動発行」
2024年中には、CargoLaboを通じて予約された貨物の請求書を自動発行する機能をリリース予定。すでにフォワーダーや航空会社からは「待ちわびています!」との高い評価をいただいています。
航空会社は半月・一ヶ月ごとに請求書を発行する商習慣があり、Excelで作成した請求書をメールや郵送で送付するプロセスを繰り返しているため、請求書の作成業務に追われている企業も少なくありません。
『CargoLabo』は入力項目が少なく、すべて自動発行。人的ミスやダブルチェックの手間も減り、安心して請求書のやり取りができるようになります。航空会社に代わって貨物スペースの販売・予約を行う貨物販売代理店からも「請求書の自動発行だけでも業務の負担が大幅に削減できる」との声をいただいています。
次のチャレンジは『CargoLabo』をいかに広めていくか
ーー組織規模を問わず、さまざまな航空貨物業界の企業で活用できそうですね?
海外に出荷する貨物が多くないの荷主であっても『CargoLabo』の入札機能は十分に使えると思います。むしろ出荷量が多くないからこそ、適正な料金が把握できて、輸送コストを抑えることができます。使い勝手が良く視覚的にも操作しやすい仕様なので、ぜひ気軽に活用していただきたいです。
前職でフォワーダー経験がある身としては、本当に便利な機能ですよね。航空会社へのフライト予約はもちろん料金交渉も可能ですし、貨物の重量やサイズに変更があればクラウド上ですぐにアップデートできるので助かります。実際に使ってみたユーザーの声はヒアリングし、改善案として開発担当に伝えています。
海外には競合他社のSaaSはありますが、輸送に必要な書類のアップロードや貨物重量のグラム数まで詳細に設定できるような日本の商習慣に合った仕様にはなっていません。そうした競合他社に先駆けて、多くの企業に導入していきたいと考えています。
ーー今後の目標についても教えてください。
これから、さらにフォワーダー数を増やしていこうとしているところです。入札機能に関しては、荷主は無料プランでご利用いただけますし、データの一元管理は大きなメリットがあるので、荷主への新規開拓も積極的に進めたいですね。まだ導入実績が少ないため、トライアルで運用してもらう荷主数を増やし、荷主からフォワーダーの順に開拓していくのもフォワーダー数を増やしていく戦略としては良いかもしれません。
予約機能に関しては「航空会社へのフライト予約」「過去の予約履歴」に加えて、ユーザビリティを意識した機能を2024年中にリリースしていこうと思っています。具体的には、通信会社と連携して輸送費用をクラウド上で決済できる仕組みや、保険会社とAPI連携で貨物保険を付与できる仕組み、AIを活用して「5秒で見積書が作成できる機能」など開発したい機能はまだまだあります。
このように、ユーザーのご要望に応えるかたちで品質を向上していくことが当社の使命だと考えています。高い品質を安定して提供できるのは「メイドインジャパン」の良いところ。まずは国内での標準化を目指し、システム導入に向けたサポート体制を構築していきます。
そして、一緒に働く仲間の採用にも力を入れます。ユーザーとは長いお付き合いを続けたいですし、信頼を大切にしていくためにも、二人三脚で歩める方と働きたいですね。業界のDX化実現に向けて実績を重ね、共に変革を起こしていきましょう。