創業1.5年で機械学習を含む最先端技術を社会実装できたワケ - 燈株式会社のアルゴリズムエンジニアリング | 燈株式会社
CTOの三澤です燈株式会社の共同創業者であり,CTOの三澤颯大と申します。東京大学工学部計数工学科を卒業した後,同大学大学院情報理工学系研究科にも在籍しています。燈では技術的な方向性の策定・開発...
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初めまして。燈株式会社アルゴリズムエンジニアの梅村 洸介(うめむら こうすけ)と申します。
私は燈創業初期の2021年8月(燈創業は2021年2月)から、修士課程で研究を進めていく一方で、CTOである三澤の誘いを受けインターンとしてこれまで燈に携わってきました。
2023年4月、東京大学工学系研究科物理工学専攻にて博士課程に進学しました。そして2023年10月、私は博士課程を休学し、燈株式会社に正社員として入社しました。
一体どうしてこのような選択に至ったのか、なぜ今入社したのか。本記事ではこの辺りについて書ければと思います。
自分は高校生の時から何かこれ!という夢がなく、広い範囲で興味を持っていました。特に高校3年時では、物理学に興味があったことに加え、当時 AlphaGo が囲碁で人間を打ち負かしたことなどもあり AI にも強く興味を惹かれていました。大学に進学して学科が決まったタイミングで、どちらかの興味を諦めねばならない(今思えば別にそんなこともないのですが)ということに耐えられず、「自分の可能性を狭めるな」という親の教えもあり、大学に進学してから学部が決められるという進学振分け制度がある東京大学への進学を目指しました。
東京大学への入学は成功したものの結論を先延ばしにしただけで、自分の中では「物理もAIもやりたい!」という気持ちが残っており、結局進学振分けの段階でも悩みに悩み抜き、物理学を学びながら、計数工学科と近いために情報系や数学の授業も取れる物理工学科に進学することとなりました。
※計数工学科とは、数理と物理を基礎とし、世の中の様々な現象を情報やシステムの観点から研究していく学科です。
物理工学科に進学してからの自分は、物理を勉強するのが好きだったのもあり比較的「まじめ」な生徒で、本郷キャンパスの中央図書館で、ホワイトボードを使いながら友人たちと物理の問題を解くことが日課となっていました。
テスト期間になると、物理工学科と兄弟学科である計数工学科の学生がライブラリープラザに集まり、共にテスト勉強をすることで友好を深めていきました。そんな中で、燈株式会社現 CTO の三澤と出会いました。テスト勉強の傍ら彼がド・ラームコホモロジーについて熱弁していたのを今でもよく覚えています。
卓越した数理への理解に基づいた圧倒的な技術力を誇る CTO 三澤の記事はこちら:
そして時は流れ修士1年の夏、私が「機械学習を勉強するのにおすすめの本はないか」という DM を Twitter(現𝕏)で三澤に送ったのをきっかけとして、燈のインターンとして働き始めることになりました。当時インターンも就活も全くしていなかった私がいきなりビジネスの世界に飛び込むこととなり、毎日が刺激的なものとなりました。また、最初期からデータ分析系のプロジェクトに携わることとなり、研究だけでは決して得られないであろう貴重な体験をすることができました。
燈が会社として成長し、最初は通路ほどの狭さだったオフィスから、会議室のついた立派なオフィスへと移転した頃から、徐々に修士論文執筆に向け研究が忙しくなり、以前ほどのパフォーマンスを燈で発揮できなくなりました。研究室を出た後にオフィスへ行ったり、オフィスを出た後に研究室へ行くことが増えてきました。それでも私は研究と燈の両方を諦めたくはなく、必死でしがみつくような生活を送っていました。当然そのような生活はパフォーマンスを低下させるもので、研究・インターン共に思うように進捗を出せず、歯痒い生活を送ることとなりました。徐々に正社員として燈に入社する人も増え、まるで自分が置いてけぼりにされているかのような感覚に陥りました。(念のためですが、燈にはインターン生の卒論・修論・博論時期の忙しさに対する理解はかなり深く、様々な配慮をしてもらいました)
やがて修論の提出も終わり、徐々に元の生活に戻りつつありました。そして、「博士は取っておきたい」という思いから、そのまま博士課程へと進学しました。しかしながら自分の中には、「リソースが分散されて研究・インターン共に本来のパフォーマンスが発揮できない」という決して小さくない不安を胸に孕んだままでした。この時ちょうど、人だらけで過密状態、とても1つの会議室では足りない状態であったオフィスから会議室が8つある広いオフィスへの移転が決まりました。これは博士課程へと進学したにもかかわらずさして変化のない自分の研究活動とは対照的なものでした。しかしやはり、「博士は取っておきたい!かつ燈にも携わっていたい!」という思いから、博士の3年間はこの生活を続けていくということを覚悟していました。ですが、2年で従業員100人?SaaS提供開始から1年で100社導入?ビジネスに疎い側の自分でも異常だとわかる数字が、クォーター終わりごとの全体会にて共有されることになります。創業当初から関わってきた自分だからこそ、これまで積み上げてきたもの、そしてその成長が未だ止まることを知らないということを理解しました。これらの報告が特別なきっかけとなったというわけではないのですが、このあたりで急に堰を超えました。
「3年も待ってられない!」
私は人生で初めて、複数の道から一つの道を選択しました。決断からは早く、1ヶ月以内に休学の手続き・各所への報告・正社員になるための手続きを爆速で済ませ、2023年10月より正式に燈に入社しました。今ではリソースの全てを燈に費やすことができ、パフォーマンスを発揮できないところから来る妙な後ろめたさも消え、燈の一員として非常に充実した毎日を送ることができています。
最後に、燈の好きなところをいくつか挙げて終わりにさせていただきます。
よくあるやり方として、「最先端の技術それ自体を価値として売っていく」というものがあると思います。これが悪いことであるとは言いませんが、燈の DX では「課題が先、技術はあと」という考えが根底にあります。これはまさに建設特化、現場の人を幸せにしたいという願いを体現するものであり、非常に共感しています。
燈の根底をなす心構え(燈道)の一つとして、「凡事徹底」があります。文字通り、些細なことでも徹底的にやり抜くことを指します。何かを成し遂げるときに必要なのは、多くの場合奇抜で突飛なアイデアではなく、当たり前のことの積み重ねです。早起きをする、先方のメールに爆速で返信をする、挨拶を大きな声でする、放課後に自転車で飛び込み営業をする、などなど。AI ベンチャーなどは、最新技術に関するキラキラした部分ばかりフィーチャーされがちですが、結局最後にものを言うのは泥臭く挑戦していくことだと思っています。
燈が誇る凡事徹底のスペシャリストである小澤の記事はこちら:
CEO 野呂は決して「実現不可能な夢」を語りません。野呂は、創業当初から「1年で 〇〇 万目指す」とよく口にしていました。当時の私は、「目標は高く持つのがいいよね」などと思っていましたが、のちに自分の誤りに気づきました。野呂が「1年で 〇〇 万目指す」と言ったその時点で、それは彼の中では明確で具体的なロードマップが頭の中にすでに敷かれており、夢などではなく計画としてそう話していた、ということをのちに理解しました。ビッグマウスかのように聞こえた夢は、さも当たり前のように実現されました。彼の元ならやっていける、というのは創業初期から感じていたことです。
ここまで読んでくださってありがとうございました。この記事を読んでくださったあなたも、燈に興味を持ってくれると嬉しいです。
皆さんも最高の仲間たちと共に、「日本を照らす燈」になりませんか?
※念のため断っておきますが、自分が所属していた研究室は本当に良い研究室でした。物理学の何たるかを学び、本気で研究したいなら 東京大学工学系研究科物理工学専攻 齊藤研究室をお勧めします。